2014.11.03; 21.04.26   ↑UP    IPCC第6次報告書 統合報告書 政策決定者向け要約 日本語訳 <New

IPCC第5次報告書 統合報告書 政策決定者向け要約
IPCC Fifth Assessment Synthesis Report Summary for Policymakersの翻訳文
翻訳:井上雅夫 2014.11.03 - 21
 目  次

IPCC第5次報告書 統合報告書 政策決定者向け要約の翻訳文と(訳注1〜8)
 

(訳注9)26%削減目標のパブコメ募集に「地球温暖化はエセ科学」と意見提出

   人為起源地球温暖化はエセ科学
<イチオシ
* 2020.11.15 ファイルサイズが大きすぎるので、翻訳文と訳注から、(訳注9)のみをこのページに転載


(訳注9)26%削減目標のパブコメ募集に「地球温暖化はエセ科学」と意見提出

  環境省は「日本の約束草案(政府原案)」関する意見(パブコメ)を募集していました(〆切:2015年7月2日)。この「日本の約束草案(政府原案)」のpfdファイルはこちらですが、その要点は「日本の温室効果ガス排出量を2030年に2013年比26%減の水準にする」というものです。これに対して、2015年6月24日、私の意見を環境省に提出しました。

環境省に提出した意見から住所と電話番号を削除したものを以下に示します。2000字以内の制限を満たすため、提出した意見は最小限の文字数で作成しています。そこで、以下では(注)で補足説明をしています。(注)は環境省に提出した意見には含まれていません。
件名:「日本の約束草案(政府原案)」に対する意見
○氏名 井上雅夫
○連絡先 
○職業

1.意見対象箇所 A(注1)

※以下は、2015年の環境省による温室効果ガス26%削減目標に関するパブコメ募集に対する私(井上雅夫)の意見です。菅総理はカーボン・ニュートラルを目指し、2021年4月22日の気候変動サミットで46%削減を目指すと発言しましたが、以下の私の意見は、「26%削減」を「カーボン・ニュートラル」「46%削減」に変更すれば、そのまま使えます。

人為起源地球温暖化はエセ科学

2.意見の概要


地球温暖化の研究は気候変動枠組条約で国際合意された人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化する研究であり、エセ科学というべきものです。温室効果ガスを26%削減しても気温には影響ありません。


3.意見及び理由

y9_f1_500  IPCC第5次報告書の最も重要な知見は「人為起源温室効果ガスが20世紀半ば以降の温暖化の支配的な原因である」です。

 しかし図1のように20世紀前半も合わせて見れば気温とCO濃度に相関関係も因果関係もありません。上記の知見は、人為起源地球温暖化に好都合な20世紀半ば以降だけに着目し不都合な20世紀前半を無視した知見であり、21世紀に適用できるものではありません(注2)(2018.10.11追記:上記のIPCCの知見自体が、この知見が科学法則でないことを証明しています。科学法則とは普遍的な法則であり、「20世紀半ば以降」という期間限定の知見が科学法則であるはずがありません)

 図2Aでは、気候モデルのシミュレーションによる過去の気温の再現値(赤)が気温の観測値(黒)にほぼ一致しているように見えますが、実は図2Bのように、一致しているのは20世紀後半だけで、20世紀前半、21世紀は一致していません(注3)。20世紀後半しか観測値を再現できない気候モデルによる21世紀末の予測が無意味であることは明らかです。
y9_f2_800
y9_f3_400  更に図3のように、20世紀後半の気温の再現値(赤)は、温室効果ガス強制力による高すぎる気温上昇(オレンジ)を負のエアロゾル強制力による気温低下(青)で観測値(黒)に合わせたものです(「エアロゾル強制力のみ」(青)の復元方法はhttp://goo.gl/CrnDbm参照)(注4)。そしてシナリオで21世紀末のエアロゾル強制力(青)を0とすることにより、21世紀末の気温を再現値(赤)の延長線上ではなく温室効果ガス強制力(オレンジ)の延長線上の高い気温としているのです(詳しくはhttp://goo.gl/Cvbmn5参照)。(注5)

