甘い、甘い。こいつは甘い。パウダーシュガー、というよりは、シロップの甘さ。 とろとろに溶かした、甘い甘い、少し煮詰めすぎて、粘っこい、それの甘さ。 「ロマーノ、」 甘えた声で呼ばれて、後ろから抱きしめられた。温かい腕。…でも重い。後熱い。 「…どけ、重い…」 なんとか出した声がこの上なくかすれていて、顔を赤くした。声の出し過ぎ、だ。ついさっきまでこいつを受け入れていた器官が、収縮する。 「んんー」 もぞもぞ。ちょっと動いてから、俺の隣に倒れ込む体。頭に伸びてくる手。すりすりと撫でられ、目を閉じる。こいつの手は、好きだ。 「…やばいなあ。」 「何が。」 眉を寄せて尋ねる。声がまったく出ないけれど、問題ない。明日は休みだ。こいつも。……まさか書類終わってないとか言わないだろうな!? 「おまえ、明日は何が何でも休みにしろって言ったのに…!」 「?休みやけど。」 書類もばっちり終わってるでー。…らしい。じゃあなんで… 「何がやばいんだよ。」 ちら、と見る。その瞳。優しい色。見慣れた、それでも何度でも見たい、大好きな色。頭を撫でる手に、抱き寄せられる。 体温が暖かくていい。擦りよって目を閉じて。 「もっと、シたい。あかん?」 優しい声が告げるその内容を理解することなく、うなずいてしまうところだった。危うく! 「…っ、は!?」 もっとって何だ何をだ、え?セックス。はっきり言うなちくしょー! ご、といつもよりキレのない頭突きをかまして、にらんだ。いたー、とか言いながら、後頭部に回した手は離さない馬鹿。 さっきまで、ほんとに無理もう無理ってくらいヤりまくった馬鹿! 「あかんのー?」 「当たり前だ!」 本当に無理だ。いくら明日が休みで何しても問題ない、とはいえ、もう。体力が保たない。死ぬ。 「…何でおまえはそんな元気なんだよ…。」 こっちはもうくたくたなのに。役割の違い?かもしれないけれど。…根本的な体力の差もかなりあるのもわかっているけれど。 「んー…疲れたのは疲れたけど。」 でもなーロマーノ見てたらいくらでもしたくなるねんー。間延びした声で恐ろしいことを言う。眉を寄せると、そんな顔せんといて、と眉間に、キス。 それから、ふにゃふにゃだった表情がふ、と引き締められて。 「大好きやで、ロマーノ。世界で一番。ほんまに、何回でもしたい。ずっとずっと一緒におりたい。」 一番近くにいたいと囁く声は、低くて、熱っぽくて、体の芯がずくん、とうずく。っだから、無理、だって! そう思うのに、頬を撫でる手は優しくて…熱くて。 「ロマーノ。」 いとおしむように、頬擦りされたら、…俺だって、おんなじ気持ちなんだよちくしょー! ああ、もう、もう! 「〜〜〜っ!明日!ちゃんと世話しろよ!」 「!まかしとき!」 精一杯の了承の言葉を告げると、満面の笑みを浮かべた彼に、濃厚なキスをされた。 「あ、あ…っ!やああっ!」 がくがくと足が震える。べろり。湿った感覚が股間を上から下まで全部通って。 「も、無理、あ、む、り…っ!」 吐き出すものなんてもう何もない。すっからかんだ。なのに、スペインはべろべろと動かす舌を止めない。それをされたら、仕方なく、快楽だけがどんどん溜まっていく。 「や、あ、あ…っ!」 がくん、ああ、また、だ。頭が真っ白に染まる。何も出せないのに、またイった。それは普段より、もっとずっと気持ちよくて…怖い。初めてこうなったときは本当に、死ぬって思った。 …今は、そんなに、…慣れたから、ああでも、まだ、ちょっと怖い、けど。最初のあのわけわかんなかったときよりは。 でも、それを何度も何度も経験させられるのは、勘弁してほしい。 「ひ、あ、ああ、や、めろ、も、ダメ、あ、すぺ、すぺいん…!」 力の入らない腕を伸ばして、彼の頭を掴んで止めようとする。もう、添えるくらいしか力入らないけど、やだあ、と泣き声で訴えたら、ようやくスペインは顔を上げて。 「…は、あ…。」 やっと息を整える時間を与えられて、酸素をむさぼる。あー、俺、呼吸困難にでもなるんじゃないか?これ… 「ロマーノすごい顔。」 