更新 2008.09.01  ↑UP  YouTubeフェアユース事件(地裁命令) <New

プログラム関連著作権

はじめに

《日本の著作権事件》
Winny事件
(中央サーバなしP2P)
 Winny利用者著作権法違反事件(地裁(2004;Winnyにより公衆送信権を侵害;有罪
 Winny著作権法違反幇助事件(地裁(2006;Winnyの配布は公衆送信権侵害の幇助;有罪
 Winny著作権法違反幇助事件地裁判決について(2007;Winnyの配布は車の販売と同じか)
ファイルローグ事件(中央サーバありP2P)
 ファイルローグ仮処分事件(2002;債務者は送信可能化権を侵害していると解する)
 ファイルローグ事件中間判決(2003;被告(会社と取締役)は損害賠償金を支払う義務がある)
  ナップスター事件とファイルローグ事件の比較(2003;両事件の日米の裁判所の認定、判断を比較)
 ファイルローグ事件終局判決(2003;損害額は同種のインターネットによる音楽配信サービスの許諾料を参酌
 ファイルローグ事件東京高裁判決(2005;控訴棄却
ゲームソフト関連事件
  パックマン事件 (1984;パックマンは映画類似の著作物;侵害)
 中古ゲームソフト問題について(1998;アメリカとの比較)
 ゲームソフトと著作権(1999;中古ゲームソフト事件、三国志III事件、ときめきメモリアル事件)
 ときめきメモリアル事件最高裁判決(2001;ゲーム影像は文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する著作物)
 中古ゲーム事件東京/大阪高裁判決(2001;ゲームは映画の著作物だが頒布権はない;非侵害)
 ソニー(SCE)に対する公取委の審決(2001;知財制度の目的に反する場合は独禁法が適用される;独禁法違反)
 ゲームソフト事件最高裁判決(2002;ゲームは映画の著作物;公衆に提示しない複製物を譲渡する権利は消尽)
その他
  送信可能化権について (1998;インターネット等にとって重要な権利)
 日本のプログラムの著作権の問題点 −ドイツとの比較− (1999;正しいのはどちら?)
 デジタル音楽放送東京地裁判決(2000;デジタル音楽放送は著作隣接権を侵害しない)
 音楽ストレージ事件東京地裁判決(2007;音楽ストレージサービスは著作権侵害)

《米国の著作権事件事件》

合衆国憲法第1編第8節
米国著作権法
    ドイツ著作権法プログラム関連条文(リバースエンジニアリングの規定あり)
       ECディレクティブ
Stern ビデオゲーム事件(1982;コードはオリジナル,ゲームはコピー;AV著作権侵害)
Apple OS事件(1983;OSをほぼデッドコピー;侵害)
Sony VTR事件(最高裁)(1984;タイムシフトはフェアユース、VTRの販売は寄与侵害を構成しない;非侵害)
SAS 統計分析ソフト事件(1985;IBM用ソフトをVAX用に書き換え;侵害)
Walker 映画:サウスブロンクス事件(1986;本と映画の著作権,必要なシーンは保護適格なし;非侵害)
Whelan デンタ・ラボ事件 (1986;EDLからBASICへ,SSOを保護;侵害)
Diamond MP3プレーヤー事件(1999;MP3プレーヤーはデジタル録音装置ではない;非侵害)
Sony プレステ・エミュレータ事件(2000;リバースエンジニアリングはフェアユース;非侵害)
Napster ピア・ツー・ピア事件(控訴裁)(2001;Napsterは寄与び代位侵害;差止の範囲は差戻)
Napster ピア・ツー・ピア事件(地裁差戻審)(2001;Napster:仮差止;原告:ファイル名提供)
RIAA v. Verizon本人情報開示命令事件(地裁)(2003;本人情報開示命令は全てのサービスプロバイダに適用)
MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件(地裁)(2003;P2Pファイル交換ソフトの配布は適法)
Aimster暗号化P2P事件(控訴裁)(2003;暗号化P2P;意図的な無知は知っていること;著作権寄与侵害
MGM-Grokster P2Pソフト配布事件(控訴裁)(2004;原判決維持、P2Pファイル交換ソフトの配布は適法)
MGM-Grokster P2Pソフト配布事件(最高裁)(2005;原判決破棄、P2Pファイル交換ソフトの配布は違法)
YouTubeフェアユース事件(地裁命令)(2008DMCA削除通知を行うにはフェアユースの評価が必要<New

 「このプログラムは著作権法によって保護されています。このプログラムの一部または全部を無断で複製すると著作権侵害となります。」
 
 このような「警告」や「ご注意」を、プログラムをセットアップしている時や、プログラムを立ち上げている時に、目にすることはありませんか。今では、プログラムが著作権によって保護されることは当たり前のことですが、日本でコンピュータ・プログラムが著作物であるとして著作権法に明記されたのは、1985年のことです。アメリカでは、それより少し早く、1980年に著作権法に明記されました。

