問:あなたの恋人のいいところを上げてください。 「外見なら、俺似のさらさらで指通りのいい髪と、近くで見ると紫がかってる青い目。中身なら、あの素直でちょっと天然な性格と、あのイギリス、アメリカとは全然似てない思いやりと慈愛に満ちた優しさ!」 「………。」 さらさらと答えるフランスと対象的に、ドイツは押し黙ったままで。 「ドイツは?」 「…こういうのは、」 あまり口に出すものではない気がするんだが。と続けようとするのを、へえ、ないのか。というフランスの言葉が遮って、そうじゃない!と言い返す。 「じゃあ、どこ?」 「……外見、は、髪、だな。撫でると柔らかい。あと、あの瞳に見つめられると、どうしても弱い…。あ、とは…白い肌、とか。身長とか。」 へえ。とフランスは小さく笑った。ドイツのこんな話を聞くチャンスなど滅多にあるものではない。 「それと、手。」 「手?」 「ああ。…料理や絵画を生み出す、魔法の手だ。」 小さくて細いのに、すばらしいものをたくさん創造する、手だ。と、ドイツは笑った。その表情があまりに穏やかで、フランスは内心驚いた。 「ふーん。じゃあ、中身は?」 水を向けると、彼は真剣に考えだして、考えて考えて考えて、顔をそらして小さくぼそりと、…全部、と答えた。 「は。」 「全部、好きだ。…問題なところなんて、一つも無い。」 きっぱりと、答える。 「うーん…でも、少しくらいは、あるだろ。」 イタリア、いいんだけど、へたれだし、ちょっと抜けてるし…としみじみ呟くフランスを、ドイツは鼻で笑った。 「ない。」 「へえ?何で?」 頬杖をついて尋ねると、ドイツはコーヒーを一口飲んで、さら、と言い放った。 「俺が全部フォローする。…だから、問題はない。」 「…ふーん?」 意味ありげな笑みを浮かべるフランスに、何だ、とドイツは眉を寄せて。 「だってよ?イタリア。」 振り返って奥に向かって呼びかけると、ぎ、とドアが開いて、そこには。 「!!イタリア…!」 何だか今にも泣き出しそうな顔をしたイタリアの姿。 がたん、とドイツが立ち上がるのと、イタリアが飛びついてくるのは同時で。 「ど、いつ…っ!」 お、おれ、俺もね、うまく言えないけど、あの、ドイツのこと、ええと。 強くしがみつかれて、言われた言葉に、ドイツは、恥ずかしいような、うれしいような、複雑な気持ちになって、自然と苦笑していた。 「…ドイツ、好き、大好き!」 「…知ってる。」 くしゃ、と好きな柔らかい髪をかきあげて、額にそっとキスをした。 戻る . 問:あなたの恋人のいいところを上げてください。 二人は沈黙した。 「…えっと、ロマーノくん、どうぞ。」 「あっずるい!」 「ずるいなんてそんな。ロマーノくんが言ってくれたら、言いますよ。」 にこ、と微笑で、何だか誤魔化された気もしたが、ロマーノはぶつくさいいながらも、スペインのいいところ…と呟いた。 「…優しい、とこ。あと、寛容な、とこ。」 俺がこんな性格だから、言えない事とか、言うのに時間かかる事、よくあるから、それを許してくれたり、待っていてくれるのは、とてもうれしい。あと、俺をよく理解してくれてるとことか。そんなところも大好きやで、とか言われると、たまに泣きそうになる。 小声のそれに、日本はただうなずくだけで話を促す。 「…それと、目は、好き。オリーブの色。生命の色だ。」 「ああ。綺麗ですよね。優しそうですし。」 日本がそう呟くと、ロマーノはうれしそうに笑った。まるで自分のことを褒められたように。好きなんだなあ、と日本は目を細める。 「あとは…胸?てか、胴体?…ああ、違うか。膝の上。」 「どうしてですか?」 「…定位置だから。小さい頃からずっと。そこ、座ってた、から。…ああ、スペインだって感じがする。」 スペインの体を椅子にして。かわええなあロマーノ。ええ子やね。