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甘い香りが、した。スペインには似合わない、人工的な甘い香り。…女性用の、香水のような。
それだけだ。ただ、それだけ。
だけど、その効果は絶大で。


「ん、あ、ふ…」
「っ、ろま、の…」
大きなそれを口をいっぱいに開いて含む。舌で先の方をくすぐれば、広がる苦い味。…でもスペインのだと思えば、意外と大丈夫で。よかった、とほっとする。
初めてだけれど、スペインはなかなか感じてくれているみたいだ。…驚いてはいるみたいだけれど。当たり前か。今まで絶対嫌だって言ってきたんだから。

でも、俺ができること、なんてほんとにほんの、少ししかないから。…スペインを留めておくためにできること、なんて。
『ロマーノ、かわええ。』
そう言ってくれる、こういうこと、くらいしか。
そう思いながら、深呼吸して、もう一度口の中に含む。スペインがいつもしてくれるのを思い出しながら舌を這わせて。裏とか、スペインも気持ちいいのかな。反応を見ながら身を乗り出す。

口をいっぱいに開いても全部は入りきらないそれを、指と舌で愛撫する。ちょっと苦しい。そしてかなり苦い。
でも、上がる息とか。きゅ、と吸うとどんどんそれが大きくなっていくのとか。先をくすぐるとじわ、と広がっていく苦み、とか。
そういうの、感じるだけで、こっちも気持ちよくなってきてしまう。勝手に腰が、揺れる。気づいてないといいと、思うけど。

「…は、」
熱い息を頭に感じた。ぞくん、と背中が震えた。この声。熱い、甘い、愛しい。こっちの体までかっと、熱くなる。
見上げる。スペインの顔。しかめた眉。ぎゅー、と胸が締め付けられる。
「…、ロマーノ、」
低い声、呼ばれた。目が合う。灼熱の温度を感じさせるその緑に、思わず息を飲んだ。
「…なんて顔してるん…。」
それだけでイきそうや。ため息と共にそう言われた。その言葉だけで感じてしまう俺は、変態、なのか?
手が伸びてくる。頬に触れる、大きな手。撫でられる。褒められているのか、でも耳とかくすぐるように触られたらもう、くらくらしてしまう。

「すぺ、い、」
「もうええから…。」
こっちおいで。腕を引かれる。
「でも、」
まだ、途中なのに。イカせてないのに。
抵抗したら、困ったような笑顔。
「イくんやったらロマーノの中でがええなあ。」
ぐい、と体を引き上げられた。近づいてくる唇に、慌てて顔をそむけるのに、すぐ捕まって。
優しいキス。べろ、と唇を舐めて、変な顔をした。

「不味!」
「あ、当たり前だ馬鹿、」
さっきまで、スペインの舐めてたんだから、そりゃあ味が残ってる。
うー。と眉をしかめて、それからまたキスしてきた。
「っおい!」
「不味いけどそれより、ロマーノとキスしたい。」
囁かれたら、もう逃げる理由もなくなって。
重なる唇。舌が混じり合う。くしゃ、と後頭部をかき回されて、ついでに逃げ場を無くされる。頭を引いても、引き戻されて。
「ん、ん…」

キス、は好きだ。ぞくぞくするし気持ちいい。それに、唯一俺も、してあげられるから。
くちゅ、と音。抱きしめて抱きついて、その舌を必死で追う。
舌先、軽く噛まれるのが好きなんだよな。く、と腕に力はいるの、知ってる。
かぷかぷとかぶりついていたら、ぞぞ、と上顎をなめられた。
びり、と背筋が痺れて。

目を開けると、そこにはにや、と口の端を上げたスペインがいて。
思わず後ろへ引きかけたら、がっちりと頭を捕まれて。
蹂躙。その表現が一番合うんだろう。舐め回されて、噛まれて、びくびく震えるしかなくなる。

「…は、ロマーノ…」
ぐ、と胸を押された。シーツに沈みかけた体。それに身をゆだねかけて、ふわりと漂った香りに、思わずやだ!と声を上げた。
「ロマーノ?」
「ヤだ、布団、は、やだ。」
泣きそうになりながらいやいや、と首を横に振る。
「いやなん?」
こくこく。頷く。だってやだ。…女の人の匂いがするシーツで、するのは絶対、嫌だ。
「わかった。おいで。」
腕を引かれて、彼に抱きついた。背中に腕を回すと、ちゅ、と額にキス。
「…なあロマーノ。お願い、聞いて?」

