「ロマーノ!海や!」 海ー!と叫んで走っていくスペインに苦笑。まったく、海なんかそんな珍しくもないだろうに。ガキみたいにはしゃいで。 テラスの柵にもたれて、眺める。でも、綺麗だ。スペインが走り出す気持ち、ちょっとわかるかも。 ずっと続く白い砂浜と海を眺めていると、ロマーノ、と案外近くから呼ばれた。 視線を戻すと、スペインが手を広げて笑っていた。 テラスから砂浜まで、少し高低差があるのだ。 「ほら。」 おいで。と、手を広げてみせる彼に苦笑して、ためらいもせずに飛び込んだ! ためらう必要なんか無い。だって絶対大丈夫だ。期待通り、スペインは難なく受け止めて。 「ロマーノちょっとふとっいたたたいたいいたい!」 失礼なことを言うから両頬を引っ張ってやった。 ちゅ、とキスを落とすと、ぎゅむ、と抱きつかれた。 「…かわええ」 本心を素直に、でれでれしてしまう頬をそのままにそう言ったら、だって、約束、と呟く。 そうやな、と笑う。 ここにくるとき、約束を交わしたのだ。子供たちと。 とりあえず喧嘩をしないこと。それから、素直に自分の気持ちを伝えること。あと、相手の話を聞くこと。 『せっかく行くんやから、喧嘩なんかしたら台無しやで!』 『絶対。約束してよ!』 子供たちの厳しい言葉を思い出して苦笑。 「やったらロマーノ。」 ふと思いついて聞いてみる。 「何だよ」 「俺のこと好き?」 にこにこ笑って見ると、彼はかああと真っ赤になってしまって。 それでも、約束は?と言ってやれば、うろうろと目をさまよわせて。 顔を肩に埋めて、小さく好き、だちくしょー、と呟いた。 思っていたよりずっと破壊力を持った言葉に、思わず顔を手で覆う。 「う、わあ…」 「な、何だよ、悪いか?」 「悪くないで、全然悪くない。かわええ…」 大好き、と囁いたら、肩に顔をすりすり。 ああもうかわええ!と抱きしめたら、痛いぞちくしょー!と暴れられた。 いつものことだけれど、ついさっきまでばたばたしていても、ベッドに押し倒してしまうと、すぐ静かになる。 「ロマーノ、エロいこと結構好き?」 容赦のない頭突きが、額を襲う。 「〜、〜っ!!」 声にならない声を上げてベッドに突っ伏した。 「ば、馬鹿かちくしょーっ!!」 おま、だって、そんな、と焦った声がした。 「やって…ロマーノ静かやんか…」 どんだけ喧嘩してたっておとなしくなるから…そうやっとのことで言うと、そ、そんなの、当たり前だろちくしょー、と動転した声。 「当たり前なん?」 「だ、だって、」 だって?と促すと、うろうろと視線がさまよって。 じっと待ち、耳まで真っ赤にした彼女の髪を撫でる。 「…だって、俺のこと、欲しいってことだろ」 押し倒される、ということは、俺のこと欲しいって思ってるってことだろ、好きって思ってもらえてるってことだろ。だから。 そう、ぼそぼそ呟く彼女がもう、かわいくてかわいくて、とりあえず抱きしめた。痛いと文句が出ても離せそうにない。かわいい。かわいすぎる! 「…ロマーノ、」 「わ、悪いかちくしょーっ!!」 「悪いわけ無いやろ。…けどそんな心配せんでも、俺はいつでもロマーノのこと愛してるんやで。」 それだけは覚えといて。 そう囁くと、こくん、とうなずかれた。俺も、好き。そう抱きつかれて、しっかりと抱き返した。 ぎち、とベッドが鳴る。柔らかい髪をキスを落とす。 ぴく、と肩が揺れた。…かわいい。緊張しているらしい。抱きしめて、唇をふさぐ。 「ん…っ」 堪能してから顔を離すと、もう息の上がったロマーノが見上げてきていた。艶やかなまなざし。 「あー…ごめん。今日ちょっと手加減できひんかも…」 「…す、好きにしろちくしょー…二人きり、なんだから」 おまえの好きにすればいい、なんてそんな。恥ずかしそうに見上げられたら、ああ! 「…じゃあ、好きにさせてもらうで?」 「あっけど痛いのはイヤだからな!」 りょーかい。と笑って、一度深呼吸。 そうしないと、自分を見失ってしまいそうだった。 ぐちゅぐちゅ、と耳を犯す水音にいやいやと首を振り耳をふさぐ。 「ロマーノ、」 その手を、ぐい、と引きはがされた。 「やっ…!」 「隠したあかん。逃げへんと感じて。」 低い声で言われて、その途端に奥をグチグチと引っかかれた。嫌だ、と体をよじろうとしても、押さえ込まれた体は動かない。 「嫌?何で嫌?」 「…き、気持ちよすぎて、」 やだ、そう言うのに、やめてくれない。余計に強くされて、スペイン!