 プログラムの著作権ほどわかりにくいものはないと思います。たとえば、著作物の典型として小説を考えると、小説を創作する人は全体からみれば限られた人々ですが、誰でも小説を読んだことがあるので、誰でも読者として小説がどのようなものかを知っています。コンピュータ・プログラムを創作する人も全体から見れば限られた人々です。今では、誰でもコンピュータを使用しますが、著作権が保護するのはプログラムの表現、つまり、ソースコードやオブジェクトコードの表現であり、これらは一般の人や法律家には知られていません。プログラムの「読者」はコンピュータであって、ユーザーはコンピュータがプログラムを読みながら動作するのを、見たり操作したりしているだけなのです。ユーザーとしてプログラムを知っていても、著作権法が保護するプログラムの表現がどのようなものかは、一般には知られていないのです。

 一方、実用的なプログラムは、その技術的なアイディアを明細書に記載し、特許庁に出願することができます。特許庁の審査で、その技術的なアイディア、つまり、発明がそれまでの技術と比較して進歩性があると判断されれば、特許を受けることができます。プログラムを創作すればそのプログラムは著作権で保護されます。さらに、特許庁で審査をうけ特許されれば特許権でも保護されます。著作権は表現の複製・翻案を保護し、特許権は技術的なアイディアを保護するので、両方で保護されても問題がなく、また、両方とも必要です。しかし、「芸術は著作権、技術は特許権」というイメージがあるため、混乱も生じやすいともいえます。また、一般の人や法律家にはソースコードやオブジェクトコードがどのようなものかわからないために、この点からも混乱が生じることもあります。アメリカの法律、判決を読むときには誤訳も混乱のもとになります。

 アメリカの裁判所では、最初のうちは、原則にしたがって判断していましたが、1986年のWhelan事件の判決で、プログラムの表現にアクセスし、かつ、ユーザーからみたプログラムの動作が類似していれば、ソースコード、オブジェクトコードが類似していなくても、プログラムの著作権の侵害であるとの判断がなされ、混乱した状態になりました。しかし、最近では、ソースコードやオブジェクトコードが類似しない場合について、表現かアイディアかの判断基準が判例上明らかにされつつあり、アイディア、つまり、利用してもよいもの、はどのようなものであるのかが明確になりつつあります。

 このページでは、1980年以降のコンピュータ・プログラムに関するアメリカの主要な判決を判決日順に、翻訳していきたいと思います。翻訳しにくい用語や翻訳に自信がないときには<>内に原文を表示します。また、「[1]、[2]、[3]、・・・」は原文の注であり、「[訳1]、[訳2]、[訳3]、・・・」は訳注で、リンクをはっています。〔 〕は翻訳上説明のために付け加えたかっこです。
 
 ブラウザの「ファイル」「名前を付けて保存」で各ページをパソコンのハードディスクに保存すれば、電話を切った後に、読むことができます。同じフォルダに各ページを保存すれば、ページ間のリンクも有効です。
 

1998.05.03  井 上 雅 夫


 このページのタイトルを「プログラムの著作権」から「プログラム関連著作権」に変更し、ダイヤモンドMP3プレーヤー事件、ナップスター事件等も扱うことにしました。(2001.03.24)

 


 《日本の著作権事件》


Winny事件(中央サーバありP2P)

2004.11.30 Winny利用者著作権法違反事件(地裁)

 (下記の幇助事件における正犯乙に関する事件)
 被告人は,映画の著作物である邦題名「X」及び映画の著作物である邦題名「Y」の各情報が記録されているハードディスクと接続したパーソナルコンピュータを用いて,そのアップフォルダに上記各情報が入った送受信用プログラムの機能を有するファイル共有ソフト「Winny2.0β6.6」を起動させ,同パーソナルコンピュータにアクセスしてきた不特定多数のインターネット利用者に上記各情報を自動公衆送信し得るようにし,もって著作物の公衆送信権を侵害した。

2006.12.13 Winny著作権法違反幇助事件(地裁)<New

 被告人は,Winnyを制作し,その改良を重ねながら,自己の開設した「Winny Web Site」及び「Winny2 Web Site」と称するホームページで継続して公開及び配布をしていたものであるが,
 甲が,Winnyを起動させ,著作物の公衆送信権を侵害して著作権法違反の犯行を行った際,これに先立ち,Winnyが著作物の公衆送信権を侵害する情報の送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら,その状況を認容し,「Winny2.0 β 6.47」を公開して不特定多数者が入手できる状態にした上,上記甲方において,同人にこれをダウンロードさせて提供し,
 乙が,Winnyを起動させ,著作物の公衆送信権を侵害して著作権法違反の犯行を行った際,これに先立ち,Winnyが著作物の公衆送信権を侵害する情報の送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら,その状況を認容し,「Winny2.0 β 6.6」を公開して不特定多数者が入手できる状態にした上,上記乙方において,同人にこれをダウンロードさせて提供し(Winny著作権法違反被告事件),
 もって,それぞれ,前記甲及び乙の前記各犯行を容易ならしめてこれを幇助した。

2007.05.08 Winny著作権法違反幇助事件地裁判決について<New

 判決翌日の朝日新聞の社説は、「開発者が萎縮する」というタイトルで、「運転手が速度違反をしたら、早く走れる車をつくった開発者も罰しなければならない。そんな理屈が通らないのは常識だと思っていたが、ソフトウェアの開発をめぐってはそうではなかった。」と批判している。本当に、京都地裁は、早く走れる車をつくった開発者も罰しなければならないというような判決をしたのだろうか。また、この判決によって開発者は萎縮しなければならないのだろうか。

