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ふわり、と漂う夢の中。
懐かしいようなにおいがした。



神聖ローマがシーツお化けから、神聖ローマに戻るのを見ながら、もらったお菓子を並べる。
たくさんもらった。今年のハロウィンも楽しかった!
黒いマントをはずして、つけていた牙をはずす。
「お菓子いっぱいだね!」
「…そうだな。」
「食べきれるかな?」
「食べれるだろ。」
そうだね、と笑って、ふ、と、まだハロウィンの挨拶を神聖ローマにしてないのに気がついた。
「神聖ローマ」
「なんだ?」
「トリックオアトリート!」

にこ、と言うと、神聖ローマは一瞬固まってからあわてだして、それから、一緒に大人の人にもらったお菓子を全部僕の方におしやった。
「え。」
「やる!」
「え!あ、あの僕、そんなつもりじゃなくて、」
ただ言いたかっただけなのだ。だって、そんな。これもらったら神聖ローマの分がなくなっちゃう!
いいよ、神聖ローマ食べてっていうのに、いい。やる、って言われて、ううん、と考えて。
「…あ!そうだ、神聖ローマ、神聖ローマも挨拶言って?」
「…だから俺はいいから、」
「いーから早く!」
急かすと、困ったような顔で、トリックオアトリート、と小さな声。
はい、と鞄からちょっと大きい袋を渡した。

「…クッキー?」
「うんそう。あげる。」
「けどおまえがもらったんだろ?」
だったら、と押し返そうとする神聖ローマに、首を横に振った。もらってない。これは、もらいものじゃないのだ。
「…じゃあ…?」
「朝、ハンガリーさんがクッキー焼いてるときに一緒に作ったの。後で神聖ローマにあげようって。」
だから、はい。と渡すと、てづくり、と呟いて、神聖ローマは真っ赤になってしまった。

「神聖ローマ?どうしたの?」
「あ、う、な、何でもない!」
ちょっと変な神聖ローマと、一緒にお菓子を食べた。量はだいぶ違ったけど、味だって全然違うはずだけど、二人で一緒に分け合いっこして食べたら、すごくおいしかった!



-end!-

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