わけがわからなかった。 何が起こっているのかわからないまま、けれど、どうやら自分がさらわれたらしい、ということを知って、ぱちぱちと瞬く。 「ヴェ」 縛られた手首と足首が痛む。ただでさえ拘束されるのは苦手なのだ。なのに。ついでにスカートで床に転がされているから冷たい。あと、擦り傷ができているみたいで全身痛い。 楽しくドイツとデートのはずだったんだ。ちょっと一人で待ってる間に、口をふさがれて、意識が遠のいて。 気づいたら、薄暗いどこだかわからない部屋の中。 捕まる、ということ自体が久し振りすぎてどうしていいのかわからない。…そう考えると、俺やっぱりすごいドイツに守られてたんだな… 「…ドイツ、」 呟いて泣きそうになる。腕は動かせないし足も痺れてきたし冷たいし。 俺、どうなっちゃうんだろ…。 うつむいていたら、大勢の足音が聞こえてきた。 「何…?」 怯えていると、がちゃんと扉が開かれる。入ってくる覆面の人たち。 「!」 なにやらうなずきあって、俺の方に近づいてくる。 伸びてくる手。肩に触れるそれが嫌で 「や!やだっドイツ…!」 たった一人の名前を呼んだその瞬間。 ばん!と音を立てて扉が開いた。 現れたのは、光をまとい輝く、金髪。恋い焦がれた青い瞳! 「、汚い手で、」 低く、そう言って一歩踏み出す。 「イタリアに触れるなぁっ!!」 走ってくるドイツに銃が向けられ、思わず目を閉じた。 けれど、銃声なんて聞こえなくて、代わりに痛そうな殴打する音が聞こえて、余計にぎゅ、と目をつむって。 しん、と静まったから、ヴェ、と思ってきつく目を閉じていた力を緩めると、開く前に、ケガはないか、と優しい声。 ぱっと目を開けると、膝をついて心配そうに顔をのぞき込むドイツの姿! 「ど、いつ…!」 ぶわっと涙がにじんでくる。ドイツ…!と叫んでその腕の中に飛び込むと、遅くなってすまない、とそう抱きしめてくれた。すぐに手と足の拘束を解いてくれる。 自由になった腕でしがみつくと、体を軽く抱き上げられた。 「帰ろう。」 こくんとうなずいて、胸に顔を埋めた。 「っ!」 「悪い、しみたか?」 「…へいき」 痛いけど。涙目で笑うと、頭を撫でられた。 擦り傷だらけでお風呂なんかはいれたものじゃないから、ドイツが体を拭いてくれているのだ。 自分でできると言ったのに、いいから、とタオルを奪われてしまった。 体がさっぱりしていく感覚が気持ちよくて、思わずため息をつく。 ふと、腕を引かれた。 「ヴェ?」 じっと俺の手を見るドイツに、何かついてる?と聞こうとしたら、そっと手首にキスを落とされた。 巻いた包帯の上に、熱を感じる。 「…ドイツ。」 優しい感触。それだけで愛情が伝わってくるようで、思わず息をついた。 視線が合う。掴まれていない方の手を伸ばすと、抱き寄せられる。髪と頬を撫でていく大きな手に目を閉じる。重なる、唇。 首の後ろに腕を回して引き寄せるようにしてねだれば、緩く開いた唇から舌を絡められた。 夢中になってそれを求めていたら、顔を離された。 「んあ、なん、で」 「…イタリア、いいのか。」 心配そうな瞳。…その色に、うなずいて、頬を撫でる手に、そっと自分の手を重ねる。 大きくてごついけど、誰よりも優しくて俺をいつも守ってくれる、手。 擦り寄ったら、抱き寄せられた。ゆっくり、ベッドに倒される体。 「痛かったら言え」 うなずいて、目を閉じる。気遣うような手つきに震えた。心が。ドイツはいつだって優しいのに、それ以上に優しい指先が、キャミソールの上をなぞる。 「…こんなところにも、」 「っ!」 肩に触れられて、びくっとしてしまった。悪い、と言いながら離れる指。 薄い生地のワンピースを着たまま、倉庫に寝かされていたからか、腕から足まで、擦り傷がたくさんできている。冷たくて、痛い感覚を思い出して、体が震えた。 