近年学校の防犯、危機管理の課題を象徴する学校乱入事件が発生し社会問題となっています。また不審者情報など子どもが被害にあう事件が毎日のように報道されています。
しかし、そうした注目度の高い事件だけでなく、年間200万件を超えて発生している学校災害全体を問題として捉えて、地域防災を含めコミュニティの安全を高めていかなければ子どもを取りまく環境は改善されません。
社会全体で「安全・安心」への要望が高まり各自治体では生活安全条例や安全・安心まちづくり条例などが制定されつつあります。しかし、それらのほとんどは防犯カメラの設置や警察との連携強化などに重点を置いた監視・取締型の対策となっており「本当に安心して暮らせる地域づくり」に役立つのか疑問です。
同様に学校の安心・安全を考えると監視し、隔離すると言う考え方では子どもの成長・発達の権利までも排除してしまいかねません。
一時的な犯罪の抑止効果は期待できるかもしれませんが、このような動きは人々の自由を脅かし、不信感をあおってしまうことも危惧されます。人々が互いに信頼しあい、支え合うような安全と安心のまちづくりを目指す取り組みを進めていくべきと考えます。
そういう意味でも学校を地域に解放することが必要です。あえて学校を閉じて守るのではなく開いて守る取り組みへと進んでいくべきだと思います。校門を開けて地域の人がいつも出たり入ったりする環境が不審者を遠ざける方法につながるのではないでしょうか。
学校の安全対策は事件や事故が起こるたびに文部科学省から教育委員会へ、教育委員会から学校へと通達やマニュアルが送られるといった対応に終始しているのが実態です。テレビでは「さすまた」を持った教師の防犯訓練が歓迎ムードで放送されていましたが、このような対処療法的な対策で「学校安全」は確保できません。現場の教師に頼っている学校安全対策の限界を考え国や行政の役割・責任を明確にしながら国・自治体・学校の共同による総合的な学校安全対策を進めていかなくてはならないと考えます。今後の教育行政は子どもや教職員、保護者が安心して学校活動に取り組めるようにいかに学校を守れるかという発想に立つ必要があります。
日本教育法学会学校事故問題研究特別委員会では2004年に学校の安全制度条件を示そうと「学校安全法」の要綱案の提案を行っています。
多摩市として市の実態にあった条例や指針をつくっていく必要があります。子どもの命に関わり緊急性がある問題は本来最優先で解決すべき課題です。
また学校だけではなく、公園の安全にも目を配る必要があります。
今回わたし達は地域の方々と公園の安全点検を行いました。
多摩市にはたくさんの公園がありますが、その安全対策の現状はどうなっているのでしょうか。たとえば、ある公園ではサッカーゴールが腐食し危険な状況になっていましたし、公園の案内板にも危険個所を発見した場合どこに連絡をしていいのか連絡先の明記もなされていないことがわかりました。
大人が先回りをして子どもたちから危険を回避するだけでなく普段の生活の中から子どもたちが様々な体験が出来るように多摩市の資源としての公園の有効活用をすべき視点からもプレーパークを作ってみてはいかがでしょうか。
不審者情報が毎日のように流され外で遊ぶことも規制されがちな中で子どもたちが自由にのびのびと遊べる場所は必要です。現在市内でも冒険遊び場を作ろうと市民の方々が活動しています。子どもたちの生きる力を育むためにも行政と市民のパートナーシップで子どもたちや地域の人々に愛され活用される遊び場を作っていくべきと考えます。
以上の視点から以下質問します。
1−1.学校の安全について
日本列島は地震が多発する地域であり、ここ多摩市でもいつ大きな地震におそわれてもおかしくありません。にもかかわらず、何十年・何百年という周期で起きる大地震に対して人々は危機感を維持できず、地震が起きること自体を忘れてしまう傾向もあり、防災意識は低くなりがちです。しかし、地震と災害の大きさは必ずしも比例しません。地震そのものを防ぐことは出来ませんが、地震による被害を最小限に抑えることは出来ます。人命を守るために、大地震が起きても大災害を引き起こさないための継続した努力が必要なのです。
多摩市近郊の大学に通う学生たちとともに調査活動を行い政策を作っていく政策ゼミも今年で三回目を迎えました。今年は防災の中でも特に地震対策を中心に、様々な自治体や障がい者の方へのヒアリングなどの調査活動から、災害に即座に対応出来る人材の育成と活用、災害弱者への対応、災害時の外部ボランティアの受け入れ体制、関係団体との連携等の課題に着目し取り組んできました。
震災直後に行政が直接すべての市民の命を守ることは当然できません。ですから多摩市では、防災対策の中心として、自分たちの命は自分たちで守るために自主防災組織が各地域で活動しています。市民の防災意識の高い地域では災害時に役に立つ組織を形成していくことが出来ていますが、防災意識の低い地域では組織がうまく機能しておらず、全く立ち上がらない地域さえあります。この現状を見ると、自主防災組織だけでは不十分です。それ以外の観点から防災対策を考える必要があります。自主防災組織という枠組みを提示して後は何もしないのではなく、市民が自らの意志で活動を起こすために、市民の自主性を引き出す政策、いわば攻めの政策を考えていかなくてはなりません。
