「ロマーノ、おいで」 スペインは本当にうれしそうに笑っていた。 …ここでダメって言ったら、どうなるんだろう。少し試してみたい気もしたが、長年の経験から、ロクなことにはならない、と判断してやめておくことにした。 それに、そんなことに気を回せるほど、余裕、ない。 スペインがいるベッドに、触れることすらできなくて、立ち尽くしていると、スペインの方が寄ってきた。 「何、緊張してんの?」 うなずくと、もう何回もしてるやんか、と苦笑された。 「それとこれとは」 「違わへんやろ。」 いきなり腕を引かれた。バランスを崩して飛び込む先は、スペインの腕の中。 「どっちも、愛を育むためにするもんや。そうやろ?」 する、と髪を撫でられた。心臓がうるさいくらいに高鳴り出す。 「す、スペイン」 「大丈夫。俺に任せて?」 こつん、と額を合わせて言われ、その優しいオリーブの瞳に、小さくうなずいた。 ばさり、とキャミソールを脱がされた。恥ずかしくて、胸を腕で隠す。 「ロマ、全部見せて?」 「う、」 腕をどかすわけではなく、キスを手首に落として、ロマーノ、と待っている。あくまで俺に腕を退かせたいらしい。…くそう。 「ロマーノ」 俺だけが欲しいって思ってるんとちゃうんやって教えて。 ああくそ、これでこいつはいじめてないつもりなんだぞ!ああもう! 必死で羞恥と戦いながら、ゆっくりと腕をどける。 「ええ子やね」 ちゅ、と額にキス。それから、す、と胸に触られた。見ていられなくて、強く目をつむる。 「…はー…柔らか…」 確かめるような手つきに、じわじわ、と体が熱くなっていく。 「…、は…っ!」 突起を爪で引っかかれて、びくん、と体が震えた。もうちょいであられもない声が出るとこだった。唇を噛んで耐えたけど。 感じるところを的確にまさぐられて、必死で声を耐える。顔をそらして、は、と荒い息を吐いていると、首をぬるり、となめられた。 ひ、と声を上げて首を振る。 「嫌?」 「…嫌、じゃ、ない、けど…」 鎖骨のあたりを往復するようになめられ、体を震わせる。 「痕付けてええ?」 「…っ好きに、しろ…っ」 なんとか返すと、ちくり、と痛みが走った。また。 それから、つつ、と舌を這わせて、突起を口に含まれた。 「あっ!?」 「声、もっと聞かせて」 甘く噛んだり、なめたり、引っ張ったりされ、声が耐えられなくなってきた。 「あ…やっ…それ、やだ…っ!」 連動するように逆の乳房をもまれて、嫌々と首を振る。 「気持ちよすぎる?」 「っや、スペイン…!」 震える腕をスペインの肩に伸ばし、押し返そうとするが、余計に激しく舌や指を動かされ、力なんか入るわけがなくて。 「ああんっ…ペイン、スペイン…っ」 名前を呼んで、小さく足をすりあわせた。 熱く濡れた感覚に、ば、ばれてないよな、と顔が熱くなる。 「どないしたん、ロマーノ」 「ベ、別に…ひっ!?」 太ももを撫でる手。思わず甲高い声が漏れる 布越しに、撫でられて、濡れてる、なんて笑われたらもう何にも言えなくなってしまった。 ぎゅ、と目を閉じると、少しだけ腰を浮かされた。 「ちょ…っ!?」 慌てている間に、生まれたままの姿にされてしまって。 その上容赦なく足を開かされて、泣きそうになる。 「泣かんといて。…大丈夫、ロマは綺麗やから」 そういう問題じゃねえよ馬鹿! くちゅくちゅ、と音を立てて(ああもう絶対わざとだ!)花芯をなめられ、中に舌を入れられて、びりびりと走る快楽に、シーツを強く握りしめた。 「や、やだ、あっ!なめるな…っひっ!?」 「ロマ、もうちょい足開いて。」 開ける訳ねえだろうが! 