あの人は、大人、だから。 初めて会ったあのころから、身長も伸びたし、いろんなことを覚えた。 あの人と対等に話せるようにも、なった。 それでも、あの人は大人だ。今でも。 なんだかんだ問題は起こしてるけど、それでも、自分で言ってるようにみんなの『お兄さん』で、頼られてて。 だから、ええと、なんというか、その。 「……シて、とか言えない…!」 まふまふと柔らかい枕を叩く。 いや別に、欲求不満と…いうわけなんだけど。要は。 だってフランスさんが、いつもなら三日空いただけで、家につくなりベッドへゴーみたいな、そんななのに、今回に限ってそうじゃなかったから。普通にご飯食べて、おやすみって、滅多に使わない客室に通されて。 予想、というか、期待、してた分、体に熱がこもってしまって。 「…フランスさんが悪いんだもん…」 もともとこういうことには淡白な方だった。なのに、彼とつきあうようになってからというもの、ずっと求められて。それなのに、今日に限って。 「うう〜…」 シて、なんて言えない。お酒に酔ってたり、最中なら話は別だ。だけど。 あ、だめ。最中、なんて思い出したら…っ ベッドの上で体をくねらす。 「…いって、みる…?」 フランスさんに。 …いやでも。軽蔑、とか………しないだろうなあ…むしろ喜びそう… そう思ったら、少し、勇気が出た。 よし、と起き上がったら、バランスをくずしてベッドから落ちた。 こんこん、とノックすると、はい、と声の後、がちゃん、とドアが開いて。 思わず、叫んだ。 「な、なんて格好してるんですか!」 「だってカナしかいないから。」 怒るなよ、なんて笑いながら言う彼は、何故か上半身裸で。 心臓が、高鳴った。 入れば、と通されて、甘い、コロンの匂い。 あんまり濃い匂いではないけれど、くらくらと、酔ってしまいそう! 「どうした?」 「あ、の、えと…」 か、顔をのぞき込まないで…恥ずかしくて、顔を伏せる。 「ん?」 ふわり、と近い距離で甘い香り。 青い瞳、が、すぐ近くにあって。 我慢できなくなって、口づけた。 驚いた瞳が、見えたけど。ぐい、と不安定な体勢をした彼をベッドに押し倒す。 ゆっくりと唇を離して様子を伺うと、楽しそうな笑い声。 「カナに押し倒されちゃったぁ…」 「う、…だ、ダメですか…?」 「まさか…ちょっとびっくり、したけど。」 「う、」 「まさかカナにこんなことされるなんて…」 「…ご、めんなさい…」 謝ったら、謝る必要なんかないだろ?と笑う。 ぐい、と腰を引き寄せられた。すり付けるような動作に、さっと顔が赤くなる。 「…たってる。」 耳元で囁かないで…っ! 「えっちだなぁ、カナダ」 「〜〜っ!」 いつのまにか、体勢を入れ替えられる。ぎしり、と押し倒されて、ぽかぽかと胸を叩いた。 「フランスさんの馬鹿!」 「ははは、かーわいい」 大好き、とちゅ、と額にキスされた。 「〜っ!」 「カナ。」 静かに呼ばれて、目を閉じる。メガネをするり、とはずされた。 触れる唇。唇を舐められて、軽く開けば、入り込んでくる舌。歯の裏とか、口内を舐め尽くすように舌を動かされて、いつもなら服にしがみついたり、するんだけど、今日はそれが無くてやり場のない手を握りしめたら、その上から握りしめられた。 「大丈夫。」 絡められる指。それに本当に、ほっとして。 散々口の中を味わった後で、そのままつつ、と舌を這わされる。 「はあ、」 片手で器用にはずされていくボタン。 ゆっくりとしたその動作がじれったくて、体をよじったら、それがなんでかわかったのか、くすくす笑われた。 「!フランス、さんっ!」 「わかってるわかってる。…放っといたお兄さんが悪かったんだよな。」 ごめんな、とそう笑う、瞳の色に、思わず息を飲んだ。 青くて深くて、飲み込まれそうな、その色。 「けど、こんなことされたら…ちょーっと、セーブできそうにないんだけど。」 全部、受け止めてくれるよな?カナダ。 吐息と共に囁かれて、何も言わずに目を閉じた。 沈黙は肯定だと、きっとわかってくれるはずだから。 「カナダ、」 こんなときに呼ばれる名前は、ひどく熱い。…熱くて、触れた鼓膜から何からすべて溶かしてしまいそうだと思った。 「足、もうちょっと開いて…そう、いい子だ。」 