ファイルローグ事件(中央サーバありP2P)

2002.04.11
 仮処分決定(債権者:日本著作権協会)(著作権に基づく訴え)

2002.04.09
 仮処分決定(債権者:レコード会社19社)(著作隣接権に基づく訴え)

 (主文) 債務者は「ファイルローグ」という電子ファイル交換サービスにおいて,MP3によって複製され、かつ、送受信可能の状態にされた電子ファイルの存在及び内容等を示す、ファイル名、フォルダ名にレコード目録の「タイトル名」及び「実演家名」の双方が表記されたファイル情報を、利用者に送信してはならない。
 (理由) 債務者の中央サーバに接続した送信者のパソコンは、中央サーバと一体になって自動公衆送信装置に当たり、その時点で送信可能化がされ、送信された時点で自動公衆送信がされたものと解することができる。
 本件サービスは、送信者が、市販のレコードを複製したファイルが大多数を占めているMP3ファイルを、送信可能化状態にするためのサービスという性質を有すること、本件サービスにおいて、送信者が本件各MP3ファイルを含めたMP3ファイルの送信可能化を行うことは債務者の管理の下に行われること、債務者も自己の営業上の利益を図って、送信者に上記行為をさせていたことから、債務者は、本件各レコードの送信可能化を行っているものと評価でき、債権者らの有する送信可能化権を侵害していると解する。
 債権者らの許諾のないまま本件各レコードの送信可能化行為がされ、利用者が自由に本件各MP3ファイルを取得することが続けられた場合、債権者らに著しい損害が生じることは明らかである。保全の必要性は存在する。
 本決定では、本件サービスにおいて、ファイル情報を利用者に送信する行為の差止めを認める。
 受信者への送信を遮断すべきファイル情報の範囲は、受信者のファイル選択を不可能ならしめ、かつ、他のレコードのファイルと誤認混同を回避するのに必要かつ十分なファイル情報にとどめるべきである。

2003.01.29 本案訴訟中間判決(原告:日本音楽著作権協会)
2003.01.29
 本案訴訟中間判決(原告:レコード会社19社)

 被告(会社)が著作権(著作人格権)侵害行為の主体であり、被告(会社および取締役)は連帯して損害賠償金を支払う義務を負う。

2003.05.05 ナップスター事件とファイルローグ事件の比較

 これらの事件において日米の裁判所が下した差止の内容はほぼ一致していますが、日米の著作権法(制定法および判例法)が相違するために、その理由については全く相違しています。そこで、日米の裁判所の認定、判断を比較してみました。

2003.12.17 ファイルローグ事件終局判決(原告:日本音楽著作権協会

 争点1(被告MMOは著作権を侵害しているか)、争点3(不法行為に基づく損害賠償請求は理由があるか):中間判決記載のとおり。
 争点2(差止請求の範囲):原告は本件各管理著作物につきMP3形式によって複製された電子ファイルを送受信の対象としてはならない旨を求めるが、上記請求をそのまま認めると差止めの対象になるか否かの実体的な判断を執行機関にゆだねる結果になること等から相当といえない。「原題名」及び「アーティスト」を表示する文字が表記されたファイル情報に関連付けて特定するのが最も実効性のある方法といえる。
 争点4(損害額):同種のインターネットによる音楽配信サービスにおいて著作権者の受けるべき許諾料(使用料)を参酌して算定すべきである。本件サービスは本件使用料規定(日本音楽著作権協会の使用規定)12節の「デジタル化されたネットワーク環境において,放送及び有線放送以外の公衆送信及びそれに伴う複製により著作物を利用する場合」に当たる。本件サービスはダウンロード形式、情報料がない場合、広告料等収入がない場合に当たる。「同時に送信可能化する曲数」は「送信可能化されていた電子ファイルの数」と解する。
 本件サービスにおいて同時に送信可能化されている本件各管理著作物の複製物である本件各MP3ファイルの数は平均は10万0960個である。本件使用料規程第12節1(3)A営利を目的とせず利用する場合は同時に送信可能化する曲数10曲までにつき月額5,000円に利用月数を乗じて得た額とすることができる。10曲までを超えるごとに10曲までの場合の額にその額を加算した額とする。)を形式的に適用して本件サービスにおける使用料平成13年11月〜平成14年4月(4月は16日間の日割計算))を算定すると、その合計は2億7932万8000円となる。ところで送信可能化されているすべての本件各管理著作物について、本件使用料規程が想定する月に90.9回のダウンロードをすることは、あまりにも過大であるというべきであり、この点を損害額の認定に当たり考慮するのが相当である。著作権法114条の4(損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。)により、本件使用料規程に基づき算定した上記金額2億7932万8000円の概ね10分の1に相当する3000万円をもって使用料相当損害額と認める。
 被告らの不法行為と相当因果関係のある弁護士費用としては450万円と認める。

