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カシャと音がした気がして足を止める。
それより先に、お兄様は音源に気づいたみたいで、ずかずかと歩き出した。
がさがさと茂みを探って、ひょい、と上に上げたのはカメラ。

「あああ〜!」
すぐに上がる悲鳴。
がさ、と立ち上がったのは、ミニスカ悪魔姿のサラ。
「おまえはまた盗撮して〜…」
「盗撮じゃないわよシャッターチャンスうかがってたら許可なんかきゃー!そんな雑に扱わないでよ馬鹿ーっ!」
「馬鹿はおまえだろ?」
「あんたよそれすっごい高いんだからね!」

ぎゃいぎゃいうるさいのを聞きながら、眺める。別にいつものことだ。気にはならない。
がさがさ、とさっきの茂みから音がして、振り返る。白い姿。
「こんにちわ、ベアトリクス。」
「こんにちわ、リリー。…頭に。」
葉っぱがついてますよ、と手を伸ばす。
「あ、ありがと。」
ふにゃ、と笑うのがかわいらしい。天使の扮装は間違いなく正解、だ。
「ベアトリクスは、猫さん?」
「はい。」
「かわいい。」

そう言うリリーの方がかわいいと思う。
頭を撫でられ、黒猫さんだ〜と笑うリリーを見ていたら、聞こえていたうるさい声が聞こえなくなっていることに気づいた。
見れば二人してカメラをのぞき込んでああでもないこうでもないとひそひそしていて、そのカメラのレンズはこっちを向いていて。

「もう、サラ!」
「あああっリリー、2ショット一枚!一枚だけ!」
「行きますよお兄様。」
「わあベアトリクス!頼むから一枚!」


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