そこで市は、災害時に人命救助等に活躍できる人材、さらには自主防災組織で中心となり地域の防災力を高める人材を、積極的に育成していく必要があります。そしてこれだけにとどまらず、育成した市民が得た能力を地域に還元することを目的として、市民と市民を仲介する役割もあります。またNPO、事業者等の団体との協力関係を築き上げる必要もあります。他にも自力で非難するのが困難である災害弱者を事前に把握し、災害時に迅速に避難・救助できる体制を整えるべきです。救う側の人材を確保し適切に配置するために、外部からのボランティアの受け入れ体制も整備しておくことも必要です。
以上の見解に基づいて、市民の、市民による、市民のための防災対策を目指して、以下質問・提案をしていきたいと思います。
1.人材育成について
「交通バリアフリー法」、「東京都福祉のまちづくり条例」に基づく、バリアフリー化に向けたまちづくりが進展してもなお、自立した移動が困難な人々が多く存在しています。
多摩丘陵を切りひらいた起伏の激しい造成地に、エレベーターの無い集合住宅が建ち並ぶニュータウン地区を抱える多摩市は、他市に比べ、特に縦の移動に伴う困難が大きく、これを解消していかなくてはなりません。
身体に障がいのある人、高齢者、妊産婦、一時的傷害を負った人、様々なハンディキャップを持つ市民に対し、個々の事情に適合した移動の手段を確保し、その内容をより充実させていくことは、豊かで活気ある地域社会を構築する上で必要かくべからざるものです。
昨年、生活者ネットワークでは快適な生活を営む上で、エレベーターのない5階建て住宅に住んで下の階への住み替えについて、または住み替えの際にも住み慣れた地域の中での住み替え希望がどのぐらいあるのかなどのアンケートを行いました。永山、貝取、豊ヶ丘、落合、諏訪、聖ヶ丘などで約300人から回答を得ました。
そこから現在の多摩ニュータウンがかかえる住宅の課題がいくつか見えてきました。
住み替えを希望する人の約6割が同じコミュニティー内を希望している。高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅制度)への移動が同じコミュニティー内で可能になるよう地元枠の設置が必要ではないか。呼び寄せ高齢者の引きこもりが深刻である。自治会のない団地の場合の対応をどうしていくか。などです。
住宅は今や量の確保から「快適で安心して住める生活環境の確保」へ政策転換していかなくてはなりません。また、都営、市営、公団、公社の住宅供給だけでは限界があります。民間事業者・NPOなどとの協働により高齢者や障害者も暮らしやすい住環境を創り出すための支援や誘導策が必要です。
一方、団地における縦移動だけではなく横の移動についても考えてみたいと思います。
昨年11月から3ヶ月間交通社会実験が行われ、今年3月報告書が出されました。ニュータウン部分の住民の多くが団塊の世代であり、今後急速に高齢化が進んでいきます。そんななかで外出の自由を阻害しない移動の確保は重要です。
多摩ニュータウンは、丘の上の団地から谷の幹線道路を走る路線バスのバス停までの高低差が大きく坂の上り下りなど高齢者をはじめとする移動制約者に対する移動の保障は喫緊の問題です。
生活者ネットワークでは「移動困難者の移動の確保」という意味で移送サービスに取り組むNPO等への支援を都や各自治体で提案してきました。
2004年3月には国土交通省から「福祉有償運送」に関していわゆる道路運送法80条許可に関するガイドラインが出されました。区市町村は、移動困難者の実態把握と移動サービスを担うNPO等を支援し、自治体の交通政策等へ反映するため、来年春までに運営協議会を設置しなくてはなりません。しかし区市町村における運営協議会の設置はまだ7区にとどまり、このままでは運営協議会の空白地域をつくりかねません。多摩地域でも特区をとって先行しておこなっている市もありますが、多摩市は今後どの様にすすめていこうとしているのでしょうか。
全ての市民にとっての移動という基本的人権が尊重され、自由に行動し、あらゆる分野の活動に参加する機会を得ることができるよう、市と市民は、協働して交通手段そして住宅の住み替えなどの政策を推進していかねばならないと考えます。
以下「移動権」という観点から質問致します。
1.住宅に関して
21世紀は地方分権の時代であり、環境の世紀と言われてスタートし、すでに5年目を迎えます。20世紀は開発優先にすべてをかけ、社会をつくりあげてきたことのつけが、ここ10年ほど世界各地で異常気象をまねき、特異とも言える自然災害が発生している状況です。特に、昨年は6月から真夏並みの暑さがはじまり、8月中旬まで真夏日が40日間連続するという異常気象で、また多発した台風は多くの犠牲者を出すことになりました。