2003.12.17 ファイルローグ事件終局判決(原告:レコード会社19社)

 争点4(損害額):同種のインターネットによる音楽配信サービス等において設定された著作隣接権者の受けるべき許諾料額(使用料額)等を参酌して算定するのが相当である。ダウンロード数が把握されていないことからすれば、送信可能化数を基準とする算定方法には合理性が認められる。米国における音楽配信サービスにおける1曲当たりのダウンロード利用料金が110円を下回ることはなく、我が国においても一応の基準額となり得ること、本件使用料規程において1曲が1か月に約90.9回自動公衆送信されると想定して使用料を算定する方法が特に不合理とはいえないことに照らせば、原告らが受けるべき1ファイル当たりの月額使用料は、原告らの主張に係る2000円を下回ることはないというべきであるから、同額と認めるのが相当である。
 『ファイルローグ』調査報告書によれば、「タイトル名 箱根八里の半次郎、実演家名 氷川きよし」のレコードを複製したMP3ファイル(12種類ある。以下「本件MP3ファイル1」という)が同時に送信可能化された最大値は平成13年12月20ファイル、平成14年1月30ファイルであり、平成13年11月、平成14年2月〜4月は平成13年12月及び平成14年1月の最大数の平均値であると推認できるから、上記各月に同時に送信可能化された本件MP3ファイル1の最大数は25ファイルである。上記最大値が測定されたときと異なる時において、上記最大値が測定された際の本件MP3ファイル1と異なる本件レコードを複製した本件MP3ファイル1が送信可能化されたことを認めるに足りる証拠はない。したがって、本件サービスが運営されていた各月における本件MP3ファイル1の送信可能化数は、本件MP3ファイル1については前記最大数となる。原告コロムビアミュージックエンタテインメント株式会社に対する使用料相当額は本件MP3ファイル1の送信可能化についての使用料として27万6667円となる。弁護士費用は4万2000円と認める。以下省略。
2005.03.31 ファイルローグ事件東京高裁判決(原告:日本音楽著作権協会)
2005.03.31 ファイルローグ事件東京高裁判決(原告:レコード会社19社)
どちらの事件も控訴棄却

  

ゲームソフト関連事件

 「パックマン事件」(1984)(夏井研)

中古ゲームソフト問題について
 Stren事件に類似した日本の判決の「パックマン事件」をリンクしました。日本では「パックマン事件」により、ゲームプログラムは映画の著作物として保護されており、中古ゲームソフトについて映画の著作物の頒布権に基づいた訴訟が行われているので、中古ゲームソフト問題について考えてみました。  

ゲームソフトと著作権 −中古ゲームソフト事件、三国志III事件、ときめきメモリアル事件について−

 1999年10月7日に中古ゲームソフト事件の大阪地裁判決がなされました。この判決には問題があると考えます。そこで、3月18日の三国志事件東京高裁判決、4月27日のときめきメモリアル事件大阪高裁判決、6月27日の中古ゲームソフト事件東京地裁判決を検討した後、大阪地裁判決の問題点を検討しました。

ときめきメモリアル事件最高裁判決(2001.02.13)

 日本の最高裁が「本件ゲームソフトの影像は,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号にいう著作物ということができるものであるところ,前記事実関係の下においては,本件メモリーカードの使用は,本件ゲームソフトを改変し,被上告人の有する同一性保持権を侵害するものと解するのが相当である。」と判決しました。

中古ゲームソフト事件 東京高裁判決(2001.03.27) 大阪高裁判決(2001.03.29) 