逆に足を閉じようと動かすと、素直やないねんから、とか言いながら、足をぐい、と押し上げられた! その体勢のまま、今度は花芯を噛まれて、気持ちがよすぎて体をよじった。 「す、スペイン…!や、あ、ああんっ!」 「かわええ」 もっと乱れて、エロくなって、そんなことを囁かれて、ぐちゃぐちゃと水音が続いて、もう何がなんだかわからなくなってくる。気持ちいいのに、でもじん、と渇くような感覚が触れられていない部分から湧いてきて、小さく、名前を呼ぶ。 「す、ペイン、もっと、奥」 「奥がええの?」 うなずくと、くす、とスペインが笑った気配がした。舌が、抜かれる。 ゆっくり指が入ってくる感覚。 いつもと同じ指なのに、違う感覚が、気持ちよくて、あ、あ、と声が出てしまう。 「気持ちい?」 痛くない?と聞かれ、痛く、ない、き、もちいい、とかすれた声で囁くと、ぎゅうう、と抱きしめられた。 「あかん、かわええ。かわいすぎる!」 「ひあっ!てめ、指、…あっ!?」 一気に奥まで入れられた指が、あるところをかすった途端、体が跳ねた。 「ここ?」 感じる?とそこを引っかかれ、ひあん、と声が裏返った。 いや、と首を横に振る。スペインの肩にこすりつけた。 気持ちいい、けど、いつもとは全然違う感覚。ざわざわと体が熱くなっていく。 「ス、ペイン…!」 「ここにおるよ」 イきそう?そう尋ねられ、こくこくうなずくと、しっかり抱きしめられる。イくとこ見せて?囁かれて、その息が耳に当たって、耐えきれずに体を震わせてイってしまった。聞いたこともない高い声が、自分の喉から出た。 無意識のうちに、閉じていた目を開くと、間近ににこにことうれしそうなスペインの顔! 「やーかわええなあもうほんまエロくてぶっ」 「み、見てんじゃねーぞちくしょー!」 泣きそうになりながらぐいぐいとその顔を押し返す。 「い、痛い痛い」 「スペインの馬鹿野郎っ!」 ぎゅいぎゅい、と押し返すと、やってかわええねんもん、と両腕をまとめて掴まれてしまった。 「もー…泣かんといて?」 一筋流れた涙を辿るようになめられ、そのまま、唇にキスをされた。舌を深く、深く絡められて、翻弄されるのはいつものこと。ちょっと悔しいけれど、気持ちいい、のは事実だし。 つ、と離れると、銀色の糸がつながった。とろん、と見上げると、ほんまあかんて、そんな顔、と苦笑される。 糸を切るように、唇から頬を撫でられた。ロマーノ。いつもより熱のこもった声に、呼ばれた。 「初めて、もらってもええ?」 「…ダメって言ったら、どうするんだ?」 「泣いてまうかも」 情けない笑顔に冗談だ、馬鹿と笑って、すりよると、しっかりと抱きしめられた。 ばさり、と服を脱ぎ捨てたスペインに組み敷かれた。 腰を引き寄せられ、少しだけ震える。 「怖くないから…な?」 与えられるキスに見上げると、ぐちり、と音がした。敏感な部分に触れる、熱源 「熱…」 「それは、ロマーノの方やろ」 溶けそうや、とキスをされた。そっちに気を取られているうちに、ず、と入れられて。 「ん…んっあ…っ!!」 ゆっくりと奥まで入れられ、息ができなくなったように感じた。 は、は、と息を吐いていると、あー、やばい、気持ちいい、と声。 「痛くない?平気?」 「へ、いき」 何とかそう返すと、もう止まれへんけど、ええ?な、ええ?と急かすように言われ、ち、ちょっと待て、と止める。 「どんくらい?」 「え、あ、さ、三十秒、くらい?」 そう言うと、いーち、にーと数えだして、あーもうなんだよ!と声を荒げた。 「やってもうほんま無理!」 「…っ、わかった、動いていいから!」 そう言った途端、さらに奥までねじ込まれた。一瞬で世界が消え、揺さぶられて、意識が戻ってくる。 