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ぎい、とドアを開けると、布団の山がひとつ。
もそ、と動いて、顔がのぞく。
「…ドイツ、」
小さな声。どうしよう、どきどきするよ、不安げな表情に、俺もだ、と声をかけて、ベッドに腰掛ける。
…そこで一瞬、嫌な予感がした。
「…まさかおまえ、裸じゃないだろうな…?」
「え…脱がせたかった?」
「いやそうじゃないが。」
…裸なのか…
ため息をついて、布団の山から顔だけを出したイタリアの長い髪をなでる。

する、と、手を滑らせ、ふと目に入ったのは、男の時と変わらないくせ毛。
「…やっぱり、弱いのか?」
「ヴェ?」
顔を上げたイタリアのくせ毛を軽くつかむ。
「あ……っ!や、あ…」
甘く上がる声。やっぱりか。と思いながら、撫でたり軽く引っ張ったりしていると、も、ドイツ!と抱きつかれた。
バスタオル一枚巻いただけの体に、立ち上る色香に頭がくらくらする。
「焦らせないで…」
高い声が、余計にめまいをひどくした。
…俺が今この腕にかき抱いているのは、誰だ?
「…イタリア、」
呼ぶと、顔が上げられた。
この一週間弱で見慣れた、よく知るイタリアとは少しちがう顔。
「…ドイツ、」
キスして、と言われるまでもなく、口付けた。
舌を絡めてくるのがイタリアの方が早いのは、いつものこと。
好きにさせておいて、体を覆うバスタオルを、解く。
ぱさり、と落ちて現れた体が、白くて。美しくて。
慌てて唇を離したイタリアが、またバスタオルで隠してしまった。もったいない。
名前を呼ぶと、は、恥ずかしいよう、と消え入りそうな声がした。

「見せて、くれないか?」
「だ、だって、」
頬をなでる。指先の震えが止まらないのに、イタリアは気づいているだろうか?
緩くタオルを引っ張ると、難なく取ることができた。
それでも、腕で隠そうとするのを抱き寄せ、鎖骨のあたりに唇を落とした。
…柔らかい体。それに、細い。少しでも力を入れたら折れてしまいそうな儚さ。けれど、逆にどれだけ力を入れても受け流されそうな、しなやかさも持っている。
舌を這わせて、そっと胸を覆う腕をはずす。
あ、と小さな声がした。それでも、止めようとする動きも声もないのをいいことに、さらに下に唇を寄せる。
突起を口に含むと、びく、と体が震えた。
「あ、やぅ、んっ…!」
転がすと、とろけるような声が漏れて。もう一方を手で揉む。…柔らかい。
「ひあ、ああんっや、ドイツ、なんか、変、あ、んんっ!」
「大丈夫だ。」

しがみついてくるイタリアの背中に手を回して、そのまま後ろに押し倒す。
ひゃあ、と上がる悲鳴は、驚いただけのものだろうから、気にせず、愛撫も止めない。
ただ、足の間に膝を割り込ませ、足を開かせたが。
「やっそんな、ドイツ!」
「…嫌か?」
まっすぐに目を見つめると、イタリアは、困ったように眉を寄せた。…嫌じゃ、ないよ。小さな声がした。
「でも、その、あの。」
「恥ずかしい?」
こくん、とうなずいた。それから、なんか、体がいつもと違ってどうしていいのかわかんない、と呟き。
「じゃあ、教えてくれ。…どう感じているのか。」
俺も初めてだからな、不安なんだ。苦笑しながら、そう言うと、ん、わかった、とうなずく。
「…ん、と、ね、今は、気持ちいい?」
「何だそれは。」
だってわかんないんだもん、と拗ねられた。そうか、と言い返して、とりあえず痛かったり苦しかったりはしないんだな、と確認してから、突起を甘噛みする。
「やっ!だ、だめ、それダメ、気持ちい、やんっ」
…かわいい。なんて思ってしまうのは、いいんだろうか。もうダメなんだろうか。…どっちでもいいか。イタリアがいる。それだけで十分だった。他に何もいらなかった。