 東京高裁は中古ゲームソフト事件で、文理に反すると述べた上で、立法趣旨からゲームソフトの複製物は著作権法26条1項の「複製物」に当たらないとして、中古ゲームソフトの販売は自由である旨の判決を行いました。大阪高裁の判決も同様な判断のようです。結論は賛成ですが、このような理由づけには驚きました。
 東京高裁、大阪高裁は、著作権法2条3項の「映画の効果に類似する視覚的又視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され・・・」という定義から、「映画の著作物」は「動きのある画像の著作物」(東京)、「連続影像の著作物」(大阪)であると解釈したようです。狭義の「映画の著作物」つまり「劇場用映画の著作物」に消尽なしの頒布権を与えることには合理性があるとしても、「動きのある画像の著作物」、「連続影像の著作物」に消尽なしの頒布権を与える合理的根拠は全くないことは明らかです。このようなことから、東京高裁は、「法が,複製物の流通をほとんど全面的に規制することができる強力な権利である頒布権を,映画の著作物にのみ認めた実質的理由は,劇場用映画の配給制度を保護,保障することにあるということができ,・・・このような立法趣旨に照らすと,同条にいう「複製物」は,配給制度による流通を前提とするもの,・・・通常は,少数の複製物のみが製造され,著作者はそれら少数の複製物の流通の支配を通じて投下資本を回収すべく予定されている場合のものに限定され,大量の複製物が製造され,その一つ一つは少数の者によってしか視聴されない場合のものはこれに含まれないとするのが,合理的な解釈となるというべきである。」と判断したのではないでしょうか。この解釈によれば販売用の映画ビデオテープやDVDの中古品販売も可能になると思います。また、大阪高裁は「本件のような紛争を防止するためにも、前記の映画の著作物の概念をも含めて、早期に立法的解決が図られるべきである。」としています。04.16>日本映像ソフト協会、日本映画製作者連盟が「判決は、ビデオ及び映画製作者の権利を審議の対象としたものではないが、ビデオ及び映画製作者としては甚だ遺憾である。」と声明(ASCII24)。ビデオカセット関連判決:101匹ワンチャン並行輸入事件判決(東京地裁)05.04>東京訴訟で敗訴したエニックスの本多社長が日経ビジネス5月7日号で、「新作が発売されたら、9ヶ月間は中古品を発売しないでほしい。中古品販売においては、希望小売価格の7%をメーカーに支払ってほしい。私は業界にも呼びかけ、所管の文化庁に働きかけて、新しい法律を作ろうと思っています。」旨述べておられます。しかし、国際的に通用しない立法は行うべきではなく、逆に、日本の特殊な映画の著作権を国際的に通用するように改正すべきです。ところで、私としては、最高裁は高裁の結論は支持し理由は支持しない、と予想します。ゲームは映画類似の著作物ではないという東京地裁の判断が法的にも常識的にも妥当です。本多社長は、インタラクティブ映画が出てきたので1審の論理が崩れた旨述べておられますが、「多数の映画館での上映を通じて多数の観客に対して思想・感情の表現としての同一の視聴覚的効果を与えることが可能であるという、劇場用映画の特徴を備えた著作物を、 『映画の著作物』として想定しているものと解するのが相当である。」という東京地裁の判示を基準にして、個々のインタラクティブ映画を事実問題として映画かゲームかを決めるのは容易であり、常識にも一致します。逆に、東京・大阪高裁の判示を基準として、将棋のようなゲームについて、動画の有無で映画かどうかを判別するのは、合理性があるとは思えません。

ソニー(SCE)に対する公取委の審決(2001.08.01)

 公取委は、SCEに対して、新たに販売されたPSソフトについて希望小売価格で販売させるようにさせる行為、及びPSソフトを一般消費者のみに販売するようにさせるている行為が独禁法に違反すると審決した。その理由(審決56頁)の中で、公取委は、著作権と独禁法との関係について次のように判示している。
 SCEは中古品売買が著作権法に基づく映画の著作物に認められる頒布権の侵害行為であり、中古品取扱い禁止は著作権法による権利の正当な行使であって、公正競争阻害性はない、独禁法21条の規定「この法律の規定は著作権法・・・による権利の行使と認められる場合はこれを適用しない。」により同法の適用はない旨主張する。しかし、同条の規定は、著作権法等による権利の行使と認められるような行為であっても、競争秩序に与える影響を勘案した上で、知的財産保護制度の趣旨を逸脱し、又は同制度の目的に反すると認められる場合には、当該行為が同条にいう「権利の行使と認められる場合」とは評価されず、独禁法が適用されることを確認する趣旨で設けられたものであると解される。本件においては、中古品取扱い禁止行為が再販売価格の拘束行為と一体として行われ、同行為を補強するものとして機能しており、中古品取り扱い禁止行為を含む全体としての再販売価格の拘束行為が公正競争阻害性を有するものである以上、仮にSCEの主張するとおり、PSソフトが頒布権を認められる映画の著作物に該当し、中古品取扱い禁止行為が外形上頒布権の行使と認められる行為に当たるとしても、知的財産制度の趣旨を逸脱し、あるいは同制度の目的に反するものであることはいうまでもないことであるから、SCEの主張は採用できない。
 これに対してSCEは、「これを受け入れることに致しました。」「「PSソフトの中古品の取扱いの制限」については当社の主張が勘案され主文から除かれたものと考えております。」と述べている(SCE)。

ゲームソフト事件最高裁判決(2002.04.25)

 本件各ゲームソフトが、著作権法2条3項に規定する「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物」であり、「映画の著作物」に当たる。映画の著作物に該当する以上、その著作権者が同法26条1項所定の頒布権を専有する。
 特許権者が特許に係る製品を譲渡した場合には、特許権は消尽し、特許権の効力は当該特許製品を再譲渡する行為等には及ばない、この理は、著作物又はその複製物を譲渡する場合にも原則として妥当する。(ア)著作権法による保護は、社会公共の利益との調和の下において実現されなければならない、(イ)一般に、商品を譲渡する場合には、譲渡人は目的物について有する権利を譲受人に移転し、譲受人は譲渡人が有していた権利を取得するものであり、仮に、著作物又はその複製物について譲渡を行う都度著作権者の許諾を要するということになれば、市場における商品の自由な流通が阻害され、著作権法の目的にも反する、(ウ)著作権者は、譲渡された著作物又はその複製物について、二重に利得を得ることを認める必要性は存在しないからである。
 配給制度という取引実態のある映画の著作物又はその複製物については、公衆に提示することを目的として譲渡し、又は貸与する権利(同法26条、2条1項19号後段)が消尽しないと解されていたが、同法26条は、映画の著作物についての頒布権が消尽するか否かについて、何らの定めもしていない以上、消尽の有無は、解釈にゆだねられている。
 公衆に提示することを目的としない家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物の譲渡については、市場における商品の円滑な流通を確保するなど、上記(ア)、(イ)及び(ウ)の観点から、当該著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡されたことにより、その目的を達成したものとして消尽し、もはや著作権の効力は、当該複製物を公衆に再譲渡する行為には及ばない。