瞬いて見上げる。少し楽しそうな顔。
「自分で。後ろ解して?」
「!」
いつもだったら、ふざけんな、で終わる。終わるんだ。
けど、でも。
羞恥に震える手を叱咤して、秘部に、伸ばす。怖い。自分で触れたことは、ない。
「大丈夫。俺も一緒にしてあげるから。」そっと手が重なった。濡らすねんで、とローションをかけられる。冷たい。思わず引っ込めた指を撫でられる。

「ゆっくり、な?」
こくん、うなずいて。
ずぶずぶ、沈めていく。なんか変な感じだ。それに…きつい。この中にいつも、あれが入ってるのかと思うと余計にしめつけてしまって。
「ちょっと力抜いて?」
ぐいぐいと、スペインの指がもみほぐすように秘部の周りを撫でる。いつもの動き、だ。それに反応してぐにゃ、と体が弛緩する。ずる、と指が奥まで入ってびっくり、した。
「あ!ん…。」
「ロマーノこうされんの弱いなあ…。」
両手でそこを触られたら、膝が崩れた。べた、とスペインの足の上に座ると、ほら、がんばれ、と太股を撫でられる。

「ん、ん…。」
なんとかもう一度、震える膝で体を支えて。
「入れるで。」
宣言とともに中に入ってくる指に、はあん、と鼻にかかった声が出る。
「っ、すぺい、」
「ロマーノが弱いのは、ここ。」
「ああっ!」
ぐり、と押し上げられて体が跳ねた。ほら。な?と確認するように何度も押されるともう頭の中はパニックでがくがくと足が震える。もっとしてほしい。もっと気持ちよくなりたい。頭をよぎった言葉に息を詰める。
なのに。

「ほら、やってみせて。」
離れていく指に、あぁ。と落胆したような声が出た。
「自分でしてみ?」
耳をべろりと舐めながらの、悪魔の囁き。
抗う、なんて最初から選択肢にもならない。
ゆる、と指を動かしてそこに触れる。
「…っ!」
衝撃に息を詰める。ぐにぐにと押しつぶすように引っかいたら頭が真っ白になりそうなほど気持ちがいい。
「あ、あーっ、ん、あ…っ!」
スペイン、甲高い声で呼ぶと、口付けてくれた。甘い唇。
「きもちいい?」
こくん。頷いて、彼の肩に顔を埋める。見せられるわけもない、こんな顔。

「は、あ…っ!スペインっ!」
首を振って顔をすり付けて。
頭がおかしくなりそうなのに、達するには足りない。でも、どこか怖くて、大胆には指を動かせない、し、それに。

足りないのは、もっともっと、奥。

「スペイン…!」
欲しい。吐息に紛れて呟くと、わかった、といつもより低い声がした。
「俺も限界や。」
なあロマーノ。名前を呼ばれる。それだけでもう!
ずる、指が抜かれる。
腰を抱え上げられて、ひたり、と入り口に添えられる、熱。
「っ、あ、」
「自分で腰、落として。」
できる?熱い声が告げる。ぐらり。焦らすように揺らされたら、できるとかできないとかそういう問題ではなくて。

「…ふ、う…。」
深呼吸して、ゆっくりと腰を下ろす。
中が広がる感覚に、声が止まらない。
「あ…っあ…!」
「…、」
スペインの、息を詰めたような、声にもならない音。
それを聞いただけでおかしくなってしまいそうだった。
ぎち、と締め付けてしまってひあん、と声を上げると、もーあかん。と切羽詰まった声がした。

掴まれる腰。噛みつくようにキス。びくんと震えて、そっちに気を取られているうちに沈められる腰。
「ーっ!」
奥まで入る感覚に酔いしれる間も無く、抉るような動きが始まる。
「ん!んん、んあ、あっ!」
「、ロマーノ、」
かわええ。掠れた声が耳に囁く。
それを聞いた途端に、ぼろり、と涙がこぼれた。