こうした災害を引き起こす異常気象の背景には、地球温暖化が大きく影響していると言われてきましたが、今、ようやくこのことが、多くの人々の実感となったように思います。
今年の2月16日、地球温暖化防止のための温室効果ガス削減の国際的枠組みを定めた京都議定書が発効しました。1997年、京都市で開催された気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)から約7年を経て、ようやく、京都議定書に定められた先進国に課される二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標は国際公約となり、法的拘束力が生じることとなります。
日本においてはこの間、1998年6月に、日本での達成のための方向性を示す地球温暖化対策推進大綱を策定。また、地球温暖化対策推進法の制定、地球温暖化対策に関する基本方針の策定、省エネルギー法改正などの国内対策を実施してきました。2002年には、大綱を改定、また発効に際し目標達成計画をつくることなどを内容とする推進法の改正等を行ってきました。
目標達成のためには、あらゆる主体が排出抑制に努めることが必要であり、地域の環境施策の担い手である自治体が、イニシアチブを発揮することがさらに求められています。発効により、地球温暖化対策推進法が完全施行となり、自治体は20条に定められているように「その区域の自然的社会的条件に応じて総合的且つ計画的な施策(地域推進計画)を策定し実施するように努める」ことになります。
構造改革特区制度や地域再生計画制度など国レベルの制度の支援も駆使し、また都レベルの制度、自治体における支援制度の拡充、NPO・市民団体の地域力・市民力、全てを動員して排出抑制の目標達成を地域ごとにめざさなければならないと考えます。
更に新エネルギーの導入やエスコ事業など視野に入れ取り組む必要があります。
エスコというのは、エネルギーサービス会社という意味です。具体的には、省エネ機器への変更や省エネ工事などで、エネルギー消費を減らす提案、工事を行う会社を指します。省エネの効果を保証することに特徴があり、顧客は保証の範囲内で代金を支払います。一般的には、工事や機器の更新に必要な資金を省エネによる光熱費の削減分から捻出することで、顧客には従前と同じ費用負担で省エネが図れるというメリットがあります。既にいくつかの自治体が取組を始めていると聞いています。
多摩市においては、2001年12月に環境基本計画を、2002年3月には「多摩市地球温暖化対策実行計画」を策定しました。そしてこれらを基に2003年度の環境への取組をまとめた環境報告書が作成されました。
更に今年は環境基本計画の中間見直しの年にあたります。現在後期環境基本計画に反映するためパブリックコメントを実施中です。
今後の地球温暖化防止対策を推進していくため多摩市としてどの様に施策展開をはかっていくのかについて以下質問します。
第8号議案、平成17年度多摩市一般会計予算について民主・生活者ネットを代表し否決の立場で討論致します。
我々は2003年度決算の討論において、次年度の予算編成に議会からの意見、市民の声が届いていくであろうと期待し、認定としました。
また昨年、12月定例会の補正予算においても応募事業者選定委員会報償費について、建設用地周辺の住民をはじめとする市民の合意などきちんととりつけてから執行すべきであると強く主張し、事業の執行停止を求める討論を行いました。
しかし、残念ながらあっけなくその思いはうち砕かれてしまいました。
このたび提案された来年度予算書では初めて、「協働費」という記述がなされました。
まさしく市民協働を全面に出し、意気込みを感じるわけですが、その基準はきわめて曖昧なものであり、市民協働をどの様に捉えているのかについて、再度整理し直す必要を感じます。また、間違っても「安上がり行政のための市民協働元年」とならないように取り組んでいく必要があると申し上げておきます。
さて、市長市政方針に沿って意見を述べたいと思います。
夢を持って互いに支え合うまち
2005年度、平成17年度を「改革を私たちのまちの夢につなげる年度」と位置づけ限られた財源を明日の多摩市の夢につなげる重点施策に振り向けるとしています。
私たちがかねてより情報の共有、市民との協働が市政運営における重要なキーワードであると述べていますが、市民とともに進めるまちづくりのために何よりも欠かせないのは情報共有であることは既に市長も十分に認識していることと思います。
昨年度、市の行財政の現状について市民との共通理解をはかるため行財政診断白書が作成され、透明な市政運営を目指したことは評価します。が、この白書の中でこれまでにも多くの改革が構想されながらも、なぜ思いきった改革を進めることが出来てこなかったか、その原因を含め検証は十分ではありません。