「…ドイツ、ハグして…」 腕を伸ばすと、優しく抱きしめられた。…あたたかい。だからこそ余計に思い出す、怖い、感覚。 「あっためて…もう、怖くないって教えて、お願い…!」 しがみついたら、そっと抱き寄せられた。 「…わかった」 額にキス。優しい眼差しに、思わずため息をついて。 首や肩にキスが降ってくる。首筋にきゅ、とすがりついたら、腕にも。 「は、あ…」 「イタリア…」 ゆっくり、キャミソールの上を這っていく舌。甘噛みされた。じわりとした感覚に震える。 「あっ…ふぁ…」 声を上げると、ふくらみに吸い付かれる。布越しの決定的でない刺激に焦らされてドイツの髪を軽く引いた。 すぐに、脱がされる服。直接触れ合う肌に、我慢できなくなるのは、いつものことだ。 「あ…っも、と…っ」 口に出すと、強くなる愛撫。 突起に爪を立てられて、声が跳ね上がった。 柔らかさを確かめるように何度も揉まれると頭がくらくらする。確実なものが欲しくてぎゅ、とドイツの背中にしがみついたら、片手をはずされて、握りしめられた。 「大丈夫だ。ここに、いる。」 低く、けれどはっきりそう言われて、うなずいた。手を握り返す。 ゆっくり、頭が下に下がっていく。下着をずらされて、太ももを何度も撫でられた。 きわどいところまで行っては戻っていく手の動きに泣きそうになって、うるんだ瞳で見上げる。 冷静で真剣な瞳が、足に向けられているのに、戸惑って、思わず声をかけた。 「ドイツ…?」 「…」 何も言わずに、顔を太ももに近づけ、舐められる。走る痛みに涙がこぼれた。 一番大きな傷が、そこにはあった。何かの角でひっかいたらしく、スカートも破れていた。 「痛いよ、ドイツ…」 「…すまない。」 すまない。小さな、けれど真剣な謝罪。 それが、自分が今言った言葉に対して、ではない気がして言葉を待つ。 「…二度と。傷なんて負わせない。」 守る。ずっと。だから信じてくれ。まっすぐに見つめられて告げられた言葉に、息が詰まった。 …何で当事者の俺より傷ついた顔してるの?もう… 「ドイツは真面目すぎ。」 「…。」 「そんな風に言わなくたって、信じてるよ。」 「!」 怖くてたまらなかった時も、ずっと信じていたんだから。ドイツが助けに来てくれるって。そしてそれは本当になったんだから! 「いつだって、信じてる。これからもずっと。」 ね?と見上げると、抱きしめられた。強い力に、痛いよドイツ、と笑った。 「キス、していいか」 わざわざそんなことを聞くから、頭を起こして俺の方から唇をふさぐと、すぐにシーツに沈められた。 「あ、あ…っ!」 「…っ、力を、抜け…」 ゆっくり奥に入ってきて、一つになっていく感覚に思わず息を吐いた。熱い。 ドイツのそれは大きいから、力を抜かないといけないのはわかってるけど、体が強張って言うことをきかない。 「む、り…あっ!」 胸に爪を立てられ、そっちに気を取られた瞬間に、ず、と奥まで埋められた。 「あ…は…」 指の先までびりびりする。 シーツを握りしめて動かせなくなった手を、ドイツの指が解いて、指を絡められた。 「大丈夫だ」 額をあわせてそう言われるだけで、全身から力が抜けていくから不思議だ。 「…ドイツ、」 空いた手を伸ばしてキスをねだると、すぐに唇をふさがれた。 甘いキスに夢中になっていると、腰を細かく揺らされる。一番奥に当たる感覚にきゅう、と締め付けてしまって。 だんだんと大きくなっていく動き。解放された口から、嬌声が漏れる。 「ど、いつ、ドイツ…!」 頭を真っ白にさせる快楽に、くらくらしてつないだ手を握りしめる。 「…っ、イタリア、」 愛してる、誰よりも。囁かれる、強い言葉に震えた。ドイツは滅多に言葉をくれない分、こういう時に言われるとずるいくらいに、胸がきゅうっとしてしまう。 「あ、あ…っ!も、だめ…っ!」 泣きそうになりながら、訴えると、一番奥まで突き上げられた。 