関係者の声明
 テレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS):本判決を高く評価し、裁判所に敬意を表します。中古禁止を求める本裁判自体が極めて非常識な権利の主張であります。日本のゲームユーザーだけが、レンタルも利用できず、中古販売まで禁止されようとすることは一部メーカーの暴挙といわざるを得ません。
 中古ソフト販売店側弁護団:メーカー側による差止訴訟の提起自体が不当なものだったと考えています。権利者団体だけが集まって、ユーザーの正当な利益を無視する方向で立法化運動が始められているやに聞いています。これは、本判決に示された司法の意志を無視し、時代に逆行し、グローバル・スタンダードに反するものです。  
  コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)、メーカー7社:大変残念です。今回の判決により、デジタルコンテンツの中核ともいえるゲームソフトの著作権保護について現行法が対応できていないことが明らかになったといえます。デジタル・ネットワーク時代に合った新たなルールづくりをゲームソフト産業界が率先して行い、それを元に法制度を早急に整える必要があるものと考えます。

その他

1998.08.08 送信可能化権について

 平成9年法で導入された送信可能化権についてコメントしました。

1999.01.15 日本のプログラムの著作権の問題点 −ドイツとの比較−

 日本のプログラムの著作権の創作性に関する判例学説をドイツ著作権法と比較して、日本の判例学説には問題があることを指摘しました。

2000.05.016 デジタル音楽放送東京地裁判決

 東京地裁で、デジタル音楽放送は著作隣接権(レコード製作者としての複製権)を侵害しない旨の判決がありました。米国では著作権法106条(6)に、デジタルオーディオ送信手段によって公に著作物を演奏することが規定されていますが、日本にはこのような規定がないため、日本の著作権法の解釈としてはこのようにならざるを得ないのだと思います。
 なお、この判決では、コンピュータプログラムのRAMへの一時的コピーについて、「我が国の著作権法の解釈においては、従来からコンピュータプログラムをコンピュータ上で使用する際に生じるプログラムのRAMへの一時的蓄積は同法上の「複製」には該当しないと一般に解されている。」と説示しています。ドイツ著作権法では、RAMへのコピーも原則的に保護し、例外として許諾を必要としない場合を規定しています。米国では、Sony事件で明らかになったように、原則的にRAMへのコピーも保護し、フェアユースの場合は侵害ではないと解釈されています。これに対して、日本の著作権法にはドイツのような規定もなく、アメリカのようなフェアユースの規定もないので、上記の説示のように解釈せざるを得ないのだと思います。

2007.05.25 音楽ストレージ事件東京地裁判決

 InternetWatch参照。本判決の「公衆送信とは…送信を行う者にとって当該送信行為の相手方…が不特定又は特定多数の者であれば公衆に対する送信に当たる」という判示は誤りである。「著作者はその著作物について公衆送信…を行う権利を専有する」(23条)から、著作者はその著作物(各音楽ファイル)について不特定又は特定多数の者に送信する権利を専有するのである。本件では各音楽ファイルについて特定一名(ユーザー自身)に送信するだけだから公衆送信ではない。地裁は23条の「著作物について」を「送信を行う者について」と読み誤ったと思う。原告は、サーバへの複製に関しては、「裁判官殿が裁判所のパソコンでフォルダ内にファイルをコピーされた場合、コピーの主体は裁判所ですか?」と主張するとよいと思う。また、被告が「渾然と蔵置される」と主張しているから、原告は物理的には渾然であるとしても論理的にはボックスであることを徹底的に争い、ボックスと貸金庫を対比した図を提出し裁判官に直感的に理解させるとよいだろう。ただし主張はあくまでボックスで技術的に正確に行う。なぜなら裁判官は比喩の貸金庫では判決をかけないから。別紙1ではボックスが示されず物理アクセスが記載されているから被告に有利である。本件は差止請求権不存在確認訴訟であるから、訴えたのは原告であるが、立証責任は被告にある。恐らく、原告は被告の立証を妨げることだけやっていたのではないだろうか。そのため、被告が自分に有利な別紙1を提出し、それにより被告ペースで訴訟が行われ、被告の勝ちになってしまったのではないだろうか。立証責任はないとしても、原告も自分に有利な図を提出して主張して、コンピュータ技術に疎い裁判官を説得する必要があるのである。なお本判決により汎用の記憶領域のレンタルが違法となるわけではない。




米国の著作権事件

合衆国憲法第1編第8節
   翻訳文 / 原文: U.S. Constitution Article 1 Section 8 (LII)

 アメリカ合衆国憲法第1編第8節の知的所有権に関する部分の翻訳です。

米国著作権法

 1993年に改正されたドイツ著作権法のプログラム関連の条文を翻訳しました。この改正は1991年のECディレクティブ(指令)に基づいているので、その英語版及びドイツ語版もリンクしました。ドイツ著作権法の規定は具体的かつ明確なので、日本の著作権法の解釈の参考にもなると思います。(リンク先でドイツ語が乱れるときはブラウザの文字コードの設定を「欧米」又は「中欧」に変更してください。)