そんな言葉を聞きながら、ずっとそこに座っていた。今は、恥ずかしくて、スペインが抱き上げない限り、座らないけど。座っても、下ろせとかじたばたしてしまって、逃してしまうことも多いのだけれど…本当は、一番お気に入りの場所。ほっとできる、場所。 「あー。安心できる場所、ですか。」 「うん。……世界で、一番。」 あいつには言えないけどな、と苦笑するロマーノに、日本は笑った。困ったように。 「…あの、ロマーノくん?非常に言いづらいんですが…。」 「?なんだよ。」 日本はあはは、と誤魔化すように笑ってから、後ろ、と人差し指で指した。 後ろ?と振り向いたロマーノのめに飛び込んできたのは。 目をきらきらきらと輝かせる恋人の姿。 「!すぺ「ロマーノおおっ!」 かわええ、めっちゃかわええ!俺の恋人は世界一や! 思い切り抱きつかれて頬ずりされて、ロマーノのすることやったらいくらでも許したるし膝ぐらいやったらいつでも貸したる、なんて余計な一言で、スペインに全部聞かれていたことを悟ったロマーノは、顔をトマトみたいに真っ赤にして、馬鹿スペインー!と頭突きをした。 戻る 3000hitリクより、「誰かに西のことを惚気るロマーノ」と、はな様からのリクエストで「惚気る独」でした。 せっかくだったので、惚気る相手はくじ引きにしてみました。ちなみに、その結果は、ロマ・日 独・仏 西・墺 加・洪 英・伊でした。言ってくだされば他の人のぶんも書くかもです。 独には、全部俺がフォローするって言わせたかっただけです。独は有言実行の人なのでしてくれるでしょう。そして苦労するでしょう。 ロマは、子供扱いは嫌いだけど、幼い頃からの習慣とか、ほんとは大事にしてそうです。照れるから言えないけど、ほんとは。みたいな。あと、西ロマはどうしても膝の上に座らせて甘やかしてるイメージがありますね。 遅くなりましたが、少しでも気に入っていただけたらうれしいです。 リクエストありがとうございました! . イタリアのいれてくれたコーヒーを飲みながら、ふと、好みの話なんてしたことあったか、と思った。 気づいて、驚いて見つめるコーヒーは、自分でいれたものとほとんど変わらない(むしろおいしいくらいの)味だ。つまり、俺の好きな分量の砂糖が入れてある。けれど、そんな話をしたことはない、はずだ。覚えがない。 それに、そうだ。いつから、イタリアがいれてくるようになった?最初の頃は、客人であるイタリアに、自分からいれるのが当たり前で。けれど、最近では、そうするのが当然のように、仕事途中に彼がコーヒーを差し入れてくれるように、なっていて。 「…ドイツ?」 どうかした、おいしくない?と不安げな声に、顔をあげると、不安げにこっちを見るイタリアのどアップがあって、少しだけ押し戻してから、疑問を尋ねてみる。 「えー…いつだったかは覚えてないけど。」 ドイツが仕事忙しそうで、構ってくれなくてつまらなくて、でも一緒にいるだけでもしたいなって思って、何か理由を探して、それで、コーヒー持っていくことにしたの。 そしたら、ありがとう、って笑ってくれたから、あ、俺にもできることあるんだって。 「それから、おいしいコーヒーの淹れ方とか調べたり、ドイツの好みとか、オーストリアさんに聞いたりして。後、いつ持っていったら休憩してくれるとか、考えたり。」 おいしいでしょ?とにこにこ笑うイタリアに、あ。もうだめだ、と顔を手で覆った。 だめだ。もうだめだ。…うれしい。 そうだ。イタリアはこういうやつだ。何もしていないように見えるのに、知らないところで、俺のことを思ってくれている。そして、役に立とうとがんばってくれるのだ。それが、空回りして迷惑を被ったときの方が印象に残ってしまうから、忘れがちだけれど、決して忘れてはいけないことなのだ。…あー、だめだ。顔のにやつきが元に戻らない。ダメだ、キスしたい。