彼の前であられもない姿を見せるのは恥ずかしいけれど、その声で囁かれたら、もう従ってしまう。そうさせる魔力がある。…それはきっと、愛、という名前がついた魔法の力なんだろうけど。 くちゅ、と音を立てて自身を扱かれて、思考がふやける。気持ちいい。 「あ、あ…。」 「気持ちいい?」 こくん、とうなずく。ゆっくりと手で形を辿るように、柔らかく触れられるのは、じれったいような、けれど快楽で頭の中がどろどろになっていくような感じがする。 「も、っと…。」 「もっと?ゆっくり?激しく?」 …っ、もう、わかってるくせにそういうこと言う! 非難の気持ちをこめてぎり、と背中に爪を立てた。 「っ、ごめん、」 そう笑いながら言うから笑わないでください、と言おうとしたら、口を開いた瞬間に自身を握って、追い上げられて。 「っ!あっ!やあっ!」 「嫌?本当に?」 「や、だめ、だめ、あん、あ…っ!」 「どうしてダメ?」 囁かれて、ぞくんと体に電流が走ったような気がした。 「やあ、あ、っ!ふあ!」 「カナダ、教えて。」 するり、と耳に忍び込むような、声。恥ずかしくて言いたくないのに、口が動く。 「…っ!や、いっちゃ、いっちゃう、から、だ、っ!」 「いいよ。見たい。見せて。」 「そ、そんな、ひど、あ、あああっ!!」 先をぐ、と抉られて、びくん、と体を震わせて達してしまった。 「…、あ…。」 はあ、と息を吐くと、頬を撫でられた。 見上げると、青い瞳。優しい色に、瞳を閉じて。 けれどその後すぐに体を反転させられて、え、と目を開けた。 「ちょ、フランスさん…!」 「俺も、カナと気持ちよくなりたいんだけど。」 ダメ?なんて、そんな甘い声で聞かないでくださいよひどい! 「…ダメ、じゃ、ないです…。」 ありがと、そう優しい声が聞こえた。 くちゅ、ともう耳にするのもいたたまれないような音がする。 ゆる、と入り口をなぞる、長くて、少しごつっとした、大人の男の人の、指。…久しぶりの感覚。 「ふぁ、う…。」 「入れるよ。」 うなずく前に、つぷ、と入ってくる。 ざわざわと背筋が粟立った。最初の、この感覚にはいつまで経っても慣れない。フランスさんも、それをわかってるから、慣らすように、浅く出し入れする。は、と息を吐いて、シーツをつかんで。 「痛い?」 首を横に振る。痛くは、ない。ただびりびりするような、変な感覚がする。 「動かしてもいい?」 うなずけば、ぐぐ、と奥まで入ってくる指。…一本じゃ、ない。そんなことを敏感に感じ取ってしまう 「あ、はぁ、ん…っ!」 ふるふると首を横に振る。くね、と腰を振る。その途端に一番弱い部分に当たってしまった! 「やあ…っ!」 「ん、ここ、な」 押しつぶされて、首を嫌々と横に振る。 頭が真っ白になる。強すぎる快楽を頭が受け取りきれなくて、ぱたぱたと涙があふれた。 「カナダ」 「あ、う、や…っ!」 「かわいい…」 額にキス。いつもの動作に、少しだけ気が緩んで。 「ふ、らんすさん…キス、して…」 囁くように言えば、唇が降りてくる。絡まる舌。ぐちゅ、と、飲み込みきれない唾液が溢れる。 「は、あ…」 キスの合間に息を吸って、吐き出すときにはまた噛みつくようにキスされた。深いそれは心地よくて、空気が足りなくてくらくらする。その感覚さえも、スパーク寸前の脳には快楽と認識されて。 首筋に手を回して、足を絡めて、全身でキスを甘受していたら、秘部にひた、と当てられる、熱。 思わずきゅ、と締め付けてしまったそこを、こじ開けるように奥に進められて、いやいやと首を横に振った。深く合わさっていた唇が離れる。 「カナダ。」 お願い、受け入れて。…なんて、そんな熱い声で言わないでください!もうほんとずるい! きゅ、と目を閉じて、うなずく。 途端にぐ、と奥まで押し込まれるそれに、またぼろ、と涙がこぼれた。 痛い訳じゃない。気持ちよすぎて、体中がびりびりする。 少し動かしただけで、全身を貫く感覚に震えた。 「…と」 「と?」 吐息混じりの声に促されて、とけちゃいそう…と呟いた。途端に、ぐ、と抱き寄せられて。 「あっ!」 「…ごめん、カナ。立てなくしていいか。」 というかするから。低い声で言われて、足を大きく開けられる。ず、と腰を引いて、深く抉られて、悲鳴に近い声がでた。 