近未来パロディですので、苦手な方はご注意ください。 どんと来い!という方は、どうぞ ねえドイツーと抱きついてくるそいつに、深いため息。 「ドイツドイツ、」 「何だ。」 「白衣貸して?」 「…何故?」 「ヴェ、ドイツのだから?」 …わけがわからない。 ここは、最先端の研究室で、世界中の謎を解明していく為の場所だが、こいつのことは誰もわからなかった。 かつて、天才にして天災、と言われた一人の科学者が作り上げた、アンドロイドの最高傑作、『ヴァルガス兄弟』。二人で一対のそれは、一体は、とある大学に、そしてもう一体はここに置かれた。そのつくりの精巧さは、まさに天才の名に恥じないもの。 だけれど、謎だらけだった。 行動パターン、言動、何をとっても、わからないのだ。普通、人工知能は学習する。学習して、知識を蓄え、それをもとに行動する。だから、教えることを調整すれば、ある程度性格や思考を調整できるはずなのだ。 なのにこいつは何度でも同じところでこけるし、わけのわからない声を上げるし、役に立たないし、そのくせ、やけに絵を描くのは上手だし。 人の造ったアンドロイドが、まるで。 人間のように。 「おまえは一体何なんだ…」 白衣を与えてやると、いそいそと着込んでうわおっきい!とか声を上げているイタリアを見る。 「ヴェ?」 何も知らない子供のような表情。 次の瞬間、楽しげに笑って、抱きついてきた。人工皮膚のしっとりとした感触。体重は、成人男性より少し軽いくらいなので、別につぶされることもない。…それは、今の技術でも、有り得ないことなのだ。ほかの誰にも真似できない、天才の技。それの、集大成。 本来なら、こんな世界の大遺産、と言われるこいつと、一介の科学者である自分は、会うことすらできない。ただ、先輩の紹介で、奇跡的に会う機会が一度だけあったのだ。 それが、人生の転換点だった。 イタリアに、何故か、一目見るなり気に入られた俺は、そのままこいつの研究担当に大抜擢。 それから、日がな一日こいつと生活を共にしている。 その時間が長くなればなるほど、わからないことが増えていくばかりだった。 余計な知識は増えた。好きなのは、パスタを作ること(一流シェフ並の腕前だ)、昼寝をすること、女の子とおしゃべりすること、絵を描くこと、俺に抱きつくこと。嫌いなのは、争うこと(自分が関係ない他人の喧嘩でも、泣き出してしまう)、訓練と名の付くもの、置いていかれること。 研究報告書なんか、書けそうにない。 また前日に徹夜で頭を悩ませることになるのか、そう思いながら、目を閉じてため息。 「ドイツ?」 呼ばれて目を開ける。すぐ前に、大きなイタリアの瞳。赤い、唇。 「ヴェっ!?」 驚いた声に、我に返った。 今、何をした?感触の残る唇を、思わず押さえる。 「今の、なあに?ねえ、ドイツ!」 俺あれ初めてだよ、ねえ、と肩を揺さぶるイタリアに、動揺しながら、キス、だ、と答える。 …キス?した?俺が?イタリアに? 「キス?キスって、好きな人にするやつ?」 ドイツ俺のこと好きなんだ!? 嬉しそうな声に、さらに動揺してしまう。 好きか嫌いかでくくれと言われたら、好きだ。どちらかと言えば。 でなければ、こいつと一年も共に生活を送ることなどできない。 けれど、それは、友人として、のはずで。 …本当に? 俺も大好きー!と首に抱きついてくるイタリアに、無意識のうちに腰に腕を回していた。いや、イタリアの体支えるためであって別に意味などない! 「ドイツ、好き」 すりよってくるイタリアの声に、うれしい、と思ってしまうこの気持ちを、だれか解明してくれ! 戻る 3000hitリクより、ナカヤ様リクエストで「科学者とアンドロイドなパロ」でした! 書いたことない感じでなかなか楽しかったです!ただ伊が微塵もアンドロイドっぽくないという! こんなかんじですが、いかがでしょうか?少しでも気に入っていただけたらうれしいです。 ありがとうございました! . 3000hitリク独伊「世界はそれを、」の西ロマ版です。 なので、近未来パロです。院生×アンドロイド。 苦手な方はご注意ください よく知らないが、きっとこういうのを変人って言うんだと思う。 「ロマーノ!」 また来た。暇さえあればこの部屋にやってきて、つらつらとくだらないことをしゃべって帰っていく。 院生のスペイン。…俺のあったことある人間の中で一番の変人。 厳しい教授のもとに1人、あわないやつがやってきたと思ったら、初対面で手を捕まれた。 『俺スペインって言うねん!よろしく!』 後で、握手、という言葉を教えてもらうまで、何なんだこいつは、と思っていた。いや、それはいまでも思っている。 俺は人間じゃない。じいちゃん(じいちゃんは人間だ。当たり前だが血はつながっていない)が作ったアンドロイド。…なのに、こいつは、まるで俺が人間であるかのように扱う。…知らなかったいろんなことを、こいつに教えてもらった。 花の名前、食べ物の名前、歌、感情。 あれ何だ?あれはな〜、と楽しげに話し出すこいつが、わからない。いつも、わからない。 じ、と見上げる。焦げ茶色の髪、オリーブ色の瞳。 「何?」 楽しげな笑顔を浮かべるスペインに、おまえ、なんでおれのとこ来るんだ?と率直に尋ねた。 こいつだけだ。ひねくれた性格の俺のところにやってくるのは。…教授でさえ、来たがらないのに。…俺が、怒らせるから。 「んー…ロマーノが好き、やからかな。」 笑って言われた言葉。好き、というのは、こいつがよく言う言葉だ。好きやで、ロマーノ。そう、よく言う。 そのたびに安心する。…なんでかは、わからないけど。 「なあ、ロマーノ。外、出てみーへん?」 「そと?」 いきなり言われて目を瞬いた。俺に自由に歩くのが許されてるのは、研究室の中だけだ。小さな、俺の世界。 「そう。外。教授の許可は取ってあるから。」 な?と言われて、困ってうつむいた。 一度も出たことがないから出てみたい、というのは本心だけれど、どうしても、怖い。 やっぱり断ろう、と口を開きかけたら、手を掴まれた。暖かい、手。 「怖い?…大丈夫。俺がそばにおるから。」 何があってもこの手離さへんから。そう真剣に言われた。だから、こんなとこおらんと外出よう。楽しいで?と。 「見せたいものがたくさんあるんや。知らんものは教えたる。全部教えたる。」 そう、笑う。世界は広くて楽しいと。 「とりあえず大学の中まわって…そうや、俺んち行こう」 「おまえの?」 「うん。…ちょーっとちらかっとるけど、泊まりにおいで。一緒に遊ぼう」 何しようか、と本当に楽しそうに笑うから。 …こいつがいるなら大丈夫。そう思えた、から。 そっと、掴まれたままの手を握り返した。 「…離したら許さねーぞ、ちくしょーが」 小さく呟くと、スペインはうれしそうに笑った。 「まかしとき。」 初めて障害なく見上げた太陽は、まるでスペインのようだった! 戻る レイン様からのリクエストで、「『世界はそれを、』の西ロマ版」 でした。相変わらずアンドロイドっぽくない! 教授は墺さんです。このあと、西の家で暮らすようになったり弟に会いに行って独を嫌いになったり何たりかんたりあるんでしょう。きっと。 こんなですが、少しでも気に入っていただけたらうれしいです。 リクエストありがとうございました! |