行財政診断白書は市民とともにまちづくりを考えるツールとして、市民に問題提起をしたことは確かであり、市民の市政に対する関心を引き出す役割を一定程度果たしたとも言えますが、行財政診断白書が発端となり市民に広がった不安感は市政への不信感を招くことにもつながりました。私たちは改革の出鼻をくじくような混乱は回避すべきだと指摘したはずです。
なぜなら、進むべき方向に誤りがなくとも、その進め方によっては予想だにしない誰も望まない結果にいたらしめることもあるからです。改革をする時に軋轢が生まれるのはしごく当然なことですが、市長が「裸の王様」になってもやり続けることは本意ではありません。まさに、丁寧なプロセスを積み重ねてもらいたいとのささやかな願いであり、ある意味で苦言を呈したのでした。
情報共有には対話が必要です。行政としての考え方を押しつけるのではなく 一人ひとりの市民力を確実に生かしながら地域力を高め、みんなが平和を享受し、安心してともに暮らせる社会の実現を目指すべきです。私たちは今、情報が共有されているという状況はいかなる状態であるのか、ただ単に一方的な説明をすれば事足りるわけではないということをもう一度、深く噛み締める必要があると思っています。
市長が「いいまちつくり対話」と述べているように、市民との話合いを進めていけば市政に対して厳しい意見が出てきます。その厳しさ、市民の不満をまちづくりの推進力にしていくことがリーダーである市長の手腕にかかっているのです。旧来の価値観では立ち行かない時代であれば尚更です。また、ようやく制定された自治基本条例の精神に則り、市民はもちろんのこと、議会との情報共有のあり方そのものを変えていく必要があります。機関委任事務時代、国からの命令にがんじがらめになっていた時とは違います。
今、自治体議会の役割は格段に重要なものになっています。議会とどのように対話を積み重ねることができるのかが、まちづくりの質を大きく左右するものと考えます。しかし現実は残念ながら、旧来と同じく水面下でのやり取りや、二元代表制にも関わらず与党野党の枠組みの中で政治の構造が動いているままであることを感じます。
市長が就任以来掲げてきた「誰もが夢を持ち、互いに支えあうまち・多摩」の理念は大変立派だと思います。しかし、市長はその理念にどれだけの手応えを感じているでしょうか?
市民が将来に夢を描けず、夢どころか、不安ばかりが頭をもたげている状況の中で、互いに支え合って、とりわけ行財政改革への協力をし、まちづくりを担うような感覚にはなれ無くなっている現状を作っていると指摘せざるを得ません。この事態を招いたことに対し猛省を促したいと思います。
経営感覚のある市政運営
ゼロベースの原則、根拠本位の原則、市民協働の原則に則り「多摩市行財政再構築プラン」を着実に進めるとあります。 昨年、行財政再構築プランで財政的に逼迫した現状を市民に説明し、それが今年は一転し、多摩市は財政規模は全国でも20番目である、基礎体力はあるのですと180度違う発言をしています。学校跡地の問題、多摩幼稚園の廃園問題等を含めて多摩市民は市長の取り組みに不信感を募らせてきました。市長の発言で困惑している市民が多数存在し、一体多摩市が今どのような状況にあるのかという不安感が蔓延しています。
市長はかねてから鋭い経営感覚を発揮するとしています。そのよりどころとなる考え方は「新たな支えあいの仕組み」であると受け止めています。しかしながら、今回示された「(仮称)市民活動情報センター」または、「新たな公募型補助金」など、予算特別委員会の中でどのように展開がなされていくのか質疑をしましたが、残念ながら現段階では明確なビジョンを感じることができませんでした。特に市民活動センターにせよ、新たな公募型補助金にせよ、整理と再編、庁内の連携をはかる努力が不十分だと指摘せざるを得ません。市長には一層の経営感覚の発揮を求めたいと思います。
さらに来年度からごみの有料化を実施するとしています。
ごみは私たちの生活と切り離して考えられないものです。市長会で決まったから有料化をするのではなく、ごみ減量の効果を検証し、その検証の上に費用設定についての考え方等が出てくるものと考えます。有料化をするのであれば、ごみ減量のためにやれることは全てやったがさらなる減量のために実施するという考えで望むべきです。市民への説明にも時間をかけて丁寧な対応は当然のことで混乱を最小限にくい止めるために知恵と時間をかけるべきと指摘しておきます。
今後、公共施設の使用料問題など課題が山積しています。これらについてしっかりと市民の意向を把握しながら進めるべきです。
合意形成のプロセスを大切に
「合意形成のプロセスを大切に」まさしく我々が常日頃主張していることです。市長の施政方針において、その重要性が語られたことは大変うれしく思います。
しかしながら、言葉だけが踊っていても、実際に行動で示して行かなくては何もなりません。
