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※学園パロディです。後輩独×先輩伊です。





すき、と書いたそのスケッチブックの端をやぶりとって、てい、と投げたら、背中に当たった。大きな背中は的としてちょうどよくて、当てやすい。
「……なんですか先輩。」
「ヴェー?」
「いやヴェーじゃなくて。」

呆れたように振り返った後輩は、俺よりずっと大きい体を小さくして机にむかって、何か書いてた。…設計図、みたい。
美術部員で、本当は活動のないこんな日まで美術室にやってくるのは、俺とこのドイツくらい。しかも先生今日出張でいないし。鍵なくても、立て付けの悪いドアが開くこと知ってるから、入れちゃうけど。
ドイツは肩をすくめて、またかりかりと書き始める。…図体に似合わずほんと細かい…。このあいだ見せてもらった本立てもすごく細かい細工までしてあって、かつ実用性に優れていて。ちょーだいちょーだいと大騒ぎして、家に大事に置いてある。
俺には無理だなあと思う。感じたことを感じたままに絵にしてしまうあなたの方がすごいんですよ、とドイツは言ってたけど、絶対そんなことない。
俺は描き終ったらヴェーって伸びちゃうけど、彼は、次の、ってまた設計図を描き始める。…それは、美術っていうより、工芸とか、そういうのに近いんだろうけど。そういうのもいいなあって思う。

でもせっかく恋人と2人きりなんだからもうちょっと構ってくれてもいいと思います。ヴェ。
うなずいて、ドイツー。はぐしたいはぐはぐ、と声をかける。
反応なし。…無視、された。
それでも諦めずにはぐはぐはぐーと両手を伸ばしてばたばたしていたら、はあああ、と深いため息。
かと、と鉛筆を置いた瞬間を見計らって、がば、と抱きつく。
「ドイツドイツー。」
すりすりと擦り寄ったら、ぐしゃぐしゃ、と頭をなでられた。大きな手。…大好き。
「キスしてー?」
「…ここ学校、」
「誰も来ないよこんなとこー。」
特別教室棟の4階のすみにある美術室。…だれも前を通ったりしない。
だからねー?と笑ったら、頭痛がする、とばかりに額に手を当てた。
「…キスはー?」
「……嫌です。」
「なんでっ!?」
がん!とショックを受けて、何で何で俺嫌われることした、とおろおろしていたら、ああいや、そうじゃなくて、と疲れ果てた声。

「…歯止めが、効かなくなるので、嫌です。」
歯止め。そう聞いて、擦り寄る。
耳にちゅ、と口付けして、囁く。
「だから、誰も来ないってば。…こんなとこ。」
ねえ、ドイツ。そう、吐息に乗せて呼べば、息を飲む音が、聞こえて。
世界が回って、気付いたら、机の上に、押し倒されてドイツを見上げていた。
「…あなたは本当に……。」
ため息。…そんなについたら幸せが逃げちゃう、とふちゅ、とその唇を塞いだ。
触れるだけのそれをしかけたら、高温の灼熱のような、青い瞳に射抜かれた。
「ここでされたいのか、イタリア。」
囁くようにそう言われて、ぞくっとした。
…敬語を使わなくなるのは、こういうこと、するときだけだから。…条件反射っていうか、そういう感じで、聞いただけで、自身が立ち上がり始めるのを感じてしまう。

頬をなでられる。熱い瞳に似合わない、優しい手。
目を閉じると、口付けられた。さっきと違って、伸びてくる舌を受け入れて、舌を交ぜる。響く音。…最初よりは上手になったなあ、とかちょっと先輩ぶったこと考えてたら、舌の先をじゅ、と吸い上げられた。びくん、と体が揺れる。
弱いって、知ってるくせに。途端に力の入らなくなった体に、大きな手が触れていく。
しゅる、とネクタイをはずされて、俺結べないのに、とちょっと思った。…まあいいか。ドイツにしてもらおう。
シャツのボタンをはずしていく指。はずして、する、と素肌を撫ぜられて、思わず身じろぎした。離れる唇。どうした。尋ねられて、その手に触れる。
「手が冷たいよ…。」
「…悪い。」
細かい作業した後は、肩こりのせいか、いつもその手は冷たくて。暖めたいと思って、つかんだ手を、唇に運んだ。

