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「なあ、マックス」
「なんだよ、ルキーノ」
草原に二人寝転んで、相手の顔も見ずに会話を交わす。
「大人になったら、」
「ん?」
「イザベルのこともらってくれへん?」
「…は!?」
がさ、と音を立ててマックスが飛び起きる。

「何言って…!」
「やって〜…どこの馬の骨ともわからん奴よりマックスの方が安心やし…」
そう呟くルキーノに、それイザベルに言ってないだろうな、と確認して言ってへんよ、という回答を得、ため息をつく。
「兄馬鹿…」
「おまえにだけは言われたくない」
即答をされ、まあ否定はしない。と言ってから、また寝ころびなおした。
「イザベルがこの人、って決めてきたらどうするんだよ。」
「そりゃOKする」
「するのかよ」
「やってあいつ俺より確実にしっかりしとるし…」
イザベルが選んだやつだったら確実に幸せになるやろ、と言われて、納得。
「しかしまぁ…おまえがそんなこと考えてたって事実にびっくりした。何にも考えてなさそうなのに。」
「うわひど」
へこむわーなんて全然へこんでなさそうな声で言うのを笑って見て、けど、そうだよな…と呟く。

「ベアトリクスもいつかは…」
「そうやで」
「…もしも、そのときは、おまえに…」
「えっ、マジで!?」
「…だけはやらない」
「何やねんもー!」
じたばたするルキーノを笑いながら眺める。
「おまえと兄弟とか本気で嫌だし」
「マックスおまえ前から思ってたけど失礼やでほんま!」
立ち上がった彼に、何だよ、やるのか?とにらんで立ち上がる
「だいたいルキーノは、空気読まな過ぎなんだよ」
「何やと!?」
言い合いはつかみ合いに変わり、ぎゃいぎゃいとやっているうちに取っ組み合いに変わり。

しばらくの後、ぼろぼろになって疲れ果てたように、草原に寝転がる二人。
「…なあ、マックス」
「なんだよ、ルキーノ」
「…喧嘩の理由、なんやったっけ?」
「…さあ?」
「……ま、ええか」
「……そだな」

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問 赤ちゃんってどうやって生まれてくるの?
「え。」
「えっと…」
視線を合わせて、オーストリアとハンガリーは困り果てた表情をした。
「…聞いては、いけませんでした…?」
幼い、愛娘の不安げな瞳に、いえいえ、と答えて、困ったように笑いあって。
「……えっと、」
「…コウノトリ、が。」
「コウノトリ?」
連れてくるんですよ、と言ってしまって、オーストリアは額に手を当てた。
「そうなんですか!」
娘のきらきらした表情に、曖昧に笑って。
「…また、ちゃんと教えてあげたらいいんですよ。」
まだベアトリクス小さいんですから、と困ったように微笑んで、オーストリアの肩を支えた。

解.誤魔化す。



問 赤ちゃんってどうやって生まれてくるの?
「な!?」
「赤ちゃん?」
かああと真っ赤になったロマーノと、首を傾げたスペイン。
こくん、とうなずいたイザベルに、う、とロマーノは詰まって。
「…んー…口で説明するの難しいなぁ……あっ、実践で説明しよか!」
「ふざけんなちくしょーっ!!」
がっす、と渾身の頭突きが入って。
いっ!?い、痛い痛いロマーノ殴らんといて!だいたいおまえは…!わ、わ、お母さん落ち着いて〜!どないしたん〜?

わやわやとうるさい騒ぎは、この家にはいつものこと。

解?うやむやになる。



問 赤ちゃんってどうやって生まれてくるの?
「…赤ちゃん。」
「ですか…」
イギリスと日本は、顔を見合わせて。
「…どうし、ましょうか…」
「誤魔化すのもなんだと思うんだが…」
ひそひそひそ、と話す二人に、ケイは首を傾げる。
「父さん?母さん?」
声に、二人は顔を見合わせて、小さくうなずいて。
「…わかりました。そもそも人間というのはですね…」
「…ビデオいるか?」
「イギリスさんのとこのはいりません。あ、書庫の本取ってきてください。それで…」
てきぱきとまるで教師のように話し出す日本に、ケイは背筋を伸ばした。

解.保体の授業開始。

問 赤ちゃんってどうやって生まれてくるの?
「うっ…」
「赤ちゃん。」
言葉に詰まったドイツと、きょとんと呟くイタリア。
「あーっと…」
「どうやって?」
ガブリエルのまっすぐなまなざしに、ドイツは困り果てた顔で言葉を選ぶ。
その隣で、イタリアはしゃがみこんでにっこりと笑った。
「あのね。世界で一番好きな人と、」
「おい、イタリア…」
思わずドイツが止めるより前にイタリアは続きを言った。
「世界で一番好きな人との、愛で生まれるんだよ」
「愛?」
そうなんだ?と見上げてくるガブリエルに、ドイツはまぁ間違ってはいないか、とうなずいた。