先ほども申し上げたとおり、前市長の逮捕という事態の中で翻弄されながらもようやく多摩市自治基本条例が制定されました。この条例は、市民協働を柱にしたまちづくりのために欠かせないルールを定めたものですが、運用に関してはまだまだ試行錯誤です。この条例に基づく取組みを進めながら効果的運用を考え、そしてよりよいものにしていくためには、行政運営に対するスピード感覚と市民合意の形成という難しい課題がつきつけられているのです。その舵とりは決してたやすいものではありません。時に立ち止まって振り返る、深呼吸をして考えることが必要です。絶えず足跡を確認しながら前に進めていくことが必要なのです。特に市民参画が骨抜きになっていないか、形骸化した市民参画になっていないかどうかを常に点検する必要があります。
市民の参加による検討会や懇談会が広がっていることは、自治基本条例の精神を生かしてのことであるとも思います。しかしながら、多数の会議が開催されながらも運営が形骸化しているように感じられるのは、行政にお墨付きを与えるためだけのものになっているからなのではないでしょうか。
今回の予算の大きな争点になったものに学校跡地問題に絡む障がい者通所授産施設があります。私たちはノーマライゼーションの精神、理念に照らす時、施設規模についてはいささか疑問に思う点もあります。しかしながら、現在多摩市には法内化施設がひとつもなく、障害者が置かれている状況は厳しく、また法内化施設は当事者の立場からは強く望まれるものでした。
施設に関しては、当事者との法内化施設の検討をする中で、現在提示されているプランになっていることと思います。当事者とともに合意形成をはかってきた事実に照らし、施設の法内化に対しては頭から否定するものではありません。
今回の旧西永山中学校グランドに施設を建設することですが、議会でも学校跡地問題を慎重審議しているにも関わらず、どうしてこのような形で出されてきたのかとうてい納得できるものではありません。また、施設計画予定の平成20年には既に卒後者が入所人数を上回る数字がでています。
障がい者の卒後対策は緊急を要するものです。そのことを十分に考慮し、市として障がい者施策全般をどの様にしていきたいのかをまずは明らかにすべきです。法内化施設問題が一見落着したとしても、その先のビジョンが全く示されない中で多くの当事者から不安の声が聞こえています。それに対する十分な回答がない中で、施設建設を急いでいるわけですが、その先のことを考えなければ、ただの対処療法のようにしか感じられない側面もあります。今後、障害者基本計画を見直すとしていますが、その計画の見直しをまずは優先すべきではないかと考えます。
この件については、市民との合意形成とプロセスを重視していこうとする市長の主張、また自治基本条例の精神がどのように生かされてきたのかも含めた総括が必要です。議会においてなぜ、これだけ紛糾しているのか、その原因を直視すべきです。
私たちは渡辺市政になってから、たびあるごとに厳しい意見を申し上げてきました。それは多摩市のより良い発展を望んでのことです。それが市長の胸にはどのように響いていたのか疑問です。今更ながら落胆の思いを大きくせざるを得ません。もちろんそのことは私たちだけではありません。多摩市議会において集約されている市民の声を市長はどのように汲み取っているのか疑問です。
さらに私たちは市長に対し、組織運営における風通しをもう一度点検すべきだと指摘させていただきます。今定例会において、提案されるかもしれないとされてきた一般職員の人件費2.5%削減のことでは、市長が職員の声にどのように耳を傾け、市政運営を行っているのか疑問に感じているところです。
今、社会全体にストレスが広がっているといわれています。
今議会会期中に現職の部長が欠席するなど前代未聞です。また、そのほかにも体調を崩している職員が多数いると聞いていますが、社会全体が病んでいるからとの理由でこの状況を片付け、済ませられる問題ではありません。何故このようなことになっているのか、市長はしっかりと自分の胸に手を当て考えていただきたいと思います。
さて、本予算は予算特別委員会において否決をされました。この事実を市長は重く受け止めるべきです。今日、この日に至るまで、市長はどのような努力をしてきたのでしょうか。市民にも堂々と説明でき、理解されるような行動をどれほどとってこられたのでしょうか。
ここを直せば、あそこを直せばの話ではないのです。
市長が信念を持って出してきた予算が否決をされた、ではここを削りますからご理解下さいなどと消しゴムで簡単に予算の中身を消し去るような訂正はできません。また、私たちが審議をしてきた5日間を一体どのように受け止めたのか、誠意を持って応えていただきたいと思います。
市長が人頭指揮をとり、職員が積み上げてきた予算をそんなにも簡単に消せるものなのですか。リーダーとして職員に対しても思い責任があるのではないでしょうか。
今日、開会前まで慌ただしい動きがありました。
市民はこのような市政のあり方にどのような目を向けるのでしょうか?
