「かわいいなぁベアトリクス。」 「…うるさいですよお兄様…」 むう、と膨れた。 ちりん、と鈴が揺れた。尻尾で。 黒猫な衣装は、お母様お手製で。黒い耳と尻尾にあわせた黒いスカートのフリルがとてもかわいい。 かわいいけれど、それは傍目から見ればの話。 自分が着せられるとなればそれは話が別だ。 けれど、楽しそうなお母様に嫌ですともいえなくて。 はあ、とため息をつくと、そんな顔するなよ、と頭をなでられた。 青い顔。…比喩でなく。 フランケンシュタイン、な顔を見ながら、さすがお母様の息子、と変なところで納得してしまった。 「挨拶、ベアトリクスが言ったらいっぱいもらえそうだな。」 よろしく、と言われて、えぇ…苦手なんですけど、と渋ると、大丈夫、俺がいるから!と手をつながれた。腕を引いてくれる力に、苦笑しながらついていく。 次へ |