※生理とかそういうお話ですので、苦手な方はご注意ください 日本の隣、というのはいつも、とても居心地がいい。 もちろん、俺が日本を愛しているから、というのも大きな理由ではあるが、きめ細やかな気遣いと、その優しい笑顔のおかげでもう、ずっとここにいたいと心から思ってしまうものなのだが。 …なんか、空気がぎすぎすしている…。 いや、喧嘩、…してないし、怒らせる理由も見つからないし。というか日本は、結構普通なのだ。普通なんだけど…何かが、違う。 「…日本。」 「何ですか。」 …なんか、返事もそっけない。いやなんでもない、と答えて、ちら、と伺う。 椅子に座った姿は普通だ。…いや、少し、背中を丸めている。けれど猫背なのはいつものことだし…あと、は、この暑いのに膝掛け…も、珍しくはない。冷房苦手でって、たまにかけてるし。 ん?やっぱり普通なのか? 「…イギリスさん。」 首を傾げていると、黒い瞳がまっすぐにこっちを見た。 「何か言いたいことがあるならおっしゃっていただけますか?」 冷静というか冷ややかな声に、うっ、と詰まってから、日本に向き直る。 「俺、何かしたか?」 「は?」 「いや、なんだかぴりぴりしてるから…」 素直にそう言うと、無自覚だったのか、日本は驚いたように瞬き一つ。 「…そうですか?」 「あ、ああ…」 何となく、ぴりぴりしている感じがする。はっきりと言えば、ため息。 「…すみません。」 「いや…」 どうしたんだ?と尋ねる前に、救急箱取ってもらえます?と言われた。何だ? 「え、あ、お、おう」 取ってきたそれから、紺色の箱を取り出し、錠剤を飲む。 「どっか痛いのか?」 「ええ。…生理痛、で。」 …生理痛。 考えてそれから、なんと言っていいのかわからなくなった。 「あー…」 「朝からずっとつらくて…だからだと、思います。」 それは、不機嫌にもなるな、と納得。 すみません、と言う日本にいや、と首を横に振る。 …何か、できることはないか、一瞬口を開いて、言葉にするのはやめる。…何ができるというんだろうか。 …あっためたほうがいいと、聞いたことがある気がする。 そう思って、体を抱き寄せ、膝の上に座らせる。 「いっ…イギリスさん!?」 柔らかく腰に腕を回すと、体が強張った。 「…この方が、暖かいだろ。」 呟くように言えば、一瞬の後、ため息とともに体の力が抜けていって。 「…ありがとうございます。」 柔らかい声に、熱くなった顔を肩にうずめて、黙った。 「きゃっ!?」 抱き上げると声が上がった。けれど無視して、そのまま寝室に向かう。軽い。ちゃんと食べてるのか、とはいつも思うことだけれど、だいたい食事は一緒にしているから、食べているのは目の前で見てるんだけど。 「ちょ、い、イギリスさ、」 「…日本がいけないんだ。」 「はい!?」 何の話ですか!?と裏がえった声を上げる彼女を抱き上げたまま、寝室に入り、ぎしりとベッドの上に優しく寝かせる。 「イギリスさん、」 「…いいって、言ったよな。」 この一週間、…日本が生理、だったから、シてなくて。さっきなんかこそこそしてるなって思ったら、終わったからいいですよ、なんて恥ずかしそうに言うから。 …我慢できなくなって当然だと思う。 「日本、」 呼んで、赤く染まった頬を撫でる。 「…だめか?」 「…いい、ですよ…」 か細い声に、もう耐えきれずにキスをした。 「あ、あ…っ」 「…は、」 浅く息を吐いて大丈夫か、と尋ねる。小さく頷く。顔にかかった髪をどけると、深いオニキスと目があった。 「…イギリス、さん…」 甘い声を紡ぐ唇を舐めて、キスを落とす。 「ん…」 吐息が熱い。…というより、触れている全身が熱い。繋がったそこも、触れた手も。赤く染まった頬を撫でて、ゆっくりと腰を動かし出す。 「あ…あっ…!」 「…日本、」 距離が近い。誰より近いその距離が自分のものであることについ感動してしまった。日本、もう一度名前を呼んで、ぐ、と押し込む。 声は押し殺された。唇に当てられた手をとり、キスを落とす。 そのまま、その手を自分の背中に回すと、きゅ、としがみつかれた。甘い吐息が、耳に触れる。 「…うごいて、いいか?」 小さく尋ねると、かすかに頷いた。それを見た瞬間に、ゆっくり、腰を動かし出す。 「っ、」 声を耐える日本が、肩に顔を埋めるようにしがみついてきた。爪を立てられたのか、噛みつかれたのか走る痛み。 それにさえぞくっとしてしまって、なにも考えられなくなってがくがくと体を揺さぶった。 抑えきれない声を漏らす唇を塞いで、日本を腕の中に閉じこめ、頭の中が彼女でいっぱいになるように、もう余計なことを考えるのは、やめた。 戻る マチ様からのリクエストで「英日バージョンの生理話」でした あんまり設定を生かせてないような気もするのですが…!い、いかがでしょうか? こんなですがすこしでも気に入っていただけるとうれしいです ありがとうございました! |