自治基本条例を市長、議会、市民がもう一度読み直し読み解いていく必要があることを申し上げ否決の討論と致します。
わたしたちは日々膨大な量のごみを生産し続けます。ごみが私たちの生活のそこかしこに付きまとうものである以上、ごみ問題は誰にとっても他人事ではありえません。好むと好まざるとに関わらず、私たちはごみと共存していかざるを得ないのです。また、複雑なごみの分別、家電製品に課されるリサイクル税、自動車のリサイクル税導入など、日常生活の中でますますごみ問題が無視できないものになりました。
多摩市近郊の大学に通う学生たちとともに調査活動を行って政策を作っていく政策ゼミも今年で二回目を迎え、今回は「ごみ問題」をテーマに選びました。ごみの現状を調べていくにつれて、私たちはいくつかの課題を発見しました。それが高齢社会に向けての高齢者への対応、広報が行き届いているとは言えない単身者への対応、生ごみ処理器を購入するなどごみ問題に関心の高い人への対応です。今までに多摩市はダストボックスの廃止、廃棄物等減量等推進員の設置といったごみ政策を取ってきました。確かにそれは市民の大部分に関わる問題ではあり、ごみが私たちの生活の中で重要な問題になりうる、ということを市民に再認識させるという点で実際にそれなりの効果を挙げてきました。しかし、所詮部分は部分でしかありえず、全体を網羅することはできません。それらの対策では対応しきれなかった人々は依然として置き去りにされたままです。なぜこのような現状が放置されているのでしょうか。その原因は市のごみ問題に対する姿勢にあるといわざるを得ません。
これらの施策は「ごみ問題を放置しているわけではない。手は打っているのだ」というアリバイ作り的なものでしかありません。これは行政のごみに対する意識の低さと、言われればやるが言われなければ何もしない、という受身の姿勢を如実に表すものです。確かに目の前に突きつけられている費用の削減と効率化に関わる問題も重要なものではあるでしょう。しかしそれらは所詮対症療法に過ぎず、近視眼的な対応でしかありません。今必要とされているのは時代認識に基づく明確な展望を持つ、未来を見据えたごみ政策です。有耶無耶のままにごみ処理の有料化という劇薬を使ってしまう前に、もっと出来ること、するべきことが多く残されているのです。
今求められているもの、それは、市が市民のごみに関する意識を改革していくように積極的に働きかける、言わば「攻めのごみ政策」とでも言うべき姿勢が必要だと考えます。受動的な姿勢を棄て、能動的な「ごみに高い意識を持つ行政」そして「市民のごみに対する関心を育てる行政」への転換、目指すべきは行政も市民もごみに高い関心を持ち、共に問題解決に向け行動するような多摩市。それこそが私たちの理想とする「市も市民も巻き込んだ総合的なごみ対策の実現」と「ごみを媒介とした市と市民の、あるいは市民と市民の関係の再構築」、つまり「ごみュニティ」実現のための第一歩となるのです。
多摩市独自の問題と「ごみュニティ」を見据えたうえで、以下質問・提案をしていきたいと思います。
1.単身者へのごみの出し方の周知徹底について
東京都教育委員会が「中学生までの性交渉禁止を条例化」の新聞記事を読んで、何故そのような幼稚な発想に至るのかと驚きよりも委員の見識の低劣さにあきれてしまいました。「青少年の性行動を考える委員会」が3回の会議でとりまとめを行う予定でしたが、青少年の性行動を規制する条例について委員の意見が大きく分かれたため、結局は取りまとめには至らなかったようです。
東京都では今年3月の「東京都青少年健全育成条例」を改正したのを皮切りに5月には「学校と警察の連絡協定制度」を実施。青少年対策を複合的重層的に行うこととして8月には「青少年育成総合対策推進本部」が、また、「非行防止・犯罪の被害防止教育の内容を考える委員会」や「青少年の性行動について考える委員会」が次々と設置され、さらに11月2日「第26期東京都青少年問題協議会」が立ち上がるなど、青少年を取り巻く取り組みが短期間で矢継ぎ早に打ち出されています。
「非行防止・犯罪の被害者防止教育の内容を考える委員会」の提言では、時間的な制約もあり、具体的な教育プログラムを作成したのもではありませんが、子どもたちがコミュニケーション能力に欠けていることを指摘し、非行防止には他人に共感する力を付け、自ら主体的に非行をしない力を醸成することが大切とし、教育庁など関係機関等で実践的なプログラム作成し、各学校での導入を積極的に図ることを期待すると結んでいます。
このように青少年の問題に対する正しい理解に基づく提言もあるものの、多くの取り組みが、十分な議論もなく、ましてや当事者である青少年の参画もない中で短期間で決定され、それが青少年健全育成条例の改正につながることは非常に危惧するものです。
規制や管理に軸足をおいた条例改正は根本的な問題解決とはなり得ません。早急に取り組むべき本質的かつ根本的な対応策は青少年の判断力を育成・教育することです。すなわち外からの圧力ではなく内からの成長なのです。青少年を外圧で規制しても内からの精神的成長つまりは自ら育つ力無くしては、外圧が無くなったときは、元に戻ってしまいます。子ども自信が育つ力を育むためにも関係機関が連携を図り、施策を実施することが重要です。
さらに東京都教育委員会は、今年の第三回定例会で「ジェンダー・フリー」という用語を今後使用しない方針を決定しました。今回の東京都教育委員会のやり方は、本来の性差と社会的につくられた差別を意図的に混同させるジェンダーフリー論をただすことなく、むしろ、ねじ曲げた「ジェンダー・フリー」の使用に関する見解を示し、教育現場で、どのような誤解や混乱が起きているかの検証もないまま、今後の混乱をあえて招くような姿勢をとり、まさに男女平等教育そのものを阻害するものと言わざるを得ません。
