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「はああ…。」
青青とした芝生に寝っ転がると、みどりのにおいがした。
「サラー、遊ばないの?」
「疲れたからきゅうけーい」
ボールをとってきたリリーにそう返す。こういうとき、ああ男の子だなあって思うのだ。基礎体力が、違う。あれだけ走り回ってなんで平然としてるんだろう?

「はあい。」
言いながら、隣に寝ころぶ彼。ころん。ところがって。
「あっこれ気持ちいい。」
「でしょう?」
二人でのびのびと、芝生の上に寝ころぶ。とてもいい天気だ。
「こうしてるとさ」
「眠くなってくるねー」
あ、やっぱり同じこと考えてた!
「ねー」
二人で顔を見合わせて笑う。

「あれ?二人とも何してるの?」
呼びかけに上を見れば、のぞき込む二つの顔。
「お昼寝ー」
二人で返すと、ママとパパはそれはいいなあ。と笑う。
「一緒にお昼寝するー?」
「…どうする?カナ。」
「とっても魅力的なんですけど。」
どうしましょうねえ。柔らかい声。視線は、パパにおねだりするようで。
「…仕方ないなあ。」
あんまり長くはダメだからな?パパの声にやったあ!と三人で歓声を上げる。

ごろん、とみんなで転がるとただそれだけで、とっても幸せなんだから!


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「パパー」
後ろからの声に、着替え終わったか、と振り返ると、そこには。
ふんわりとしたカントリー調のワンピース姿の、カナダの姿。
「着せてみた。」
どう、似合うでしょう。楽しそうなリリーの声を聞き流しながら、カナー、と手招き。

「は、はい。…変ですか?」
近づいて上目遣い、のカナダににっこり笑って、超かわいい、と思い切り抱きしめた。


「やっぱカナダはなんでも似合うなあ。」うきうきしたフランスさんの声に、ありがとうございます、と苦笑しながら、髪をまとめる彼の邪魔にならないようじっとしておく。

リリーは、じゃあ私用事あるから!と行ってしまった。どうやら、いつ抜け出すかタイミングを伺っていたらしい。フランスさんにつきあうのは楽しいけど長いからなあ。ママ、お願いがあるんだけどって言われたときは何事かと思ったけど。
僕も用事がないではないんだけど…。

「カナ、ちょっと上向いてー…いい子だ。」
こんなにフランスさんがうきうきしてるなら、それでいいかなあ。
「フランスさん」
「んー?」
「後で買い物手伝ってくださいね」
「もっちろん!とびきりかわいくしたら行こう。」
カナの欲しいもの何でも買ってあげるってうれしそうな笑顔!
そんな顔見せられたら仕方ないなあって思っちゃうしかない!

ずるいなあと思いながらとりあえず、彼の気が済むのを待つことにした。

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彼がスプーンを口に運ぶのを、どきどきしながら見守る。
「ど、どう、ですか…?」
おそるおそる尋ねると、彼はじっと僕の方を見て。
にっこり、笑った。
「すっごくおいしいよ。」
「ほんとですか!」
尋ねれば本当。と優しい笑顔。
よかったあ、と思わず息をついた。
だってすっごく練習したんだ!



「これくらい、ですか?」
「そうです。…やっぱりカナダさん料理上手ですよ。」
私に教えることなんてほとんどないですよ。微笑む日本さんに、そんなことないですよ。と首を横に振る。
「勉強することばっかりです。」
「…それならよかった。」
ほっと、笑う。彼女。
でも、まだまだ上手にならないと。彼には食べさせてあげられるものは作れない。
だってフランスさん上手すぎるんだもの!結婚してから数ヶ月。彼の料理毎日食べてると、本当によく、わかる。彼はほんとに、上手だ。…かなわないなあってしみじみ思う。
…けど、だって。僕が作ったものでおいしいって言ってもらえたら、うれしいから。
「ふふ。だいすきなんですね。」
彼のこと。優しく笑う彼女に、かあ、と顔が熱くなる。それでも、好きですよ?ちっさめに言ったら、彼女もふふ。と笑った。



「カナダはのんびりしすぎなんだ。」
紅茶を注ぎながら、イギリスさんが言う。
「だから、ちゃんと時間を計ればいい。本当は、その葉とか、状態で多少調整しないといけないんだが…それはまあ慣れてからでいいだろ。」
ん。と差し出された紅茶を一口飲む。
「…おいしい。」
言えば、勝ち誇るような笑顔。