と叫ぶ 「気持ちええんやったらええやん」 「よ、よくな、ひっああああ!」 泣きそうになりながら、自由の利かない体をなんとかよじって逃げようとする。 「ロマーノ」 逃げない、と引き戻されて、指がさらに奥をえぐった。 ひぁん、とあられもない声を上げて、達してしまう。 「…は…」 「かわええ…」 ちゅ、と額にキス。ふざけるな、何度もイかされるこっちの身にもなってみろ! そう思うのに、また中をぐちぐちとまさぐられて、いやいやと首を横に振る。 「や、やだ、やめ…っ」 「やめへん」 な、もっと感じて。我慢せんと。そんなこと言われたって、これ以上なんて無理だ。怖い。今でさえ頭が狂ってしまいそうなのに! スペインの胸にしがみついて、怖い、と訴える。あ、やばい、涙出てきた。 「わ、わわ、泣かんといて〜」 「だ、誰のせいだこのやろー…っ!」 えぐ、と肩を揺らすと、やっと指を抜いてくれた。ごめんな、と抱きしめられて、落ち着いてくる。 「スペインの馬鹿やろー…」 ぐず、と鼻をすすり、きゅ、としがみつく。ごめんな。怖かったな。口調が昔と変わらないのに、手が体を這うのが、いやらしくて。(いや、もしかしたら、俺の受け取り方が違うだけかもしれないけど) 「ん…あ…」 体を震わせると、気持ちいい?と囁かれる。低い声。小さくうなずくと、口付けられた。ぐちゅり、と深く深く舌を絡められて、翻弄されて、何も考えられなくなって。 やっとのことで解放された口で酸素を貪りながら名前を呼ぶと、さら、と髪を撫でられた。 くるんに触れられて、ぞくん、と背筋を震えが走る。 「スペイン…!」 一度ならず高められて、敏感になった体には、強すぎる刺激に、耐えられない、と見上げる。 「ロマーノ…自分がどれだけエロい顔してるかわかっとる…?」 「し、知らねーよちくしょー…。」 ため息をつかれて、戸惑いながらそう返すと、太股にかかる手。ぐい、と開かされて、思わずぎゅ、と目を閉じる。 「入れてええ?」 「聞くな、馬鹿…っ!」 ぐちり、と一度擦り付けられて、期待に秘部が収縮した。 「動いた。やらしーなあ…。」 言葉にして言われたら、さ、と羞恥の熱が体を走る。 「な、ロマーノ、入れてええ?」 「…っだから聞くなって…っ!」 「教えて。言葉にして。」 こんのっ…! 怒鳴りたくなったけれど、き、と見上げたら見えた、真剣で、熱くて、まっすぐな緑の瞳に、言うはずだった文句が、とけて、消えて。 「…い、れて…」 小さな声で言ったら、聞こえへんで?なんて、ああもう! 「欲しい!入れろ!」 怒鳴ったら、色気ないなあ…なんて呆れられて、知るか!もう!恥ずかしい! 「じゃあまあ、ご要望にお答えして。」 ちゅ、と瞼の上にキス一つ。 「すぺ…」 途中まで呼んだ名前は、一気に押し入ってきた灼熱に、嬌声に変わった。 しがみついて、背筋を駆け上がってくる快楽を必死にやり過ごす。 「は、あ…っ!」 「あつ…っ」 火傷しそう、なんて笑うスペインが、そんな笑う余裕があるのが気に食わなくて、ぐちゅり、としめつけてやる。 途端に、低くうなったスペインが眉をしかめるのを見て、やっと溜飲が下がった気がした。 表情を緩めた途端、ぐ、と足を大きく開かされて、ず、と突き上げられて頭が真っ白になる。 「もう手加減せえへんからな、覚悟しとき、ロマーノ。」 低く告げられて、手加減なんてできるのかよとか、する必要ないだろとか、頭に浮かぶけれど、口からこぼれるのは意味のない高い声だけで、ずんずんと突かれて、ついには考えることすらできなくなって、ただ必死でしがみついて、快楽を追った。 「…っスペイン…っ!」 「ロマーノ、」 愛してる、と、いう余裕のない声が、とてもうれしかった。 目を覚ますと、もう太陽が高かった。 「…スペイン…?」 「おるで。」 声に、首をめぐらせると、ベッドサイドに椅子を置いて、座ってにこにここっちを見ているスペインの姿。 「何やってるんだ…?」 「え、ロマーノ見てた。」 俺の奥さんは世界で一番美人やなあって。なんて、上機嫌に言うから、かああ、と顔が熱くなって、見んな、ちくしょーと返して、布団の中にもぐりこむ。 「えーいやや。もっと見る。ずっとそばにおって、ずっと見るんやから!」 その権利があるのは俺やろ?なあ。俺の愛しい奥さん。 布団を引き剥がされて、抱きしめられる。 ロマーノ。ああ、なんて甘い声! 「…馬鹿やろー。」 お前以外になんて許すか。そうぼやいて、世界で一番好きな人(言えないけどな!)に抱きついた。 戻る |