男女平等意識を醸成するためには、あらゆる場面において、一人ひとりの市民がジェンダーにとらわれない価値観を形成する必要があります。特に学校は、男女平等、性や人権を尊重する意識づくりの場として重要です。また、今回厚生労働省の発表によると、新規にエイズを発症した20代前半の患者数が急増しており、中高生ら若年層の間にHIVウイルスが広がっていると報告されています。お互いの性と人権を尊重した教育を充実させる為に、改訂作業がはじまった女と男がともに生きる行動計画の進捗状況もふまえ、性教育が人権教育であるとの認識に立ち以下質問致します。
1.学校におけるこれまでの性教育の実施状況と今後の課題
2.次世代育成支援行動計画における取組について
3.人権教育の視点における男女平等
・男女混合名簿の使用状況と今後について
4.エイズ、薬物に関しての取組
5.相談機能の充実
・スクールカウンセラー、心の相談員の在り方
・若者専用のユースクリニック(心と性の相談窓口)の設置
T.特別支援教育について
「発達障害支援法(仮称)」がこの秋の臨時国会に超党派の議員によって提出されるはこびです。学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症、アスペルガー症候群などこれまで制度の谷間におかれてきた人々の後ろ盾となる法律です。
文部科学省の調査では、発達障害と見られる子どもは小中学生の6.3%。大人にも数百万人いると推定されています。早いうちに一人ひとりにあった援助があれば、能力を十分に伸ばし、社会人として自立出来る場合が少なくありません。国会での議論を十分に行い早期に実施されることを望みたいと思います。
その要綱においては、基本的施策として、早期発見、早期療育、教育、児童健全育成、就労、地域での生活支援、医療、成年後見制度等、相談事業・保護者等への支援、専門的知識を有する人材の養成、調査研究等が列挙されており総合的な視点であることが特徴といえます。
要綱についてはまだ不確定な部分も多くありますが、「特別支援教育」の方向性にも関わりが出てくることは間違いありません。
昨年12月に東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告がなされ、今年の7月には推進計画概要(案)が、そして11月には推進計画の第一次実施計画が発表される予定です。
現在、最終報告を踏まえ特別支援教育の展開に向けた実践的研究を実施するためのモデル事業を八王子市や調布市において行っています。生活者ネットワークでは、各地域の状況調査を行いましたが、各自治体でかなりの温度差が出てきています。多摩市における対応を伺います。
近年、バリアフリーという考え方からユニバーサルデザインへと社会の考え方が変化してきています。バリアフリーは、高齢の人や障がいのある人が社会への関わりを持とうとする場合、社会の側でそれを妨げてしまう現実があるという認識のもと、そのバリアを無くすことで社会に関わりやすくする環境を整えようという考え方で使われています。
一方ユニバーサルデザインは、みんなにとって良い物を考えるということからスタートしており、「全ての年令や能力の人々に対し、可能な限り最大限に使いやすい製品や環境のデザイン」という考え方です。
まちのあるべき姿は、子どもからお年寄りまで、性別を問わず、障がいのある人も無い人も、日本人も外国人も、全ての人々が安心して快適に活動できるまちでなくてはいけません。これからのまちづくりにとって、特に高齢化社会に向けて、垂直移動、水平移動を保障していくことが重要になってきます。こうしたニーズを総合して考えるのがユニバーサルデザインだと考えます。
「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」通称「交通バリアフリー法」が2000年11月に施行され4年がたちました。
市内の駅のエレベータ、点字ブロックの敷設、触知図案内板の設置、ノンステップバスの導入等バリアフリー法に則る整備が進められてきています。
そしてようやく3年間にわたる審議を重ねてきた「多摩市交通マスタープラン」が完成しました。
この計画の目的においては、多摩市の交通基盤施設の整備は計画的に進められ、鉄道、道路ともに高い水準であるが、公共交通網の再編成、鉄道駅周辺の歩行環境の向上、駐車問題等への対応、公共・公益施設への移動のしやすさの向上等が課題であるとされています。多摩丘陵を切りひらいた起伏の激しい造成地に住宅が建ち並ぶニュータウン地区を抱える多摩市にとって、特に縦の移動に伴う困難が大きく、一番の課題ではないでしょうか。多摩市独自の交通マスタープランとしての交通の課題解決、ひいては今後のまちづくりの方向性を示す重要なものであると考えます。
交通バリアフリー法第6条においては、市町村の区域内の重点整備地区に、移動円滑化にかかる事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想を作成することができるとしており、今年1月現在、113市町村が基本構想を作成しています。今回のマスタープランの中には策定に向けての考え方は示されてはいませんが、公共交通機関の利用とその周辺の重点整備地区の歩行環境整備を行うことは交通環境整備のためのしくみをつくり、その必要性を広く市民に理解してもらうことが大切になってきます。
