終わった後は、ぐったりと、スペインに抱きかかえられたまま一緒にお風呂、はよくあること。 今日もまた、気付いたら風呂で。スペインに抱きかかえられて湯船の中、で。 「…、」 少し身じろぎすると、あ。ロマーノ気がついた?と後ろから声。 「…俺、」 「お風呂入るって言ったのロマーノやのに、寝てるんやもん。」 …言った。気がする。べとべとして気持ち悪かったから。終わった後で、どうする?って聞かれて、入るって。 その後の記憶がないってことは、すぐ寝たのか。ため息をついて、ぐったりと、疲れた体をスペインに預ける。 「大丈夫?」 「じゃねえよ馬鹿。」 そんな心配するなら手抜けよ!ったく…。いつも全力、なのは嬉しく、もあるけど。体は辛い。 ため息をつけば、やってロマーノがかわええんやもんとかなんとか。いっつもそれだ。 「でもロマーノやって気持ちよか」 「ううううるせー!」 怒鳴りながら振り返る。そういうこと普通に言うな!ちくしょー! 「あ。ちょうどええわ。こっちおいで。」 腕を引かれて、重い体を上げて、スペインと向き合うように方向を変える。…腰が痛い。 「なんだよ。」 「何って。ちゃんと後始末しとかなあかんやろ?」 ぎく。と固まると、逃げんといてや?と肩をつかまれた。 …だって。苦手なんだ。後始末。本当に! 「ただの後始末やんか〜。」 「にやにやすんなこのやろー!」 べちんと胸をたたくとごめんって。と謝られた。 「けどほんまに、やっとかんとおなか壊すで?」 「う、う…」 小さくため息。わかってる…ちゃんとわかってる。だから。 「ほら。ロマーノ。」 スペインの背にそろそろと腕を回した。 するり、と伸びてくる手。指。しがみついて、小さく、ばれないように息を吐く。 さっきまで交わっていたそこは、指くらいなら軽く受け入れてしまう。ぐるり、とかきまわされて、思わず爪を、立てた。動いたせいで、湯船に小さな波が立つ。 「ん、痛い?」 「…くない。」 小さく答えるので精一杯。ならええけど。そう言うスペインの声を聞きながら、甘い声が出そうになるのを我慢するだけで、必死だ。 「…っん、」 かきだすような、動き。くらくらする。さっきまで、ほんとうについさっきまで感じていた快楽の記憶が、感覚が、体を熱くさせる。 「は、あ…っ」 「もうちょい腰浮かせて…そんくらい。」 ええ子。囁かれてそれだけで足から力が抜けそうになる。あ、ばか、奥の方弱いって知ってるくせに、押し上げるな馬鹿、あ、もう、 「す、スペイン、だ、ダメ…っ」 「後始末、してるだけやのに。」 気持ちよさそうやなあ。低い声に囁かれて、ぞくん、とする。 気付けば指の動きが、変わっていた。 かきだすだけだったそれが、快楽を引きだそうとするように。 「あ、ふ、す、スペイン…っ」 「かわええ」 ロマーノ。囁いてくる声が、熱い。体が震えた。さっき、ついさっきまで感じていた熱を、思い出してしまう! 「離せ、も、あ…っ!」 「離してええの?」 「ーっ!」 「ええの?」 「…聞くなこのやろ、知ってる、くせに!」 俺がどうしてほしいと思ってるかなんて、よくわかってるくせに! にらみつけると、抱き寄せられた。耳に当たる、吐息。 「いれてええの?」 「…っ」 俺は、ロマーノと気持ちよくなりたいけど、どうする? 低い、熱のこもった声。しがみついて、目を閉じて。 「あとしまつ、ちゃんとしろよ、」 「うん。」 「明日立てなくなったら、」 「全部世話したる。まかせといて。」 ちら、と見上げる。愛おしい、オリーブ。 「…じゃあ、いい、ぞ。」 顔を、肩に埋める。ちゃぷん、とお湯が音を立てて揺れる。こんな明るいところで。