あまりの衝撃に意識が飛びかけた。それでも強く叩きつけられる質量。全部快楽、と判断してしまう頭を横に振るけど、フランスさんはごめん、と言うだけで止まらないし、そもそもやめてほしいわけじゃないし。 くらくらする。もっとしてほしい。けど怖い。 「カナダ。」 カナダ。低い声に呼ばれる。思わずぞくぞくする、大人の人の声。 それだけで、気持ちよくなってしまう。…たぶん、今好き、って言われたらまずい。 「う、あ、あっやあん、は、あ、あ…!」 とんでもない声が漏れる。でももう、気にする余裕もなくて。 「フラ、ンス、さ…!」 「愛してる、っ」 囁かれた瞬間、自分がイってしまって、フランスさんもイったのがわかった。 「カーナ」 「…元気ですよねほんと…」 うきうきとした声にげっそりと返したら、頭を撫でられた。 「だってカナダがあんまりにかわいいから…ごめん。もうおしまい、な。」 抱き寄せられて、慌ててその首にすがりついたら、抱き上げられた。 そんなに軽くないはずの体を、ひょい、と抱え上げてしまう。…こういうことされると、やっぱり年の差を感じてしまう。 「…フランスさん、って」 やっぱり、大人ですね。言ったら、フランスさんは困ったように笑った。 「本当に大人だったら、カナダに無茶させたりしないと思うけど…」 「そうですね」 はっきり言ったらうわーカナダひどい、と困ったように笑った。 戻る めとろ様からのリクエストで「我慢できなくなった加が仏を押し倒す話」でした。 大人なくせに子供っぽい仏兄ちゃん…が書けてるといいなっ こんなですが、少しでも気に入っていただけたらうれしいです ありがとうございました! . 好きになった人が好みのタイプだ、なんて、嘘、とは言わないけれどそれに近いと思う。 ある程度の好き嫌いはあるものだ。みんな大好きなお兄さんにだって、それはある。 けれど、好きな人ができてから、自分がこんなところに弱いんだな、と初めて気付くことはある。 「フランス、さん?」 ぱちり、と瞬いてああ、ごめんね、なあに?と微笑む。 「…いやあの、…ちょっと苦しい…」 「ああ、ごめんね?」 腕をゆるめる。だってかわいいこと言うから! ちゅ、と額に口付ける。かわいい。もう本当にかわいい。カナダは。 気付いたらこてん、と眠っていた彼を見つけて、そっとその髪を撫でて待っていた。メガネは外せなくて。だって、うつぶせに寝てるうえに、頭を動かそうと思うとんんって起きかけるんだから! 長い昼寝からやっと起きた、寝ぼけた彼にキスを送ると、メガネが邪魔だったのでそれを外そうとしたら、やだ、と甘く言って。 どうして?と尋ねると、だって、フランスさんの顔、よく見えない、なんて甘ったるく言われたらもう!もう!耐えられるわけもなくて! 思いっきりぎゅーと抱きしめたら、やっと頭が起きてきたらしいカナは、状況も把握できてないみたいで。 「まだ、苦しい?」 「いえ。大丈夫です。…あの、僕…?」 「幸せそうにすうすう寝てるから、起こすの忍びなくて。」 そう言うと、あ、わわ、寝てたんですかっご、ごめんなさい、とわたわた。ああもう、本当に。 もともと綺麗なものは好きだ。何でも。それこそ男でも女でも。風景でも建物でも。 けど、カナと恋人になって、一緒にいるようになって、気付いた。 好きなもの、なのは綺麗なもの、だけれど、『好きな人』、はかわいい人、だったらしい。 そう自覚すると余計にカナダがかわいくてかわいくて。おっちょこちょいなとこも、その赤くなっておろおろしてる表情も、その頬についたシーツの痕さえもかわいらしくて、愛しくて仕方がない! 「カナダ。」 呼んで、メガネ、外していい?と尋ねると、こくんとうなずいた。ので、メガネを外して、その白くて柔らかい頬に手を伸ばす。触れる。…肌触りがとてもいい。するりと手を滑らせて、首筋まで撫でる。 「ん…フランス、さん。」 シロップのような甘い声。とろけるような甘い視線!もう頭がくらくらしている。カナダで一杯になりすぎておかしくなりそうだ。ああもう本当にかわいい! 「…なあに?」 けれど、かわいいからこそ大事にしたいので、なんとか笑顔を取り繕って尋ねると、俺の手の上に白い手のひらを重ねて、嬉しそうに目を閉じた。 