ベッドの上で、もぞもぞ、と動く。しゃがみこんで、体を丸めて。…これで、何日目だろう。 「は、あ…ん」 体が、熱い。眠れない。ここ最近、ずっとだ。女の子の体に、なってから。 理由は至極簡単。シてないからだ。ドイツと。…自分でも。 だって俺女の子となんかしたことないから、やり方なんかわかんないし。なんかちょっと怖いし。 今日も今日とてドイツんちのゲストルーム。すぐ近くに、頼れる人はいる、けど。…怒らせたら、どうしよう。一緒に寝るのさえ許してくれないドイツが、こんなこと、言ったら。そう思って、ずっと言えなかった、けど。 ぎし、と体を起こす。 でも、もう限界。 せめてちょっとでも怒られないように、と服を着て、部屋を出た。 滅多にしないけど、こんこん、とノック。 しばらく待ったら、不審そうな顔をしたドイツがドアを開けた。 「イタリア、どうした?」 ノックなんかして、って、いつもしろってうるさいのはドイツなのに。おかしく思いながら、見上げる。見慣れた、よりもある、身長差。 「…あの、ね。眠れ、なくて。」 「…ホットミルクでも入れるか?」 首を横に振る。そうじゃない。そうじゃなくて。 でもなんて言っていいのかわからなくて、うつむく。 「どうした?」 優しい手が、頬を包む。 それにさえ感じてしまって、体が震える。 「…も、無理…」 ぎゅ、と抱きついた。イタリア?と焦った声。顔を近づけると感じる匂いに、もっと、と体の奥で炎が燃え上がる。 「シて…?」 見上げたら、は。と固まった後、はあ!?と声が上がった。 「お、おまえ何言って…」 「ドイツが悪いんだよ…?」 だって。元の体の時にはあんなに毎晩のようにしておいて。女の子になった途端にぱったりしなくなる、なんて。そんなの、我慢できなくなるに決まってるんだから。 「責任、とって。」 じっと見上げたら、…後悔、しないか。と低い声。 「しない。…ドイツじゃなきゃ、やだ。」 きっぱりと言ったら、抱き上げられた。 あっと言う間に、ベッドの上。組み敷かれて、ぞくぞくするほど熱い瞳に見下ろされる。 …だめ、たったそれだけでどうにかなってしまいそう! 「人がせっかく我慢しているのにおまえというやつは…」 全部台無しだ。そうため息をつかれて、ご、ごめんね?と謝る。 「謝らなくていい。…なるべく、優しくするが、その…」 俺も初めて、だから、な。少し恥ずかしげな声に、なんだかうれしくなって、そのまま言葉に出す。 「俺、うれしい。」 「何が?」 「ドイツのはじめてが俺で。」 にこ、と笑ったら、ドイツは息を飲んで。 「…もう知らんぞ。」 低く一言だけ言うから、怒らせた?と謝ろうとしたら、口を塞がれた。ねっとりと、絡む舌。久しぶりに与えられた刺激に、夢中になってしがみついて貪る。 その間に、気づいたら、羽織ったパジャマを脱がされていた。 「…下着くらいつけろ…」 唇が離されて、呆れた声。 「だって…すぐ脱がすから…」 いらないかなって。そう言ったら、ため息。 「……まあ服着てただけマシか…」 そう呟いて、ドイツは胸に口を降ろした。這う舌。ひあ、と声が出る。 「あ、や、ん…っや、す、吸っちゃや…っ」 痛いか?そう尋ねられて首を横に振る。痛みはない。代わりに、快楽が流れ込んでくる。体が震える。腰が揺れる。 「柔らかいな…」 舐めているのと逆の方を、手に包まれて、熱い息が漏れた。 「あ、はぅ…き、もちい…」 「…これは?」 突起に爪を立てられる。 「んっ!…ちょ、っと痛い…」 「これくらいか。」 力が緩む。はじかれて、押しつぶされて、ああん、と声が止まらなくなる。 「…感度がだいぶ上がってるな…わかった。」 「な、にが…?」 何がわかった、のかわからなくて尋ねたら、これくらいだろ?と言われた。 直後に、片方の突起を甘噛みされて、もう片方を押しつぶされて、襲ってくる快楽にやああん、と声を上げた。気持ちいい。よすぎるくらいのそれに、首をふるふると振って。 ふ、と太股をなで上げられた。思わずかちん、と固まる。 「…嫌ならしない。」 まだ引き返せる、と頬を撫でられた。見上げると、心配そうな瞳。 小さく深呼吸して、だいじょぶ、と答える。 「無理はするなよ」 「してないよ。…ドイツじゃなきゃやだもん」 本心を言ったのに、ドイツはなんか疲れ果てたようにため息。 「おまえは…本当に、リミッターをはずすのがうまいというかなんというか…」 「ヴェ?」 何が?と首を傾げたら、いや、何でもない。と言われた。…何なんだろ? そう思っている間に、体を起こしてずらしていくドイツ。 ズボンを脱がされて、恥ずかしくて目をきつく閉じる。 太股に手が掛かる。開かされる。それが、リアルに感じ取れて。 