考えただけで恥ずかしくなって。 「もうちょい腰寄せて。…ん、」 「っ、」 お湯の中で、腰が当たる。自身が、当たって、熱。ごくり、とのどを鳴らしたら、小さく笑われた。 「入れるで?」 「ん…」 あてがわれる。ずるずる、ゆっくり擦り上げられていく、快楽に、思考が溶けそうになる。 「あ、…っふ…!」 すんなり入っていくのは、お湯のせいか、さっきまで交じり合ってた、せいか。考えただけで頭が沸騰しそうだ。そのまま何もわからなくなれれば楽なのに。ゆっくりされると、それまでの快楽、は得られなくて。 「っ、は、やく…っ!」 「、そんなこと言われたら、本気出すで?」 聞かれてることもよく理解できなくて、でもうなずいたら、この状態をどうにかしてくれるって知ってるから。 何も考えずにうなずいた。視界の端に、笑みが映る。 「!ああああっ!」 唐突に動きが激しくなった。がくがく揺さぶられて、いつもの動きにしがみつく。 けれど水の中だからか、いつもと比べて少し動きが鈍くなって、それが物足りなくて、腰を自分から揺らす。恥ずかしいことしてるのはわかってる、でも止められない! 「あ、あ、す、ぺい、スペイン…っ!」 「ん、っ、ロマーノ…っ、」 甘く呼んで、口付けて、舌を絡めて、酸素が足りなくなって余計に体の温度が上がって。 視界が真っ白になるその瞬間、一番奥弾けたのを感じた。 目を開くと、白いシーツが見えた。 頭を動かすのも億劫で、目だけ動かす。…すでに太陽は高い。窓の外は明るく、気持ちのいい風が吹いてきている。テーブルに水差しとコップと、タオル。人の気配はない。…今何時だ、スペインは? 考えていると、がちゃ、とドアが開く音。視線をやれば、腰の痛みの元凶の姿。 「あ。起きた?」 大丈夫か〜、と聞かれてにらみつける。大丈夫なわけあるか、馬鹿! ただでさえ昨日は激しかったのに、その上風呂で、なんて、ああもう思い出しただけで顔が熱くなる恥ずかしい! 「やってロマーノがかわええんやもん。」 またそれだ。ったく… ため息をついて、小さく水、と呟く。声ががらがらで全然出ない! 「ん。」 体を起こすのを手伝ってもらって、口に含む。適度に冷たい水に、ようやく落ち着いて。 すぐそばの日に焼けた顔を見上げ、今日は覚悟しろよ、とぼやいた。 はあい、と困ったような、でもうれしそうな笑顔。ちくしょう、絶対参りましたっていうくらいこき使ってやるんだからな!覚悟しろよこのやろー! 戻る かおり様からのリクエストで「西ロマで風呂ネタ」でした 勝手に事後の話にしてすみません…!結局ラブラブ、な感じが出てるといいなと思います こんなですが、すこしでも気に入っていただけたらうれしいです ありがとうございました! . 会いたい 書き損じてくしゃくしゃに丸めた紙を広げて、一言だけ書いて、シワを伸ばした。 …あいつとしばらく会ってない。あいつ、っていうのはあいつだ。スペイン。もうだいぶ会っていない、気がする。 ニアミスは何度もあって。会議でも顔は見たけれど。 ハグしたりキスしたりそれ以上、したり。 それはもう、かれこれ…ああもう数えたくない。考えるほど余計に会いたくなってくる! はああ、とため息を一つ。あーあ幸せが逃げた。…これ以上あいつと会えない日が続くのはイヤだな… でもまだ会いにはいけない。書類はなんとかなりそうだけど、馬鹿弟が出張中だからここを離れられない。…あいつが忙しいのも、よく知ってるから、会いに来い、なんて言えないし。 広げた紙をしばらく見つめる。無意識で使ってしまったスペイン語。…もう一度ため息をついて、それで紙飛行機を折って、ひゅ、と窓の方に飛ばした。 