ぐちゅり、と音が鳴った。
その部分の熱さに驚きながら、ゆっくりと指を入れてみる。もうすでに、意味を成さない音しか上げていなかったイタリアの声がオクターブ跳ね上がった。
「痛いか?」
ふる、と首を横に振るのにほっとしながら、ゆっくりと動かす。
…熱い。せまい、のはいつものところと同じくらいか。
中を探るようにかきまわすと、腰が跳ねる箇所があった。そこを何度もひっかくと、もう耐え切れないようで、名前を呼ぶ声が上擦って。
「や、あ、ドイツ、ドイツ…っ!や、来る…っ!」
びくびく、と体が震えた。…どうやら、達してしまったらしい。はあ、と荒い息を吐くイタリアにあわせて、ゆっくりと指を引き抜く。
「イタリア…いい、か?」
尋ね、顔にかかった髪をどけると、琥珀が、涙ににじんだ美しい琥珀が、姿を見せた。
視線を合わせたままこくん、とうなずかれ、こっそりほっとしながら、用意してあった小さな袋を破る。

「…なくても、いいよ?」
「そんなわけにはいかないだろう。」
言い返して、自身につけ、むう、と膨れたイタリアの額にキスを落とした。
途端に不安そうな顔をするから、しがみついてろ、と背中に手を回させた。
ゆっくりと押し付け、できるだけ負担をかけないよう中に入れる。
「あ、あ、入って、くる、は、すご…っ!」
耳元でそんなことを言われて、そしてそこの温かさを感じてしまったら、それだけでもうマズイ感じだった。
「…っ、だい、じょうぶか?」
何とか尋ねると、ちょっと苦しいけど、平気、と返事。
「だから、動いて…」
そう言われ、ゆっくりと腰を引く。たしか、さっきイタリアが弱かったのは、
「あぁんっ!」
ここ、か。確認してから、そこを攻めたてると、腰がわななきだした。
「や、ひゃん、ど、ドイツ、そこだめ…っや、だぁ、あっ!」
あ、もう、もうだめ、と泣きながら強くしがみついてくるイタリアの唇を奪う。
ぐちゅ、と舌を絡めて深くキスをして、そのまま、強くストロークを繰り返せば。
くぐもった悲鳴と、ともに締め付けられた中に、堪えきれずに吐き出した。


「えへへ。」
何がおかしい、と腕の中のイタリアに尋ねたら、ドイツとお風呂ーとうれしそうな声がした。
「アレだけダメって言ってたのに。」
「あー…。」
だって仕方が無い。腰が痛くて動けない、と訴えるイタリアを風呂に入れる手段なんて、一緒に入る、くらいしか残っていなかったのだから。
ため息をついて、軽く視線をそらす。
こんな明るいところで直視なんか、できそうにない。
「…ドイツ、」
呼ばれて、視線を戻すと、ちゅ、と鼻にキスされた。
「…俺、うれしい。」
ありがとう、なんて満面の笑顔でいうから、それはこっちのセリフだ、と苦笑して、唇にキスを落とした。

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ぱちり、とイタリアは夜中に目を覚ました。というか、目を閉じても眠気が来ないのでもぞもぞしていたのだが、諦めたのだ。
…寝れない。それに、なんか、体が熱い。もぞ、と動くが、体がくすぶるような感覚は消えなくて、どうしよう、と困ってしまった。だって、さっきしたところなのに。一緒にお風呂入って、おやすみって言ったところなのに。なんで、こんな、体が熱いの?

元の体なら、自分でする方法は良く知ってるから、トイレにでも行って吐き出してしまえばいい。
けれど、女の子の体で、仕方も知らないし、怖いし。
どうしよう、と足をすりあわせていると、どうした、イタリア。と上から声。
見上げると、一緒に寝ていたドイツが目を覚ましていた。
「あ、ごめん、起こした?」
「いや…どうした?」
頭を撫でられ、優しい、でも寝起きのかすれた声で尋ねられて、余計に、じわり、と熱が上がっていく。このまま寝るなんてできないくらいに、もうなっていて。
「あ、あの、ね、」
恥ずかしいけど、でも自分だけではどうにもできなくて、ドイツを見上げた。
告げられた内容に、本気で驚いたドイツだったが、なんで、だろ、わかんないの、とおろおろしているイタリアと違って、心当たりがあった。
快楽に弱く、少々敏感すぎるイタリアは、よく後始末の最中にも感じてしまって、終わった後でもう一回イかせてやることが多いのだ。(時々、2ラウンドにもつれこむときもあるが。)
今日は、もちろんそれがなかった。だから、体がいつもの習慣で熱くなってしまったのだろう。

