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「…綺麗ですね。」
そうつぶやくと、カナダはここ、好きだよな。と笑いを含んだ声。
「暇さえあればここから街見てるだろ。」
そうかもしれない。坂の上のここからは、通りがずっと見渡せるから。商店街や街に暮らす人々を見ているのは飽きない。

「そんなに気に入った?」
「はい。とっても。」
暖かくて優しくて。フランスさんみたいで、素敵だと思います。
そう言うと、彼はそんなに褒められたら今日はデザートつけなきゃだめかな?なんて茶化して言うから、ちょっとむっとして、彼に向き直る。
「本当ですよ。本当に、心から素敵だと思ってるんですから!」
じっと見上げると、困ったように眉が寄って、それから、あーとか言いながら視線がうろつきはじめた。

「…あー…ありがと、な。」
……あれ。もしかして。
「フランスさん照れてます?」
滅多に無い光景にきらきらと目を輝かせる。照れてるフランスさんなんてほんとに滅多にお目にかかれるものじゃない!
「いやあそんなことはないけど…。」
「じゃあこっち見てくださいよ。」
言っても、ちら、と見るだけでまたそらされる瞳に、小さく噴き出して。

「…、ほら帰ろう!」
「はあい。」
先を歩き出してしまった彼に、ちょっとだけ走って追いついて、その前にしか向けられない顔を見上げてそっと、笑った。


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