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「っ、やだ、」
泣きそうな声が聞こえる。いつもなら緩める力を、ぐ、と強めて、小さく笑った。
「ロマーノ。」
やめへんって。言ったやろ?

囁くと、首を横に振るしぐさが幼くて、庇護欲と加虐心を煽る。く、と喉の奥で笑って、ぐ、と自身を彼の、無理矢理開かせた秘部の奥まで押し付けた。
乱暴な仕草。そういう気分だから。そうやって彼を扱うことに、……痛む心がない、と言ったら嘘になってしまうけれど、でも。
本当は抱きしめてキスをして、甘やかして。とろとろにしてからする行為だとそう、思っているから。
けれどもう止められない。感情をセーブできない。
だって、ロマーノが悪い。
ぐ、と奥まで貫いて、彼の体を引き起こした。後ろから攻められるのは、彼が嫌っていることは知っているけれど。

「っ…っく…!」
抑えた声に、ぞくりと性欲、よりもっとどす黒いものが満たす。
もっともっと。嫌がって。それでも。
何があったって離したり、してやらない。

暗く嗤ったそのときに、手が伸びて来た。目の前、に。健康的な肌。…手首に、自分の手痕がくっきりとついた、痛々しい手が。
「!」
思わずぴたり、と動きを止めると、その手が頭に回される。
不自然な体勢。それでも彼は、何がおかしいのか、笑って。
まるでいつもみたいに。
ぐしゃぐしゃとかき回される髪。弱い力しか込められていない、…込められない、のか。
「馬鹿野郎。」
仕方ないやつ。そう言う。
表情は見えない。彼は振り返らない。
けれどその声色は、とても。
とても優しくて。


「俺が好きなのは、おまえだけだ。…こんなこと、俺に言わせんな、このやろ。」
何に妬いてんのか知らねえけど。ちゃんと覚えとけちくしょー。


ぺし。と後頭部をはたかれて。その言葉に、何も言えなくなって。
だって、ロマーノが。とか。あのときあんなに仲良さそうに歩いてたのは誰とか。聞きたかったことが、ぐるぐる頭の中でくすぶっていた黒い炎が消えていく。
代わりに残るのは。


「っあーーー!」
「うわ!」
ぼすん、とロマーノごとベッドに倒れ込む。一回抜いて、その愛しい愛しい体を、ちゃんと前から抱きしめる。痛くはないように、でも離さないように、ぎゅううう、と。
「…ごめん。」
小さく謝ったら、本当にな!とさっきより少しは力のこもった手ではたかれた。その手を取って、残ってしまいそうな痕にキスを落とす。
ああもう、本当にそうだ。何を忘れていたんだろう。
この子の愛はいつだって俺に向けられているのに。それを俺は、よく知っているはずなのに。
おそるおそる腕を緩めると、ロマーノの強気な視線がまっすぐ、こっちを見ていた。
迷いのない目。…それが愛情の籠ったものでないわけがないのに!

「…仕切り直しや。」
今までのはリセット。なかったことにはできないけれど、挽回しなければ気がすまないから。
彼の愛情を疑ってしまった分、きっちりと愛さなければ。
頬に手をあてて、口づける。深く浅く、ちゃんと。
そういえば今日初めてのキスだと気づいて、より気持ちを込めた。

はあ、と苦しそうなロマーノの息を頬で感じながら、じ、とその目を見つめる。
「ロマーノ、愛してもええ?」
たっっぷり、とろとろになるくらい。そう言えば、ほっぺたが赤くなってうろ、と視線が迷うのがかわいくて、好きにしろばか、と消え入りそうな声にもう一度、キスをした。


「あ、あ、ん…っ!」
甲高く上がる声にぞくぞくしながら、舌を動かす。
ロマーノが弱いところなんて知り尽くしているけれど、そこばかりだとキツすぎるのも知っているから、他のところにも散しながら。
足ががくがくと震えている。もう何度イかせたかわからないけれど、もっと。もっと。
彼が感じてくれればいい。むしろそれだけでもいいかもしれない。入れると、どうしてもロマーノに苦しい思いさせるから。
ただ気持ちよくなってくれたらいい。彼のことだけを考えて、ぐちゅぐちゅと指や舌を這わせる。

