※ロマ先天性女体化で遊郭パロです。苦手な方はご注意ください 終わりがあるからこそ、世界は美しく、愛しいのだと、誰かが言っていた。 「抱きたい。」 この人にそんな風に言われるのは、初めてで。 で、その初めてが、最後だっていうのが何だか笑えた。そして、誰か…ああ、そうだ。だいぶ前に身請けされていった、人だ。とても綺麗で、ここの稼ぎ頭だった。あの人が言っていた。…少し、寂しそうに。 その気持ちが、なんとなく、わかった気がした。 足を撫でる手に、心が震えた。…太ももとか、そういうとこは撫でられたことあったけど、こんな風に、慈しむように、足首のあたりを撫でられたことなんて、ない。 「は、あ…。」 「…きれいだ。」 どこが。そう思うけれど口を開いても、意味のない声しか出せない。 とろかされる、っていうのはこういう感覚か、と思った。 「顔、見せて。」 いやいや、と首を横に振る。 「どうして?」 「…っみ、せられるような、顔じゃ、あっ!」 口を開けばあられもない声が漏れてしまう。 口を両手ふさぐと、すぐに腕を捕まれた。強い力にいやいやと首を横に振る。 「嫌?でもダメ。声、聞きたいから」 「っ!」 避難するように見上げたら、笑った。 笑っているはずなのにその視線がなんだか寂しそうで、息を飲む。 「ひどいだろう?」 頬を撫でられた。優しい手。 「ひどいって罵ればいいんだ。」 な?って…どうしてそんな、うれしそうに言うの? ほら、なんて言われたってそんなことできるわけない。大事な馴染みの客だ。それに。…いくらひどくても、実は彼のことが、好きだ。こうされるだけで、ほんとは、幸せなのに。…言えないけど。 黙って視線を逸らしたら、頬に触れていた手が離れた。 同時に、胸に強く触れられて、ふあ!と声があふれた。 それが舌に変わって、秘部にも指が伸びてくる。ただ触られているだけ、のはずなのに、どうしてこんなに気持ちいいんだろう! 「あっいや、やめてくださ…!」 「…いや。」 冷静な一言に余計に愛撫がひどくなって、白い海に沈められた。 それでも、ただ布団を握り締めた手だけは離さなかった。どれだけひどくされても、甘い快楽の海に溺れそうになっても、絶対にその体には、すがったりしないと、それだけが最後のプライドだった。 目を覚ますと、そこには誰もいなかった。…当たり前なんだけど、少し、寂しかった。 着飾り、頭を下げる。 私を身請けする、という人。…誰かは、聞いていない。聞いてもあんまり、興味とかないし。 顔を伏せたまま、頭の上で進む話を聞き流す。どうだっていい…とは言わないけど。ほとんどどうだっていい。 …ここで私がなにを言っても、決まったことが変わる訳じゃないし。 「顔を上げろ」 主人の声に、ああもう、とゆっくり、顔を上げて。 ひらひら、と手を振る彼が、その焦げ茶色の髪が見覚えがありすぎて、というか、あの日諦めたはずの彼の姿で、は?と思った。 「かわえーなあ」 「…物好きでございますね。」 会話が素通りする。てか、こいつ西の方の出身だったのか。私の前では普通にしゃべってたくせに。 呆然としていたら、そのまま連れて行かれた。たどり着いた先は大きな屋敷で、侍女とか下がらせてこっちやで、なんて手引いて歩くそいつにほぼ引きずられるように連れて行かれて。 …何で。だって、こいつ、何も言わなかった。なのに。 ふんふんふーん、と楽しそうに笑う彼にもうなんかもう悔しくて悔しくて、ふつふつと怒りが沸いてきた。背中をにらみつけて、とにかく付いていって。 ここがロマーノの部屋な、と通された瞬間、おっまえなあああ!とつかみかかった。 「うっわ!」 「おまえがそうなら最初っからそう言えよこのやろー!!!!」 耐え切れずに口調が地に戻ってしまう。ああもうまずい、のはわかってるけど無理! 「あははははっ!そーそー、それが見たかってん!」 そう言われて、ぐしゃぐしゃ、と頭を撫でられた。