 

1982.01.20  Stern ビデオゲーム事件(控訴裁) 1983.08.30  Apple OS事件(控訴裁) 1984.01.17 Sony VTR事件(最高裁)
   翻訳文  / 原文(LII)

 古い判決で、プログラムに関するものでもありませんが、最近のP2P訴訟で必ず引用される判決ですので、翻訳しました。
 アメリカの二つの映画会社がSonyのアメリカ法人を著作権侵害で訴えた裁判です。原告らは、テレビで放送された原告らの映画をSonyのVTRの購入者が許可なく録画することが直接侵害であり、VTRを販売するSonyは寄与侵害者として責任を負うと主張しました。地裁は非侵害と判決し、控訴裁は侵害と判決し、最高裁では9名の裁判官が5対4に分かれましたが、家庭内のタイムシフトはフェアユースであり、VTRの販売は寄与著作権侵害を構成しないとして、非侵害と判決しました。
 
日本では著作権法30条1項により、テレビ番組の家庭内でのVTRによる録画は適法です(ただし、30条2項により政令で定めるデジタル機器は補償金の支払いが必要)。したがって、日本ではこのような裁判が提起されることはないのですが、アメリカでは著作権法107条にフェアユースという一般的な条文があるだけですので、具体的な問題について裁判が提起され、裁判所がその具体的な問題について判断し、それが判例となり、フェアユースの具体的内容が徐々に明確になっていきます。
 最近のP2P訴訟を理解するためだけでなく、日本とアメリカの著作権法の違いや、日本は制定法主義であるのに対してアメリカは判例法主義であることを理解する上でも、読む価値がある判決だと思います。

1985.03.06  SAS 統計分析ソフト事件(地裁) 1986.01.07  Walker 映画:サウスブロンクス事件(控訴裁)
   翻訳文 / 原文

 この事件はプログラムの著作権事件ではなく、ニューヨーク市警41分署とその管区サウスブロンクを舞台にした本と映画の著作権侵害事件である。被告は原告の本にアクセスしたことは認め、内容的にも類似点があるが、裁判所は類似点は保護適格のない要素に関するものであり、保護適格のある要素は類似していないとして、非侵害を認定している。裁判所は、事実、必要なシーン<scenes a faire>、ありふれたテーマには保護適格がないと判示している。

1986.08.04  Whelan デンタ・ラボ事件(控訴裁) 1999.06.15  Diamond MP3プレーヤー事件(控訴裁) 2000.02.10 Sony プレステ・エミュレータ事件(控訴裁) 2001.02.12 Napster ピア・ツー・ピア事件(第9控訴裁) 2001.03.05 Napster ピア・ツー・ピア事件地裁差戻審)
   翻訳文 / 原文

 上記の控訴裁の一部差戻判決を受けて、あらためて地裁は次のように仮差止を命令しました。
 Napsterは著作権で保護された録音物を複製、ダウンロード、アップロード、伝送、又は頒布することを仮に差し止められる。原告らは(A)作品のタイトル(B)アーティスト名(C)Napsterシステム上で利用できるファイル名を提供してNapsterに知らせるものとする。原告らがNapsterシステム上の全ての侵害ファイルを識別するのはシステムの稼働の一時的な性質を考えると困難であろうようにみえる(原告らが識別する各「特定の侵害ファイル」に依存する救済は幻想であろう)。しかし、この困難性はNapsterからその義務を解放しない。原告らは録音物の発売前に、アーティスト名、録音物のタイトル、及び録音物の発売日をNapsterに提供することができる。Napsterは最初の侵害ファイルからその録音物へのアクセスをブロックするものとする。

2003.01.21  RIAA v. Verizon本人情報開示命令事件地裁)
   翻訳文 / 原文(DCDC)

 米国レコード産業協会(「RIAA」)は、KaZaA(P2Pソフト)を通して音楽ファイルをダウンロードするためにVerizonのネットワークを使っている匿名の著作権侵害者の本人情報を求める本人情報開示命令をVerizonに送達した。しかし、Verizonはそれに従うのを拒否した。そこで、RIAAは本人情報開示命令の強制執行を申し立てた。Verizonは、本人情報開示命令は侵害物をシステム又はネットワーク上に蓄積するサービスプロバイダだけに適用されるものであり、Verizonのように単にインターネット接続を提供しているサービスプロバイダには適用されないと主張した。裁判所は、512条(h)の本人情報開示命令権は、ユーザの指示でシステム又はネットワーク上に情報を蓄積しているサービスプロバイダだけではなく、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)の範囲内の全てのインターネットサービスプロバイダに適用されると結論した。

2003.05.14  MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件地裁)

   翻訳文 / 原文(Grokster)