「…、っ、ぺ、いん…っ!」
呼ばれた。すぐに気づいて、何?と顔を上げる。額にキス。息が上がった、上気した頬はそれだけでもうエロいなんてもんじゃないけど!
「…、も、入れ、ろって…!」
真っ赤になりながら言われて、その言葉だけで本当にうれしいけど、でも、って言おうとしたらぐい、と首を引っ張られた。倒れこんで、キス、というには乱暴に噛み付かれる。
「おまえに発言権は、ない!」
俺が言ったんだからさっさとしろ!って。
泣きそうな、でもイきまくってとろとろになった瞳でそう言われる。気づいたら、たぶんロマーノは気づいてないけど、無意識だけど、腰、揺れてる。
欲しいって、全身で訴えるように。
ごくん、と生唾飲み込んで、そっとロマーノの足を開く。

「あ…。」
期待からか何からか。甘い声を漏らす彼にそっと、キスをして。
ゆっくり、ぐぐ、と埋め込んでいく。
「ーーっ!」
言葉にならない声は、口の中で受け取って。
やばい。マズい。冗談じゃないくらいに気持ちいい。ぎっちり締め付けられて、すぐにでも達してしまいそうな中を、なんとか耐えてぐるりとかき混ぜる。
「っあ!」
奥まで押し込むんじゃなくて、ロマーノが気持ちいいとこにちゃんとあたるように。
「ロマーノ、」
「あ、あん、…っと、奥…っ!」
もっと。奥まで。吐息まじりに言われ、ゆっくり奥まで埋めていく。

なんとか達さずに全部埋め込んで、ロマーノ大丈夫?と顔をのぞきこむと、ぎゅう、と首にすがりつかれた。
強く求める、ように。支えを必要とするように。
そう、こうやって抱きついてないと不安だから、ロマーノは後ろから、が嫌いなんだ。
わかっていたはずなのに。
愛しい体を抱き寄せて、しっかり抱きしめる。

「愛してる。」
囁けば、小さく、俺も、という声。ああ、なんていう幸せ!
そして幸せ、だけれど同時に問題も発生するわけで。
「…やば。」
「…な、にが。」
「…ちょっと、がっついてまいそうやな、と。」
もうそろそろ我慢の限界やねんけど、動いていい?ロマーノ。
お伺いを立てると、返事の代わりにべし、と頭をたたかれた。

「…んなこといちいち聞くな、馬鹿。」


そのセリフとエロい表情と、ぎゅ、と締め付けられた中に。
理性も何もかもふっとんで、ロマーノをほしがって、翌日まったく足腰の立たない彼の奴隷と化すのは…まあ、いつも通りのこと、だ。


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リクエストで「嫉妬とか誤解で西が怒って鬼畜っぽいけど最後は誤解とけて仲直り」でした

鬼畜っぽいところが短いんですが、私にはこんなのが限界でした…!すみません!


こんなですが、少しでも気に入っていただけたらうれしいです
ありがとうございました!






































































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ぎちり、とベッドが鳴って、彼が困ったように笑う。
押し倒した、彼を、睨みつける。

金色の髪、青い瞳。
「俺で、いいの?」
大人の口調に、ぎり、と奥歯を噛みしめた。

「ほんとうは、さ。」
「言うな!」
怒鳴ってうつむく。本当は、なんて、俺が一番よくわかってる!
本当は、スペインがいい。…っでも!
「もう限界なんだよ…っ!」
ごつ、と胸に頭をぶつけると、くしゃくしゃと、子供みたいに、撫でられて、スペインを思い出して泣きそうになった。


スペインに子供扱い、されるのは、他人扱いされるよりは、うれしいけど。でも。それ以上先には全然、進めなくて。
何度、好きだと言っても、スルーされて、曲解されて、流れて流されて。…恋人、にはなれないんだって、思い知らされて。
1cm。あとほんの少しの、その距離が、遠すぎて。

もう限界だった。無理、だった。だから、諦めようって、決めて。
…こうやって、俺を抱け!とフランスのとこに押し掛けてきたわけで。

「ロマーノ、酔ってるでしょ。」
酔ってるよ、酔ってないとこんなことできるわけないからな!あたりまえだろーがこのやろー!
「ちょっと落ち着いて…後悔するよ?」
たしなめるような声に、でも!と怒鳴る。

「でも、もう嫌なんだ、もう我慢なんかできないんだ!も、もう…!」
あいつの隣で平然としてるなんて、できないんだ。だから。
こいつに抱かれて何が変わる、のか、なんてわかんないけど、でも。

