ふちゅ、と唇に押しつけられた感触に、ぱち、と瞬いた。 「ロマーノ…」 「うううるせー!早くしろよこのやろー!」 顔を真っ赤にして怒鳴ってくる彼女。珍しいことこの上ない。確かにまあ、こっちは今晩もロマーノとセックスするつもりだったけれど。 よもや、彼女の方から誘われる、というか、押し倒されるとは、前代未聞。 天変地異でも起こるんやないか。 と、思わず口に出したら拗ねられた。あちゃあと思うけれど、あれ、俺の上からは退こうとは、しない。手を伸ばして、ぷちぷちとボタンを外しても、されるがまま。顔は恥ずかしげに逸らされたけど。 …ロマーノ、本当になにかあったんじゃないだろうか。 そうは思ったけれど、彼女の、掠れた、恥ずかしそうな、はやく、という訴えに、追求は後でにしようとその悩み事を放り出した。 「あ、あーっん、あ…っ!…も、」 もっと、甘ったるい声がせがむ。その一言だけででこっちがやばくなる。煽られる。たまらない。 「っ、」 奥まで突き上げ、低く呻く。相性は変わらず最高、その上彼女がやけに素直だから、さらにクる。 「今日はほんま、やけに素直やね、ロマーノ」 そんなに欲しかったん?囁くと、閉じられる目。 「い、うな…っ!」 きゅう、と締め付けられる中に思わず眉をしかめた。やっばい。めちゃくちゃ、イイ。 「ロマーノ…っやば、」 「ーっ!」 しがみついてくる体を強く抱き寄せて、唇を重ねる。スペイン、吐息で呼ばれる名前に、ぎりぎりでセーブしていた理性もぶつん、と勢いよくちぎれて。 「!あ、ああんっ!」 「ロマーノ…っ!」 本気でがっついて、はっと気づいた時にはぐたりと、気絶したロマーノが、いた。 お風呂で体をきれいにしているときに目を覚ましたロマーノに、怒られた。めっちゃ怒られた。 「うー…やってロマーノがぁ…」 「俺のせいにすんな!」 「ごめんなさい。」 とりあえず素直に謝ると、深いため息。 言いたいことが一区切りついたらしく、おとなしく預けられる体を抱きしめ、なあ、と呼びかけてみた。 「何だよ。」 「今日、なんかちょっと、積極的やったのなんで?」 単刀直入に尋ねると、彼女はう。と言葉に詰まって。 「なんで?」 もう一度問うと、頬を赤くして、顔を俯けた。 「…から」 …。よく聞き取れなかった。 ん?と首を傾げていると、ちら、とこちらを見たロマーノが、だから!と大きな声を出した。 「ルキーノが妹まだ?って言ったから…!」 …なるほど。 うれしそうにきらきらして言われて、それで誘っちゃったわけだ。 にやにやしながら眺めると、にやにやすんなばか!と怒られた。 本当に、妹ができたと判明して大騒ぎするのは、もう少し後の、こと。 戻る |