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※ちびりすが出て来たりしているので苦手な方はご注意ください








ちょこん。
そんな効果音の似合いそうな幼い少年の姿に、おやまあ。とつぶやいてしまった。
白い肌。特徴的な眉。その髪は金。その瞳はエメラルド。
「…イギリスさん?」
「!なんで俺の名前知ってるんだ!」
誰だおまえ!上げられる子供の声に、困ったように笑った。

彼の家に来て、不思議体験をするのは実は、初めてじゃない。
妖精や幽霊、魔術の国であるイギリスさんの、その彼の家にいるのだから。
もちろん最初は驚いたけれど、よく考えれば昔は私の家だってそうだった。
どうやら彼の影響で昔の体質、というかなんというかが戻ってきたらしく、久しぶりに座敷童の女の子と遊んだのもついこの間のことで。
だから別に、いや驚きはしたけれど、まあ、うん。

「タイムスリップ、ってやつですかねえ。」
「???何言ってるんだ?」
「いえいえ。独り言ですよ。…私の名前は日本、といいます。」
「…ニホン。」
確認するように口にする彼はとてもかわいらしい。
小さな少年、だ。それは当たり前だけれど、彼にもあった昔の姿で。ちょっと生意気そうなところがよけいにかわいい。
というかむしろ、恋人なのだ。小さい姿も見てみたかったなーって思っていたところへのこれで。うれしくないわけがない!
「…日本、は、」
「はい?」
「どっから、来たんだ?」
南の方か?でも、そんな肌の色してるやつ、見たこと無い。
そう言われてああ。と気づく。このころはまだ、うちとの交流もないだろう。

「そうですねえ…まあ、フランスさんの知り合いで。」
くらいがきっと、妥当だろう。そう言えば。顔をしかめながらもふーん。と呟いて。
「…じゃあ敵じゃないのか。」
あいつ嫌いだけど。今は攻撃してきてないし。その言葉に、はい。と笑う。
「じゃあ、攻撃しちゃだめだな。」
ああ。さっきいきなり突撃してきたことを言っているんだろう。咄嗟に避けて、べしゃ、とこけてしまったけれど。


「ごめんなさい。」
…ああ。
暖かい気持ちになって、きっちりと下げられた頭に手を伸ばす。ぐしゃぐしゃの髪の毛を手櫛でとくと、びっくりしたように目を丸くしていた。
「何だ!?何するんだ?」
「頭撫でてます。」
嫌ですか?尋ねると、戸惑った表情でふるふる、と首を振って。

「…何で?」
「いい子は頭撫でてあげないと。」
「…いい子?」
俺が?
ぱちくりと大きな瞳が瞬く。ええ。いい子。そう言えば、なんだか恥ずかしそうに、うれしそうに口をもごもごさせて。
かわいらしい様子ににこにこしていたら、そうだ!と声を上げた。

「ニホン、俺の秘密の場所に連れてってやる!」
「秘密の場所ですか?」
「ああ!こっち!」
ぐいぐいと腕を引かれて走り出す。
待ってください、といいながら森の中を抜けて、抜けきったところで陽の光が目に入って、そのまぶしさに咄嗟に目を閉じて。



「日本?」
声に、目を開ける。
そこには、…見慣れたイギリスさんの、姿。

「こんなところにいたのか…。」
探したぞ。そう言う彼の顔は赤く染まっていて、見上げればそれが夕日のせいだとわかった。
…そう、庭、見せてくださいって言って、それから。たしかその時はまだ、太陽は真上にあって。
「…すみません。少し寝てしまっていたようです。」
笑って答える。…彼、と会っている間に、だいぶ時間がすぎてしまったようだ。

「そうなのか。」
「ええ。」
ゆっくりと起き上がる。
彼、に会ったのは夢か、それとも。
…どちらでもいいですかね。どちらでも、素敵なこと、だ。
目を閉じて苦笑すると、肩にふわり、と感触。
目を開けると、上着を脱いだイギリスさんがいて。

「…か、風邪引くといけないからな。」
か、勘違いするなよ、ちょっと暑いなーって思ってたから脱いだだけで別におまえのためとかじゃ…
続く言葉に、思わず笑って、それでもありがとうございます、とお礼を言う。
それからその金色の頭に手を伸ばして、よしよし、と頭を撫でた。

途端にびっくりしたような彼の顔!
「…いい子は頭撫でてあげないと。」
にこ、と笑って言うと、少しだけ、うれしいのか悔しいのか、複雑そうな顔をした後で、頭に伸ばした手を強く引かれた。
体ごと引き寄せられ、顎に手を添えて、キス。

「…ご褒美はこっちの方が、いい。」
ぼそり。と呟いた大人の恋人に、顔が熱くなった。
けれど、明らかに夕日のせいじゃなく、赤くなる彼が目の前で、ねだるようにこっちを見ているから。
そっとその唇に、キスをした。


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累花様からのリクエストで「どちらかが幼くなる又は相手の幼い頃に時間移動。ほのぼの。」でした

ちょっと短いですが…ちびりすはとてもかわいいと思うので、ちびりすにしました!

こんな感じですが少しでも気に入っていただけるとうれしいです
ありがとうございました!