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つくえの上は、お菓子でいっぱいだった。
「よくまあこれだけもらってきたわね…」
「ベアトリクス効果。行く家みんな大量にくれるから。かわいいねはいおまけって。」

お兄様の言葉は本当だった。どの家でも、まったく同じ反応で。もらったお菓子はあまりにたくさんで、重いくらいに感じていたけれど(でも半分以上お兄様が持っていた、)、改めて並べて見るとほんとに多い。
「これは…いらなかったかな?」
「何がですか?」

尋ねると、二つ袋を持ってお父様がやってきた。
その袋に見覚えがあった。朝から人にあげる用だから食べちゃダメと言われていたお菓子だ。おいしそうなのに、とちょっと残念に思ったのを思い出す。
「あなたたちの分ですよ。」
「やった!いーじゃん。全部開けてちょっとずつみんなで食べようぜ?」
にこにこうれしそうなお兄様の言葉に、豪華なお茶会が始まった。

どの家のお菓子もおいしかったけれど、一番おいしいと思ったのは、お父様とお母様がつくったお菓子だった。
素直にそう言ったら、お兄様がわかるわかる、やっぱおいしいよな、と言って同意してくれて、お父様とお母様は、目を丸くしてから、小さく、でもうれしそうに笑った。

-end.-

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