それを何度か繰り返されるともう我慢なんてできなくて、達してしまった。 締め付けると低く呻いて、一番奥でドイツもイったのがわかった。 「ん、ん…」 ゆっくりと、目を開ける。白に近い肌色。…ドイツだ。そう思いながら見上げると、すう、と寝息。まだ夜なのかな?確かめようと、後ろにあるはずの時計の方に振り返ると、ベッドの端で寝ていたようでそこから先がなかった。 あわあわとバランスを保てずわたわたしていると、体をぐ、と引き戻される。 「ヴェ」 そしてまた、すっぽりとドイツの腕の中。 驚いて見上げるけれど、まだ寝息を立てている。 しかし、寝ていると思えない力で、腰を抱き寄せられ、後頭部に回る手。 「…ドイツ。」 眠っているときでさえ、俺を守ってくれるらしい。 笑って、すり寄って、目を閉じる。 「…おやすみ、ドイツ。」 俺の騎士、とつぶやいてみたら、あまりにぴったりでつい笑ってしまった。 戻る リクエストは「五千突破企画ver.日本三日目を独伊で」でした なんかこう…お姫様と騎士みたいな、感じで。 らぶらぶな感じが出でたらいいなと思います こんなですが少しでも気に入っていただけるとうれしいです。 ありがとうございました! . 「ドイツー!」 風呂から上がって寝室に向かってみれば、ベッドにぺたりと座り込む人影一つ。 「おまえ…客間で寝ろと言っただろうが…」 「やだ!ドイツと一緒がいい。」 きっぱり、と言われておまえな、と呆れる。 まったく…こいつは俺が男で自分が女だという状況をわかっているのか。…わかっていないんだろうなぁ…。 ため息をつくと、隙ありー!とイタリアに飛びつかれた。慌ててバランスをとろうとしたら、ぐい、と体重をかけて引っ張られてそのままベッドにイタリアごと倒れ込む。とっさに、イタリアをつぶさないようベッドに手をついた。 「っ危ないだろ!」 「油断大敵でありますたいちょー!」 楽しげに笑うからおまえな!と怒鳴ろうと顔を上げる。 吸い込んだ息が、思いの外近い距離にある顔に、音にならず消えて。 きょとんとしていた琥珀の瞳が、ゆっくりと瞼の向こうに隠れる。 それを追うように、顔を近づけて、唇を重ねた。触れるだけのキス。 一度顔を離して、このまま続けてしまっていいのかを確認するために瞳をのぞき込んだら、後頭部に腕が回ってぐい、と引き寄せられた。また触れる唇。ぺろ、と唇を舐められて促され、唇を開く。 途端に入り込んでくる舌。絡めて、優しく舐めあげる。 深くキスを続けながら、細くて柔らかい髪を撫でた。 長いそれにようやく慣れてきた手を滑らせ、肩に触れ、かろうじて着ている、程度のキャミソールの肩紐にそって手を下ろすと、身じろぎした。 柔らかい肌を楽しんで手を這わせ、胸に触れる。 「…んっ」 甘く上がる声に小さく笑って、指を滑らせる。突起の周りをくりくりと撫でると首を横に振り出した。 唇を解放すれば、ふあん!と声が上がった。 「や、あ、ん…っ!」 もっとぉ、と甘い声に突起に爪を立てる。 ぎゅう、と首の後ろにすがりつかれて小さく微笑む。 「イタリア…気持ちいいか?」 こくこく、とうなずく彼女の耳を舐める。 「あっやっ…!耳ダメ…っ」 「ダメなのか?」 直接耳に囁きかけるとびくんと体が震えた。小さくて柔らかい体を優しく抱きよせる。 手を動かせば耳元で上がる声。…素直で愛しく可愛らしい。 「ど、いつ…!」 潤んだ琥珀が、見上げてくる。 ぞくりと背筋を走るのは、快楽か、それとも。 …やることは同じか。そう思って下に顔を動かす。 白い首元に赤い花を散らせば、そんなとこ、と非難の声。 「あまり露出した服を着なければいい。…もしくは、見せてやればいい。」 つけた赤い痕を、指でなぞる。そのまま下に指を這わせれば、柔らかな肌に沈んで。 「は、あ…!