 各被告はP2Pファイル交換フリーソフトを配布している。【ユーザーの直接侵害】原告らは被告らのソフトのユーザによる著作物の直接侵害を証明した。【寄与侵害】被告らはホームビデオレコーダやコピーマシンを販売する会社とそれほど違わない、両方とも著作権を侵害して使用することができる。しかし、P2Pファイルシェア技術が原告の著作権を侵害するために使用され得るという理由だけで、寄与侵害の責任を負うことはない。【代位責任】本件においては、Napster事件とは違い、製品がユーザに渡された後に生じる侵害行為を被告らが監督し管理する能力を持っていることを示す証拠は存在しない。代位侵害論は、製品のユーザへの管理が存在しないところでの製品の不適法な使用をより少なくするように作られ得るであろうという事実に基づく責任は意図していない。【結論】著作権者:敗訴、P2Pソフト配布者:勝訴。

2003.06.30  Aimster暗号化P2P事件第7控訴裁)

   翻訳文 / 原文(7th Cir) 

 全ての相互の通信はAimsterが供給する暗号化ソフトウェア手段により送信者によって暗号化され、受信者によって復号化される。【寄与侵害】最高裁がSony事件において侵害使用を「推論的に知っていること」だけでは寄与侵害には十分ではないと述べており、暗号化機能によってユーザによってコピーされた曲が何かを知ることができないから、侵害使用を知っていることの要件を欠いているというAimsterの主張を拒絶する。一般の法におけるのと同様に、著作権法において意図的な無知は知っていることである。事件があることを確実に強く感づいていることを暗号化ソフトウエアを使うことによって知ることを防ぐことによって、責任から逃れることはできない。そのサービスが使用される不法な目的を実際に知ることから自分自身を遮蔽するために暗号化を使用することによって、そうでなければ寄与侵害者になるであろうサービスプロバイダが、責任の免除を受けることはできない。【結論】著作権寄与侵害、仮差止命令支持


2004.08.19 MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件第9控訴裁)

   翻訳文 / 原文(Grokster)
 上記の2003.05.14の地裁判決の控訴審判決です。地裁の判断を全て支持しています。


2005.06.27 MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件(最高裁

   翻訳文 / 原文(合衆国最高裁)
 上記の2005.08.19の第9控訴裁判決の上告審判決です。原判決を破棄し、差し戻しています。著作権者側の勝訴の判決です。なお、この判決中で引用されているSony VTR事件最高裁判決も翻訳しました。
[1]判決要旨判決本文(裁判所の意見)を翻訳しました(05.06.28, 07.03)。
 訳注で、この判決についての私の意見を述べました(05.07.06)。[訳5]に記載したように、本判決によれば、製品の配布の違法/適法は、以下のように区別されます。
(1)違法使用だけで適法使用ができない製品の配布→その製品の配布は違法(例:特許侵害品の専用部品)
(2)違法使用と適法使用の両方ができる製品の配布
   (2.1)明確な表現又は他の肯定的な行動により配布者の違法な配布目的が証明されない
       →その製品の配布は適法(例:Sony事件のVTR)

   (2.2)明確な表現又は他の肯定的な行動により配布者の違法な配布目的が証明された
       →その製品の配布は違法(例:本件P2Pソフトウェア)

[2]GINSBURG裁判官の賛成意見を翻訳しました(05.07.09)。GINSBURG裁判官は、控訴裁の裁判官に対して、差戻審で原告ら勝訴の判決が書けないとすれば、Sony事件の全記録を勉強し直せ、と怒っています([訳8]参照)。
[3]
BREYER裁判官の賛成意見を翻訳しました(05.07.17)。BREYER裁判官GINSBURG裁判官を批判し、控訴裁のSony事件の解釈は誤りではないと主張しています。原告(著作権者)側を擁護するGINSBURG裁判官と、被告(技術的イノベータ)側を擁護するBREYER裁判官との間で激しい議論がなされるなか、SOUTER裁判官が誘因論を持ち出して、これに全裁判官が賛同したのではないかと推測します([訳9]参照)
 200.11.07
被告の一社Groksterは、P2Pソフトの配布を中止し、5千万ドルの損害賠償金を支払うことで和解した(HOTWIRED

2008.08.20 YouTubeフェアユース事件(地裁命令)

   翻訳文<New / 原文(eff)
 原告Lenzは彼女の幼い子供がキッチンでダンスをしているのをビデオテープで撮った。バックグラウンドでPrinceによる曲「Let’s Go Crazy」がかけられた。「Let’s Go Crazy」は約20秒聞くことができる。LenzはこのビデオをYouTubeアップロードした。UniversalはYouTubeにデジタルミレニアム著作権法(「DMCA」)に基づく削除通知を送った。YouTubeはそのビデオを削除した。LenzはYouTubeにDMCA対抗通知を送った。Lenzは、彼女のビデオは「Let’s Go Crazy」のフェアユースを構成し、それゆえUniversalの著作権を侵害しないと主張した。Lenzは、そのビデオが再ポストされることを要求した。YouTubeはそのビデオを再ポストした。Lenzは、不実表示を主張してUniversalに対する訴訟を提起した。Universalは現在の申立を提出した。地裁は、著作権者がDMCAの手続きを進めるためには、著作権者はその作品が著作権のフェアユースであるかどうかを評価しなければならないとして、Universalのこの申立を却下した
 


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