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扉を開けたときのオーストリアさんとハンガリーさんの表情を見て、あ、ママと同じ顔だ、と思った。
ママも、私達が並んでるのを見てそう言う顔をした。驚いて、それから寂しそうに笑う。

「そうですよね…あの子達の子供、ですからね」
「びっくりした…まさかここまで…」
「?なあに?」
首を傾げて尋ねると、あなたたちのお父さんとお母さんの幼い頃にそっくり、という話ですよ、と言われた。
「そうなの?」
「ほんとうよ。…もう、びっくりするくらいそっくり」
あ、だから驚いた顔してたのか。

そうなんだ、とうなずくと、フードを脱いだガヴィが、小さい頃の父さんと母さんって、どんなだった?と言った。
「あ、私も聞きたい!」
「いいわよ、聞かせてあげる。…でも」
「この話は、ドイツとイタリアには秘密、でお願いします。」
「え…」
「ひみつ?」
二人そろってうなずかれて、ガヴィと顔を見合わせる。
「そう約束してくれるなら、話してあげる。」

言われて、考えて、ガヴィを見た。
小さくかぶりを振るのを見て、うなずく。
「やめときます。隠し事とか、得意じゃないし。」
「いつか、言ってくれるようになったら、父さんと母さんに聞きます。」
そうそろって答えると、そう、と優しい笑み。

「じゃあ、やめときましょう。」
ちょっと残念だったけど、隠し事とかしたくなかったし。
じゃあ、と帰りかけて、お二人さんこれはいらないの?と、袋を振られた。
かさ、と揺れるお菓子。
「あっ」
「トリックオアトリート!」
遅くなったけどあわてて言ったら、笑われた。

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