くく、と喉の奥で笑う彼。当たり前だ、涙とか鼻水とかでもうぐっちゃぐちゃだ。シーツで拭われながら、誰のせいだこのやろ、となんとか返す。 「俺のせいやんな。…あ、今の顔すっごいエロかった。」 もっかい見せてーってふざけんな!顔をのぞきこんでくんな逸らしてるんだから! 「も、馬鹿、アホ、…っさっさとしろよもー!」 初めてじゃないし、今日もう何回目だってくらいなんだ。だから満足したいなら、突っ込んでしまえばいいのに。 なのに、俺に触れてくるだけで、こいつはそれ以上をしようとはしてこなくて。 「えー、だって。」 ロマーノが気持ち良さそうやと俺も気持ちええもん。 にこにこにこ。…いつもの笑顔でそんなこと、言われて、もう。 うれしいやら恥ずかしいやら体はぞくぞくするしもう、ぐちゃぐちゃになって、もう! とにかく、ああ、もう、我慢なんて、できそうになくて…! ぎゅう。抱きついて、力をいれて、呼吸を整える。 「…すぺ、いん、」 「ん?」 なあに?甘い声に、ぎゅっと、目を閉じて。 「も、ほし、い、から、おねが、い…」 ちょうだい。そう言って、そろそろと、足を開く。恥ずかしい。本当に恥ずかしい!目をまん丸にしたスペインの、その表情が余計に恥ずかしくて! けど、だって、欲しい、から。 「、ロマーノ、欲しい?」 これ?ひたりと太股に当てられる、その熱に、ぞくんと、体が熱くなる。なんとか、うなずいて。 「俺も。ロマーノが欲しい。」 ちょうだい。直接言われるのは、とても、クる。走る痺れに、きゅう、と抱きついて。 足を片方、肩に担がれる。あてがわれる感覚にきゅう、と思わず中を締め付けてしまう。 ずず、と押し入られる。確かな熱、質量に、あ、あ、と高い声があふれた。 「…は、やっば…」 持ってかれそう。囁く声。熱く、くらりと芯を揺らす。 「ん、はやく…っ!」 持って行かれてしまえばいいんだ。こっちはもう理性なんか残ってないのに、なんで我慢する余裕があるんだ。そんなの、嫌だ。 「…スペイン、」 呼んで、力の入らない腕をなんとか動かしてキスをした。絡まる舌。…すぐにスペインに主導権を奪われる。 翻弄されているうちに動き出す腰。走る快楽に思わず、思い切り締め付けて。 「、ごめん、余裕、ない!」 ぐ、と奥まで突き入れられた、と思ったら抜けるくらい引き抜かれて。 がつがつとえぐるような激しい動きが、ちょっと怖いけどうれしい。心から俺を求めてくれている、その実感を伴うから。 がくがくと世界が揺れる。声なんかに気も配れなくて、甲高い声が喉から勝手に出る。 「あ、あ!す、すぺ、んあっ!」 思考さえもう、まともじゃない。もっととか、スペイン、とか、気持ちいいとか、そんなことしか考えられなくて。 「…っ、ロマーノ、」 唇が触れる。絡まる舌。それに必死に応えていたら、ぐぐ、と一番奥まで押し込まれた。あまりの深さに、その快楽に、ぎゅーっと中を締め付けて、しまう。 「…っ!」 ぐり、と一番奥をかき回すように動かされたら、もうだめだった。唇を離し、その肩に噛みついて耐えようとしても、無理で。 「――っ!」 頭の中がスパークする。声にならない声を上げて、奥にだく、と弾ける感覚を感じて。 意識が吹っ飛んだ。 甘い甘い。こいつは甘い。 「はい、あーん。」 普段ならぜったいやらせないそれを甘んじているのは、指先一本動かせないから、だ。…くそう、この絶倫野郎… 「後でショコラータいれたるからな〜」 うれしそうな馬鹿。…ていいかその前に服着ろこのやろー! くっきり見える歯形がなんかもういたたまれないんだよ! にらんでも、何ー?とわかってなさそうな馬鹿は。 「あ、わかった。キスやろ。」 そう言って、ちゅ、と口付けてくるから、もーいい。と脱力した。 唇がやっぱり、とても甘かった。 戻る ヒラニハ様からのリクエストで「西ロマで裏」でした 公開で、というのがよくわからなかったので、こんな感じになりました…すみません 全然違ってたらごめんなさい! こんなですが、少しでも気に入っていただけたらうれしいです ありがとうございました! |