※伊が先天性女体なお話なので、苦手な方はご注意ください ここにいるだけでいいですから。 そう言って、オーストリアさんもハンガリーさんも行っちゃった。 仮面舞踏会。身分を隠して、もし相手が誰かに気づいても、言わないようにしないと。 何回か参加したこともあるから、ダンスに誘われてもかわすこともできるようになってる。…だからこそ、二人とも行っちゃったんだけど。 座ったまま、周りを見回す。 みんな豪華な衣装に、仮面をかぶっている。本当に知らない人もいれば…髪だけでまるわかりな人も、いる。 今ばちん、ってウィンクした、綺麗な女の人と踊ってたのフランス兄ちゃんだ。 その向こうには柔らかく笑いながら、仕事のお話してるハンガリーさんも見える。 …舞踏会は仕事の場だって言われても。私まだわかんないし。 でも、慣れておいたほうがいいって。確かにそう思う。 独特の、妖しい不思議な雰囲気。相手が誰かわからない。そんな中で、ダンスを踊る、普通じゃない高揚感。 これは、実際に行ってみないとわからないものだから。 ぼーっと見ていると、踊りませんか?と声がかけられた。 いえ。結構です。そう言おうと顔を上げて。 息を止めた。 あれ。あれ?嘘。 知ってる。この色。この青。この目、知ってる! 声を上げそうになった。途端に、しい、と人差し指を立てられる。慌てて、口を閉じて。もし相手が誰かに気づいても、言っちゃいけない。 これは、だって、仮面舞踏会なんだから。 「僕と、踊りませんか?」 美しい人。そう、言われた。優しい声。知っている、のに、知っている声とは違う声。 まるで夢の中にいるような不思議な気分になりながら、こくん、とうなずく。 曲はワルツ。明るくない、短調で妖しい、ワルツ。その少し大きな手を取る。ちょっとぎこちないリード。でも、それがうれしくて。 耳元に彼の唇が触れた。 「…抜け出さないか?」 吐息に近い、私にしか聞こえない、声。なんだか泣きそうになりながら、きゅう、としがみつく手に力を込める。 「いいよ。」 囁き返すと、彼が笑った。 ダンスが終わって、手の甲にキスしてもらっても。 その手を離せそうに、なかった。 離せない腕をつないだまま、たどり着いたのは客室の一つ。彼の部屋、なんだろうか。…そして彼、なんだろうか。 神聖ローマ。絶対そうだ。それはわかる。間違えない。 けど、…どうしてだろう。違う人、の雰囲気がする。 離れていた時間のせい?…違う、気がする。 この、今日の、仮面舞踏会っていうその、空間の魔力のせい、かもしれない。 いきなりぐ、と体を抱きかかえられた。 「わわ、」 その体にしがみつくと、ふわ、と下ろされたのは、ベッドの上。 「…外しても、いいか。」 仮面に手をかけて、低い声で言われて、どきどきしながら小さく、うなずく。 少し怖い。けど、でも。 そっと、外される仮面。 「私も、外していい…?」 聞くと、ああ。と一言。そっと手を伸ばして、はずす。 現れるのは、間違いない。他の誰でもない、神聖ローマの青い瞳、金色の髪! 神聖ローマ。泣きそうになりながらその顔に手を伸ばしたら、そっと近づいてきた。 キス、するのかな。したことないけど、でも。 そうするのが当たり前な、気がした。 そっとキス。舌が伸びてくる。口を開くと、入ってくる舌。そっと絡めて、ぎゅ、と目を閉じて抱きつく。 くちゅくちゅ、って音がする。甘い。とても甘い。 「…ん、あ、…ふ…。」 離すと、青い瞳がまっすぐに私を見つめていた。 じっと見る視線に、強い、欲しいって心を感じて、目を閉じた。 怖い、けど、でも。 