.

ふわり、と隣で花が開くように、微笑んだ。
「…どうしたのリリー?」
明るい笑顔に、なんでもないよ、と笑って、その頬についたクリームをとって、口に運ぶ。
「あ。…ありがと。」
「どういたしまして。」
綺麗におしゃれをしたマリアは、本当に美人だ。思わずため息がこぼれるくらいに。
そんなマリアと、公園で甘いお菓子を食べる。幸せっていうのはきっとこういうことなんだろうな。そう思うくらいに、幸せで。

「ちょっとリリー!もう一歩引いて近づきすぎ!」
…彼女たちがいなければ。

はいはい。とサラの声にため息。少しだけ後ろに下がる。
ちら、と視線をやれば、カメラを真剣に覗き込んでるサラと、その周りでいろいろしてるスタッフの皆さん。
…今日は、雑誌の撮影に協力してというかしろ!というサラの号令により、依頼会社の服だという、カラージーンズとジャケットを着て、座っていた。
私だけならまだいいけど、マリアまで巻き込むなんて…
サラの職業病にもこまったものだ。
だけど。
もう一度、マリアに視線を戻す。
こちらも用意してくれた衣装の、スキニージーンズに、ワンピース。
それと、それにあわせてふわふわにセットした髪。普段はあまり化粧とかしないのに、プロのメイクさんにされたその顔は、本当に息を飲むほど綺麗で。
「…?」

小首をかしげる動作が、かわいらしくて仕方がない!
でも抱きしめたら喝が飛ぶのはわかってるから、我慢。
だけど。
サラを見ると、なんだか難しい顔で話し合い中。なら、と近づいて、マリア、と呼ぶ。
「なあに?」
「…二人きりに、なりたくない?」
「んー…サラに迷惑かかるから、やめとく。」
そっかー…残念…。
サラの方が大事か。とちょっと落ち込んでいたら、でも、と笑った。
「終わったら、抱きついていーい?」
だって、リリーとってもかっこいいんだもん。だって。
……なんだ。
「考えることは一緒か。」
「そうなの?」
「そうなの。」
くすくす笑いあっていたら、カシャ、と音がして、はい終わりーという声がしたから、愛しい彼女を半日ぶりに力いっぱい抱きしめた。

戻る