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好きか嫌いかと問われれば好き。
それは愛かと問われればきっとそうなんだろう。私は、彼のことを愛している。
それは間違いないのだけれど、でも。


「それとこれとは話が別だと思うんですけど…っ!」
「どう違うっていうんだ?…好きだから欲しい、好きだから、抱きたいって思う。…間違ってるか?」
「いやあのそ…っ!??」
直接的過ぎるその言葉に口をぱくぱくさせていたら、日本、と耳元で囁かれた。
ざわり。背筋をまずい感覚が駆け上がる。
「…いいだろ?」
緑の瞳の獣に、獲物として選ばれてしまった私は。
ただ目を閉じて、息をつくことしかできなかった。

唇を塞がれる。
この人のキスは反則だと思う。…さすが世界一位。ほとんど初心者に近い私なんかが敵うはずもなく、骨抜きにされてしまう。
ぬるり、と離れていく感覚に目を開けると、楽しそうに輝くエメラルド。

「ああ…その色が好きだな。日本の目の色、が。」
潤むと本当にオニキスみたいだ。そう囁く声が何だか恥ずかしくて、目を閉じる。
ああ、と残念そうな声。けれどすぐに、肌を這っていた指がもう一度動き出して。
するする、と長い指が、細い、筋張った体を、その筋に伝って降りていく。

「…綺麗だ。」
そんなことは無いと思う。…彼の白い肌に比べれば、全然。なのにかれは、綺麗だ、とそう囁いて。
首元に触れる唇。優しいその感触がむず痒いような、じん、と痺れるような感覚を呼び起こして、体が震えた。
ちゅく。胸を舐められて、甘い吐息が漏れる。

「…ふ、う…。」
「こうされると、弱いんだよな?」
ちゅ、と突起を吸い上げられて、びくん、と体を揺らした。
声は必死で耐える。
「…我慢は体に良くないぞ?」
「〜〜っ、楽しそうですねっ!」
にらみ付けるようにそう言ったら、楽しくないわけ無いだろう。と当然とばかりに言われた。

「恋人があられもない姿で、俺の手管に感じてくれてるんだ。…楽しくないわけないだろう?」
そんな風に言われて、かああと真っ赤になったら、その顔も好きだなとかってによによされた。
「イギリスさんの馬鹿!」
「そんな馬鹿が、好きな日本も馬鹿だな。」
さらりと言われて、何も言い返せなくなってしまった。

「…あ…っ!!」
声を上げてしまって、はっとした。
「もっと、聞かせて。」
「っあ、や…っ!」
より一層激しく自身を扱かれたら、もう抵抗も我慢も何もできなくなる。

シーツにしがみついて嫌だと首を横に振ったら、こっちも?なんてつぷり、と指が入ってくる感覚がして。
「…あっ!」
背中が反り返る。勝手に腰が跳ねる。だめだ、もう。頭は快楽しか受け取らないしショートだらけで何も考えられない。


「あ、ああっ!や、い、ぎりす、さ…!」
「日本…」
耳元で名前を囁かれるのさえ、もう甘い刺激にしかならなくて。
「あ、あああっ!」
びゅく、と吐き出して、荒く息をついた。

「気持ちよかったか?」
「…っ!」
涙目でにらみつけたら、そんな顔しても可愛いだけだ、だって。
文句を言おうと息を吸ったら、そんなことお見通しとばかりに中に入った指が動き出す。
「あ…んん…っ!」
「…日本のその声、いいな。」
そう言われてもうれしくない。きゅ、と目を閉じたら、抱きしめられた。

「好きだ。…日本が好きだ。声も、姿も、性格も、全部。…好きで好きで…欲しくて仕方がなくなる。」
わがままだって言うのはわかってる、だから。
「許してくれとは言わない。けど。」
ごめん、と言いかけたその唇と、自分の唇で塞ぐ。
驚いた顔になった彼を見上げて、馬鹿ですね、と小さく囁く。

「そんなわがまま言われて、私が喜ばないと思ってるんですか?」
そう目を細めて言うと、かあ、と顔が真っ赤になった。…かわいい。

「…あーもう…おまえには敵わないな…。」
「そうですか?」
小さく、微笑む。…敵わないのはこっちなんだけれど。
「…続き、いいか?」
ぼそ、と言われた言葉に、はやく、と吐息交じりに囁いた。