「…いいんだな?」
低い声。言われて、瞬いた瞬間に、ぎし、とベッドの上に押し倒されて。

「ロマーノ、」
呼ぶ声が、スペインでないのが、残念で残念で仕方がなかった。

電話に呼ばれて、はいはいー、と出る。
ロマーノかな、と思った。今日あたりくるかなって、思ってたのに朝から姿を見ないから。

『…スペイン』
「ん?フランスか?」
なあんだ。落胆を声に出せば、ロマーノだと、思った?と聞かれて、なんでわかったん?と首を傾げた。
その答えはなく、小さなため息が聞こえる。
「何?」
『なあ、スペイン。おまえ、ロマーノのことどう思ってるんだ?』
どう?…と言われても…
「何なん?いきなり」
尋ねると、しばらくの沈黙。
…なんかいつになく、重い雰囲気に、ふざけたことも言えなくて。

『…ロマーノ、今うちにいるよ』
「へ?そーなん?」
あ、迎えに来いって?ええで〜、と返すと、何で、とかないのな…と呆れた声。
「?仕事とかちゃうん?」
『そう来たか…』
んー。考え込むような声。何なんだろう、さっきから。首を傾げる。

『じゃあ、スペイン。』
「ん?」
『ロマーノ、もらっていいか?って…言ったら、どうする?』
「…何を、」
『口は悪いけど、美人で料理上手、で、さ。』
恋愛対象には十二分だと思うんだよね。
息が、止まった。ざわり、胸の中が荒れだす。何?こいつは、何を言ってる?ロマーノ。考えただけで、気持ちが焦り出す。

『今、うちにいるって言ったろ?』
このまま。…体の関係から始めてみても、落とせる自信、あるんだけどな、お兄さん。
「ふざけるな!」

怒鳴っていた。勝手に、口が動く。感情がその後をついていって、理性はどこかへ置き去りのまま。
「恋愛対象?あたりまえやろ、あんなかわええ子ほかにおらへん。けどフランス、ロマーノに手出すな、絶対許さへんからな!」
『何で?』
「あの子は俺のや!」

怒鳴ってから、気づいた。
家族だと思っていた、つもりだった。
でも、そうじゃない。本心は違ったのだ。いつから、なんてもうわからないけれど。少なくとも、今は。
ロマーノを愛している、んだ。
抱きしめたい、キスしたい、離したくない。
それだけじゃあどこかもの足りなかったのは、それ以上、もできる関係になりたかったから、なんだ。
ロマーノのただ一人になりたかったから、なんだ。

気づいたら、いてもたってもいられなくなった。ロマーノに会いたい、というかフランスと2人きりで置いとくとかありえへん!
おまえほんまに何にもするなよ!と電話の向こうに怒鳴って、走り出す。

早く、早く、彼の元へ。


ドアが開いた瞬間に放った拳は、軽くかわされてしまった。
「っと、危ない危ない。」
「ロマーノは、どこや。」
低く尋ねると、肩をすくめて寝室。と一言。
寝室。まさか、と頭に血が上りかけるが、その前に何にもしてないよ。と言われた。それで少し、頭が冷える。

「…泣きながら、ほかのやつの名前をいとおしそうに呼んで寝ちゃう子は、さすがに襲えないよ。」
お兄さんは愛、のもとに行動してるからね。相手が望まないのに襲っちゃうような見境なしじゃないんだ。
ふざけた口調で言って、それからひとつ、ため息。

「ほかのやつ、」
誰だ、ろう。愛しそうに?…想像もつかない。
けど、それでも。
「…離してやるのは、無理や。」
そう、無理だ。自覚してしまったのだから。ロマーノが好きだと。
たとえロマーノが誰を思っていても、離すことなんか、

「…なあ。なあんか勘違いしてないか?」
「何が?」
「ほかのやつ、が誰か、わかってる?」
ぶんぶん。首を横に振ると、だろうと思った、とあきれたため息。
「はっきり言わないとわかんないんだよなあ…ったく…」
頭をかいて、それから、息を吐いて。

「あのな、ロマーノが呼んでたのは。そばにいて欲しい、本当に好きなただ一人は。」
つい。と長い人差し指が、こっちを向く。

「おまえだぞ?スペイン。」





ふわり。と、太陽の匂いがした。
ああ、大好きなにおいだ、彼の、におい。晴れの日に干したシーツとか、完熟のトマトとか、ちゃんと育つように願いを込めて耕した土とか、そういう、いいもののいっぱいつまった、におい。安心するそれに、頬をすり寄せて。
香水の甘い匂いなんかよりずっといい。甘い匂い?なんだっけ。あれ。俺スペインんち泊まったっけ?確か…
徐々に思い出していく記憶に、がばっと飛び起きた。あたりを見回す。間違いない、ここは、スペインの家だ!

