する、と伸ばされた手は、指に触れて、絡められて。 「え、」 見上げるが、ドイツは平然としていて、どうした、イタリアなんて言われて、ううん、なんでも。と返すけれど、やっぱり、手は繋がれたままで。しっかりとつかまれて、離れられない。 「…あの、ドイツ?」 「どうした?」 「手…」 何で繋いでるの?そう尋ねると、…悪いか。そう返ってきて、や、別に悪い訳じゃないけど。 「…珍しいなって…」 俺から手を繋いだり、ハグすることはよくある。けど、ドイツから、なんて、とても珍しかった。 ちら、と見上げると、手が離された。 「あ…」 残念で思わず声を上げると、ぐい、と腰を引かれた。あっと言う間にドイツの膝の上。深く抱き込まれて、ぱちぱちと瞬く。 「…ドイツ?」 「…悪いか。」 妻を独り占めしたいと思って、悪いか。なんて。言われて。驚いて見上げると、顔をふい、とそらされて、見える耳が赤い。 「…ううん」 悪くないよ。そう答えて、なんだかうれしくなってすり寄ると、頭にキスが降ってきた。きゃあ、と歓声を上げて、笑う。 ふわり、といつもと違う匂いがする。ハネムーンで来たコテージは、かわいらしい。近くの街も綺麗だった。 「あとで行ってみようね」 にこ、と笑うと、すまない、イタリア。とそう言われた。ダメなの…?そうしゅん、としたら、明日にしてくれ、とそう言われた。 「今日は、無理だ。…離せない。」 離してやれない。すまない。そう言われて、抱きしめられた。強く、ちょっと苦しいくらいに。 こんなドイツははじめてで、なんだかどきどきしてしまう。 でも、うれしい。頬がゆるんでしまう。それだけ、俺のこと好きってことだよね? イタリア。そう囁く声が、甘くて。 ちょっと力の緩められた腕の中で、反転して、ドイツを抱きしめる。 きっちり整えられた髪をぐしゃぐしゃにしてしまう。 これで、休日モード。外には出られない。ううん、出なくていい! 「イタリア?」 「いいよ。今日は、ずっと家にいる。ドイツと二人きり!」 えへへ、と笑うと、頭を撫でられた。優しく笑って、そのまま目を閉じて顔が近づいてくるから、ゆっくり目を閉じた。 重なる唇は、とても甘くて。 熱い。熱くて熱くて、くらくらする。それでも、もっと熱が欲しくて、抱きつく。 「ドイツ…!」 上がった息の中で何とか呼ぶと、抱きしめられた。強い腕の力。イタリア。耳元で低い声。 「大丈夫か?」 「へ、き…」 笑ってみせると、くちゅ、と音を立てて指が抜かれた。 喪失感に、引き止めるように中が収縮する。くす、という笑い声に、か、と頬が赤くなった。 「…慌てるな」 大丈夫だから。そう、頬を撫でられた。 「…ドイツ、」 呼ぶと、髪を撫でられた。そのまま、くるんをつかまれて、びくん、と反応する。 「あっ…!」 「…もっと、聞きたい。」 感じて。そう言いながら、つつ、と舌が胸を這う。 それなのに指はくるんを捕らえたままで、背筋がぞくぞくしてしまった。 「ど、いつ、や…っ!」 「気持ちいいか?」 「あっぅん、だめ、ダメ、や…っ」 突起をぐ、と噛まれる。続いて、くん、とくるんを引かれて、やぁ、と首を振った。 「や、だめ、気持ちいい…!」 あ、あ、と上がっていく声。びんかんになってしまった体には、十分すぎる刺激。ドイツ、と泣きそうな声で呼ぶ。 「どうした?」 「が、我慢できな…」 下も触って、と消え入りそうな声で言ったら、触らなくてもイけそうだな、なんて声! 「そ、そんな、や、あああっ!」 かぷ、と噛みつかれて、舐めあげられて、くるんを強く擦られて、やああ、と声を上げる。 気持ちいい。でも足りなくて。下に触れてもらえたら、すぐイけそうなのに。なのに、ドイツは触ってくれなくて。 「や、も、ドイツ…!お願い、」 「もう少し、」 「そんな、や、ああんっ!」 ぐいぐいとくるんを引かれて、涙がこぼれてきた。気持ちいい。けど、足りない。足りないそこが、欲しくてたまらなくて、狂ってしまいそう! 「ドイツ…!」 呼んで、そう訴える。もう耐えられない。涙でにじむ視界で、蒼い瞳を探す。 「…狂えばいい。」 それで、早く俺のところまで堕ちてくればいい。 低く言われた言葉の意味がわからなくて、ど、いつ?と呼んだ瞬間、刺激を強くされ、愛している、なんて直接耳に囁きかけられたらもう! 「あ、あああああっ!」 達して、弛緩した体を、ドイツがゆっくりと撫でる。 「…あっ、ん…」 「大丈夫か?」 首を縦に振って、頬に伸びてきた手に目を閉じてすりよる。大きな手だ。大好きな、手。 「イタリア。」 