その激しさに、何も考えられなくなって、ただただ快楽を追う。目は開いているのに、何も見えないのは、にじんだ涙のせいか、他の何かのせいか。 耳には、ただ。スペインが、俺を求めて呼ぶ声しか聞こえなくて。 スペイン!と必死で名前を呼んで、一際体を震わせた。 くたり、と体を横たえていると、楽しそうにスペインは体を拭って。 「あーもう幸せやー、めっちゃ幸せやー」 「…楽しそうだな。」 こっちは疲れて腕すら上げられないのに。 にらみつけると、キスされた。そりゃあ楽しいで。やってロマーノと一緒なんやから、とにこにこ笑う。 「そうかよ…」 はあ、と息を吐いていると、キスが何度も降ってきた。それから、…体をまさぐるような、動き。 「…お、おい…?」 「なあ、もっかい付きあって?」 お願い、なんて言われて本気で逃げたくなった。けれど、体が本当に動かない。 「ふざけんな!」 「だって〜俺まだ一回しかイってないもん〜」 「もんじゃねえよ馬鹿!俺はもう何回もイってんだぞ!?」 「ロマーノ感じまくってたもんな〜すっごいかわいかった〜」 な、もっかい見たい、と囁かれて、さっきの余韻がまだ残る腰を撫でられた。震えるのは期待からじゃなくて仕方なくだからな! 「何やったらいつもの方にも入れるで?」 「いっぺん死んでこい!あっ!…もう、や…っ!」 戻る . カナダ、もう限界なんだけど。 抱かせて、なんて直接的に言われたのは、夕方のこと。 ごまかしてきたけど、もうダメ。抱きたい。カナダの全部に触れさせて。 そんな風にまっすぐ言われて、恥ずかしくなってしまった。 けれど、うれしくないはずはなくて。 僕でいいんですか、と聞いたら、カナダがいいんだ、と言ってくれたから。 「二回目、ですね」 「え?」 初めて、と呟くと、そうだな、と彼は笑った。 「両方とも俺がもらえて嬉しいよ。」 頬を撫でられる。いつもは温かい手が、少し冷たい。 「…緊張してます?」 驚いて尋ねると、そりゃあ、初めて、だし?とくすくす笑ってごまかされてしまった。 「大丈夫。お兄さんのテクで天国に連れて行ってあげるから」 「…それ、何人の女の人に言ったんですか?」 じと、と見上げると、ひどいな、と笑われた。 「でも、カナダが最後の一人だよ。」 「…なら、許してあげます」 大きな体に抱きつくと、そのまま、ベッドに倒れ込んだ。 「カナダ、」 耳元に口を寄せるから、何だろう、と思っていたら、俺の用意した下着着てくれた?なんて! 「っ!ふ、フランスさんが他の持っていっちゃうから!」 バスルームから出たら、用意していた服下着までごっそり全部変わっていて、着るしか他に手がなかったのだ。 なのに、いい子だな〜カナダは、なんてフランスさんはによによしてて、悔しくて、その顔に手元にあった枕をぶつけた。 「フランスさんっ!」 「ごめんごめん。」 ひょい、と枕を取り上げられ、ついでに眼鏡も取られて、視界がぼやけた。 「でも、カナダ、知ってるか?」 顔の両側に、手をついて、楽しそうにフランスさんは笑う。 「男が女性に服を送るのは、それを脱がせたいからだって。」 聞いたことある気がする。そう思って答えると、にこお、と彼が笑ったのが、見えた。 …あ、そうか。今の僕か。遅ればせながらに気がついて、顔が赤くなってしまう。 「かわいいな、カナダ」 大好き、と額にキスをされた。 「はー…至福。」 楽しそうなフランスさんに、顔を赤らめる。 「あの、こ、これ」 「恥ずかしい?」 こくん、とうなずく。 半分ほど脱がされた服は、肩に引っかかっていたり、腰から下を少しだけ隠していたり。…何か、丸裸より恥ずかしい格好な気がするのは気のせいだろうか。 