「…綺麗だ。」 囁かれたら余計に恥ずかしくなった。 ゆっくりと指で撫でられて、中を探るようにかきまわされ、突起を摘まれただけでもうダメで。 「ああ…っ!」 達して、荒い息をついていたら、中で指が動く。 「んあ…」 思わず眉を寄せる。 「痛い?」 「…苦しい…」 素直に答えると、そうか、と一言。 それから、中とか突起とか、撫でられて刺激されて、ふにゃふにゃになって何も考えられなくなったくらいのときに、目が、見えた。心配そうな、表情。 次に言う言葉が、予想できて、キスで唇をふさぐ。今なら引き返せる、とか。そういうこと言うつもりなんだろうけど。 「大丈夫、だから。…入れて。」 「…わかった。」 あてがわれる熱。走る痛みに、涙がにじんだ。 それでも。 「イタリア…」 低くて熱い、声とか。撫でてくれる優しい手とか。そういうのが、うれしくて、胸がいっぱいになって。 低い声を上げてドイツがイったのがわかって、その事実にぞくぞくして、イってしまった。 くたり、と力を抜いたら、頬に触れる手。優しいキス。 「大丈夫か?」 うなずく。 きゅう、と抱きついたら、…やばいな。と小さな声。 「何?」 「止まらなくなりそうだ。」 「えっ」 今日はもう無理だ。腰痛い。 「わかってる。…今日は、な。」 にやり、と笑われて、あれ、俺なんかまずいことした?と頬をひくつかせた。 戻る . がちゃん、とドアを開ける。 「カナダ。ちびたち寝た?」 「はい。もうぐっすり。」 疲れちゃったみたいですね。とフランスさんに微笑む。最近抱え上げると重さを感じるようになってきた、双子は、外を駆け回って疲れたらしく、2人で手を握って眠ってしまった。 「そうか。」 「ええ。…あ。コーヒーでも入れましょうか。」 キッチンに向かって歩き出したら、する、と腰に回った手に阻まれた。 「いいよ。…コーヒーよりカナダがいいな。」 耳元で囁かれて、ぞくっとしてしまってあ、と声を上げたら、軽々と抱き上げられてしまった。…昔から若いなあとは思っていた(だって僕よりずっと年上なんだ)けど、結婚したあたりから、若返ってる感じがする… ベッドに横たえられる体。フランスさんの少し長い髪が、顔にかかる。満面の笑み。 「…楽しそうですね」 「楽しいよ?…世界一好きな人と愛し合うのが、楽しくないわけがない。」 愛しい、かわいいカナダ。そう囁いて、本当に愛おしそうな目をするから。 すり寄る。とろけそうだ。いつも、大きな愛で包まれて。 「カナダ。」 キスをして、深く舌を絡めた。 「あ…ふ、あ…」 足を大きく開かされて、間を撫でられる。中に指を入れてかき回して、腰をくねらせたら逃げるように出して、撫でるだけになってしまう。もう少しでイけそうなのに、解放してくれないフランスさんに、じれる。 「ふ…フランスさぁん…」 「…カナダ」 呼ばれて、目を開ける。 「名前、呼んでみて」 「…フランスさん?」 「さんは、いらない。」 ほら。そう促されて、困惑しながら、口を開く。 「フランス………さん、」 ダメだ。ないとすごい言いづらい。無理?と尋ねられてこくんとうなずく。 だって、初めてあったときからずっとずっと、『フランスさん』なんだ。僕がずっと、初めて出会ったあの日から、世界で一番好きな、人は。 そう呟いたら、待って、と言われた。はい?と瞬く。 「…カナダは、いつから俺のこと好きなの?」 「…初めて会った、あの日からずっと。」 ずっと、だ。最初は、親愛に近い感情だったけれど、世界一、なのは、昔も今も変わらない。 それがどうかしたんだろうか、と思っていたら、キスされた。深い口づけ。激しいそれに翻弄されて。 されるがままになっていたら、ぐい、と足を開かされた。驚いている暇もなく、ずぶずぶと中に入れられる。 「んんん…っ!」 ずっと焦らされていた体が、突然の刺激に耐えきれずに達してしまう。きつく締め付けるのが余計に気持ちよくて。 「ん、んぁ、ま、待って、フランスさ…!」 声を上げるのに、無理、止まれない。とかすれた声。 「や、あ!んああっ!そ、そんな…っ」 「愛してる、カナダ…」 激しい動きに、何も考えられなくなって、気持ちよくて、ただ大きな体にしがみついて。 「ふ、フランスさ、あ、あああ…っ!」 「っ!カナダ…!」 「…失敗。」 セーブしようと思ったのに。気づいたら、カナダをまた気絶させていた。…でも今日は、カナダも悪い。 だって、あんなことを言うから。初めて会ったときから、好きでした、なんて。そんなことを言われて我慢などできるわけもない。 「…カナダ。」 愛しい愛しい俺のカナダ。そう囁くと、眠るカナダが微笑んだ。小さく笑って、抱き寄せて目を閉じた。 「お休み。」 戻る |