「何で…っ!」
よりによって一番会いたくないやつの、ていうか何で。だって俺は、フランスの家、で。
そこまで考えてはっとした。まさかフランスの奴、スペインに連絡したのか!?…のお節介…!
体は痛くない、し。ベッドでフランスに押し倒されたとこまでしか覚えてない、けど、たぶん、何もされて、ない。だって、何も変わっていないから。体は痛くないし、心も。
ただ一途に、スペインを思う、まま。

「…スペイン…」
呼んで、ふと、廊下の向こうから足音が聞こえることに気がついた。
たぶん、スペインだ!逃げ…っていったってそんな時間はない。足音はすぐそこだ。なら。どうする。考えて。考えて考えて考えて。
「…っええい…!」

子供のときからまったく対処法が変わってないのにああ俺成長してないなあと泣きそうになる。
とにかく布団に潜り込んで、目を閉じる。たぬき寝入り、だ。

かちゃ、と控えめな、ドアの開く音。
「ロマーノ…?…まだ寝てるか…」
寝てるよ、だからさっさと出てけ!
そう思うのに、きし、と床を軋ませて入ってくる、彼。びく、と反応してしまいそうな体を必死に押さえつける。

そっと、撫でられる髪。その優しさに、泣きそうになった。
手が、髪から、頬を撫でる。何かを確かめるように、何度も、何度も。
…いつもと違う様子に、どうしたんだろ、とちょっと思って、でも口を開けるわけにはいかなくて。
それから…唇に、感触。指?…じゃ、ない。湿った、これは、え…?

「愛してる。」
もう、離されへんから。…覚悟してな。
低い声に硬直。
それから、また、ああ、また、だ。
…まるで恋人にするような。優しい。
思わず目を開けると、小さな笑みが見えた。

「ロマーノ。」
見たことのないとろけるような甘い笑顔に、息を飲むと、ちゅ、…って、ちゅ。って!
「な、な、な…!」
「ロマーノ、好き。」
その太陽の下だと琥珀みたいにきらきらした髪も、その綺麗な目も、おいしそうな肌の色も、細長い指も、たまに土が挟まってる爪も、華奢な肩も、大食らいやのに軽い体も、エロい腰も、全部全部、大好き、やから。
「なあ、俺のそばにおって?俺と、付き合って?お願い、ロマーノ。愛してる。」
マシンガンみたいにそんな、甘い言葉を連射されて、ぱくぱく口を開閉するしかなくて。

「…っ、な、何言って、」
「ロマーノ。」
抱きしめられる。強いちから。びくりと震えると、なだめるように背中を撫でられる。…変わらない、いつもと変わらない、仕草。
なのに、はむはむ、と耳に甘噛みしてくるスペインがいて、なんかもう、夢かこれって感じがして、困り果てて見上げる。
だって、現実であるはずがない。
あのスペインが、俺に好き、なんて!

「あかん?ロマーノ」
でもな、もう離したくないねん。誰かにロマーノとられるなんて耐えられへん。だから。
「観念して、俺の側におって?」
な。と言われても。
夢だと、思ってしまいたいのに、ぎゅう。と抱きしめられた体は痛みを感じていて。
夢じゃない。その感覚が、教えてくれる。
泣きそうになる。その、事実に。
「なあ、あかん?」
「っうるせー!おまえ、俺がどんな思いで今まで…っ!」
怒鳴ると、頬を包み込む手。ごめん。真摯な声に、涙がこぼれ出す。

「ごめんな、ロマーノ。…俺がアホやった。でも、嘘やないから。ロマーノが好き。これは、ほんまやから。」
「…っ遅いんだよこのやろー!」
ぎっちりとその体を絞めるつもりで抱きついたら、それと同じくらい強く、抱きしめられた。

「俺の恋人に、なって?」
恋人。恋人、だって。胸がいっぱいになって、苦しくなる。それでもなんとか、うなずいて見せて。
優しく、うれしそうに笑ったスペインが、そっとキスを落としてくれたから、何も言わずに目を閉じた。


まあその目は、不穏な動きを見せる手に、すぐ開けることになるんだけれど。


「…何、してるんだ?」
「服脱がしてる。」

にっこり。笑った顔が、笑顔なのに、なぜか背中をぞっと冷やすものがあって。
「な、何で?」
聞きながら、体を捩ろうとするのに、強い力で抱き込まれた体は動かなくて。
「やって、ほら。二度とフランスに抱けこのやろーなんて言いに行かれへんようにしとかな」
「ぎゃー!何で知って…!」
「フランスに聞いた。」