呼ばれて、目を開けると、その、と何故かドイツは口ごもってしまった。 「ドイツ?」 首をかしげると、両頬を包み込まれた。少し赤い、ドイツの顔。 「…今日、なしでしてもいいか?」 何を、と口を開く前に、直で感じたいんだ。…だめか。そう尋ねられた。 それでなんとなく察しがついて、えと、と呟くと、それ、と、とまだ続きがあるらしい。 「…お前との子供が、欲しいと思うんだ。…だめ、か?」 だめじゃない。だめなわけがない!うれしくて、何だか泣きそうになってしまいながら、こくんとうなずく。 「俺も、欲しい、よ。」 ドイツと俺の、子供。そう、泣き笑いみたいな顔で見上げると、額にキスがひとつ。 「ドイツ、大好き。」 何だか伝えたくて、そう言ったら、こつん、と額をあわせて、俺もだ、と言ってくれた。 それから、腰に手が回された。いつもより熱いそれがあてがわれる感覚に、思わず息を飲んで。 「ド、イツ。」 「力を抜け。」 大丈夫だから。そう苦笑されて、ゆっくりと力を抜く。 ぐぐぐ、と入り込んでくる感覚に、なんだかいつもよりずっとぞくぞくしてしまう。 「あ、あーっ!ど、どいつ…!」 両手を伸ばすと、ここにいるから。と抱きしめられた。必死でその首にすがりつく。 「あ、あっ、あ!」 「…く、」 ドイツの動きが止まったから、入った?と尋ねる。うなずかれて、はあ、と息を吐く。 奥まで、熱い。ぎっちり、といった感じだ。 「ドイツ…。」 きす、して。そう囁いたら、すぐに口付けが降りてきた。 そして、ドイツが動き出したら、もう何もかもわけがわからなくなって。 何度も達して、意識が遠のいたその瞬間に、だく、と中ではじけたのが、わかった。 「…ヴェ…?」 「おはよう、イタリア。」 そう囁かれて、顔を上げる。 優しいドイツの顔。おはよ。そう笑って、隣に寝る彼の体に擦り寄る。二人ともまだ裸だ。 でもそんなの気にする俺じゃないよ! 「こら。」 「えへへー。ドイツー。」 「…まったく…体、大丈夫か?」 痛かったりしないか?そういわれて、首を横に振る。ちょっとだるいけど。それくらいだ。 それよりなにより。 「ねえ、ドイツ。」 「何だ?」 「子供、欲しい?」 そう尋ねると、かっとドイツは真っ赤になった、な、なと言う彼に、だって昨日言ったもん俺聞いたもんとまっすぐ見つめる。 「ね、ドイツ!」 「……そりゃあ、な。」 真っ赤になってふい、と視線をそらしてしまったけど、でも、ちゃんと聞いた。欲しいんだ。 ドイツも、そう思ってくれてたんだ! 「わはー!俺も俺もー!」 うれしい。だって、ドイツはいつもちゃんと避妊とかしてたから。プロポーズの後も、ずっと。だから、子供とか、いらないのかなってちょっと不安だったから。だから、すごくうれしい! 「元気な子がいいね。」 そうにこにこしながら言うと、気が早いな、と苦笑された。 「…おまえの子ならありあまるくらい元気だろうな。」 「男の子がいい?女の子がいい?」 「…どちらでも。ああ、けど。」 「けど?」 わくわくと尋ねると、おまえ似だとうれしいな。なんて、頬にキスまでついてきて、もう! 「ドイツ大好きー!」 「はいはい。」 がばっと抱きついたら、しっかりと受け止めてくれた。 戻る . 「あははははっ」 けらけら笑うと、ドイツが呆れたように、俺の手からグラスを取った。 「あ!」 「飲みすぎだ、イタリア。」 「そんなに飲んでないもん〜。」 返して返してと、ドイツの体によじ登るように手を伸ばしたら、ダメだ、と言われて、ドイツはそれを飲んでしまった。 「ああ!…けち〜。」 「はいはい。…こら、だから注ごうとするな!」 ワインのボトルに手を伸ばしたら、後ろから抱きしめられた。 お酒のせいだろうか。いつもより熱いドイツの体の方がワインより好きで、ヴェーと擦り寄る。 「…この酔っ払い…飲みすぎるなと言っただろう…」 「んー…だっておいしいんだもん〜。」 フランス兄ちゃんがくれたワインと、俺のとこのワインと、ドイツのとこのビールでちょっとした宴会。 お酒は好きだ。頭がふわふわする感覚も嫌いじゃない。ドイツが、ちょっとスキンシップ積極的になるのも、好き。 ほら、水、と差し出してくるのをいらない、と拒否して、首にすがりつく。 は、とため息をついたドイツの肌が、少し赤い。熱い。 まるで。 考え着いたところに、思わずこくん、と喉を鳴らして、どいつーと見上げる。 「何だ。」 「シよ?」 まっすぐに見つめて言うと、う、とつまった後で、ドイツは眉を寄せた。あ。これはダメって言うな。 