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うわ面倒くさ。
と思ってしまったのが顔に出ていたらしい。ドイツ、とイタリアに小声でたしなめられた。
「よぉ、おかえり〜ドイツ〜」
自宅リビングで我が家のようにくつろぎ、べろんべろんに酔っぱらっているのは、スペインだった。

また喧嘩か。とイタリアにたしかめたところ、首肯。
…まったく…
「やってな〜、ロマーノがなぁ…」
さっきから同じことを繰り返しているだけだとわかっているんだろうか。この酔っ払い。

よく喧嘩する義姉夫婦(うわあまり認めたくない)のとばっちりは、よくうける。
例えば怒ったロマーノが突撃してきたり。
こんなふうに酔っぱらいが乱入してきたり。
子供達は、と尋ねると、部屋。と返ってきた。この間酒をふつうに勧めたからそれからは酔っぱらいの彼の前に子供達は出さないことにしたのだ。

「スペイン兄ちゃん、兄ちゃんも悪気があってしたわけじゃないと思うし…」
「やけどなぁ…」
ぐだあ、とお酒の瓶にすがりついた彼に、ドイツ、と服を引かれた。嫌なんだけどな。…いつもする質問があるの、だが。
「…そんなに嫌なら別れたらどうだ?」
聞いてやったら、くわ、と目を見開いたスペインに何言うてんねん!と怒られた。
つかみかかられてはいはいはい、となだめるが聞いてない。
「ロマーノはなぁ!世界で一番好きな俺の最高の奥さんなんやで!」
「はいはいはいはい」
「ろ、まーのは…」
急に動いたからだろう、酒が回ったらしいスペインが、ずるずると座り込んで、眠って。

終わった、と深くため息をつくと、ドイツお疲れさま。と肩を叩かれた。

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大丈夫か?と声をかけると、彼女は小さくうなずいた。
「ちょっとしんどいですけど…」
口元を押さえて弱々しく笑うから、無理するなよ、と背中を撫でる。
悪阻がしんどいと思う気持ちはよくわかる。俺も悩まされたから。ルキーノが生まれる前に。

「つらいよな…」
「はい…何か、対策あります?」
そう尋ねられて、考える。
『してほしいことあったら言ってな?』
心配そうな表情で、背中を撫でて、てきぱきと世話をしてくれたスペインを思い出す。
「…俺のときは、スペインが世話してくれたから…」
つらいときも、自分よりつらそうな顔とかするからつい笑ってしまって。それに、だいぶ助けられた気がする。

それを聞いて、カナダは少しだけ眉を寄せた。
「フランスなら、世話してくれるだろ。」
してくれる。してはくれる、けど。
『座ってて。俺がしとくから。』
そう言って、家事とか仕事とかさせてくれないのだ。
そうぼやいたら、…言えばいいんじゃないか。と言われた。

「…我慢なんか、する必要ないだろ。…ずっと側にいる、パートナーなんだから。」そう言われて、瞬いた。まっすぐに見ていたら、彼女は恥ずかしくなったのか視線を逸らして。
「…ありがとう、ございます。」
そう笑ったら、別にっと照れ隠しの強い言葉が返ってきた。


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