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…飲まないんですけどね。いつもなら。
こっそり思って、眺める。
イギリスさんが持ってきたのは、イギリスさんのとこのお酒。私は自分の家のならまあ結構どれだけ飲んでも大丈夫なんだけれど、海外の、とくに欧州のみなさんのところの、リキュールだったりワインだったりには本当に弱い。すぐ記憶が飛ぶ。
…でもまあ、年に一度ですし。
一杯いただけます?とイギリスさんにコップを差し出したら、目を丸くして、それでもうれしそうに笑った。

「…は…っ。」
唇を重ねる。
何度も、舌を絡めて、追いかけて、逃げて。口の中を丹念に味わって、やっと舌を離した。
「…どうした?」
「どうしたんだと思います?」
くすくすと微笑んで、いつもより深い色の瞳を見返す。強気で傲慢な視線。海賊時代のモードに入ったイギリスさんが相手。…悪くはない。

彼の膝の上に座り込んだら、着物がまくれあがったが、気にはしない。緩めた帯。襟元をはだけて、ソファに座る彼にしなだれかかってみせる。
「誘ってるのか?…珍しいな。」
「こんな私はお嫌いですか?」
耳元で囁くと、笑っていや。と返事。
それから、ぐい、と引き寄せられて、また口付けを交わした。

今度は、彼が主導権を握った。強引に頭を引き寄せられて、深く、浅く這う舌に翻弄されるのが悔しくて、唇を離して、ひどい人、と小さく呟く。
「こんな俺は嫌いか?」
にや、と笑われて、いいえ、まさか。と首を横に振った。

「は、あ…っ!」
「どうした、日本?」
くすくすと笑い交じりの彼の声が、悔しくて仕方がない。
「あ、もう…っ!」
「もう?」
おうむ返しに聞くだけで、腰を舐めて、足をなで上げて。それ以上なにもしようとしない彼。ぎりぎりまで舌や指を這わせて、そのまま引き返してしまう。もう濡れ始めているのに気づいているくせに。私に求めさせようというのだ。けれど、言ってしまうのはいやだ。なんだか、負けたみたいだ。何に、と聞かれると、わからないけれど。
「…イギリスさん、」
潤んだ瞳で見上げる。何だ?と平然と返された。…いつものイギリスさんなら引っかかってくれるのに。
残念に思いながら次の策を、小さな快楽にじれてまともでなくなってきた思考回路で考える。
「…そんなに求めるの嫌か?」
呆れたように苦笑された。
…別に嫌な訳じゃないですけど。ただ、悔しいだけで。
そう答える前に、その笑みに、少しだけ寂しそうな表情が混じっていることに気づいてしまった。

「…だって。そんなあられもなく求めて、もしあなたがいなくなったら、私どうしたらいいんですか…」
小さく呟く、本音。わかってる。そんな確率の低いことを怖がってたら何もできない。だけれど、どうしても。…長く、ひとりで生きすぎた、からだろうか。
彼は、驚いて目を見開いて。
突然体を起こして、唇を重ねられた。と同時に、さっきまで避けていた秘部に、ずぶずぶと指を沈められる。
「んんっ!」
奪い尽くすような、口付け。それに加えて指が、弱いところを確実にとらえて、刺激されて。
さっきまで焦らされてくすぶっていた体が一気に熱くなる。
「ん、んんぅっ!」
身をよじってもしっかり掴まれた体は動かなくて、強い刺激を、そのまま受け取るしかなくなる。
「ん、んんんん…っ!」
呆気なく達してしまって、やっと離された唇で、足りない空気を吸い込む。

「い、ぎりす、さん…?」
小さく呼んだら、決めた。と小さな声。
「え、」
「今日は、容赦しない。…プライドも羞恥も、そんな馬鹿な考えも全部捨てるまで離さないからな。」
覚悟してろよ、と強い視線に射止められて、思わずのどを鳴らした。


「あっいやぁ!や、ああっ」
ぐちゅぐちゅと立つ水音。秘部をなめ回す舌に、どうしようもなく翻弄される。
「嫌じゃないだろ?」
「あ、も、やめ…!」
「やめない。」
言葉と同時にすすり上げられて、高い声を上げて達してしまった。もう何度目かわからないそれに、涙が溢れてくる。
「…も、許して…っ」
強すぎる快楽が怖くてそう言っても、ダメだ。と一蹴。
軽くキスされただけで、撫でられただけで跳ね上がる体。楽しむように舌を這わせる彼に、嫌だ、とつながれた手を引いた。