綺麗に整えられた髪が、崩されていく。 「こんなんいらんて〜。」 「な、ちょ、おい、それ高いんだぞっ、じゃない、ですよあああ乱暴に扱うなっ!!!」 ひょい、と簪を奪われて慌てる。敬語に直さないとと思うのに、直す暇なんて与えてくれない!くっくっと楽しそうな、耳慣れない、けれどこいつの声には何故かとても合う、方言。 「大丈夫、壊したりせえへんから。」 綺麗に留めてきた髪を全てぐちゃぐちゃにされて、下ろされて、それを見て、ほら、と楽しそうに笑う。 「こっちの方が、ずっと綺麗やで。」 「!!」 「何にも飾らへん、他人行儀じゃないロマーノが、ずっと見たかってん。」 やから、まずは怒らしてみよーと思って。なんてにこにこ笑う。 「何だよ、それ…」 「やって、客と花魁のままやったら敬語崩さへんし」 当たり前だ。こちとら客商売。そういうのは大事だ。 「…すごい暴れん坊だったりしたらどうするんだよ…」 「それはそれで楽しいやん?」 にこにこと楽しそうに笑って、頬を撫でられ、手についたおしろいに、む、とした顔して、ひょい、と担がれた。 「うわ、ちょ!」 「というわけで風呂行くで風呂!」 「ば、ちょ、や、やめてください!」 「敬語禁止〜敬語使ったら罰則ちゅー一回〜。」 「はああああ!?」 風呂にいって化粧も全部落とされて、そんなわけないのにこいつはずうっときれいきれいと繰り返す。…心からの笑顔で。むずかゆくてしかたがない。 体をよじると、ん?どないしたん?と囁かれた。 「べ、つに…あっん!」 奥まで突き上げられた。交わる距離が近すぎてぞくぞくする。気持ちいい。 「もっと聞きたい…」 「あ、んっや、ダメ、そこ…っ!」 ぼろりと涙を流したら、唇を舐められた。ゆっくりになる動き。 「ロマーノ。」 甘く呼ばれて、そっと目を開けた。優しいオリーブの瞳。 「名前、呼んで」 「……スペイン、」 小さく、呼んだら、額をすり付けられた。愛しいものを見る視線が、信じられない。 「好きやで、ロマーノ」 「…馬鹿」 赤くなりながら呟くとうれしそうに笑う。 「…気にならないのか?」 「何が?」 「口調。」 こいつは俺の、主人になったはずなのに。 それなのにこいつは、全然?と笑う。 「むしろそっちのが好き。」 ロマーノっぽい、なんて言うから、どういう意味だ、と睨みつけた。 途端に深くまで突き上げられ、顔をしかめる。 布団にすがりついた手を、取られ、背中に回された。 「!」 「今日は、俺に頼って?」 …気づいて、いたのか。あの日、絶対にすがりついたりしなかったことに。 な。と念を押され、きゅ、とその背中に抱きついた。…広い背中だ。そう思って、しがみつく。 「…っあ、あっ!」 「ロマーノ、」 好きやで、もうめっちゃきれい。 囁かれて、いやと首を横に振った。怖い。そんな風に言わないで。 「嘘やない。信じて。…さらけ出して、」 全部、見せて。そう言いながら奥まで突き上げられ、ぼろ、と涙がこぼれた。 今までのどんな相手とのよりも感じてしまって、最後にスペインも一緒に達したときには、意識を保っていることすらできなかった。 終わりがあるからこそ、美しいのだと、愛しいのだと、誰かが言った。 「…それはほんまかもしれへんけど…俺は、そんなんどーでもええから、飾らへん方が綺麗やと思うけどなあ。」 「…どーでもっておまえ…。」 呆れて見たら、楽しそうに笑われた。 「少なくとも、ロマーノはその顔が一番綺麗。」 化粧してない顔を撫でる手に、ため息をついて小さく笑った。 「あ!」 「な、何だよ」 いきなり声を上げられて瞬いたら、今の笑顔めっちゃかわええ!と突撃する勢いで抱きついてくるから真っ赤になって馬鹿!と怒鳴った。 戻る くるみ様からのリクエストで「ロマ♀で遊郭パロ」でした こんな感じでしょうか?あんまり女の子っぽくなくてすみません… こんなですが少しでも気に入っていただけるとうれしいです。 ありがとうございました! |