「…、いで、」
捨てないで。俺を置いていかないで。

揺らされる途中で呟く。高い声は自分が出してるなんて信じたくないけど、それに紛れて聞こえなければいい。
「、スペイン!」
悲鳴のような声。何?聞かれて呟く、もっと。
それにに、と笑って、彼はがくがくと容赦なく、体を揺さぶる。
「あ!や、あ、…すぺい、」
頭がばらばらになっていく。何もわからなくなる。
「愛してるでロマーノ…捨てたりなんか絶対せえへん。置いていくくらいなら連れてく。あたりまえやろ?…聞こえてへん、か。」
愛してる、は聞こえた。でもほかはもう、考える余裕もなくて。

「ええわ。行動で示したるから。」
とりあえずこの一回から、な。
ぼそり、と言われた一言とともに、一番奥まで突き上げられてびくびく、と体を震わせ、手足を硬直させ、達した。
それでもまあ、彼が離してくれるわけもなく。
思う存分ゆらされて、彼が達するのと意識がが消えるのは、同時だった。




「やー、フランスの言った通りやったなあ」
「は?」
「枕に香水ほんのちょっとだけ落としといたら、ええもん見れるって。」
にこにこしたスペインの言葉と、その手の中の、明らかに開けたところな女性用の香水の瓶に。しばし呆然とし。

ふっざけんなー!と怒鳴って喚いて、暴れまくって、帰る!と宣言してベッドを降りようとしたら、腕を引かれ、唇にキスされた。

「ごめんって!な?せっかくの休日やんか。帰らんといて!」
何でもするから、と結構焦って言われたら、しょーがねーやつ、とため息一つで許してしまうのは、つまり。

スペインが好き。
ただ、それだけのこと。





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三ツ木様からのリクエストで「これでもかって位がっつりとにかくひたすら全力のエロの西ロマ」でした


あ、あんまりえろくないかも…すみません。積極的なロマってえろいかなーと思ったのですが…

こんなですが、少しでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!





















































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※若西×現ロマです
苦手な方はご注意ください



スペインちで、シエスタした後、おやつ作ったる、とキスして部屋を出て行ったスペインを待って、ベッドでまどろんでいた。眠いわけじゃないけど、布団の魔力に吸い寄せられて、うとうとする。
突然、どん、って音がした。ベッドがびりびり揺れるような感触。何だ!?と慌てて下の階へ走っていったら、尻餅ついたスペインの後姿が見えた。
「スペイン!どうした?」
声をかけてから、気づいた。…なん、だろう。スペイン、か、これ、本当に…?
見たことのない服。…なんだか、体も小柄に見える。
思わず一歩引いた。
「?だれや?」
振り返る。きょとんとしたその顔は、自分が知っている一番若いスペインよりも…さらに、子供っぽく見えた。
今の俺と同じか、もう少し若そう、だ。
スペイン、だ。スペイン、には、間違いない。…けど。
びりびりと肌に感じるのは、なんだろう。威圧?こんなの感じるの…スペインと出会う前、オーストリアに感じて以来だ、と、思わず息を飲む。支配するもの、の、威圧。
何だ。これは。何が起こった。頭の中がパニックに陥る。
「だ、れだよ、おまえ…。」
「俺?俺はスペイン。」
さらっと名乗るそいつに、やっぱり、とまさか、が頭の中にめぐって。
「…んー。おまえ。」
「な、なんだよ、ちくしょー…。」
「美人やな。」
にこにこと近づいてくる。
…いつもみたいな、笑顔。なのに、怖くてたまらないのは、どうして?
「どこの国?」
何で、俺のことを知らない?
そう思いながら、南イタリア、と答えながらじりじりと後ろへ下がる。
「へー!そりゃあ美人なわけや!なあ、自分。」
俺の領地にならへんか。そう無邪気に笑ったスペインが、心の底から怖いと思った。