キスをして、ゆっくりと舐めて、口の中に運ぶ。
先から根元まで辿るように全部の指に舌を這わせていたら、そのまま、と言われた。
「噛んでいいから。」
そう言って、ドイツの金色の頭が視界から消える。
次の瞬間、胸の突起を舐め上げられて。
「ふ、んん…!」
いつもなら甲高い声が溢れるところだけれど、舐めていた手にぱっと塞がれたから、くぐもった声しか出なかった。
そのまま押しつぶすように舐められて、体がくねる。どうされると弱いかなんてもう知り尽くしてる舌が、頑丈で細かいものを作り上げるごつごつした指が、体を這うだけでもう我慢なんてできるわけもなくて。
「ん、んぁ!んふ…!」
はだけたシャツが体を撫ぜる感覚さえ、かき回してぐちゃぐちゃにしたから、はら、と落ちた前髪が肌に触れる感覚さえ、気持ちいいと感じてしまう。
舌が、指が、突起を攻め立てる。いやいやと首を振っても、口を塞いだ手はどかない。
「声が聞けないのが残念だ。」
けれど、どこかの誰かにお前の声を聞かせるのはもっと嫌だ。低く言われて、その内容にくらくらする。
敬語なんてやめてよって、付き合い始めたときに言っても全然聞いてくれなかったくせに。…こういうときだけは、本当に年下とは思えないくらい、強引で強気で。
「イタリア。」
先輩って呼ばれるより、こっちの方がずっと好き。
ズボンのファスナーを開けて自身を握りこまれる。その感覚にふあっと声が大きくなった。
「こら。」
黙れ、とそう唇で声を塞がれた。
くちゅ、と混ざる唾液を飲み干していたら、ズボンと下着を引き下げられた。膝に引っかかるそれが邪魔で、足を動かして脱ぐ。
そうしている間に、やわやわと直接、じゃなくて、周りをなぞるように刺激されて、んんう、と抗議の声を上げた。
ゆる、と先端を指先でなぞられる。それから、少し力をいれて、抉るように。
「んんっ!」
強すぎる刺激に一瞬、頭が真っ白になりかけた。すぐに離されて、イくところまではいけなくて、ふう、と鼻から息を吐く。
離れる唇。つながる唾液の糸。
見上げると、微笑まれた。こつり、額同士がぶつかる。
「…イタリア。」
愛している。そう言う声が甘くて、ほう、とため息。
「…俺も、好き。」
囁いて、抱きしめる。大きな体。…ああ、本当に大好き!
先走りでぬめった指が、後ろに回る。つぷり、と入れられて、ん、う、と声を耐える。
「…熱いな。」
熱くて、柔らかい。そう言われて、顔を赤くする。だってそれは、ドイツが昨日あんなに、するから。一週間ぶりに触れられるのが嬉しいのは、おまえだけじゃないって。そう囁いて。…朝遅刻ぎりぎりになるまで、離してくれなくてもうほんとくたくたで。
それでもまだ欲しいって、授業で会えない時間に思っちゃうのは、ほんと、ドイツのせいだと思うんだ!いくらでも、時間の許す限りもっとって、そう求められたら、もう。
それでも、中を傷つけないように、と、入り口あたりだけをぐちぐちといじめられて、やだよ、と小さく呟く。
「もっと、奥…だいじょ、ぶ、だから…。」
「…痛かったら言え。」
そう言って、奥まで長い指が入ってくる。その感覚に、首元にすがりついた。痛いか。尋ねられて首を左右に振る。痛いわけじゃない。
頭を直接揺さぶられるような衝撃が、走る。快楽、というよりももっと暴力的なそれに、声出さないように、と必死で耐えるけど、できそうになくて、がっしりした肩に噛み付いた。
「っ、」
低い声が聞こえて、ぐちり、と一番弱いところを突くように触られて、くぐもった声を上げた。じわり、涙が溢れる。
ぐちぐちと中をいじくる音がする。
もっと遠くでは、吹奏楽部の練習する音とか、運動部の掛け声とか、聞こえる普通の学校の放課後で、それだけが異常で、その事実に体が熱くなって。
きゅう、と中が勝手に締まって、は、とドイツが吐いた息が耳に当たった。
「…イタリア。」
いれていいか。掠れた声にこくこくうなずく。
抱きしめられる。ふさがれる唇。奪いつくすようなそれに夢中になっている間に、準備を終えたドイツのそれが、入り口に触れて。
「…ふあ、」
「…さっきみたいに噛み付いていいから。」
あんまり声、出すなよ。言われて。うなずいて。
一気に奥まで押し込まれる熱。耐えられるわけもなく、肩に噛み付いて声にならない声を上げた。目の前がちかちかする。
「…っ、イタリア…。」
低い声に呼ばれた。しがみついて、涙でにじんだ視界でその青を探す。
「ど、いつ、あっ!」
呼んだら、ずん、と奥を突き上げられた。
がくがくと揺さぶられて、あられもない声が出る。
「…、声、出すな…っ!」
「あっ!ん、む、り…っで、きな、あああっ!」
そんなことに気をやってる余裕なんて全然なくて、ただその強い衝撃を受け止めて、鳴くことしかできない。
「ど、いつ、ドイツ…!」
必死で名前を呼んで、しがみついた。頭がショートしそうだ。視界が揺れて、快楽の波に飲まれて。
「も…イく…っ!」
「イタリア…っ!!」
一番奥にたたきつけられて、その衝撃にびゅく、と吐き出したら、ゆっくりと意識が遠のいた。