 この仕組みにより、図3の正(オレンジ)負(青)の強制力の絶対値を両方とも大きく(小さく)して20世紀後半の気温の再現値(赤)を観測値(黒)に一致させ、21世紀末の気温上昇を大きく(小さく)することができます。21世紀末の気温上昇の予測値は一義的に決まるのではなく、ある範囲内で希望する値に設定可能なのです。(注6)

 IPCCは1990年の第1次報告書に、人為起源地球温暖化を確信する、枠組条約の国際交渉が開始されるべき旨を記載し、1992年に人為起源地球温暖化とその悪影響を前文に記載した気候変動枠組条約を各国に締結させました。(注7)

 このため、各国は温暖化の研究者に多額の研究費を与え、温暖化の研究者は人為起源地球温暖化とその悪影響に合ったデータ収集やシミュレーションを行い(上記のように21世紀末の予測値は設定可能)、IPCCはその論文を集め報告書を作成しているのです。(注8)

 本物の科学は実験や理論を駆使して未知の法則や事実を発見するものです。これに対して、地球温暖化の研究は既に気候変動枠組条約で国際合意された人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化する研究であり、エセ科学というべきものです。(注9)

 従って、温室効果ガスを26%削減しても気温には影響ありません。(注11)

 人為起源地球温暖化は条約に基づき法的には真なので、温暖化に多くの予算が投入されるのはやむを得ませんが、温暖化の嘘がばれれば無価値になる気候モデルやCCS等の予算は最小限にし、嘘がばれても価値のある省エネや新エネ等に予算を多く配分すべきです。(注10)

※以下の(注)は環境省に提出した意見には含まれていません(字数制限のため)。

(注1)番号で記載することになっているので「A」と記載していますが、意見の対象箇所の内容は以下のとおりで、その要点は「日本の温室効果ガス排出量を2030年に2013年比26%減の水準にする」です。
日本の約束草案
 2020年以降の温室効果ガス削減に向けた我が国の約束草案は、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標として、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度に2013年度比▲26.0%(2005年度比▲25.4%)の水準(約10億4,200万t-CO)にすることとする。


(注2)IPCCの知見と図1について詳細は「20世紀半ば以降の温暖化の原因は温室効果ガス。では20世紀前半は?」参照。

(注3)環境省主催のシンポジュウムにおいて、「20世紀前半の温暖化の原因は何でしょうか?」と質問しましたが、江守正多氏(国立環境研究所)からも、トーマス・ストッカー氏(IPCC第5次報告書 第1作業部会 共同議長)からも、説得力のあるご回答はいただけませんでした(「環境省主催のシンポジュウムで江守正多様に質問」参照)。

y9_f4_500.jpg (注4)図4A(図3と同じ)は、気候モデルによる過去の気温の再現値で、赤は全ての強制力による再現値、オレンジは温室効果ガス強制力のみによる再現値、黄緑は自然起源強制力のみによる再現値、青はエアロゾル強制力のみによる再現値です。黒は観測値です。縦軸は気温です。

図4Bはシナリオで、縦軸は強制力です。強制力とは気温を変化させる力で、正なら気温上昇、負なら気温低下。横軸は図A、図Bとも年です。図Bは21世紀末(2100年)までありますが、過去から現在(2012年)までの目盛の位置を図Aと合わせています。

図Bで、RCP8.5(赤)は温室効果ガスを排出し放題のシナリオ、RCP2.6(青)は温室効果ガスを徹底的に削減するシナリオ、RCP6.0(オレンジ)とRCP4.5(水色)は中間のシナリオです。

気候のシミュレーションでは、気候モデル(シミュレーション用ソフト)を1000億円のスパコンで処理して途轍もなく複雑な計算を行います。しかし、実質的には、図Bの強制力(W/m)が気候モデルへの入力データ、図Aの気温(℃)が気候モデルの出力データであり、地球を1m当たり何W(ワット)で加熱したら気温が何℃になるか、という中学理科なみの計算なのです。

ちなみに、RCP8.5というシナリオは正負の全ての強制力を合わせた正味の強制力(図Bの赤の実線)が21世紀末に8.5W/m(地球を1m当たり8.5Wで加熱)となるシナリオであり、他のシナリオも同様です。

図Bの十分に混合した温室効果ガス強制力(一点鎖線)によって図Aの温室効果ガス強制力のみの高すぎる気温上昇(オレンジ)が得られ、図Bのエアロゾル強制力(破線)によって図Aのエアロゾル強制力のみの気温低下(青)が得られます。