抜かれる指。その感覚に震えてしがみつくと、日本、と甘く呼ばれた。それだけで、体中の力が抜けていく。
ゆっくりと、入ってくる熱源。

「あ、あ…っ!」
首をそらして、びくびく、と体を震わせる。力が入ってしまう中を、必死で緩め、受け入れる。
「…っ、きつ…っ!」
「あ、い、ぎりす、さ…っ!」
奥まで収められて、背中が反り返る。
は、と息を吐いてきゅう、と首に回した手に力を込める。

「…動いて、い?」
耳元で問われて、深呼吸してから、うなずく。
途端に、腰を掴んでず、と抜いて、奥まで突き上げられて、一瞬息ができなくなった。

「っ、あ、あああっ!」
がくがく、と体を揺さぶられて、声が溢れる。日本、声が、遠く、聞こえて。
「や、あああ、やあ、やだ、あっ!」
いぎりすさん、と名前を呼んで、力の入らない腕ですがりつくように抱きつく。突き上げられる度に、外れそうになる手、離したくなくて、必死にしがみつく。

「い、ぎりす、さ、イギリスさん…っ!」
「…っ、日本…っ!」
好きだ、そう耳に直接吹き込まれて、思わず目を閉じた。
「わ、たしも…っ!あ、んああっ!」

そう言って、後は。
羞恥も意識も手放して、彼だけは離さないように抱きしめて、沈むだけ。


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あおい様からのリクエストで「ちょっと強引な英と、あーれーな日」でした


やっぱり日が強くなってしまいました…でもうちの日さんはやられても十倍にしてやり返す子だとおもいます

こんなですが、少しでも気に入っていただけるとうれしいです。
ありがとうございました!





















































































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キスをひとつ。優しいそれが、額に触れる。
「…イギリス、さん、あの。」
「ん?」
「…そろそろ離して…。」
「嫌だ。」
……うーん…
困った顔で微笑む。…嫌じゃない。嫌じゃないのだ。こうやって抱きすくめられるのは、別に。
会ってはいたけれど、ゆっくり二人で時間を過ごすような暇がなくて、会議終わりに、久しぶりにイギリスさんの家にやってきた。ちゃんと、2人とも明日は休みだ。

会議のそのままの、本当にそのままの格好できたから、二人ともスーツのまま。夕食は食べてきたから、別におなかがすいていたり、というわけではないのだけれど。
お邪魔します、と部屋に入るや否やしがみつくように抱きすくめられて、ソファに座らされて。…そのまま。結構な時間が過ぎた。

「…あの、スーツ皺になりますよ?」
「いい。…離したくないから、いい。」
そう言って擦り寄ってくる体。…私より大きい、体格のいい体に抱き寄せられて、ちょっと苦しい。…いや気になるほどじゃないんだけれど。でも。
肩に擦り寄ってくるのがまるで、小さな子供かそれか、猫とかみたいで。苦笑して、そっとその頭を撫でた。固い髪が、手の平をくすぐる。
そうしていたら、そのまま後ろに倒された。
え、とかわあとか声を上げる暇もなく、ソファに背中をぶつけた。一瞬、呼吸ができなくなる。

「え、あの、イギリスさん…。」
見上げると、エメラルドがまっすぐにこっちを見ていて。
「日本が、欲しい。…ごめん、がっついてるのはわかってる。」
けど。でも。そう耳元で熱い息を吐かれて、こくん、と息を飲んだ。
「こ、ここで、ですか、」
「移動する時間が惜しい。」
「でも、シャワーも何も浴びてないのに、」
「…いらない。日本の匂いが薄れる。」
匂いって何ですか!かあ、と頬を赤く染めたら、しゅる、と片手で私のネクタイをほどかれてしまった。紺色のネクタイ。放り投げられて、視界から消える。

ぷちぷちとはずされていくボタンにでもあの、とまだ言い訳を探していたら、嫌なんだったら、本気で逃げろ、と言われた。
「そうじゃなかったら、するから。」
どっちか。今すぐ決めろ。…なんて。
……嫌なわけ、ないなんて。きっとわかってて聞いてるんだろうな、この人は…。
それが悔しくてにらみつけたら、かわいいって額にキスされた。

シャツの前を開いて、手が肌の上を這う。何度しても慣れない感覚に肌が粟立った。
「…ふ…っ。」
「…ああ…全部消えてるな…。」
そう呟いて、首元に吸い付かれる。ちゅ、と音がして、その刺激にびくり、と体が震えた。…きっと、紅い鬱血の痕が、できている。
「やっぱり、綺麗だ。」
吸い付いたそこを撫でて、似合うな、なんていわれても。…頬を紅く染めて、視線をそらす。