抱きしめたい。イタリアを感じたい。仕事になんか戻れそうにない! 今日中にしないといけないことは終わったはずだ。本当は、明日一日を空けるつもりだったけれど…それが半日早くなっても、だれもとがめるやつはいないし。 「イタリア。」 机をまわってこちら側に呼んで、何?と顔を近づけてきた彼にキスをした。深く、深く。夜の、恋人へのキスを。 「…ヴェ、ま、まだ明るいよ?」 弱い力だが、戸惑ったように両手で押し返してくる彼に、誰も見てない、と囁くと、ちょっとだけ考えてから、抱きついてきて。 今度は、イタリアから、キスをしかけてきた。 「…コーヒーの味がする。」 「嫌か?」 抱き寄せて、額を合わせて尋ねると、全然!と笑った。 戻る 3000hitリクより「伊の些細な行動に喜ぶ独」でした。 こう、伊は、努力家ではあると思うのですよ。それが成功に結びつかない上に忍耐力ゼロなので報われることは少ないですが。 で、独はそんな伊に気づいては好きって気持ちを自覚しなおしてればいいと思います! こんなですが、少しでも気に入っていただけたら幸いです。 ありがとうございました! . 「イタリア…」 名前を呼んだ。イタリア。それでも振り返らない。イタリアは、ぷい、と背中を向けたまま。 …悪いのは俺だ。わかっている。仕事をしていたら、時間の感覚がなくなっていて、気づいたら約束の時間をかなり過ぎていたのだ。 イタリアが、今日の映画を、ずっと楽しみにしていたのは、わかっていたのに。 慌てて帰ってきたら、イタリアはかなり怒っているようで、口を聞いてもくれないし、こっちを向いてもくれないのだ。 顔をのぞこうと歩くと、それにあわせて背中を向けてくる始末。 「…俺が悪かった。すまない。」 何度目かわからない謝罪の言葉。けれど、イタリアは無言で。 はぁ、とため息をついて、うつむいた。こんなことは初めてで、どうしていいかわからない。イタリア、小さく呼ぶ。 けれど、帰ってくるのはやはり沈黙。 もう一度ため息をつく。 と、ぷ、と噴き出した声が聞こえた。それから、くすくすくす、と笑い声。 ぱっと顔を上げると、イタリアがこっちを向いて、笑っていた。 「い、イタリア、」 「あ、も、そ、そんなに情けない顔しないでよ〜」 おかしそうに笑うイタリアの顔。ぽかんと眺めると、もうとっくに怒ってないよ、と抱きしめられた。 「、イタリア」 「ドイツの反応見たかっただけ。…ごめんね。」 ちゅ、と額にキス。 「だが、…見たかったんだろう?」 「…仕方ないよ。だって一人で行っても仕方ないもん。ドイツと一緒じゃなきゃ。」 それでも、ちょっと残念だったけど、と少しだけ寂しそうな顔をするから、頬に手を当てて、明日は?と尋ねた。 「明日?暇だよ」 でも明日は、ドイツが忙しいんじゃ。そう言われた。そうだ。だから、今日しか行く時間がなかった。守れなかった約束。けれど、微笑んで見せた。 「終わらせてきた。」 間に合わない、と気づいた時点で、明日期限の仕事はすべて終えていたのだ。だから、明日は休んでもまったく問題ない。 「ヴェ、」 明日はずっと一緒だ、と笑うと、イタリアはぱああ、と表情を輝かせた。 「ほ、ほんと!?」 「ああ。」 うなずくと、彼はうれしそうに、とろけるように微笑んだ。 「嬉しい!じゃあ、じゃ、ずっと、ずっと一緒にいるからね、離れないから!」 ぎゅううう、と抱きつかれて、はいはい、とうなずいた。 …明日は、イタリアの言いなりになるしかなさそうだ。 戻る 3000hit記念リクより、蓮様からのリクエストで、「怒る伊となだめる独」でした。 なんか、想定より甘くなりました…が、こいつらは終始こんな感じな気がします。 結局伊が喜ぶようにしか動けない独がテーマです! こんなですが、すこしでも気に入っていただけたらうれしいです。 リクエストありがとうございました! |