そして、図Bの正の温室効果ガス強制力(一点鎖線)と負のエアロゾル強制力(破線)を合わせた正味の強制力(実線)によって、図Aのオレンジの高すぎる気温上昇を青の気温低下分だけ下げた全ての強制力の再現値(赤)を得て、この再現値(赤)の20世紀後半を観測値(黒)に一致させているのです。

y9_f5_500.jpg (注5)図5A、Bは図4A、Bと同じ、図5Cは気候モデルによる気温の予測値で、横軸の年は図Bに合わせ、縦軸の気温の目盛の間隔は図Aに合わせています(ただし基準年が異なるので気温偏差の数値は異なる)。

図Bで、RCP8.5(温室効果ガス排出し放題)の十分に混合した温室効果ガス(赤の一点鎖線)は21世紀に入ると20世紀後半の直線延長よりも急速に上昇を続けます。

これに対して、図Bのエアロゾル強制力(破線)は現在(21世紀初頭)が負方向に最大で、21世紀末には0になります。エアロゾルはPM2.5のような大気中の微粒子(大気汚染物質)で、21世紀末になれば現在大量にPM2.5を排出している中国等でも公害対策が進むと予想され、21世紀末のエアロゾル強制力は0となるのです。

一般に、「正味の強制力=温室効果ガス強制力の絶対値−エアロゾル強制力の絶対値」の関係がありますが、21世紀末になるとエアロゾル強制力は0となるので「正味の強制力=温室効果ガス強制力の絶対値」となります。

そのため、図BのRCP8.5(赤)の正味の強制力(赤の実線)は21世紀末に近づくにつれて急激に上昇し十分に混合した温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)に近づいていきます。なお、赤の実線が赤の一点鎖線を追い抜いてしまうのは、わずかに正のオゾン強制力(赤の長い破線)の寄与です。

その結果、21世紀末の気温の予測値は図Aの気温の再現値(赤)の延長線上ではなく温室効果ガス強制力(オレンジ)の延長線上の高い気温となります。ただし図Aのオレンジの曲線の直線延長ではなく、図Bに示されているように、RCP8.5(温室効果ガス排出し放題)の場合、21世紀の温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)は20世紀後半の直線延長よりも急速に上昇し、正味の強制力(赤の実線)がこれに近づくので、気温の予測値も図CのRCP8.5(赤)のように急激に上昇することになります。

結局、21世紀末の気温の予測値は、気候モデル自体よりも、気候モデルへの入力データである図Bの強制力(地球を1m当たり何Wで加熱するか)のシナリオをどのように作成するのかにかかっているのです。詳細は「21世紀末温暖化加速のカラクリ」参照。

y9_f6_500.jpg (注6)図6は図5(曲線1)に強制力の絶対値を大きくした場合の曲線(曲線2)を追加した図です。ただし図6Bでは、見やすくするためにRCP8.5(温室効果ガス排出し放題)以外のシナリオは削除し、また説明をわかりやすくするために、わずかに正の強制力を持つオゾン(十分に混合していない温室効果ガス)は削除(無視)し、十分に混合した温室効果ガスを「温室効果ガス」と記載しました。

20世紀後半については、図Bの正の温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)と負のエアロゾル強制力(赤の破線)の絶対値を両方とも大きくして曲線1から曲線2に移行させても、図Bの20世紀後半の正味の強制力(赤の実線)の位置はかわりません。これは「正味の強制力=温室効果ガス強制力の絶対値−エアロゾル強制力の絶対値」という関係があるので、両方の絶対値を同じだけ大きくしても正味の強制力は同じ数値になるからです。

図Bのように20世紀後半の強制力が曲線1から曲線2に移行すると、図Aのように20世紀後半の温室効果ガスのみによる気温(オレンジ)とエアロゾルのみによる気温(青)は曲線1から曲線2に移行します。しかし図Bの20世紀後半の正味の強制力(赤の実線)にかわりはないので、図Aの再現値(赤)は観測値(黒)と一致したままです。つまり20世紀後半については、正負の強制力の両方の絶対値を大きくしても(逆に小さくしても)、図Aの気温の再現値(赤)を観測値(黒)に一致させることができます。

