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じゅ、と吸い上げると、やだよう、と泣きそうな声が上がった。
「ドイツ、も、あ、っん!」
イタリアの言葉を、太股の白くて柔らかい部分を甘噛みする事で遮る。
残る赤い痕。内股はもう、それでいっぱいだ。今つけたばかりの痕を舐め上げ、差し入れた指を動かす。くちゅり、と音がした。

「ふあ…っ」
「すごいな…どんどん溢れてくるぞ」
イタリア。囁いて笑えば、彼女は顔を逸らした。ぼろり、と涙がこぼれ落ちる。恥ずかしいのだろうか。…まだ、恥ずかしいと思える理性が残っているのだろうか。
そんなものさっさと捨ててしまえばいいのに。
乱れて求めて、俺だけ見ていればいいのに。

収縮する中をぐぐ、とえぐれば、ふあん、と甘くあがる歓声と、ドイツ、と非難の声。
「何だ」
「わかってるくせっに!」
羞恥と快楽に赤く染まった、頬。撫でて、わからんな、としれっと答える。
指を引き抜くように動かすと、ああ、と残念そうな声。
ぐちゅりと締め付けられて、その感覚にく、と笑う。
もちろん本当はわかっている。
よく知り尽くした体。…指ぐらいじゃ、足りないだろう。
浅く刺激を続けると、ドイツ、と揺れる、声。…言うのは恥ずかしいし、でも耐えられないし。心の葛藤が手に取るようにわかるから。ゆるゆる動かして。

「っドイツ、」
「ん?」
「…も、おっきいのいれて…っ!」
きゅう、と目を閉じて言うのが、この上なくかわいい。
「ドイツぅ…っ」
「ああ。…おまえののぞむままに。」
小さく笑って、そう囁いて。
足を両腕で押し広げて、割り入ると甘い吐息が漏れる。
「あ、あ…っ!」
ゆっくり、入れて、浅いところでかき回すと、たまらない、とばかりに抱きついてきた。自分から、腰を進めてくる。
そんなに欲しいのか。くく、と笑って言えば、欲しいよ、と吐息まじりの、焦った声。

「だ、から、早く、ドイツ…っ!」
お願い。ちょうだい。肩に額をすりつけてくる彼女の扇情的なことといったら!…けれど、もっと聞きたいと思って、しまう。
ゆるり。まだ奥にいれないように、引き出すように動かすと、ドイツ!と悲鳴に近い、声。
引き止めるようにぐちゅりと、動く中。
思わず、口の端を引き上げて。
一気に突き上げると、それこそ悲鳴が上がった。強く締め付けられる。強ばる体。がくん、と背中を反らした彼女に、達したことを知る。
10秒だけ、待って、反らされた首筋にじゅう。と吸い付いて、腰の動きを再開させる。

「え、あ、や、ちょ、待っ。」
「もう十秒待った。」
「そ、んな!ああ、ん、やああ!そ、そこは、あっあ、あ!ど、ドイツ…!」
弱いところをえぐって、くるんを口に運べば、文句ももう口にできない。


代わりに口に出すのは、名前だけだ。俺の名前。ドイツ、ドイツ、と、何度も。
…イタリアの世界が、俺だけ、になる、瞬間。…この世で一番美しいとそう思う。


「どい、つ…!」
「…イタリア。」
名前を呼んで、その涙の溢れる琥珀に映るのが自分だけだと確かめて。
うっとりと、笑った。

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「ドイツの馬鹿、なんでだめなの!?」
「だめだといったらだめなんだ!」
高い声に返す低い声。

顔がひっつきそうなほど近距離で繰り広げられているそれは、まさしく夫婦喧嘩で、かつ痴話喧嘩、だ。
他人にとってはどうでもいい内容。子供たちは喧嘩が始まった時点で避難済み。
ただし、本人たちは大まじめなわけで。

「ドイツの馬鹿ー!俺のこと嫌いになったんだー!」
「誰がそんなことを言った!愛しているに決まっているだろう!」
このやりとりだけで、いかにくだらない喧嘩か、わかってもらえるだろうか。

「ドイツひどい!なんで、なんでダメなの、中に出してって言ってるだけなのにー!」
「っだから!そういうことを軽々しく言うな!」
はっきり言ったイタリアに、ドイツの頬が赤く染まる。
けれど、イタリアは納得いかないのか、だって、ドイツが!と泣きそうな声で言う。

「何でやなの…?俺のこと、嫌いになったんでしょ…!」
昨日抱き合ったときに、イタリアがいらないと訴えても、絶対生でしてくれなかったのが喧嘩の原因、だ。
それを俺が嫌いになったからだ、と瞳をうるませるイタリアに、ドイツははああ、と深くため息をついて。
「ああもうおまえは…。」
「…っ、やだ、嫌わないで、ドイツ、」
ぐずぐずと泣き崩れるイタリアに、だから嫌いだなんて誰も言ってないだろう!と怒鳴る。
大声に驚いたのか、びくり、と大きく体が震えて。

それに気づいたドイツが、そっとイタリアの体をだきしめた。優しい抱擁に、イタリアはじわ、と涙をにじませ、その大きな体に抱きついて。
「…イタリア、いい加減信じろ。…俺はおまえを愛している。嫌いになるなんて、ありえない。」
「……じゃあ、なんでだめなの…?」
俺との赤ちゃん、もう欲しくない…?
涙目で見上げてくるイタリアに、だから、と、言ってからドイツは、言いにくそうに口を閉じた。

けれど、愛しい妻の不安そうな視線を真っ向から受けてしまえば。
「…だから、おまえが好き、だからだな。」
「…へ?」
「……子供たちにおまえを取られるのは、しばらく、いい。」
やっとガブリエルにつきっきりにならなくてよくなった、のに。
ぼそりと呟かれた言葉をしばらく、考えて。

「…えと…。」
わかっていなさそうなイタリアの表情に、ため息をついて、ドイツは言い切った。
「ふたりきりの時間がなくなるのは、イヤだ。…こどもたちだけでなく、俺も甘えさせろ。」
「…!!!」
率直な言葉に、イタリアは耳まで真っ赤になって。
「…甘えたい、の?」
肩口でうなずくドイツに、かわいい、とその頭を抱きしめた。


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