「…ドイツー。」
「なんですか。」
もう敬語に戻ってる。むう、とふくれながら、自分の制服を正す彼にネクタイ結んでーとお願いする。
……ものすごく呆れた目で見られた。
「…結べないんですか。」
こっくりうなずいたら、だはあ、と疲れきったため息。
「…高3にもなって…。」
「だってできないものはできないよー。」
そう言い返したら、ほら、貸して下さい、と手が伸びてきた。やったー、とその手にネクタイを渡す。
「いつもはどうしてるんですか。」
「朝来たら日本先生が結んでくれる。」
「……そうですか…。まったく…今度教えますから覚えてください。」
「ヴェー、はーい。」
しゅるしゅる、と結んでいく手元を見ながら、ねえ、ドイツ、と呼ぶ。
「なんですか?」
「好きって言って?」
一瞬、動きが止まった。もう、いつまで経っても慣れないんだから…。あんなふうに俺のこと抱くくせに、普通のときに好きって言ってくれない。
「っ、好きですよ…。」
「そうじゃなくて!」
じいい、と見つめたら、ネクタイのあたりを見ていた視線が一瞬あがって、視線が合って、そのあとすぐにそらされた。
「…好きだ。」
「えへへへ俺も好きー!」
ドイツ大好きー!と抱きついたら、ほらもう途中で動かないでくださいよ!と怒られた。

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ミトン様からのリクエストで「学園甘甘裏」でした

勝手に変な設定にしてしまってすみません…でも頼れる副部長×みんなのマスコット部長は書いてみたかったのです!


こんなですが少しでも気に入っていただけると嬉しいです

ありがとうございました!















































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※独→化学教師、伊→生徒の学パロですのでご注意ください



がちゃり、と理科室のドアを開けて、さて授業も終わったし、と伸びをしたところで。
「…んにゃ…。」
声に気付いて、はっとそっちを見た。…つっぷした、見覚えのある、というかさっきまでの授業にいた生徒が一人…。

「…授業中から寝ていて置いていかれたか、全部終わってからこっちに来て待ってて寝たか…。」
どちらも彼だとありそうだから、怖い。
ため息をついて、近づく。
「こら、起きろ。」
「んん…。」
ちら、とあたりを見回す。…放課後の実験室なんて、近づいてくる人はあまりいない。
「…イタリア。起きろ、こら。」
ゆさゆさ、と肩を揺らすが、いつもどおり効果なし。