言うなよあの野郎!心の中で怒鳴っていると、ほら、こっちに集中して?とキスされた。
今度は、舌がもぐりこんできて、びくん、と震えたらすぐに絡められた。水音がするのがリアルで、頭がくらくらする。体から力が抜けていく。
と思っていたら、腕が腰を引き上げた。ぎょっとしても、濃厚な口づけを止めてくれなくてそっちに骨抜きになっている間にズボンを下着ごとずらされてぽいっとされてしまった。

「ちょ…っ!」
さすがに首を振って口づけから逃れ、声を上げるのに、またキス、されて。
とろとろのぐにゃぐにゃになってから、やっと解放されて、息を吸い込む。

「…ぺいん、」
睨みつけると、見たことない、…男。の人の顔した彼がいて、言いかけた悪態が、吐息に変わる。
「大丈夫、天国に連れてったるから。」
低く、掠れた声で耳元で囁かれたらもう、逃れられるはずもなかった。



ずん、と自身で奥まで突き上げられると、勝手に声があふれた。熱い、苦しい。…気持ちいい。
「ロマーノ、目、開けて。」
俺見て。囁く声。なんとか開けば、爛々と輝く瞳がまっすぐこっちを見ているのが、潤んだ、揺れる視界でもわかった。
目が合う、瞬間に突き上げられ、ぎゅ、と固く閉じてしまう。
ロマーノ、なんてとがめるように呼ばれたって!

「お、まえ、のせい、んあ、あ、あっ!」
いいところを掠める動きに、声がひっくり返った。こんな声、知らない。甘ったるい声。気づかれたのか、そこを狙う動きに、思わず彼にしがみついた。
「や、あ、んあ、あ、だ、め、スペイン…っ!」
「…、ロマーノ、」
すき。掠れた声が告げる言葉が、信じられないほどの快楽を連れてくる。

「あいしてるで、ずっと」
鼓膜を揺らす、愛の言葉に、いやいやと首を横に振った。
「いや?」
「い、…き、そ…っ!あ、あ!」
「ええよ、何回でも」
やだ、嫌だ。だって、また、俺だけなんて、そんなの。

上がりそうな声を歯を食いしばって耐える。スペイン。なんとか呼んで。
何?と寄ってきたスペインの首を引き寄せて、耳元で囁く。

「すき、だ…」
「…っ!」
途端に、中で弾ける感覚。それを感じた瞬間に、中を思い切り締め上げてイってしまった。
「…っ、は、はあ…」
「…反則やで、それは…」
困ったような情けないような声。それがあまりにスペインっぽくて、小さく、笑った。
「へえ。まだ笑う余裕なんかあるん?」
「へ、ってちょ、ま、まだすんのか!?」
「まだまだ。」
「っ、は、あん」

スペインのそれむくむくと大きくなるのを中で直に感じ取ってしまって、鼻にかかった声が出た。口を押さえた時にはもう、遅い。
にや、と笑ったスペインが、片足を担ぎ上げて。

「付き合ってもらうで?」
「っ、やだ、あ、あっ、あ!」





目を開けると、くかーっと気持ちよさそうに眠るスペインの姿が見えた。
…なんともまあ腹の立つすっきりした顔。そりゃあそうだろうなあ何回したら気が済むんだこの野郎。もうどんだけやってたのか覚えていない。何回イったかなんて覚えていられるわけもない。
ただ、夕方、だった外の光が真っ暗、になっても離してもらえなかったのだけは、事実だ。
息をつくと、ずきずきと腰が痛む。
眉をしかめて痛みをやり過ごしていると、やっぱりうへへとか笑いながら寝てるスペインにイラっとして。

その鼻を塞いでやろうと手を伸ばして、
1cm。手前で、ためらった。…触れたら、消えたり、とか。都合のよすぎる夢でした、とか。そんな可能性が頭をよぎって…

「んん…」
いきなり、スペインが腕を伸ばしてきた。瞬くと、その間に触れる手。引き寄せられる、体。
「…っ!」
一瞬で硬直する体。…けれど、スペインがかき消えるとか目が覚める感覚とかは一向に訪れなくて。
「んん、ロマーノ…」
代わりに、幸せそうに名前を呼ばれた。

「………。」
そっと、触れてみる。鼻をつまむ。
「……ふが。」
苦しくなったのか、ぱかんと口を開けて、それでも目を覚まさないスペインに。
「…く、くく…」
なんだかおかしくて、胸の中が温かくて、起こさないように小さく、笑った。

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きあ様からのリクエストで「気持ちに気付いてくれない西にロマが仏に浮気しちゃう話」でした

浮気、というよりお人好しなお兄さんですが、私にはこれが限度でした…!
らぶらぶいちゃいちゃしてればいいと思います。西ロマは。


こんなですが少しでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!