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黒猫の仮装。
いろんな人がかわいい、って言ってくれたけれど。
「かわえええ!むっちゃかわええ!」
ここまでの反応を示した人は初めてだった。
「うわー!うわー!めっちゃかわええなぁなあほんまうちおいで〜」
抱きしめられて、顔を擦り寄せられて困惑してお兄様を見上げる。
「このっ!」
「いだっ」
痛い〜と言いながらスペインさんが離れていく。ロマーノさんが肘鉄をくらわせたようだ。解放されてすぐ、ぱたぱたとお兄様の後ろに隠れる。
「ごめんな、ベアトリクス。この馬鹿!が、迷惑かけて」
「やって〜…」
「スペインさん、悪いけどベアトリクスはあげられないから。」
えーと上がった声に当たり前だこのやろ!と声が返った。
きゅ、としがみついていると、頭を撫でられた。
「スペインさんの冗談だって。そんなに怯えるなよ。」
な、と言われて、こくん、とうなずいた。

「はー…ええわ。ロマーノ仮装させて遊ぼ。世界で一番綺麗な俺の奥さん」
「は!?」
「ロマーノは美人やから〜、大人な猫とか」
「ふざけんな!」
がす、と頭突きが決まって、スペインさんはぎゃあ、と声を上げてばたん、と倒れて、スペインの馬鹿野郎!と怒鳴ったロマーノさんは怒鳴った。
「…馬鹿が悪かったな。」
はい、お菓子、と渡してくれたロマーノさんの顔は、トマトに負けないくらい真っ赤だった。


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