けれど、お、おれ…と瞳に涙をにじませたイタリアに、少しいじわるな気分になってしまうのは致し方ないことだと思う。
「どうしてほしいんだ?」
「ふぇ?」
目を丸くしたイタリアの頭を撫で、そこから、するする、と頬を撫で、首筋、そしてもっと下へ下へと指を這わす。
「あ、や…」
「イタリア?」
ゆっくりと促すように呼ぶと、びくり、と体が震えた。くす、と微笑みながら、胸から腰にかけて爪の先でなぞる。ゆっくりと、焦らす。すぐに耐えられなくなるのなんか、わかりきっていた。
「や、あ…っもう…っ触って…っ」
「どこに?」
耳元で囁くとかああっと耳まで赤くなった。それでも言葉が欲しくて、敏感なところを避けるように指を這わせ、涙目で睨まれる。
「も…やだ…っ意地悪…っ」
「意地悪で結構。」
くすり、と笑うと、ぎゅう、と抱きつかれた。

「む、胸、触って」
耳に直接囁かれる小さな声に、くす、と微笑んで、イタリアを押し倒し、シャツを脱がせて、柔らかい乳房を口に含む。
舐めあげるよりも、甘く噛んだり爪を立てたりする方が感じるらしい。気持ちよさそうに体をよじらせるイタリアを押さえつけて、歯を立てる。
「や、やだっか、噛まないで!あんっ」
「嫌、か?」
口を離して、緩く手のひらで撫でる。
あ、やだ、そんな、ドイツ、と上擦った声に呼ばれて、嫌なんだろう?とにや、と笑う。
「うー…」
「おまえが嫌がることはしたくないんだ。あたりまえだろ?」
意地悪、とすねた声がした。かわいいな、と額にキス。言ってくれたら、何でもしてやる。そう囁いて、たまった涙を拭う。イタリアは、きゅ、と目を閉じて。
「胸、噛んで、気持ちよくして、」
恥ずかしそうな言葉に満足して、頭を下げ、片方を噛んで引っ張り、もう一方を爪でひっかく。

甲高い声。気持ちよくてたまらないらしい。ぎゅ、と頭を抱え込むようにまわされる手。
いつもより柔らかいそれを、堪能するように舐め、きつく吸って痕を残す。そのたびに跳ねる敏感な体。首、背中、腰や尻、膝の裏を手のひらで撫でていくと、それもたまらないらしい。背中が柔らかくしなった。

ちら、と下の方を見て、笑う。太ももをすりあわせているのに、とっくに気づいてはいたが、わざと触りはしない。ぎりぎりまで手を寄せ、遠ざける。そろそろ、耐え切れなくなって、きたのだろう。イタリアが泣きそうな目でこっちを見る。
「あ、あん…やっだっねぇ…ドイツ…ドイツ…っ!」
「どうした?」
しがみついてくるイタリアの背中を撫でる。わざと、下の方まで指を這わせながら。

びくり、と腰を震わせるのに気づいていながら、直接触れはせず、また上へ。あ、と残念そうな声。それから、その手をしっかりとつかまれた。
「やだ、ドイツ、触って」
捕まれた手を、イタリアの足の付け根に伸ばされる。
くちゅ、と指先に湿った感触。

ぎゅ、と目を閉じたイタリアにキスを落とし、下着の上から撫でる。それでもわかる濡れた感触味わっていると、ち、直接触って、とかわいらしいおねだり。下着をを脱がせて、割れ目に指を這わせると、くね、と腰が揺れた。気持ちいい、と素直な言葉。…相変わらず快楽に弱い。
「満足か?」
そう尋ねると、ふる、と首を横に振られた。もっと。気持ちよくして。イかせて。顔をシーツに押し付けて、小さく小さく呟く。耳が真っ赤だ。いじめすぎたか、と苦笑して、体を起こし、そこに顔を近づける。
花芯を噛んで、中に指を入れる。気遣う必要もなさそうなほど濡れたそこをかき回す。
「ひああっや、あ、ドイツ…っ!もっと、ぐちゃぐちゃにして…っ」
頭に添えられるイタリアの手が、痛いくらいに髪を引く。その感覚が、ぞく、と背筋を走り抜けた。だめだ。このままではこっちがオチそうだ。そう判断して、いいところを、増やした指で刺激する。
それから、花芯を強く弱く噛んでやると、すぐに、押さえていた足が震えだして、イタリアが一際高い声で鳴いた。

びくびくと震える体から、ゆっくりと指を引き抜いて、置きっぱなしだったタオルで手を拭い、荒い息を吐くイタリアを抱きしめ、あやす。
「…は、ドイツ…。」
「満足か?」
さっきと同じ質問をして、答えを待たずに、濡れた太ももを拭う。