閉じたままの窓に当然のごとく、飛行機はぶつかって。 目を閉じてぐったりと机の上に突っ伏すと、ばん!と音がした。鍵をかけてなかった窓が開く音だ。目を開け顔を上げるけれど、すぐ視界が暗くなった。締め付けられる体。何だ!?と混乱していると、耳に届く、声。 「…ロマーノ、」 「っ!スペイン…!」 …紙飛行機が、スペインを連れてきた。 久しぶりの感覚に泣きそうになりながら、抱きついた。 その後すぐに抱き上げられて運ばれた先は寝室で、思わず顔を赤くしてこの単純馬鹿!と怒鳴ったら、あかん?と囁かれた。 子供が甘えるような口調、だけれど強い視線が、肉食獣のようで。 「あかん?ロマーノ。」 頬をなでて…もう一度聞かれたら、いいって言うしかなかった。別に嫌なんじゃ、ない、し。むしろ、…言えないけど。 「ん、あ、…っ!」 唇を塞がれる。執拗なキスに酸欠で頭がくらくらする。意識がそっちに集中している間にすぐに脱がされていく服。素肌に触れる手が、熱い。 「ロマ、」 「あ、ん…っ」 口付けを終えた舌がそのまま、体をたどって首元にたどり着く。ぴちゃぴちゃ音を立てて舐められるとたまらない。途中、ちくりと痛み。 「やっぱ全部消えてるな…」 付け直しとかな。そう言いながらスペインは、ちゅ、ちゅ、と吸いついてくる。見なくてもわかる。赤い痕で一杯だ。 「も、おまえな…っ!」 「あかん?」 っだからそういう聞き方するな! 睨みつけるけれど、すぐに目を閉じた。 「あ…っ!」 「気持ちええ?」 手で自身を撫でられた。指先で柔らかく撫でられるともう何もできなくなって。 「あ、あ…っ」 すがりつくように背中に手を回す。爪を立てて耐えないともうすぐにでも達してしまいそうだ! 「そんなに気持ちええん?」 「…っしょうが、ないだろ、んっ…忙しくて、」 自分でもできてないんだ。刺激に耐えられるわけもなく。 「へえ。」 そう言うとじっと、見られた。…何だよ。 「何だよ…」 声に出すと、にこりと笑顔。…やな予感。 「おい…」 声をかけようとした瞬間、身を屈めたスペインは。 「ちょ、や、やだ…っ」 「ええ声。もっと聞かせて?」 黙れもう!銜えたまましゃべんな! 水音がする。ていうかぴちゃぴちゃ舐めるな!ああもう! じゅるじゅると音を立てて舐められるともうそれだけでゾクゾクしてしまう。ダメだ、もう耐えられない、イってしまいそう、だ! 「す、スペイン、だ、だめ、」 上擦る声。でも、彼は聞いてくれなくて。その上。 「あ、や、ダメ、そっちは…!」 秘部の入り口をゆるゆると撫でる手。その感覚に、慌てて手首を掴むのに、力が入らなくて添えることしかできなくて。 指が入ってくる、感覚。いつのまに濡らしたのかわかんないけど、中を広げるように触られたら、弱いそこを押されたらもう! 「やだ、や、スペイン、もう…っ!」 「イってええよ?」 「あ、あああ!」 溜まってたの全部吐き出して、荒い息をつくと、にやにやと人の悪い笑顔! 悔しいので思いっきり爪立ててやった。 「いって」 「馬鹿!」 怒鳴りつけて息を吐く。そうすると、目の前に顔。 「キスしていい?」 「…聞くな」 掠れてしまった声が、期待してるみたいで。 赤く染まった頬は、荒っぽいキスのせい、ってことに、しとく。 「あ、すぺ、い…っ!」 ずん、と体重をかけて貫かれる。一気に奥まで、満たされる。満たされる?そう、満たされる。 こいつがいないと、満たされない。どこかがぽっかり穴開いたみたいで。…ああ、俺ほんとにこいついないとダメだな。思って、なんだか泣きそうになって顔をしかめる。 「痛い?」 心配そうな声に首を横に振る。