解.愛を説く。



問 赤ちゃんってどうやって生まれてくるの?
「ど、どうやってって…」
双子の前に、困った顔をしたカナダと、ちょっと楽しげな表情のフランス。
「ふむ…言葉で説明するより、見て学んだ方が早いかな」
ぎしり、と押し倒されて、ええええ!とカナダは声を上げた。
「ち、ちょっと、フランスさんっ!」
「大丈夫だって〜」
「どこがですか!?」
ぎゃいぎゃいわあわあと目の前でやかましい二人に、双子は、顔を見合わせて深くため息。
「いいわよ、もう…」
「なんとなぁく、わかりました…。」
というわけでごゆっくり、と二人はそそくさと部屋を出ていった。

解?察する。


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「マリアちゃんて、ほんとイタリア君そっくりですよね。」
日本のつぶやきに、え、そう?と本人は目をぱちぱちとさせた。
「あー、外見はな。最初見たとき驚いた。」
実兄のお墨付きまでもらって、でも、そんなことないよ、俺よりずっとしっかりしてるし、と言い返して、外見はって言ったろ。と呆れられていた。
「そうですね。中身は……たまに、さすがドイツさんの娘さん、ってとこ、ありますよね。」
「そうなんだよね〜、ホースが凶器になる子だし」
その場にいた四人が、凶器?と思ったが、口には出さなかった。

「それに比べて、ガブリエルはほんとドイツそっくり!」
それは、誰が見てもわかった。性格も、そっくりで。
「…将来の苦労が垣間見えるよね…」
ハンガリーの声に、全員が苦笑した。
「あ、そう!こないだごめんね?マックスがまた…」
「気にしないで、ハンガリーさん。」
笑ったイタリアに、まったくあの悪ガキは…とため息。
「まあ、私も昔はああだったから、わからなくはないんだけど…」
「え、ハンガリーが?」
ロマーノの声に、まあ昔ちょっとね、と苦笑した。
「ベアトリクスは、あんなにいい子なのに…」
「…でも、まだましだろ。うちのに比べたら。」
次にため息をつくのは、ロマーノ。
「ルキーノのやつ…スペインが甘やかすから余計につけあがるんだよな…」
「そりゃあ甘やかすよ。だってルキーノ、外見兄ちゃんで中身スペイン兄ちゃんだもん。」
素直な兄ちゃんって感じ、と言うイタリアの言葉に、だよなぁ、とロマーノは深くため息。
「イザベルの苦労が目に浮かぶんだよな…」
あいつ俺より神経質だからな…と眉を寄せるロマーノに、でも、とカナダが呟いた。
「あの子は絶対将来美人になりますよ。」
「当たり前だ。俺の娘なんだから。」
きっぱりした声に、他の四人は顔を見合わせてくすくす笑って。

「将来…か。一番想像できないのは、カナダんとこの双子だな。」
「サラとリリーですか?」
首を傾げて、カナダはきょとんとして。
「でも、あの子達、そっくりですよ?リリーはフランスさん似だし、サラは僕似だし…」
「…いやいや。」
「いやいやいや。」
どこが。と全員否定に、ええ、どうしてですか!?とカナダはおろおろして。
「…サラのほうはまだしも。」
リリーは美少女だ。…性別は男だけど。素直で、思いやりのできるとてもいい子だ。
「あれがどうしてあの変態と」
「ハンガリーさん、あれでも人の旦那さんですよ。」
日本がフォローになってるのかなってないのかなことを言い。
「でも、日本さんとこみたいにしっかりしたお子さんいたら頼もしいですよね。」
エリちゃんとケイ君、とそう言われて、日本はそうですねぇ、と苦笑して。
「あの子たちは時々私より大人ですから…」

ちょっと寂しい気もするんですけどね。とそう呟く彼女が。でも、あの子達弱点あるんですよと楽しそうに笑う。
「何々?」
「甘いもの大好きなんですよ。もう目がないんですよねえ。」
親子そろって、とくすくす笑う。
「みんなで取り合いしたり。」
「わかるわかる、スペインとルキーノも目がないんだよなぁ…」
「ドイツのつくるドルチェ甘くておいしいよ〜」
「そういう話じゃねえよ馬鹿」
「そういえば、この間フランスさんにレシピ教えてもらったんですけど、」
「え、何々?」
奥方様の井戸端会議は続く。


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