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※ちょっと鬼畜っぽい?(当社比ですが)ので苦手な方はご注意を














不治の病。ってやつだと思う。


「…っ!」
あ。こいつ顔にかけやがった。このやろう、とにらみあげる。すぐに腕に走る痛み。視界が潤む。それでも、にらみあげ続けるとにい、と楽しげな笑顔。
抵抗される方がイイらしい。悪趣味。そう思って、悪趣味なのは俺も一緒か、と自嘲した。

腕を揺らすとじゃら、と鎖の音。拘束された両手はすでに痛覚が麻痺している。
口の中はさっきまでくわえさせられてたこいつので苦い。ついでに顔にかけられたからそれでもうべとべと、だ。ふざけるなと、怒鳴るのはした。逃げるふり、も暴れるのも、した。

ただ、本気で逃げるのは、しない。していない。自分で決めた、ルールだから。
こういうことはたまにある。きっかけが何なのかはわからないけれど。暗く、強い瞳で、見られて、寝室に連れ込まれたら、それで終わりだ。場合によっては、一週間、くらい出してもらえないこともある。鍵かけられて。…それでも逃げないって決めた。最初に、経験した後から。


ぐ、と背中を押されて、ベッドの上にうつ伏せになる。手は拘束されてるから肩で支える。…痛いんだよなこれ。後で。でも、抵抗して見せる、だけ。
「腰上げて。」
「…嫌だ。」
言うと、ぐい、と腰を引き上げられて。
一気に奥まで突き上げられる。ぞくんと走る衝撃に体が震える。ぐちゃぐちゃに溶かされた後でも、…溶かされた後、だからこそ。快楽なんて呼ぶには暴力的すぎる感覚。

「…っ」
「…は、めっちゃ気持ちええ、」
獰猛な声にそうかよ、とぼそりと返す。あ、馬鹿噛みつくなっつーの!
その後すぐに、こっちのことなんか気遣わない律動が始まる。声も上げられない。上げる余裕がない。受け止めるだけでぶっとびそうだ。
「や、あ、ん、あ、ああ、っ!」
それに後ろから、はキライだ。顔が見えない恐怖。その表情が、感情がわからないのが、怖い。

けど。
「…っ、ロマー、ノ」
その声が何度も、繰り返し呼ぶのがほかでもない、俺の名前だ、とか。
こんな姿見せるの俺にだけだ、とか。
知ってる、から。
だから、逃げない。逃げられない。こいつに愛されるのは、鎖なんかより噛み痕なんかより、ずっと強くて効果的な拘束。

「…っ、あ、あっ、あ!」
「…、くっ、…ろま、の、……る。」
低く囁かれた愛の言葉を最後に意識が、飛んだ。





布団の中で視線を合わせないでいてやれば、困っているのがひしひしと伝わってくる。本当は背中を向けてやりたい、いやむしろ放っておいてどっかいきたいんだけど、丸二日抱きつぶされた体はぴくりとも動かない。

「ロマーノ、」
何度目かわからない呼びかけ。でも、また、その先に続く言葉はない。

正気に戻ったスペインがまずするのは、すみませんとごめんなさいの連呼。もう二度としません、もすでに聞き飽きた。
それが終わっても黙ったままでいると、少しずつ焦り出す。でも何を言っていいのかわからないのか、あーうーと意味のない言葉しか出なくて。

それでも何か言わないとって思うらしく、ロマーノ、って何度も名前を呼んでくる。
「…ロマーノ〜…」
情けない声。…必死だ。こいつはいつだって。
俺が好きなんだと全力で、伝えてくる。


…そんな風に思ってしまう時点で末期。治しようがないし治りようがない。医者だって勝手にやっててくれって感じだろう。

こいつになら何されたって、うれしいと感じてしまう、なんて。

恋愛という名の不治の病。馬鹿だというのはわかってる。

それでも。

「…スペイン。」
名前を呼ぶのは、許しのサイン。こいつだってそれはよくわかってる。視線を合わせればぱああ、と瞳が輝いた。…まったく。
「大馬鹿野郎。」
ほんとうに。こいつも俺も。

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リクエストで「黒親分な西ロマ」でした〜

こ、こんな感じでしょうか…?
私にはこれが限界で、す…

こんなですが、少しでも気に入っていただけるとうれしいです。
ありがとうございました!

























