それでも顔を覗き込んでくるオリーブに、早く動けこのやろう、と思いを込めて、唇を重ねた。 満たされる。けど足りない。もっと欲しい。なあ、寂しいって、思ってたのは俺だけじゃないんだろ? 言えないから、言える訳がないから、ついばむようにキスを繰り返して。 「ロマーノ。」 呼ぶ声は熱っぽくて、閉じていたまぶたを開ける。 頬に添えられる大きな手。思わず息をつく。 「…ええ?」 全然余裕ない声してるくせに。律儀に尋ねてくる馬鹿に、…愛されてるってじんわりと心が溶けていくような感覚を覚えて小さくうなずいてみせた。 途端にゆるり、と抜き出されて、喪失感に無意識のうちにしめつけたら、ぐ、と奥まで突き上げられた。 「あ、あんっ!あ!」 声が出る。けど、止められない。止めようがない。その背中にしがみつくと、汗で手がすべる。 がくん、と体がベッドに沈む前に、力強い腕に抱きしめられた。 「ロマーノ、」 耳に触れた唇に囁かれてもう我慢なんて、できなくて。 「っ、と、もっと、な、スペ、イン、んあ、あああっ!」 欲しい欲しい欲しい。もっと。寂しかったあの気持ちを吹き飛ばして。スペインでいっぱいにして。 「…っ!」 低くうなるような声がして、動きがより激しくなった。 ぐらぐら揺れる視界と、揺さぶられる体と、もうとっくにぐちゃぐちゃの頭の中と。 全部スペインだけ、で。 そう考えただけで、頭の中が真っ白になった。 どたばたどた。 いつもだったら、終わった後は俺が離せって言っても離さないこいつなのに、今はばたばたと大慌てで服を着ている。 これでも後処理、とかはしてくれた後だけど。 毛布にくるまって眠たくなる目をなんとか開ける。 そろそろシエスタの時間だ。でもこいつがうるさいから寝れなくて。…あとほんのちょっとだけ。見送りくらいしてやってもいいかなとか…ちょっとだけだけど!! 「てか、来るなら仕事終わらしてから来いよな…。」 そう、これだけばたばたしてる原因は、スペインが仕事の途中で逃げ出してここに来たから。電話の向こうからものすごい剣幕で怒られてすんませんすんません、と謝って、帰宅準備中、だ。 「やって会いたかってんもん!」 素直にさらりと。…言ってしまうんだ。こいつは。それがうらやましくもあり、妬ましくも、あり。 「帰ったら仕事すぐ終わらせて戻ってくるから、ああでも1週間くらいかかってまうかもやけど、でも。」 「…いい。」 「へ?」 「戻ってこなくて、いい。」 そう言うと、ちょ、なんで!?俺捨てられるん!?と慌てだしたスペインに違う!と怒鳴る。…喉が痛い。 「…だから!…明日、フェリシアーノ帰ってきたら、俺暇になるから、だから…。」 …今度は、俺がおまえんとこ、行ってやる。 ぼそぼそと告げると、がば、と抱きしめられた。強い腕の力。…そのまま、甘受して。 待ってる。ん。一緒に寝よな?…とりあえず仕事終わらせてこいちくしょー。 小さく、会話を交わす。それから、額にキス、ひとつ。 「また明日。」 「…紙飛行機つくって待ってろ。」 言ってやると、きょとんと紙飛行機?と首をかしげるから、時間。いいのか。と時計を指すをやばい!と駆け出していった。 ばたばたばた。ばたん。 誰もいなくなった部屋に静寂が戻る。 …でも。寂しくはない。 小さく笑って。明日のことを考えながら、目を閉じた。 戻る 結枝様からのリクエストで「仕事が忙しくてずっと会えなくて、耐えられなくなったどちらかが相手のところに飛んでいくお話」でした こんな感じ…でしょうか?お互いが大好きすぎる感じが出てるといいなと思います こんなですが少しでも気に入っていただけたらうれしいです ありがとうございました! |