ところが21世紀については、図Bのように温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)については絶対値を大きくした曲線2が曲線1より急速に上昇しますが、エアロゾル強制力(赤の破線)については曲線1でも強制力の絶対値を大きくした曲線2でも21世紀末には0になります。つまり強制力の絶対値を大きくしても21世紀末には「正味の強制力=温室効果ガス強制力の絶対値」となります。

その結果、図Bのように正味の強制力(赤の実線)については強制力の絶対値を大きくした曲線2は21世紀の途中から曲線1から離れてより急激に上昇し21世紀末にかけて温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)の曲線2に近づいていきます。

これにより、図Cのように強制力の絶対値を大きくした21世紀の気温の予測値である曲線2は曲線1より更に急激に上昇を続け、21世紀末の気温上昇をより大きくするのです。

逆に、図Bの20世紀後半の温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)と負のエアロゾル強制力(赤の破線)の絶対値を両方とも小さくして、図Aの20世紀後半の気温の再現値(赤)を観測値(黒)に一致させれば、図Cの21世紀末の気温上昇の予測値を小さくすることができます。

つまり、図Bの20世紀後半の正の温室効果ガス強制力(赤の一点鎖線)と負のエアロゾル強制力(赤の破線)の絶対値を両方とも大きく(小さく)して、図Aの20世紀後半の気温の再現値(赤)を観測値(黒)に一致させれば、図Cの21世紀末の気温上昇の予測値を大きく(小さく)することができるのです。

このように気候モデルによる21世紀末の気温上昇の予測値は一義的に決まるのではなく、ある範囲内で希望する値に設定可能なのです。IPCC第5次報告書による21世紀末の気温上昇の予測値は最大4.8℃ですが、例えば、常に「エアロゾル強制力=0」(エアロゾルは世界平均地上気温に影響しない)と仮定した場合は最大2.7℃になります(「「エアロゾル等強制力=0」のパソコン気候モデルシミュレーション」参照)。つまり、正負の強制力の両方を調節することにより21世紀末の気温上昇の予測値の最大値は2.7℃以上の希望する値に設定可能なのです。

別の言葉で言えば、図Aにおいて20世紀後半の気温の再現値(赤)が観測値(黒)に一致していることは、気候モデルによる21世紀末の気温の予測値の信頼性の根拠には全くならないということです。

(注7)1990年にIPCCが発表した第1次報告書には次のように記載されています。  
 我々は以下のことを確信する。
 ・人間活動に起因する排出によって二酸化炭素、メタン、…といった温室効果ガスの大気中濃度は著しく増加している。これらの増加は温室効果を強めるため、その結果、全体として地球表面に一層の温暖化をもたらすだろう。…
  …
 ▼…枠組み条約についての国際交渉は、この報告書発表後、…可能なかぎり早く開始されるべきである。…
この第1次報告書のわずか2年後の1992年に締結された気候変動枠組条約の前文には次のように記載されています。これはIPCCが第1次報告書で確信した人為起源地球温暖化に、悪影響、先進国の削減の必要性、途上国の開発との調整を付け加えたものです。
この条約の締約国は、…
人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度を著しく増加させてきていること、
その増加が自然の温室効果を増大させていること並びに
このことが、地表及び地球の大気を全体として追加的に温暖化することとなり、
自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすおそれがあること
を憂慮し、…

先進国が、明確な優先順位に基づき、すべての温室効果ガスを考慮に入れ、かつ、それらのガスがそれぞれ温室効果の増大に対して与える相対的な影響を十分に勘案した包括的な対応戦略(地球的、国家的及び合意がある場合には地域的な規模のもの)に向けた第一歩として、直ちに柔軟に行動することが必要であることを認め、

持続的な経済成長の達成及び貧困の撲滅という開発途上国の正当かつ優先的な要請を十分に考慮し、気候変動への対応については、社会及び経済の開発に対する悪影響を回避するため、これらの開発との間で総合的な調整が図られるべきであることを確認し、…