これで馬鹿なこと考えないだろ、と一番最初に、私の右手と彼の左手を紐でくくってしまった。離れないように、離さないように。
「どうした?」
じっと結び目を見ていたら、頬を撫でられた。
見上げる。エメラルドの瞳は、とても、美しくて。日本。そう呼ぶ唇を、塞ぐ。
触れるだけの口付け。欲しい。この人を感じたい。そう思ってしまって、素直に欲しい、と囁く。

「何を?どこに?」
間近で、彼の瞳が燃え上がるように欲を映したのを、見た。
息を飲んで、何も考えられなくなって、足を開いた。手を伸ばして、秘部を広げる。
「んっ…ここに、あなたのを…」
そう言ったら、彼は笑って、抱き起こされた。

座った彼の足をまたぐように、膝立ちになる。
「支えてやるから。」
言葉の続きを待つ余裕もなく、彼の自身の上に腰を落とす。
「あ、あん…は…っ」
広げられる感覚に眉を寄せ、奥まで入れていく。
「…やらしい顔」
「っやっ」
見ないで、と彼の目を塞いだら、ダメだ、と手をどけられた。
「全部、見る」
まっすぐな視線に泣きそうになる。
「あ、あ…っ!」

奥まで入ったら、すぐに軽く抜いて突き上げられた。声を上げ、彼にすがりつく。
「い、ぎりすさ、やっ、激し…っ」
「…日本、」
つながれた手を握りしめられた。その感覚だけが、快楽に押し流されそうな中で、唯一の道標で。
「あ、あっあああっ!」
締め上げて達しても、彼は動きを止めてはくれなくて。
「やっ!待って、おねが…っ」
「待てない。」
またさらわれた快楽の流れは強くて。
彼の手をしっかり握りしめて、ただ翻弄されるしかなかった。



目を開けると、紺色の浴衣が見えた。…枕が固い。そんなことが気になって、顔を上げる。
すぐ近くにイギリスさんの寝顔。…腕枕、してもらってるようだ。
ああしまった、重くないかな、と頭をどけようとして、ぐわん、と走った鈍痛に動けなくなる。
この感覚は知っている。
二日酔いだ…っ!

飲み過ぎた、と頭を押さえていたら、イギリスさんが目を開けた。
「おはよう、ございます…ああ、そうだ。あけましておめでとうございます。」
今日の日付を思い出してそう言うと、ああ。とうなずかれた。
それから体を起こそうとして、顔をしかめてばったり倒れるから、あ。イギリスさんも二日酔い。と気がついた。

「大丈夫ですか?」
「あんまり…昨日飲み始めてからの記憶ないんだが、俺またなんかしたか…?」
聞かれて、すみません、私も覚えてないんです。と苦笑する。
「そうか…」
「…はい。」
しばらくぐったりしていたが、とりあえず水と薬、とイギリスさんが動き出して、腕を引き抜いて、あれ、と思った。
「…つながってる?」
手首同士が紐でつながれている。
…なんか変なことしたんじゃないでしょうね?と、じとっと見ると、いや!してない、と思う…と自信なさげな声。
小さく笑って、それから、つながれた手を見た。

…大丈夫。何故かわからないけどそう思えた。手を引っ張って、ちゅ、と口付けたら、彼の顔がかああと真っ赤になった

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きゅ、と抱きついて、キスをして。
好き、と囁いたら、くすくすと笑われた。
「どうしたの、カナ。」
今日はやけに甘えただな?と頭を撫でられて、大きな手に擦り寄る。
優しくて大きな手。頬を包まれて、キスを交わして、ちょっとどきどきしながら、足まで絡めて抱きついて。

「…なあ、カナダ?」
いつもより低めの声で呼ばれて、思わずびく、としてしまった。ばれた…!
ちょっと体を引いても、ぐい、と引き戻される。
「どうして下着、つけてないんだ?」
すす、とワンピースのすそから手がもぐりこんでくる。何もつけてない腰のあたりを撫でられて、かあ、と赤くなって、きゅ、と目を閉じて。
「…僕、だって、シたいときくらい、あります。」
どきどきして呼吸がしずらい中なんとかそう言ったら、楽しそうに笑われた。
「悪いなんて言ってない。…大歓迎。」
フランスさんは、ちゅ、と鼻の頭にキスをして、人の悪そうな笑顔を浮かべた。


「あ、やあ…んっ!」
音がする。耳を侵す水音に、いやいやと首を振る。
次に何をされるかわからない状況というのは、怖い。でもその恐怖さえ、快楽に変わってしまってえぐえぐと泣くことしかできない。
「ふら、すさあん!」