「もっと、つけたい。」
「…っ、見えないとこにしてくださいね…。」
なんとかそう言ったら、ああ。と楽しげに言われた。
小さなキスを何度もされる。肌に触れては離れていく感覚にもぞ、と体を動かした。
気が済んだのか、鎖骨をなぞるように舌が這った。びくり、と体が震える。
「日本…」
甘い声。思わず頬が熱くなるような声だ。指がする、と肌の上をすべっていく。
「…っ」
胸に触れられると、は、と息が漏れた。
爪で突起をなぞるようにされると、もうだめで、手のひらに爪を立てて耐えた。ぞくぞくと体を包む感覚。
つまむように、かすめるように、緩急をつけて刺激されると、本当に弱い。

「ふ、う…っんっ」
必死で声を抑えると聞かせてくれ、と言われた。
「は、ずかし…」
素直な気持ちを言うと、そんなことない、かわいい、と余裕のある笑み。…その余裕を少しでもいいから分けて欲しいですよ、もう!
目を閉じて震えていると、がちゃ、と音がした。ぎょっとして目を開けると、しゅる、とベルトが抜きとられて。

「い、イギリスさん!」
「大丈夫だ」
「だってソファが、」
「構わない」
ああもう!そうこう言っている間にズボンまで引き抜かれて。
涙目で彼を見たら、かわいい、と甘い声。
なんだか悔しくて、彼のネクタイに手を伸ばして、しゅるりとほどく。
「日本?」
噛みつくように鎖骨に口付ける、とににに日本!?と慌てた声が聞こえて少し溜飲が降りた。
「仕返しです」
「…っああもう!」
がばりと抱きしめられた。驚いて瞬くと、目の前にある耳が、真っ赤で。

「…やっぱ移動する。」
ぼそり、と言われた言葉が聞き取れなくてえ?と聞き返したら、ふわりと体が浮いた。
「う、わ、」
不安定になって、慌てて彼の背に背中を回すと、その前に彼はすたすたと歩き出す。
「ベッドじゃないと思う存分できない。」
お、思う存分!?と目を白黒させている間に、がちゃ、と寝室のドアは開いた。

「あ、…ふ、あ…!」
「…日本、かわいい。」
「あ、も、イギリス、さん…っ!」
向かいあって座位で、だと顔が近すぎて恥ずかしい。後、つい腰がゆれてしまうのも。…なんだか欲しがってる、みたいで。
いいところを突き上げられて、あられもない声が出てしまう。唇を噛むと、聞かせて、と声。

「っ、ん、ん…!」
首を横に振る。だって、声、出すと、なんだかいつも以上に、感じてしまうから。理性が飛んでしまうのは、怖い。
「…日本、呼べ。俺の名前。」
がくがくと揺らされながら、ほら、イギリス、って。耳元で、そう囁く。
「…っ、い、ぎり、す、さん、あ…っ!」
「もっと。」
「いぎり、す、さ、あ、イギリスさん…っ!」
ずん、と奥まで満たされて、ただもう、すがるように彼の名前を呼ぶことしかできなくなって。
「あ、あ、あ…っ!」
びくん、と腰を振るわせたその瞬間に、耳に触れた唇が、吐息だけで、低く名前を呼んだ、気がした。



ゆっくり、と目を開けると、隣に寝転ぶイギリスさんの横顔が見えた。
「…イギリス、さん。」
呼ぶと、何だ、日本?と返事。エメラルドが自分の方を向く。
何も言わずに、目の前にあった手を、握り締める。…温かい手だ。
夢じゃない。想像じゃない。その体温が、何だかうれしくて。
「…あー、日本、」
何だか言いづらそうな声に、はい?と返事をすると、もう片方の手で顔を覆ったイギリスさんが、頼むからそんな顔、するな、と言った。
…耳と頬が、赤くなっている。思わず、くすくすと笑って。
彼は居心地が悪くなったのか、咳払いをひとつ。
「…明日何したい?」
「明日、ですか?そうですねえ…。」
考えて、ひさしぶりに彼の家なのだから、行きたいところもいろいろあったのだけれど。
…ちょっと考えて、微笑む。それがどうでもいいことに思えるような大事なことが、今手の中にあるから。

「この手を離したくないです。」

…その後、イギリスさんがどう反応したかは、ないしょ。私だけの大事な秘密。

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夕希様からのリクエストで「2人ともスーツで」でした

べたべたいちゃいちゃしてる話になった気がします…英は会えない時間が長いほど甘えてそうだと思います

こんな感じですが、少しでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!