(注8)第1次報告書で人為起源地球温暖化を確信したIPCCは、気候変動枠組条約を各国に締結させ、その後、第2次から第5次報告書にかけて、人為起源温室効果ガスが温暖化の原因である可能性を次のように高めています。
第2次報告書(1995年):識別可能な人為的影響が地球全体の気候に現れていることが示唆される。
第3次報告書(2001年):過去50年間に観測された温暖化の大部分は,温室効果ガス濃度の増加によるものであった可能性が高い(66〜100%の可能性)。
第4次報告書(2007年):20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高い(90〜100%の可能性)。
第5次報告書(2014年):人為起源温室効果ガスの影響は、その他の人為的駆動要素の影響と共に、20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い(95〜100%の可能性)。
IPCCは第1次報告書では人為起源地球温暖化を「確信」すると記載しましたが、第2次報告書では「人為的影響が…示唆される」としか書けなかったのですから、第1次報告書の「確信」は単なる「固い信念」に過ぎなかったことになります。(2016.01.10追加)

その単なる「固い信念」に基づいて、IPCCは各国に気候変動枠組条約を締結させたのですから、第2次から第5次報告書にかけて、人為起源温室効果ガスが温暖化の原因である可能性を高める以外なかったわけです(2016.01.10追加)

第5次報告書で初めて「その他の人為的駆動要素の影響と共に」が記載されました。これは図4Bの負のエアロゾル強制力(破線)による図4Aの気温低下(青)のことです。住明正「さらに進む地球温暖化」によると第2次報告書からエアロゾルを導入しているので、「温室効果ガス」だけ言及して「その他の人為的駆動要素」に言及しなかった第3次、第4次報告書の知見はこの点でも虚偽の知見であったことになります。

第5次報告書で「その他の人為的駆動要素の影響と共に」を記載したのは正直でよいと思います。ただし、この記載から(注4) (注5) (注6)で述べたエアロゾルを使った巧妙な仕組みを推測できた人はほとんどいないでしょうけど…。

(注9)気候変動枠組条約を各国に締結させたIPCCにとって、気候変動枠組条約で国際合意させた人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化する報告書を書き続けることが唯一の選択肢なのです。一方、気候変動枠組条約を締結してしまった各国はIPCCに人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化してもらわなければならないのです。

そこで各国は人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化するために温暖化の研究者に多額の研究費を与え、温暖化の研究者は人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化する論文を発表し、IPCCはその論文を報告書としてまとめ、その報告書に基づいて各国は温暖化の研究者に更に多額の研究費を与え、…という正のフィードバックが働くことになります。

(注6)で説明したように、21世紀末の気温上昇の予測値はある範囲内で希望する値に設定可能なので、気候変動枠組条約に記載されている「自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼす」程度の気温上昇で、かつ温室効果ガス排出を徹底的に削減すれば悪影響を及ぼさない程度の気温上昇に設定することができるのです。(2015.07.06 この段落追加)

人為起源地球温暖化の正体は、人為起源温室効果ガスによる温暖化ではなく、上記のIPCCを駆動源とする人為的なフィードバックによる「人為起源」地球温暖化であり、エセ科学というべきものです。

(注10)企業も、温暖化の嘘がばれても持続可能な経営を目指すべきです。補助金頼りでは温暖化の嘘がばれた時に経営が傾きます。現在は補助金をもらいながら、将来は補助金なしで世界に貢献できる省エネや新エネの研究開発を行うべきではないでしょうか。省エネや新エネは、人為起源地球温暖化とは無関係に、世界で必要とされる技術です。

y9_f7_500.jpg (注11)私の意見は、人為起源地球温暖化はエセ科学であるから、日本が温室効果ガスを26%削減しても気温には影響ない、というものです。

しかし、仮に人為起源地球温暖化が本物の科学であると仮定しても、日本の温室効果ガス26%削減による気温の低下は無視し得る程度なのです。

図7は1990〜2013年の各国のCO排出量の実績と2030年(アメリカは2025年)までのCO排出量削減目標のグラフです。

中国の削減目標は「GDP当たりのCO排出量を05年比で60〜65%削減する」であり、中国のGDPは今後も成長すると見込まれているので、中国の「削減」目標は実際には図7のように「増大」目標です。気候変動枠組条約が締結された1992年においても中国は世界第2位のCO排出国で、日本やドイツより遙かに多く排出していました。しかし、気候変動枠組条約の前文に次のように記載されていることもあり、開発途上国に分類されている中国はその後、CO排出量を激増させ世界最大の排出国となり、今後も増大させる「削減」目標となっているのです。