「…え、あれ?」
「何だ?」
きょとんと目を開けたイタリアに尋ねると、ど、ドイツは?と聞かれた。
「…俺は、いい。」
「え!?何で!?」
…今日が初めての女性にそこまで強いるほど鬼じゃないつもりなんだが。
いいから、もう寝れるだろ、と起き上がってきたイタリアを寝かせる。
と、ぐい、と腕を強く引かれた。
寝ろ、とベッドに寝かされて、やだ、とドイツの腕を引いた。
お、おい?と困惑した表情を浮かべるドイツの首に両手を回して、口付けを交わす。
欲しいままに舌を動かして、少しだけ離し、これで終わりなんて、や、とすぐ前の蒼い瞳を見つめる。
「ドイツ、」
呼ぶと、ドイツは目を閉じて、はああああ、と深いため息をついて。
「…後で文句言うなよ。」
「はあい。」
一端手を離して、ドイツが服を脱ぐのを待つ。…どうしてこう、ドイツのむきむきが現れるのを見るのは、どきどきしちゃうんだろう。は、と息を吐いていたら、ドイツがまた、サイドテーブルに手を伸ばしていて。
「だから、しなくていいってば。」
その手を引っ張ると、イタリア、あのな、と怒られた。
「妊娠とか、そういうことになったらどうするんだ。」
「…俺、ドイツとの赤ちゃんだったら、いいよ?」

…頭突きされた。ものすごく痛い。
痛いー!と額を押さえているうちに、ドイツはまたそれをつけてしまって、涙目でにらみ上げると、ぐい、と抱き起こされた。
「…そういうことは。」
こっちの覚悟ができてから言ってくれ。そう、耳元で、吐息とともに言われて。
ドイツ、と呼ぶ前に腰が抱え上げられた。
ぐちゅ、とあてがわれるそれに、ドイツの体にしがみつく。
ずるずる、とゆっくり入ってくるそれは、さっきよりも、深くまで貫いて、それでも、痛みなんて全然感じなくて、熱い感触に上を見上げたら、さらした喉を舐められた。
ぞくぞくしてしまって、きゅ、としめつける。
「っ、イタリア、」
「だ、だって、ドイツが、」
泣きそうな声を上げて見上げると、今度は背中をつ、となでられた。
その拍子に腰を動かしてしまって、奥をかき回されるような感覚に、悲鳴みたいな声が出る。
「…奥、いいのか。」
「ひあっ、やっ、どい、そんな、やめ…!」
ぐ、と一番奥を何度も突かれて、いやいや、と首を横に振る。気持ちよすぎて、だめだった。頭がおかしくなりそう。
「や、ああ、んっ!あ、き、もちい…、ドイツ…っ!」
「イタリア、」
呼ばれた。しがみついていた肩から顔を上げる。キスされて、ぐちゅ、と口の中を舐められるのと、強く奥のほうを突き上げられるのを、両方同時にされて、ああもう、だめ、何も考えられない!
やっと開放された口で足りない酸素を必死に取り込んで、どいつ、と名前を呼ぶ。
それ以外できることなんか、快楽を追って腰を振ることしかできなくて、もっと、ドイツ、と呼んで、淫乱、と笑ったドイツに胸とか腰とか触られて、乱れて、それから。
だく、と膜ごしに、ドイツが出したのを感じたのは、記憶が吹っ飛ぶ直前だった。
「…ヴェ、」
目を開けると、すでに朝だった。
まぶしい光に眉を寄せながら部屋を見回すと、そこには誰もいなくて。
「…ドイツ?」
呼ぶと、がちゃん、とドアが開いた。
「!イタリア、大丈夫か?」
駆け寄られて、頭を撫でられる。

ドイツは、心配そうに、大丈夫か、何かいるものは?と聞いてきた。
「えと、お水…」
そう言うと、わかった。と、サイドテーブルから水差しとコップをとって、水を入れてくれた。
手で触ると、冷たい感触。よく冷えた水が、おいしい。
用意しておいてくれたみたい。ドイツ、気が利くなあ。思いながら、こくこくと飲む。

「あとは?」
「…ドイツ、優しいね」
髪をかきあげる手にすりよると、まあ、少し無茶をさせたからな。と苦笑。
「じゃあ、ね」
「ん?」
そばにいて。そう言うと、ドイツは苦笑して、わかった、とすぐそばに座ってくれた。

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