ため息をついて、念のため、とカーテンを閉める。今日はあまり天気がよくないから、電気を消した部屋はそれだけで薄暗くなって。
「…いや、別にやましいことをするつもりじゃないぞ。」
思わず、自分に言い聞かせるように呟く。
別にそういうつもりじゃなくて、ただ。
…ばれるとまずい立場にいる、というだけで。
イタリアは教え子であるのだが、それ以前に…あー何、…ごほん、恋人、なのだ。
入学当初から何故か引っ付いてきて、せんせーと擦り寄ってくるのが、…生徒に好かれることの少なかった俺にしてみれば、素直に嬉しくて。
いや、それがどうやって一線を越える関係になったのかはまあ、いろいろあるのだが………いろいろ、あるんだ。うん。

「イタリア。」
低く、囁くと、ぴく、と眉が動いた。
「ほら、起きろ…今起きないと、おはようのキスは無しだぞ。」
「…やだあ…。」
「いやなら起きろ。」
「おきる…おきるから待って…。」
「待たない。」
ほら、イタリア、ともう一度急かすと、やっとまぶたが開き、体を起こした。
「ん、ん…。」
「おはようイタリア。」
あきれ返って言えば、おはよーといつもの笑顔。
「せんせーおはようのキスー。」
「…はいはい。」


ちゅ、と唇に触れるだけのキスを落としてやると、唇が完全に離れる前に、腕が首の後ろに回った。
気付くのが一瞬遅れて、腕に引き戻される。
開いた唇の間から舌が入ってくる。こういうことに関しては器用なんだからなおまえは!その器用さを他に生かしてくれ、例えば試験管を割らないとか!
そうやって必死に他のこと考えて、額を問答無用(いやできないんだが)で押し返し、唇を離す。

「おまえは…っ!」
額に当てた手に力を込めると、わけのわからない声が上がった。
「ヴェー!痛い痛い痛い!せんせひどいー!」
「ひどいじゃない!おまえここがどこだかわかってるのか!?」
とりあえず手は離してやって、怒鳴ると、わかってるけど、とむう、とふくれる。
「せんせーが悪い。」
「は!?」
何だそれは!
「だって。」
イタリアはちろ、とこっちを見上げてきて、ふ、と視線を逸らした。
「………だもん」
「聞こえん。」
言えば、だあかあらあ!とぐい、と肩を引かれた。耳に触れる、吐息。

だって。白衣着てるせんせーえろいんだもん。

するり、と耳に滑り込んできた、吐息交じりの言葉に、かけていた、学校とか立場とかそういう制約が一気に崩れたのが、わかった。
わかったけれど、どうすることもできなかった。
見上げてくる彼の両脇に手を入れて、机の上に座らせる。せんせ?大きな瞳が瞬く。
せっかく我慢していたのに。すでに流れ始めてしまった欲望を、留めおく方法なんて存在しない。最後の壁は崩壊した。
片頬が上がる。お前そういう笑い方するとすごい悪い男に見える。そう昔兄に言われた笑い方をしている、自覚はある。
イタリアの目に、焦りが浮かんだ。
頬に触れて、ワイシャツのボタンに手を伸ばし、名前を呼ぶ。

「一番目隠し、二番手足拘束、三番恥ずかしい事を言われる、四番焦らされる。さあ…どれがいい?」
「ヴェっ、」
「ああ、もちろん合わせ技も大歓迎だが?」
なあ、イタリア?
低く、笑いながら囁くと、彼は許して、とばかりに引きつった笑みを浮かべた。
けれど、それと同時に。
…白い喉が、期待するように上下したのも…見逃してないからな。なあ。イタリア?

