.

はっと目が覚めて、瞬いた。ゆっくり体を起こす。 …周りを見渡すけれど一人、だ。 よく知る自分の家。…でも、何か違和感がある。違和感、というか、僕、ついさっきまで…？ 記憶を辿ろうとするのに、届く前にするすると逃げられて、曖昧にしか思い出せなくなっていく。この感覚、は。 「……夢？」 思わず呟いて瞬く。夢、を見ていた、みたいだ。…あれ、どんな夢だったっけ？ ばふん、ともう一度ベッドに体を沈める。 ぼんやり、とした記憶だけしか残っていなくて、何だったっけ、何かすごい夢だったはずなんだけど、と瞬く。…思い出せない。 「…まあ、いいか。」 夢なんてそんなものだよね。呟いて起きあがる。とりあえず顔洗ってご飯食べて、そうだ。今日フランスさんが来るんじゃなかったっけ。じゃあ急がなきゃ。好きな人に寝起きの格好悪いの見せるわけにはいかないから。 「…フランス、さん」 呟いて、ため息。…好き。フランスさんが。思い出すだけで胸がいっぱいになってしまうくらいに。…言う勇気は、まだないけど、いつか。いつか、この気持ちを伝えられる、ように。甘くて苦しいこの気持ちを、大事にしたい。 「よし、とりあえず顔を洗ってこよう。」 うなずいて、ベッドから降りて伸びをした。 『希望の欠片』End! 戻る