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ふわ、ほんとにおそろいだ。
真っ黒なローブに身を包んだ日本さんとイギリスさんを眺める。
日本さんはなんか、似合ってて、イギリスさんは、着慣れてる感じがした。
ちょうど来たときに作ってる途中だったみたいで、キッチンにいる日本さんを眺めてから、いすに座ったイギリスさんを見た。

「…なんだ?」
視線に気づいたのか振り向いたイギリスさんに聞かれて、何でもない、と首を横に振りかけて、ふと思い出した。
「イギリスさんって、魔法使えるってほんとう?」
「ちょ、姉さん!」
あわてた声に何?と振り返る。
はあ、とガヴィはため息をついて。

「ああ。本当だぞ?」
その返事に、すごい!と顔を見上げた。
「どんなことができるの?」
わくわくしながら尋ねると、気をよくしたのか、そうだな、タブー以外はだいたいできるけど…と答えてくれた。
「人を若返らせたり、性別を変えたり…あとは、過去を見せたり。」
「過去を見せる…」
ガヴィの声。たぶん、同じことを考えた。
お父さんとお母さんの。

「…それって、どんな過去でも?」
「姉さん!」
「だって知りたいもん!ちょっとだけ!」
「…そうだな…関係が深い方が見せやすいけど…誰の過去だ?」
「パパとママの小さい頃」
「姉さん!」
怒られた。それでも、見たいんだもん!
「ドイツとイタリアの、な…」
「ハロウィンの日とか、がいいな」
そうつけたして、できる?と聞いた。
今度はガヴィも怒らなかった。やっぱり見てみたいらしい。
「ああ。できるぞ。」
二人とも目を閉じて。言われて、目を閉じる。
変なかけ声が聞こえた。

「…目開けていいぞ」
どきどきしながら開けるけど、何にも起きてなくて、あれ、と首を傾げる。
「発動までに少し時間がかかる魔法なんだ。…楽しみにしてろ。」
「どれくらい時間かかるの?」
「安心しろ、今日中だ。」
そう言って、彼は笑った。楽しそうに。

「いい夢見ろよ?」

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