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「あーあ、もったいないな」
呟くと、隣のシーツお化けからの返事はなかった。

ほんとは、シーツお化けじゃなかったのだ。名前通りの天使さんにしようって、ママと準備してたのに、嫌ってガヴィが言うから。
そこにパパがやってきて、細工のされたシーツを渡して、決定してしまったのだ。
ポンチョみたいに頭からすぽっとかぶれて、その上からフードで顔を隠すように細工されたお化けは、昔から家にあったものらしい。昔パパが着たりしたのかな?

「…あーあ」
「…そんなに言うなら姉さんが着ればよかったんじゃ…」
「ガヴィに着せたかったの!」
言い返せば、何も言われなくなった。
まあ、シーツにくるまれただけでもガヴィかわいいからいいんだけど。
じゃあじゃあ!メイクはさせて!とママとがんばったし(ガヴィはすぐフードかぶって隠しちゃうけど)

「…姉さんの方が、かわいい。」
「ほんと?ママが作ってくれたんだけど。」
黒いマントに、黒いかわいいスカート。
ちょっとだけ出た牙は、吸血鬼の証。
「…かわいい」
「えへへ、ありがと。」
ガヴィがほめてくれることなんて滅多にないから、うれしくなって、笑った。

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