『せっかく似合っててかわいいんだからこのまま。』
そう楽しそうに笑って言ったフランスさんは、今ワンピースの中に頭を入れて足の付け根を舐めてる。右足の太股から、つつつ、って上がっていって、消えて、突起に息を吹きかけられる。

「やぅ…っ」
「気持ちいい?」
声だけが聞こえる。
「き、もちいい、けど…っ」
言い終わる前に、つぷり、と中に入れられた。ざらりとした感触は、舌だ。弱いところをを強く抉られて、ひやあっと声を上げる。それと同時に、突起も撫でられて、もうやだやだ、とするのに、体は高められて。
「やだ、こわい、フランスさん…っ!」
「大丈夫。」
きゅ、と力を込められて、声と涙が溢れる。いつもならすがりつく体がなくて、シーツを強く握りしめる。
「や、も、い、イっちゃ…!」
「イって?」
「や、あ、あぁっ!」
ぐ、と深く抉られて、体をふるわせて達してしまった。

震える体を弛緩させると、次はどうしようかな、とばかりに足を撫でられる。
「や、やあ…!」
首を振っても、見えないのはわかっているんだけどでもそれ以外にできなくて、やだあと声を上げると、フランスさんがやっと出てきた。
苦笑した彼に、しがみつく。
「フランスさん…!」
ぎゅうう、と首に抱きついたら、泣かないで。と頬を撫でられた。
「だ、だって、」
涙の浮かんだ瞳で見上げると、すぐに頭を肩に押し付けられた。
「ふ、フランスさん?」
「…そんな顔で見るな。…もっと泣かしたくなる。」
低く、囁かれて、びく、と震える。
「怖いだろ?だから、」
「…いい、ですよ。」
呟いたら、ぴた、と動きが止まった。
「…カナダ?」
「…いいですよ。…フランスさんが、そうしたい、なら。」
ちょっと、怖い、けど。そう見上げたら、彼は目を見開いて。困ったように笑われた。
「…そんなこと言われると止まらなくなるんだけど…」
その言葉に不安になって、でもフランスさんなら、と。見上げると。
はああああ、とため息。
「…じゃあ、ちょっとだけ、付き合って。」
こくん、と頷いた。


ず、と奥まで入ってきたそれに、あ、あ、と声を上げる。
いつもの感覚。大きなそれに、もう中は広がりきっていて、ちょっときつい、と呟いたから、必死で息をして緩める。なんとか成功してほっとしていたら、ぐい、と足を開かれた。
「え、」
「もう少し…」
「え、嘘…ああっ!」
いつもより、深く、入れられて、震える。くらくらする。ぐらぐらする。動けない。快楽に、びくびく震えて。
そんな。こんなとこまで、入るなんて。信じられない!
「…大丈夫か?」
頬を撫でられて答えられなくて。
言葉の代わりにぱたり、と溢れる涙に、小さく微笑まれた。
「だーかーら、泣くなって…」
な?と額を合わせられて、頬を舐められた。
「ふ、らんすさん…」
なんとか、苦しい息の中で呼んだら、ん、とキスをされた。
「動くよ。」
こくん、と必死にうなずいたら、ず、と奥まで突き上げられた!
「やあああっ!深…っ!」
すがりついて、耐えるけど、いつもより強い快楽にいちいち頭が真っ白になる。過ぎる快楽が怖くて、涙がぼろぼろと流れた。
「痛い?」
答えられない。痛くはない。だけど、途切れる意識では、反応できなくて。
「ふ、フランスさ…っ」
「…カナダ。」
低く呼ばれたその声が、いつもよりずっと熱くて、きゅ、と締め付けてしまう。
「…っ、カナダ、」
強く腰を掴まれた。がつがつと打ち付けられて、もう何も、考えられなくなった。


目を開けると、ぱちゃん、と音がした。
「カナダ、目、覚めた?」
後ろからの声に見上げると、水に濡れたフランスさんの姿。…お風呂だ。湯船につかっている。
「フランスさん…」
「ごめんな、ちょっとやりすぎた。」
ちゅ、とキスをされて、あけましておめでと、と言われて、もうそんな時間なんだ、と瞬いた。
「おめでとうございます。」
「今年もよろしく。」
はい!と笑って答えたら、そんなわけで。とにっこりされた。
「ふぇ?」
「…もう一回戦、つきあって?」
腰を支える手が、胸に触れて、怪しく動き出して。
「あ…んっ…ふ、フランスさん…?」
「カナダがかわいいのが悪い。」
理不尽な言い訳に言い返そうとしたら、唇を塞がれた。

ぱた、と、髪から落ちた水滴が、目尻から流れた。

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