いやだ、と言ったら、瞬く間に近づいてきたそいつに、足を縛られた。逃げられへんようにしとこか。なんでそんなこといいながら笑えるんだ。怖い。恐怖に、体がすくんで。

担ぎ上げられて、ベッドに放りだされる。
「嫌、なんて言えへんようにせななあ。」
シエスタの後で、シャツを羽織っているだけだった体を、つつ、と撫でられる。ぞっとした。
「い…やだ…!」
「やから、そう言うたあかんの。…痛くせなわからへん…?」
ぐい、と腕をひねり上げられる。痛みに、悲鳴がでた。嫌だ、嫌だ!こんなスペインなんて、嫌だ。そう思って、逃げようとするのに、押し倒された体は動かない。


「大丈夫。嫌、なんて言ってられへんようにしたるから…。」
むきだしの胸を舐められる。ざわりと走る快楽に、逃げようとしたら、ぎり、と腕に力が入った。

「痛…っ!」
「いたいのは、いややろ?」
じっとしてたら気持ちよくしたるから。甘い声でそんなことを言う。そのまま、胸を這う舌。
…嫌だ。いやだいやだいやだ。
こんなことをするのは、スペインとじゃなきゃ嫌なのに。優しく、でもどこか熱くロマーノ、しよって。そう言ってくるあいつじゃなきゃ嫌なのに。キスして、ロマーノはほんまに美人やなあ。かあええって。いっつも言うから、聞き飽きたって言ったら困ったように笑うあいつが、
「う、うう…。」
…あいつじゃ、なきゃ。

涙がこぼれる。嫌だ。痛いのは嫌だ。でも、あいつじゃない、わけわかんないやつとするのなんか、もっと嫌だ。首を横に振って、目を合わせないようにして、でも涙を拭えなくてぼろぼろ泣く。

ぼろぼろ、と涙をこぼしていたら、ぐ、と力一杯引っ張られていた腕が、す、と離された。今度こそ殴られる、と身をすくめたら、頬に触れるのは、湿った温かい…舌?
「泣かんといて…なんや、おまえに泣かれると弱いわ…。」
優しく、涙を舐め取るようにされて、どきん、と心臓が高鳴る。スペイン、だ。同じ、仕草。泣き虫やなあロマーノは。そう囁かれるときと、一緒。やっぱりこれ、スペイン、なんだ。そう、確信して、少しほっとする。

「わーかった。痛いのは、やめにしよ。」
そう言って、足を縛っていた紐をとる。赤い痕の残る足首に、ちゅ、ちゅ、と吸い付いて。
ざわり、と背中が粟立った。
足の甲を舐めて、指を一本一本嘗め回される。その愛撫は、スペインが、いつものスペインなら、そうするとき、の、始まりの合図。

「…!や、やだ、やだっ!」
「何言うてんの、気持ちよくめろめろにさせたるからじっとしとき。」
「それが嫌だって言ってるんだ…っ、ふあっ!」
じゅう、と膝の裏に吸い付かれる。ぞくん、としてしまって声が裏返った。


「…ははーん。もしかして。」
にや、と見上げられる。肉食獣の目だ。…狩りをする、目に射止められる。
「感じすぎるから、嫌なん?」
「…っ!ち、ちが、あ、ふ…ん…!」
太股を舌の先でなぜるように舐められる。ざわざわと体を走る快楽。他ならぬスペインによって開発された体は、嫌でもその舌の、手の動きに、翻弄される。

「あっやあ…!」
「…えっろ…これでもう動かれへんくらい気持ちいいん?」
まだ大事なとこには触ってもないのに、と囁かれる。触れる吐息ですら、気持ちいい。くねる腰を止められない。
「や、らあ…!」
「舌回ってへんで。…これは、マズイなあ…。」
ふ、と手が離れた。ゆっくりとまぶたを開ける。…ふむ、と考え込むスペインの姿。

「…な、んだよ…。」
「……マズイなあって。」
なにが、と荒い息の中で尋ねると、顔が近づいてきた。触れるか触れないか。そのぎりぎりで。

「惚れそう。…このまま連れて行きたい。」
優しげに、愛しげに。
微笑む、オリーブを間近で見て。
何も言えずに、抱きしめた。


「ふあ、あ!」
スペインだ。そう思った途端に感じはじめてしまう体が現金だと思った。
指が中を擦るのが気持ちよくて震える。腰が揺れる。
「あ、や、も、出…っ!」
「出してええよ。」
ぐじゅ、と奥まで吸われて、ぐ、と腰に力が入った。
びくびく、と吐き出して、その感覚に、酔いしれる。
「は、あ…。」
熱い息を吐くと、抜かれる指。自身からも一度、手が離れて。ぎち、と顔の横に下りる腕の先の、オリーブの瞳を見上げる。
「もうちょい気持ちよくさせたるつもりやったけど…限界。入れて、ええ?」

