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「じゃあ連れてってあげるよ。」
いいよね?とガヴィを見る。こくん、とうなずく姿に、エリの手を引く。
「え、でも…」
「いいからいいから、ね?」
手を引いて、歩き出した。

「ここが、うち。」
「でも入り口向こう側だから…」
家の裏を歩いていたら、ふ、とケイが立ち止まった。
「どうかした?」
「なんか…騒がしくないですか?」
言われて耳を澄ます。
「…なんかしゃべり声聞こえる…」
ひそひそとしたしゃべり声。しかも明らかに三人以上。パパとママじゃ、ない。

顔を見合わせ、とりあえず裏口から庭に回ることにした。

いたのは、マックス、ルキーノ、サラの三人。と、止めようとしているようなリリー、イザベル、ベアトリクス。
こそこそと何かを撮っているようだ。
「何してんだろ…?」
「…姉さん」
ガブリエルにあれ、と指されてそっちを見る。
部屋の中に、いちゃついてるパパとママ。
どうやら、それを撮ろうとしているらしい。むっとして、ガヴィ、と合図をして、武器を取りに行った。

「意外となかなかないのよねぇ…あの二人のキスシーン。」
「そういや見たことないかも」
「強敵もいないし、シャッターチャンスだな」
「…誰が、強敵?」
首を傾げて聞いて、振り向いたルキーノの顔にホースの先を細くして水圧を上げた水をぶつけた。
「うぎゃ!」
「げ、マリア!」
「きゃあ!み、水はやめて!」
慌てる三人に、ホースに加えていた力を抜く。
「もー!パパとママの邪魔しちゃだめっていつも言ってるでしょ!?」
「だってキスシーンみんな持ってるのにあの人たちのだけないのよ!?ふつう欲しいって思うでしょ!?」
「思わないで!」

ホースに力を掛ける。ぶしー!と水が出て、ぎゃあきゃあと悲鳴が上がる。
「もー!みんないたずらっこなんだから!」
「…何やってるの、庭でみんなそろって?」
声がかかった。振り向けば、ママの姿。
「ママ」
「庭で何してるの?」

「…みんなで遊んでる〜」
声は四人そろった。

「…そ?ほら、みんな入りなよ、お菓子食べよう」
「はーい!」

振り返って、三人以外を避難させていたガヴィも呼んで、みんなで中に入って、パパの特製ケーキを食べた。おいしかった!


-end.-

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