「イタリア、」 「…神聖、ローマ…。」 私だって、欲しい。 その気持ちは一緒だから。 「…、あ。ん…っ!し、しんせ、ローマ…っ!」 だめ、そんなとこ、と声を上げると、足のつま先にキスをした彼が、顔を上げた。 「…本当にダメ、か…?」 不安そうなその声に、だ、だって、汚い、と声を出す。 だって、お風呂だって入ってないのに。 そう言えば、ほっとした表情をした。 「大丈夫。イタリアは全部、綺麗だ。」 優しい声で言われて、かああ、と顔が熱くなる。 「っ、でも、」 「でも。」 言い返そうとしたら、真剣な瞳で先に言われた。ぱちり。思わず瞬く。 「本当に嫌だったら。ちゃんと教えてくれ。」 何が嫌で何がダメなのか。…俺、は、初めて、だから。わからないから。 「…はじめ、て。」 「…ああ。」 困ったように笑った彼。じ、と見上げて。 思わず、ほう、と息をついて笑った。 途端に固まる神聖ローマに首を傾げる。 「どうか、した?」 「、ああ、いや、」 何でも、ない。そう視線を逸らす彼の頬が赤くなっている。 かわいいな。思って、ちゅ、と頬にキスをする。 「!イタリア、」 「…一緒で、よかった。」 私も初めてだから、…すっごいどきどきする。 ぺたり。彼の裸の胸に手を当ててみる。…心臓がどきどき言っているのが聞こえた。私より早いかもしれない、音。 「…うれしい?」 「うれしい。」 笑って答えると、ちゅ、とキスされた。俺もだ。優しい声。どきん、と心臓が高鳴って。 ぎし。ベッドがきしんだ。覆いかぶさる彼の影。…でも、怖くない。 優しい青が見えているかぎり、もう怖くない。 「あ、あ、あ…っ」 ぐいぐいと、押し込まれる。痛い。熱い。涙がこぼれる。 「、やめ、るか?大丈夫か?」 心配そうな声に、だい、じょぶ、と囁く。 「だから、やめない、で?」 最後まで、したいよ、神聖ローマ。 彼の肩に額を当てる。汗ばんだ体は熱い。私もそれは、一緒、で。 「好き。」 「…俺もだ。」 掠れた声。言われて、ぎゅ、と抱きしめる力がちょっと、強くて。…でもうれしい。 「…動く、から。」 つらそうな声にうなずいて。ぐ、と動かれたら、あ、と声が出て、止まらなくなる。ごめん。そう言いかけたのがわかって、キスをした。謝らないで。うれしいんだから! 「ん、し、んせ、ローマ…っ!」 「、タリア、」 愛してる。低い声に、きゅ、と目を閉じて。じわり、と胸が温かく、なって。 手を伸ばす。顔の隣でシーツを掴む手に、重ねて、絡めて。 「んあ、あっあ…!」 きゅ、と眉を寄せる。がくがく。揺らされる体。意識が、浮く。自分じゃないみたい! 「あ、つ、あつ、いよ、あ…っ!」 「大丈夫だ。…ここにいるから。」 「…っ!」 視界が白くなる。痛い、けどそのほかにも、何か感じる。頭が、弾けそうな。 「や、あ、あ!っ、いローマ、神聖ローマ…っ!」 呼んで、力を、入れて抱きしめて。もう何も、見えなくなりそうで。握られた手がそのまま、頬に添えられる。見上げると、深いキス。 「…んん…っ!」 「…っくっ…!」 かあっと頭の中が真っ白になって、それでも。 きゅ、と強く握ってくれる手があるから、怖くはなかった。 「…、いたりあ、」 見上げると、青い瞳。優しい色。 「神聖、ローマ」 そっと呼んだら、優しいキスをしてくれた。 戻る 蓮様のリクエストで「神羅伊で伊♀で。初々しく」でした こ、こんな感じですか…?あまり初々しくないかもしれないですが…どきどきしながらお互いしている感じがでてるといいなと思います こんなですが、少しでも気に入っていただけるとうれしいです ありがとうございました! |