「すき。」 「…っ!」 一瞬、記憶が飛んだ。 気付いたら、彼をシーツの海に沈めて、手首を縫いとめて。その唇をむさぼっていた。 苦しそうにカナダが、胸を押し返してくるから、離して。 「…ごめんカナダ。」 今日は離してあげられそうにない。と耳元で、全然余裕の無い声で言ったら、は、い、と上擦った、期待したような声で返事が返ってきて、それに気付いて赤くなってはっと口を押さえるカナがもうかわいらしすぎて、あ。日付変わっても無理かも。と思いながらもう一度その唇を奪った。 「あ、あん、ん、や…!」 「嫌?こうされるの」 「っくる、し、」 っと。苦しい、か。そう返ってくるとは思っていなくて、攻め立てていた手を少し緩める。 浮いていた腰が、シーツに沈む。 ぐちゅぐちゅと、音を立てて自身を扱いていた手を離し、中の弱いところを愛撫していたのを、そこを外して動かすと、だいぶ落ち着いてきた。 ふ、う、と泣いているような声をあげるカナダの頬にキスを落とす。焦らなくていいよ。そう声をかけると、寄っていた眉が少し、緩んだ。 性急に求めてしまうと、もともとのんびりした性格のカナダは、ついてこれなくて混乱してしまう。かといってゆっくり焦らすと泣いちゃうんだけど。…でもそうやって理性をぐずぐずに溶かした彼もかわいくてしかたがない。 「ふ、らんす、さん、あ、…ん、」 「なあに?」 呼びかけると、へいき、だから、その、と少し恥ずかしそうな表情。ああ。と気付く。 「もっと、気持ちよくしてほしい?」 しばらくうろうろ視線をうろつかせてから、こくん、とうなずく。ほんとかわいいなあ…どうしてこうこの子は、お兄さんの好みどんぴしゃなんだろう…特にこんなに雰囲気はえろいのに仕草は幼くてかわいいとことか最高、と思いながら表情にはなるたけ出さずに、唇にキスをしてゆっくりと愛撫を再開する。 「あ、あ…っ、う、ん…っ!」 わざと音を立てて扱き、聞こえる?と囁くと、首まで真っ赤になってしまった。 その首をおいしそう、とべろりと舐め上げる。 「っ、あ……っ!」 その途端にびくん、と体を震わせて、達してしまった。指についたそれを舐め取りながら、荒い息を吐くカナダが、落ち着くのを待つ。 「…、おい、しくないでしょう…?」 白いそれを俺が舐めるのを、直視もできないのか、ちら、と視線をこっちに寄越しながら言う彼に、おいしいよ?最高、と囁いて、笑う。 「俺にとっては最高のごちそう。」 「…フランスさんっ!」 ああ、怒ってもかわいい。 抱きしめて、キスを交わす。愛してるよ、カナ。囁くと、フランスさん、と甘い声で呼ばれた。 潤んだ視線が、伸ばされる手が、どうしようもなく気分を煽り立てる。 「入れても、いい?」 けれどがっついてるとは思われたくなくて、声だけは優しく言ったら、こくん、とうなずいてくれた。うん。いい子。 「カナダ…。」 そっと呼んで、力抜いて、と囁いて、一緒に深呼吸一回。 ずぶずぶ、とうずめていく。 「…っ、あ、…!あ、あ…!」 背中に爪を立てるカナダを、しっかり抱きしめて、腰を固定して深く貫く。 「…は、やば。」 奥まで入れて、その気持ちよさに思わず呟いて笑って、彼を抱きしめなおした。 「…のに、」 「ん?何?」 小さく呟いた言葉が聞こえなくて、聞きなおす。 「…、このまま、ずっといれたらいいのに。」 小さな声。このままって、繋がった、まま?うーん、それはお兄さんきついなあと思いつつ、どうして?と尋ねる。 「フランスさんの、こと、すごく近くに感じる、から…。」 はあ、と熱い吐息とともに、殺傷能力抜群なそんなことを言われて。 「…、ごめん、カナダ。もう我慢、できない。」 そう囁いて、え?と声を上げたその凶器の唇を、塞いだ。 戻る あげは様からのリクエストで「仏が加の一挙手一投足にドキドキしてしまい、我慢出来なくなる話」でした 仏が加にめろめろでもう大変、なかんじが伝わればいいなと思います。 おそらくこれ、加もかっこいい、で同じこと思ってるんじゃないかな… こんなですが、すこしでも気に入っていただけるとうれしいです ありがとうございました! 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