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※人名呼びですので、苦手な方はご注意ください





なあ、アントーニョ。
そんな風に彼が呼んでくるのは、大抵自分の方が分が悪い。

例えば怒らせたとき。怒鳴る、ではないレベルで、冷静な表情で、笑みさえ浮かべて、ただまったく笑っていない目で睨まれると、本気で土下座したくなる。けれど、今はちょっと違うようだ。そういうときは、声の調子が氷のようだから。
例えば悲しませたとき。アントーニョ。そう、呼んで。本当におまえは俺のこと、好きなのか。なんて。寂しそうな目で言われると、思いっきり抱きしめたくなる。そしてそうする。けれど、これも違う。そういうときは、もっと寂しそうな声をしている。
それと、ああ。これだけは、彼が悪いとき、か。
何か、ねだるものがあったり、何かバレるとまずいことがあるとき。甘えた声で、アントーニョ、と呼ばれると、…何かやっかりそうなことが起こるとわかってはいても、でれっとしてしまう。滅多に甘えてなんてこない彼のそんな声、本当に聞けないから。…ああ。今回のはこれに近い。とても。甘えた、ような声。

けれど、それとも少し違う気がして。
例えるなら……そう、まるで。ベッドの中で聞くような。
「…ロヴィーノ?」
呼びかけて、ペンを持った手を、どうしようかとくるくると回す。本当は、仕事を進めないといけないのだけれど、生憎見えない。
だって、膝の上にロヴィーノが乗っかって、こっちを見下ろしているのだから!

「どないしたん?」
聞くけれど返事なし。…さっきからずっとこの状態、だ。何故か首まで真っ赤にしたロヴィーノは、ぐい、と椅子を引っ張って、俺の体と机との間に隙間を作って、登ってきて。
そのまま、固まっている。
「なあ。…仕事進めたいんやけどー?」
ロヴィーノが来ているのに仕事やってるなんて、とは思うけれど、彼は連泊5日目だ。昨日までたっぷりロヴィーノ漬けで、さすがに仕事片付けないとってなったから、で。ちなみにこれ終わったら、明日もどっぷりロマーノ漬けの予定だ。だから、明日締め切りの分までやっているわけで。

「おなかすいた?それやったらトマトなら、」
「…違う。」
やっと答えが返ってきた。うーん、空腹ではないらしい。
「じゃあ何?」
「…食いたいのは、トマトじゃない。」
ありゃ。違うのはそっちだったらしい。
「えー。めんどくさいのは嫌やでー?」
残り食材を思い出してみる。…んー…チュロスなら問題ないかな。パスタもあるし…うんうん。今日の晩はペスカトーレとかええかも。

「やったらワイン開けよか。フランスにもらったやつ。白やけど。」
「何の話だ!」
…怒られた。ああ。そうだそうだ。今日の晩飯の話じゃなかったんだった。……あれ。

「なんの話やったっけ?」
首をかしげて尋ねると、目の前でがっくりと肩を落として、はあ、と深いため息ひとつ。
それから、にらみつけられた。あれ。…なんでこんな、艶っぽい視線?
気付いたら、そうだ。首まで赤く染まった肌。それがよく見える、はだけた服。しなだれかかるような格好。ぐい、と押し付けられる、腰。

「…おまえが食いたいって話だ!」
そう怒鳴ったロヴィーノは。
喰らいつくしてやるとばかりに口を開いて、唇に噛み付いてきた。



「あ、あっ!ん、あ!」
「声。もっと聞かせて。」
ロヴィーノ。呼んで、耳を甘く噛む。ひ、と息を飲んで、きゅう、と指を締め付けてくるのがたまらない。

どうやら、昨日までまあ四六時中に近く(途中一緒に買い物とかも行ったからそれを除いて)ベッドに縫いとめていたのが効いたらしい。一人で放って置かれて、シたくて我慢ができなくなった、ようだ。

…こんなこと本当に滅多にないから、恥ずかしがるロヴィーノでガッツリ楽しませてもらった。
あのときすでに立ち上がりかけていた自身や、触れただけで、自分で解していたのがわかった、湿って、緩くなった後ろを指摘してやると、もうトマト以上に真っ赤になって、それでも引く気はないらしく、腕で締め付けられるのが、楽しくて。言葉で、音で、攻め立てるともうこっちまで持っていかれそうになるくらい乱れてくれて。…ええなあと笑っていたら、べちんと背中をはたかれたけれど。

さすがにあのまま仕事部屋で、はちょっとまずかったので、後やっぱりがっつり楽しみたかったので、寝室に場所を移して愛撫を続ける。
「ロヴィーノ、どっろどろ。」
指先で自身をなぞる。
「言、うなちくしょ…っ!あ、も、だめ、そ、れや…っ!」
後ろの弱いところと自身を扱く動作を連動させると腰がわなないた。
「嫌なん?やめてええの?」
ロヴィーノが誘ってきたくせに。囁けば、反らされる顔。恥ずかしくて仕方ないらしい。
「ええの?」
もう一度尋ねると、って言った、とちいさな声。
けれど、その前が聞こえなくて、何?と身を乗り出すと、ぐい、と耳を引っ張られた。痛い!