簡単に予想ができて、でもシたくて、我慢なんかできなくてというかどうしてドイツが目の前にいて、子供達も寝ちゃってて、明日はドイツ家でお仕事なのに我慢しなきゃいけないの? …でもなんか、ダメだった気もする…なんでだっけ?まあいいや。 目の前のワイシャツのボタンをはずす。おい、イタリア、と咎める声は聞こえないふり。 三つ目まではずして、現れた形のいい鎖骨に舌を触れるか触れないかぎりぎりのところで這わす。 知ってるもん。ドイツここ弱いの。びくっと揺れる体に気をよくして、ちろちろと舐めていたら、ぐい、と抱き上げられた。 「きゃー。」 さらわれるーと悲鳴を上げて笑ったら、後で文句言っても知らないからな、と小さくぼそり。 それから、向かう先はもちろん二人の寝室。 「あ、ん…!」 「…は、」 すぐ近くでドイツが熱い息を吐いたから、はいっ、た?と聞いてみる。とは言っても、もう奥までいっぱいで、まだ、と言われてもどうしようもないんだけれど。 「…ああ。」 熱いな、と囁かれて、不思議に思う。ドイツの、の方がずっと熱いのに。焼けて、しまいそうなのに。 「…動くぞ」 「や、もうちょっ、待っ…!」 止めたのに、止まってくれなくて、ぐん、と突き上げられて悲鳴を上げた。 「ど、いつ、深…!ああんっ」 「奥の方が感じる、だろ?」 余裕のない笑顔に、かん、じるけどでも、と何とか返事を返す。 「でも?」 「んああっ!や、あんっ!あ、か、んじすぎ、て…っ」 こわい、 そう囁いたら、ふ、と笑われた。足を大きく広げられて、奥まで押し込まれる。 「や、あああっ!」 「大丈夫だ。俺がいる。…だから。」 怖くない。そう囁かれても、本当に奥の奥まで入れられた俺は、返事もできない、どころか動けないくらいに感じてしまっていて、言葉の意味を処理できない。 「あ、は…!」 「…イタリア。」 額にキスが降ってくる。その甘くて慈しむようなキスと裏腹に、激しく深く突き上げられて、まともに息をすることすらできなくて。 「や、…や、ドイツ…!やだ…!」 「やだ、じゃなくて、もっと、だろう?」 なあ、イタリア。低く言われる。やだ、と本当に怖くて、首を横に振っても、聞いてくれなくて。 「や、ああ、あああーっ!」 がくがくと体を震わせて達すると、低い声を上げてドイツも達した。 いつもだったら、それで終わりなのに。 「や、やだやだ、ドイツ、だめ…!」 さっきイったばかりのはずの自身をまた入れられて、いやいやと首を横に振る。 「だめじゃない。やだも聞かない。」 「だ、ダメだって、ばあ!あっ…う、ごかないでぇ!」 そう言ってなんとか押しのけようとするのに、まったくダメで、ドイツはどいてくれない。逃げようとしても、引き戻されて、奥に当たる感覚にひ、と息を飲む。 「や、壊れちゃう…!」 「大丈夫だ。」 まったく聞いてくれない。浮かんだ涙も、舐めとられて。くるんに触れられて、怖くて嫌なのに、ぞくぞくと体がまた快楽に支配されていく。 快楽でなにも考えられなくなりそうな頭で思い出す。そうだ、酔ったドイツは、歯止め全然効かないから、だからダメなんだ。 でも今思い出しても遅すぎて。 「まだまだ夜は長いぞ…」 「そ、そんな、あああんっ!」 いつもよりずっと色気のある、強引なドイツに、とにかくしがみつくことしかできなかった。 「…だから酔ったドイツとするのやなの…」 「煽ったのはおまえだろう…」 文句は受け付けないと言ったはずだぞ、とため息をつかれて、布団をばさりと頭までかぶる。立たない腰が、ずきんと痛んだ。 「…とにかく俺は、朝食を作ってくるから」 「パスタ。」 言ったら、ドイツは黙ってしまった。 もそ、と布団の端からじいい、と見つめてみる。 「パスタがいい。」 「…はいはい。」 おまえほどうまくないぞ、と言われて、やったー!と内心喜ぶ。上手じゃなくても、ドイツが作った、というだけで俺にとってはごちそうだ。 「あとねー、シュトーレンとザッハトルテとアプフェルクーヘンと…」 「ダメだ、食べ過ぎだ。」 「…う〜…」 じいいい、と見つめれば、う、と頬をひきつらせたドイツは、深いため息をついて。 「…小さめのやつだからな。」 「うん!」 えへへ、と笑う。 ドイツは、自分が無茶させたとわかってる次の日はすごく優しい。それがわかっているから、こうやってわがままを言ってしまうんだけど。 「今日はおとなしくしてろよ。無理して家事とかしなくていいから。」 「うん。ガブリエルと絵描いてる。」 そう答えたら、ちゅ、とキスされた。優しいキスに、顔がつい緩んでしまう! 「ドイツ大好き!」 「…俺もだ。」 戻る |