低く、欲をむき出しにした声で言われて、まだちょっとつらいんだけれどうなずいた。
つらい、より、欲しい、が勝ってる。
性急にあてがわれるそれに、息を飲んで。ずぶずぶと沈められる感覚に息もできなくなって、しがみついて。

奥まで満たして、止まった。頬に触れる手のひら。
なんとかまぶたを上げると、彼は泣きそうな顔をしていた。
「…、ああもう、ほんまに…。」
そう呟いて、肩に顔が降りてきた。額が触れる。吐息で、何か囁く。何でやろ。そう、言った気がした。こんな気持ち、初めてや。そう、困ったように。

「一緒に、生きたい。…けど連れていきたくない。…危ない目なんてあわせたくない、でもそばにいてほしい。…どないしたらええんやろ、な。」
自嘲するように、笑った。表情は見えないけれど、…幼い子供のように、震えた声。

こいつがどんな世界を生きてきているのかは、知らない。スペインは、あまり、自分の話をしたがらないから。
だから、スペインがよく言う、ロマーノがいてくれてよかった、その意味を俺は知らないけど。
こいつはきっと、俺よりずっと、大変な時代を生きてきてる。
「…名前、教えて。」
「…ロマーノ。」
「ロマーノ。…好きや。」
だから、だろうか。囁くような声で言われて、泣きそうに、なった。

片足を担ぎ上げられて、揺らされる。最初から激しいその動きに何もいえなくなって、しがみついた。
「あ、あっんあ…!」
「…っ、ロマーノ、ロマーノ…!」
すがりついてるのは、翻弄されてるのはこっちのはずなのに、なんだかすがるように何度も呼ばれる名前にぞくぞくと感じて。
がくがくと追い立てられていく。後ろだけでもう快楽でおかしくなりそうなのに自身まで触られたら、もう悲鳴を上げるしかなくて。
「あ、も、ダメ、あ、…すぺいん…!」
一番奥でスペインを感じた瞬間、視界が真っ白、になって、意識が遠のいた。




ゆっくりと目を開けると、オリーブの瞳がまっすぐにこっちを見ていた。
「…すぺいん?」
「おはよ、ロマーノ。」
ちゅ、と額にキス。…抱きしめられた感覚でわかった。『いつもの』スペインだ。
眠る前に見たよりも、さらにがっしりとした体が、寝起きでかすんだ目にも何度か瞬けば見えてきた。
ため息をひとつ。…なんだったんだろう、あれは。いったい。…俺の見た、夢?
「…なんか、ええ夢見たなあ。」
「は?」
えへへーと幸せそうな顔で笑ったスペインに眉を寄せると、ロマーノが出てくる、夢。と言われて、どきっとした。
「なんか、昔の俺がロマーノに会う、夢。」
どくどくと、心臓が速く打つ。えろかったなあ、とでれでれしやがったところで確定した。
なんだったのかはわからないけど、あのスペインは、間違いなくこいつだ!
寒い!と叫んで布団の中にもぐりこんで、一瞬で真っ赤になった顔を隠して。
「…よかったわ。」
「何がだよ、ちくしょー…。」
えろい夢で、とか言いやがったら頭突きしてやると思いながら布団の隙間からにらんだら、ふ、と優しい笑みを浮かべられて面食らう。

「出会い方が違っても、きっと俺はロマーノのこと好きになってたんやろうなあって。」
やから。よかった。
布団をはいで、ちゅう、と唇に口付けるそれが、本当に優しくて温かくて。
「ロマーノ、大好きやで。」
その声が心をとろかすくらいに甘かったから、…頭突きのかわりに、その背に手を伸ばした。

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蓮屋様からのリクエストで「海賊時代の西×現代ロマ」でした

どんな時代の西でもロマのこと好きになるといいなあ、と…あんまり生かせてなくてすみません…

こんなですが、すこしでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!