「僕にもこんな紅茶いれられますかね?」
「もちろん、経験つまないと、だが…その気があれば大丈夫だ。」
まず、と説明し出す彼がうきうきしているのを見て苦笑。
これ、僕がフランスさんのためにやってます、なんて言ったら一気に機嫌悪くなるんだろうなあ…。
それが目に見えていたから、紅茶をおいしくいれられるようになりたいんです、としか言ってないけど。
「カナダ?聞いてるか?」
「うえ、あ、えっと、…ごめんなさいもう一回お願いします…。」
素直に謝って、今度は集中することにした。



そうやって二人にいろいろ教えてもらった料理だから、おいしいよ、本当にって、彼が笑ってくれるだけで本当にうれしい!
「えへへ。」
「また食べたいな。是非。」
「はい!作ります!あの、週1とかで僕の当番の日作ってもいいですか?」
「お。そりゃあいいな。…ついでに、お兄さんのとこのレシピも教えてあげる日も作ろうか。」
「はい!」
それは素敵だ。彼の料理には敵わないだろうけど、少しずつ、作れるものが多くなっていけばいい。
だって、まだまだ二人の時間は続くんだから!
「よろしく。カナ。」
「よろしくお願いします!」

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少し呆れたように見上げて、おーい、と声をかける。
「落ちるなよー?」
「平気平気!」
「大丈夫でーす」
「父さんもくる?」
「それは遠慮する。」

上から返ってくる声にため息。まったく…
もう一度見上げた先に、大きな木。その中に見え隠れする複数の金色。
…うちの子供たちと、奥方さま、だ。

公園についたら、大きな木に走っていって、木登りを始めた子供たちに混じって、僕もいってこーよう!とカナダまで行っちゃったわけで。

おかげではらはらと下から見上げるしかなくなったわけで。
まあ落ちはしないと思うんだけど。頭でわかっててもやっぱり心配というか。
気持ちとしてはさっさと降りてきなさいって言いたいんだけど。

見上げていると、下をのぞいたカナと目があった。楽しげに手を振られた。
「…まったく。」
幸せそうな顔に、まだもうちょっと、心配でも見上げているだけにしようかな、と思ってしまうのだ。


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「カナダ」
呼び掛けられて、振り返る。そこにいたのは、イギリスさんだ。こんにちは。声をかけ、笑う。
「本当によかったのか?」
「はい?…ああ、子供たちですか?」
今日は、フランスさんも出張で、僕も仕事だから、日本が家にいるしつれてきたらどうだ、とイギリスさんに言われていたのだ。
「ああ。二人でおいておくのは…」
もい小さくはないとはいえ、まだまだ子供だから。
けれど。
「大丈夫ですよ、ふたりだけじゃないんで。」
「は?」




「ソッチ、ダメダ。」
「えー、」
もうちょっと!と、虫取り網片手に行こうとするリリーを、むずと片手で捕まえて、熊五郎はのそのそと戻る。
「大丈夫、落ちたりしないから!」
「こないだもそう言って湖に落ちてたじゃない。」
よくいうわよ、リリーったら、とは、あきれた表情でお菓子を食べるサラの言葉。
「あれは落ちたんじゃなくて飛び込んだんだよ?」
「どっちでも一緒よ。そのあと熱だしてママに心配かけたくせに。」
「う…」
「しばらくおとなしくしてなさい。」
サラの言葉に、はあい、と呟いて座る。
ぼすん、とリリーの頭がうもれるのは、毛むくじゃらな真っ白なお腹。
「ふわっふわー」
「あ!リリーずるい!」
リリーが振り返れば、熊五郎よりも大きな熊の姿。よしよしと頭を撫でられ、サラもぎゅう、と抱きつく。
よく見れば、二人の回りは熊だらけだ。
白くもこもこした物体があたりを歩き回ったり二人の世話をしたりしている。
カナダが二人ではない、と言ったのがこれだった。ちなみにみんな熊五郎の仲間だ。

「ふふー、このもこもこ天国があるからお留守番も楽しいのよねー」
「ねー!みんな、ありがとう!」
にこにこと笑う二人に、彼らは、ぐりぐりとその体を擦り寄せた。

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