「あ、も、や…っ!」
「嫌ならやめようか。」
耳元で囁くと、泣きそうな瞳がこっちを見た。
「嫌、なんだろう?」
ゆっくり、と指を秘部から引き抜こうとすれば、やめないで、と焦った声。
「そうか。…では、まだ耐えられるんだな?」
ゆるゆると出し入れしてやると、体が震えた。
「も…っせんせ、意地悪…っ!」
「おまえが敏感すぎるだけだろう?」
笑って、きゅ、と締め付けてくる中から指を引き抜く。
んあ、と物足りなさそうな声。
濡れた指で入り口を撫でると、びくりと足が動いた。
「も、焦らさないで…っ」
悲鳴に近い声に小さく笑ってキスをした。

イタリアにとって一番きついのは四番だと知っていた。
自身に触れない上に後ろも、弱いところを避け、締め付けてくると抜く。そんなことを続けていたら耐え性のないイタリアが保つはずもない。
「せんせ…っ」
おまけに自分ではできないように手をネクタイで拘束し、腰をがっちりとつかんで動けなくしている。やだよせんせ、泣きそうな声。
「もう、せんせのちょうだい…!」
お願い。言う声に、耳元に唇を寄せる。
「ここがどこだか、わかってるんだろうな?」
囁くと、かっと顔が赤く染まった。耳の端まで赤い。
ここは、学校だ。いくら鍵を閉め、カーテンを閉じていたとしても。

「それでもいいのか?」
ゆるゆる、と入り口を撫でて尋ねる。ぎゅ、と目を閉じて。
「…い、いよ、ほし…!」
消え入りそうな声。恥ずかしげなそれを聞いて満足して、自分の着ていた白衣を脱ぎ、机に引いてその上にイタリアを寝かせた。
準備をして覆いかぶさると、キス、と首筋に絡んでくる腕。…どこまで誘い上手なのか、こいつは。本当に未経験なのか、問い詰めたくなるのは何度目だ。…いや、無意識でやられた方がたちが悪い、か。本人にその意思がないのだから。


頬を撫でて唇を重ねると、すぐに夢中になってくる。
茶色い髪、白い肌。今誰より近くで感じるそれを、もっと近くで見たいと、そう願ったのは本当は、彼が声をかけてくるより前だったかもしれない。
べろりと弱い上顎を舐め上げて、びくりと震えた体を撫でて足を開かせる。
「ん、ん…っ!」
甘い声を聞きながら、傷つけないようにゆっくりと自身をあてがい奥へと進めると、強くしがみつかれた。同時に締め付けられ、眉をひそめて口づけを中断する。
「…は、」
「あ、ん…おっきい…。」
「っ、イタリア、」
低く呼んで、もう一度キスをして腰を最後まで進めた。

「んんーっ!」
塞いだ唇から甲高い声が響く。…イタリアは声が大きいから、いやそこももちろん好きなんだけれど。場所がまずい。
軽く揺すると、声が跳ね上がる。
ぎっちりと締め付けられて思わず息をつめた。
「…は、動く、ぞ。」
キスの合間にそう告げれば、はやく、と急かされた。
綺麗な足を大きく広げて、奥まで突き上げる。大きく上がる声を、唇の中に飲み込んで。
がくがくと揺さぶれば、締め付けてくる中、それと、声の音程でだいたいわかる、もう限界だと訴えているのが。
「…っ、たりあ…っ!」
呼んで、唇を離した。途端に高い声が漏れて。まずいのはわかっている、けれど。聞きたい。
「…っど、いつ…っ!!!」
甲高い声が、達するその瞬間に、名前を呼んだ。




「……う、ん…。」
「起きたか。」
そう声をかけると、せんせ?と寝ぼけた声がして、しばらくして、ばか、と恥ずかしそうな声がした。
運転中なので視線は向けられないが、顔が真っ赤だろう。
喉の奥で笑うと、笑い事じゃないもん、と抗議。
「せんせの馬鹿!」
「そんなこと言うと腰立たなくするぞ?」
「えっ、」
ぴし、と固まる気配。ちょうど赤信号になったので、ブレーキをかけて、ちら、と隣を見やる。

「だ、だってさっき、」
「…あれだけで満足できたと思うなよ?」
低く囁くと、さあ、っと血の気が引いていった。笑って、最後通牒を告げてやった。
「安心しろ、立てなくなっても、たっぷり介抱してやる。」
そう言って、青になってアクセルを踏む。
行き先は、異議も認めず俺の家、だ。

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藤崎様からのリクエストで「独→化学教師、伊→生徒の放課後の化学実験室で」でした

独が大人なぶんどえすだといいなあとこんな感じですが、いかがでしょうか?

こんなですがすこしでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!