どいつ、焦らさな…っ」 「焦らしてるつもりはないんだが…おまえが敏感すぎるのが悪い。」 笑えば、肌に触れる息さえ気持ちいいらしい。胸の山を柔らかく噛む。 「ふぁ!あ、あ…!」 跳ねる体を上から覆いかぶさってシーツに沈め、舌で掬い上げるように胸を刺激する。 首を横に振ると、ぱさ、と髪が揺れる。…かわいい。愛しい。 白くて柔らかい肌に指を沈め、その触り心地を楽しむ。 つつ、と指をそのまま下へと這わせると、こくり、とのどが鳴った。見上げれば、潤んだ、期待するような瞳と目が合う。 笑って、ゆっくり指を腰を通って太ももを手のひらで撫でる。 「あ、」 胸に舌で愛撫を施しながら、内股を撫であげる。…湿った感触。 思わず笑って、ゆる、と指を谷間に沿わせて這わせる。びくびくと震える体を空いた手でなだめる。 「あっ、ドイツ…っ」 「焦らすな、か?」 わかった、と囁いて、胸を甘噛みするのをやめないまま、指を秘部に沈める。 跳ね上がる声を聞きながら、指で慣らすように出し入れを繰り返せばひくつく腰。 「あ、あぁっ!」 弱いところをつつくと逃げられた。わざとそこを避けて周りを攻める。 「あ、あ…」 口を離して、イタリアの表情を見る。…綺麗だ。本当に。 唇にキスを落として、ゆるゆると指を抜き差してやれば、震える瞼。 「ど、いつ、あ、あ…っ」 きゅ、と腕を掴む手。…イっちゃい、そう。荒い息にまぎれて声が聞こえる。 「ひとりは、やだ…あっんっ!」 「一緒に、な。」 そう囁いて、ゆっくり指を抜く。 服を脱いで、準備をしてから、自主的に広げられた足に手を添え、白い足にキスを落とす。 「ど、いつ…はや、く…っ!」 「ああ。」 小さく笑い、わざとゆっくり、と沈め、入り口の付近で止める。こっちも限界は近いが、まだ耐えられる。 「あ、あ、や、…じわる…っ!」 耐えられないのはイタリアの方だ。知っている。はやく、と腰を押しつけてくるのをしっかり掴んで固定して、浅く抜き差し。 「や、も、ドイツ、ってば…っ!も、全部ちょうだ…っ!」 「…ああ。」 わかった。そう囁いて、に、と笑った。 そして、腰をつかみなおして、奥まで一気にたたきつける。 悲鳴に近い声を聞きながら、きつく締め付けられて耐えられるわけもなく、がつがつと貪った。 高く意味をなさない嬌声、それでも、呼ばれている気がして、抱きしめる。 「あっ、も、ど、い、ダメ…っ!」 ひときわ高く上がった声と同時に、一番奥で達した。 「…ドイツ?」 聞こえた声にほっとした。意識を飛ばしてしまったイタリアは、美しいけれどどこかこの世のものと思えなくて、このままだったらどうしようかと不安にさせる。 「大丈夫か?」 「…大丈夫じゃない…」 くたくた、と疲れたため息をつく彼女に言葉を詰まらせながら、すまない、と謝る。 無理をさせてしまうのは、どうしても体格差があるのと、…後は俺のせいだろう。追い詰めた分だけ綺麗に見えてしまう、から。 「嫌なら、控えるようにする、から」 難しいが。イタリアのためなら。そうつぶやくときょとんとした瞳。不意に柔らかく笑った。 「やだなあ、もし嫌だったらドイツのベッドに潜り込んだりしないよ?」 甘やかな声とふにゃんとした微笑みに、そそそうかっと思わずどもりながら返す。顔が熱い。 「ヴェードイツ顔真っ赤〜」 つんつんと頬をつついてくる指にうううるさい!と怒鳴って、ため息。…自然と苦笑してしまうのは、惚れた弱み、なんだろうな。まったく。 戻る g 美羽様からのリクエストで「独伊のMy Lady設定で甘裏」でした べったべたの甘甘な感じ…を目指しました!すこしでも現れてるといいなと思います こんな感じですが、すこしでも気に入っていただけたらうれしいです。 ありがとうございました! 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