…、過去及び現在における世界全体の温室効果ガスの排出量の最大の部分を占めるのは先進国において排出されたものであること、…開発途上国における排出量が占める割合はこれらの国の社会的な及び開発のためのニーズに応じて増加していくことに留意し、…
図7から明らかなように、日本のCO排出量は世界的に見ればわずかなものであり、人為起源地球温暖化が科学的に真であると仮定したとしても、日本の26%削減による気温の低下は無視し得る程度なのです。(2015.08.02(注11)追加)


【環境省の回答について】(2015.08.06追記)
2015年7月17日に温室効果ガス26%削減の「日本の約束草案」がパブコメ募集時と同じ内容で決定されました。同時にパブコメ募集に寄せられた意見の概要と環境省の回答も公表されました。地球温暖化懐疑論の意見は最後の第60項にまとめられ、私の意見はその1番目でした。以下が第60項に掲載された私の意見の概要です。
60(温室効果ガスを26%減らしても気温への影響はない/そもそも地球温暖化は起こっていない)
・地球温暖化の研究は気候変動枠組条約で国際合意された人為起源地球温暖化とその悪影響を正当化する研究であり、エセ科学というべきものです。温室効果ガスを26%削減しても気温には影響ありません
第60項にはこの私の意見を含め4件の懐疑論の意見が掲載され、これらに対して一括して環境省の回答(意見に対する考え方)が掲載されています。その回答は、IPCC第5次報告書の内容を引用した後、最後に次のように述べています。
・IPCC第5次評価報告書は、800名以上の専門家が30,000点を超える科学的文献をレビューして執筆され、最新の科学的知見を集めた報告書であり、日本政府も含めIPCCに参加している世界195ヵ国が承認しています。
環境省が言いたいことは、要するに、IPCC第5次報告書は権威ある報告書であるから、これを信頼せよ、ということでしょう。権威ある文献を丸暗記するタイプの人には説得力のある回答ですが、私はIPCC報告書自体を研究対象にした研究家なので、私には全く説得力のない回答です。

環境省に提出した意見には文字数制限のため「図3の正(オレンジ)負(青)の強制力の絶対値を両方とも大きく(小さく)して20世紀後半の気温の再現値(赤)を観測値(黒)に一致させ、21世紀末の気温上昇を大きく(小さく)することができます。21世紀末の気温上昇の予測値は一義的に決まるのではなく、ある範囲内で希望する値に設定可能なのです」としか記載できませんでしたが、上記の(注4) (注5) (注6)をお読みいただければ、「図6Aにおいて20世紀後半の気温の再現値(赤)が観測値(黒)に一致していることは、気候モデルによる21世紀末の気温の予測値の信頼性の根拠には全くならない」ことを明確にご理解いただけると考えます。

つまり、「気候モデルによる21世紀末の気温の予測値は全く信頼性がない」のです。

私は気候モデルの専門家ではありませんが、IPCC第5次報告書を詳細に検討した結果、この事実を知ることができました。気候モデルを扱っている研究者なら当然、「気候モデルによる21世紀末の気温の予測値は全く信頼性がない」という事実に気づいているはずです。

しかし、「気候モデルによる21世紀末の気温の予測値は全く信頼性がない」という事実を公表したのでは、これまでの自分の論文は全て無意味になり、気候変動枠組条約の締約国である国からの研究費も受けられなくなり、研究者としての地位も危うくなります。それで、気候モデルの研究者は信頼性がないことを隠して論文を発表し続け、IPCCはその論文を集めて21世紀末の気温上昇は最大4.8℃であるとの第5次報告書を作成したのでしょう。

問題は、気候モデルの研究者が何時まで嘘をつき続けられるかです。科学的にはエセ科学でも、法的には気候変動枠組条約に基づき真なので、気候モデルの研究者は良心の呵責なしに嘘をつき続けることができるのです。

人為起源地球温暖化というエセ科学が気候変動枠組条約によって法的に強制されている現在は、かつてキリスト教会が天動説を強制していた時代と同じです。科学は条約や宗教によって強制されるべきではありません。「人為起源地球温暖化はエセ科学である」ことが広く知られる日が一日も早く来ることを願わずにはいられません。






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