「…っ、が食いたいって、言ったろ!」
小さすぎる最初の固有名詞は、自分の名前に聞こえた気が、して。
ぞくりと煽られた欲に、逆らうことなく、また顔をそむけてしまった彼にこっちを向かせて、唇を深く、重ねた。
「ん、ん…っ!」
舌を絡めて、口の中を舐めまわして、口の端から流れ落ちた滴を追って舌を這わせ、好き放題していると、彼の全身から力が抜けていくのがわかった。

一度抜いた手をすすす、と太股の内側、色の薄い柔らかい部分を撫で上げるとそれさえ感じるのか、期待したのか、ロヴィーノが身じろぎする。
キスを続けながら、足首にひっかかっていた服を脱がし、ゆっくり足を開かせる。彼も自主的に手伝ってくれたから、簡単に終わった。


先端からゆっくりロヴィーノの中に沈めていく。その気持ちよさにぞくぞくして。
酸素が足りなくなったのか、首を振ってキスから逃れた彼を解放すると、荒い息の合間に甲高い声が上がった。聞きながら少し揺らしたり、腰を引いたりしながら、ゆっくりと奥へと進めていく。

「あ、あ…あ、んとーにょ、はや、く…っ!」
焦れたロヴィーノの甘い声が耳を侵す。けど、もうちょい。
「ひ、あ!」
声が跳ね上がった。背中がく、と弧を描く。…みっけ。

「ここが、ええんや。」
「あ、や、め、やめ、あ、ダメ、そこは…っ!」
いつもより段違いの反応。…当たり前か。弱い部分を突き上げるように腰を動かせば。ぐちゅぐちゅと立つ、音。聞こえる?と囁くけれど、もうわかっていないようで。
焦点のあっていない目に、自分が映るように顔をのぞきこむ。
「ロヴィーノ、」
「あ、あ!や、っ、やだ、もう、イっちゃう、も、あ、あ…!」
「ええよ、イく顔見たい。」
「あ、あ……っ!」

びくん、と震えてイった彼の顔を見る。はあ、と荒い息。頬を撫でると、だんだんと焦点が合ってきて。
「…見て、んな、ばか。」
「えーもう見てもうたし。」
視線を合わせて笑うと、彼も小さく、笑った。…うん。余裕が戻ってきたようだ。
「平気そうやから、今度は俺に付きあってな。」
にっこり。笑って言って。
「え、ちょ、待、アントーニョっ!」
非難の声が聞かないふり。だって待てるわけがない!

片足を肩に担いで、抜け切るぎりぎりまで腰を引いて。
「や…っ!」
「覚悟、してな。ロヴィーノ。」
足腰立たなくするから。
耳元で宣言して、一気に奥まで打ち込んだ。



後はサインを書けば終わりだった仕事を終わらせて、水やらタオルやら軽い食事持って戻ると、彼はまだ不機嫌真っ最中。
「ロヴィーノー機嫌直して?」
「……。」
ダメらしい。ちゃんと足腰立たなくするって宣言したのに。…実際そうなってしまい、一歩も動けなくなったロヴィーノは怒り出して。

「…ふざけんな馬鹿。」
布団を被りながら呟かれた言葉に、頭を掻く。
と。布団にまるまった彼が、ぼそり、と付け足した言葉が、耳に滑り込んだ。
「…何でおまえはそんなぴんぴんしてるんだよ…。」
仕事とか食事とか。んなの忘れるくらい夢中になれよ、このやろー。

かわいすぎるワガママに、思わず呆けて。
とりあえず手に持ったものを全部机の上に押しやって、布団の隙間から見える赤いその耳に、ロヴィーノが食べたいと囁くことを決めた。

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MIKI様からのリクエストで「発情して我慢できず、仕事中の西に襲い受けロマ」でした

襲い受け…がよくわかってないのですが…こんな感じでしょうか?
親分が変態になった気もしますが愛ゆえです

こんなですが、すこしでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!