「大丈夫、とっても綺麗だから。」 「…フランスさん、楽しんでるでしょう?」 にらみつけたら、だって可愛いと返事になっていない返事。 「もう…脱がせるなら脱がせてくださいよ…」 「もったいないからダメ」 楽しげにキスされた。それから、そのまま彼の唇は、するすると首をなぞって降りていく。 「フランス、さん」 つつ、と布越しに胸を撫でられ、それだけで背筋がびりびりした。 「恥ずかしさなんて吹き飛ぶくらい気持ちよくしてあげるから。」 楽しみにしてて、と笑う笑顔が不安を煽った。 はあ、と思わず息を吐いた。 苦しい?痛い?尋ねられて首を横に振る。 苦しいわけがない。痛いわけがない。 肌触りがいいとか言いながらずっと胸や腰を撫で回し続けて、あんなに何度もほぐされて、もう少し早く事を進めてくれたって大丈夫なのに、丁寧に丁寧に全身を愛撫されて、何度もイかされて、体が敏感になってしまって、少し怖い気もする。 こんな状態で、フランスさんのとか入れられたら、どうなってしまうんだろう。 「…今、何かエロいこと考えた?」 指摘されて、ぎく、と肩を震わせてしまった。 「やっぱり。」 中がぎゅって締まった、ってそんなこと言わないでください! 目を閉じると、頬を舐められた。それで、また泣いていたことに気づく。 「カナダ」 呼ぶ声が、さっきまでと違った。 少し緊張したような、真剣な声。 「…いい?」 ちゅく、と音を立てて、中に入っていた指が抜かれる。 代わりに当てられる物の大きさとかに、思わず息を飲む。 見上げると、フランスさんの、真剣な青い瞳にじっと見つめられていて。 「…はい」 答えた声が、少し震えた。 入ってくるそれに、思わず逃げそうになる。 「痛い?」 首を横に振る。 痛いんじゃない。少し苦しいけれど、それよりも。 「あ、あーっ!だ、め、擦れ、…っ!」 気持ちいい。よすぎておかしくなりそうだ。 「あー、いいとこ、当たる?」 うなずいて、必死で快楽を逃がそうと体をよじるが、フランスさんに、がっちりと腰を掴まれて動けなくなった。 おまけに、途中まで入ったそれを、壁を探るようにゆっくり抜かれて、やだっ、と声を上げた。手を伸ばして、押し返しても、彼はやめてくれなくて。 ゆっくりと、先で壁をえぐるように、少しずつ角度を変えて、抜き刺しされる。 少しだけそこをかすめてまた抜かれて、それを追うように腰が揺れた。 ひあん、と甲高い声が出た。 「ここ?」 「やっ、やだぁ!突かないで、ダメっ…!」 ダメって言ったのに何度もえぐられて、擦られて、耐えられずにイってしまった。 その瞬間に中を締め付けてしまって、いいところを先端が擦りあげて、余計に感じてしまう。 「ふ、フランスさん、」 過ぎる快楽が怖くて涙目で見上げると、彼が、のどを鳴らしたのが聞こえた。 「ごめんカナダ、手加減、できない」 「え、」 驚いているうちに、ゆっくりと、でも次第に速く律動されて、体が激しく揺れる。 上げる声に意味がなくなって、すがりついていたシーツから、手がいつものようにフランスさんの背中にひっかき傷をつけはじめたころ、低い声がして、中で熱がはじけた。 それにさえ感じて達してしまって、意識がとろけた。 目を開けると、目の前に眠るフランスさんの顔。 眠っちゃってたのか。そう思いながら、苦しかったので少しだけ体をよじる。 体はすっきりと清められて、バスローブを着せられていた。…そういえば、なんか、うとうとしながらお風呂に入ったような気がする。 「…フランスさん」 小さく呼んだら、抱きしめられた。 起こしたかな、と見るが、すう、と寝息が聞こえて。 「…だいすき」 そっと囁いて、抱きついた。 戻る |