交通マスタープランについてユニバーサルデザイン面からと環境面からの考え方を中心に以下質問致します。
1.ユニバーサルデザインの考え方からみた「多摩市交通マスタープラン」について伺います。
A.交通マスタープラン策定までの過程と基本的な考え方について
B.バリアフリー法に基づく基本構想作成に向けての考え方について
C.多摩センター駅周辺の現状認識と今後の課題について
2.環境負荷の観点から
A.自動車利用抑制にむけて
・ミニバスの充実
・職員の車通勤の抑制
B.自転車利用の促進にむけて
・駐輪場の考え方
・レンタサイクル
・電動自転車への補助
自治とは、私たち市民が主体的に自己決定を下し、自己責任において「まち」を治めていくことであると思います。現在、「新しい公共」ということが言われるようになり、市民と行政の関係・役割の転換が迫られています。主権者としての市民それぞれの多様な価値観と個性を活かし、分権時代にふさわしい効率的・効果的で開かれた「自治」を実現していくために、行政・市民の担うべきそれぞれの役割が問われています。
生活者ネットワークでは昨年から政策ゼミを立ち上げて多摩市近郊の大学に通う学生達とともに調査活動をおこなってきました。「多摩市の自治」をテーマと決めて、約半年間、自分たちの住んでいる地域の広報を点検したり、ヒアリング活動をおこなったりしながらこれからの自治の在り方、市民参加の在り方について考えてきました。
その中から見えてきたのは、市民のなかからのさまざまな意見をくみ取り、協働し、市民間の意見や利害の調整をしていく、コーディネーターとしての役割がこれからの行政には求められてきていることです。また、真のコーディネーターとしての行政を実現するには、個々の行政職員の意識改革から、行政組織・勤務形態の改革まで、幅広い改革が必要になると考えられます。
しかしながら、コーディネーターとしての役割を果たすために、行政は決定への参画のみちを市民に確保し、協働していくという姿勢をはっきりと示せているでしょうか。これまで議会で行なわれてきた行財政再構築プランや自治基本条例に関する質疑のなかでも、多摩市の行政が役割転換の必要性を認識し、その実現にむけ取り組もうとしている姿勢はうかがえます。しかし、現状はその理念と照らし合わせてみてどうでしょうか。
市民の意見を広く公募し、尊重したとは言うものの、意見がどのように反映されているのか、どのようなプロセスを経て活かされているのかということが、現状では不透明です。これでは市民に理解を求めるだけの結果になってしまい、主権者である市民の意見が行政に受け入れられていない印象が残ってしまいます。
行政の改革が急がれる一方で、もちろん市民にも、みずから考え行動していくという意識をもつことが求められてきます。選挙は市民が政治的な決定に加わるきわめて重要な場面であり手段でもありますが、市民の政治への参加の機会はそれだけに限られるわけではありません。決定への参画のしくみを改善して広く呼びかける、これを明確な展望をもってすすめていくことが重要な課題です。
参画のしやすさという視点で、多摩、神戸、小金井、立川、調布、八王子、三鷹の各市の広報紙をチェックすることから始めてみました。市民公募の状況とその取り扱いということで比較してみましたが、なかでも立川の広報は、市民公募を行なう際には必ず第1面で募集の記事を掲載していることがわかりました。このような小さな配慮からでも、市民の参画のしやすさを促進する努力が必要です。
これまで、自治基本条例制定への取り組みがなされてきましたが、この条例はまさに、市民みずからが、それぞれの個性を活かし、まちづくりの担い手となるための自治の基本条例として、重く受け止められるものにならねばなりません。これまでの過程と手法を検討し、次につなげる努力が望まれます。
私たち市民が自治の担い手として自治を追求していくために、求められる行政の役割転換に関する認識と現状の把握、市民参加のこれまでの取り組みの反省、そしてこれからの展望について、以下質問いたします。
1.新しい公共の考え方
1−1 これからの新しい公共について、どの様な認識を持っているのか
1−2コーディネーターとしての行政の役割をどう考えているのか
a.勤務態勢について
・フレックスタイム
・祝祭日の出勤
b.市民への説明会等での工夫
c.重要施策や事業の複数案提示について
2.参加の仕組みを考える
2−1 参加のチャンネルを増やす
a.公募状況をよりわかりやすくする広報について
b.多様な参加様式を導入することについて
2−2 審議会等の市民参加の現状と課題について
2−3 ルールづくりについての考え方
a.市民委員の公募について
b.学識の考え方について
c.委員への資料配付について
2−4 ワークショップについて
a.自治基本条例や第一小学校建て替え時における評価と課題について
b.今後の展開について
第71号議案2002年度(平成14年度)、多摩市一般会計歳入歳出決算の認定について、民主・生活者ネットを代表し討論を行います。
今、日本の社会は、未来に対する漠然とした不安感の中を、ゆるゆると漂っています。20世紀後半の日本の豊かさと平和を支えてきた社会的な仕組みの数々が、時代の変化に取り残されて機能不全に陥り、全く対応できなくなってきています。社会システムのあらゆるレベルで、抜本的な変革の実行が迫られています。日本が世界一の借金大国となってしまい、財政再建の具体的な道筋が全く見えてこないことは、旧来の社会システムが破綻に瀕していることを象徴しています。一方で、日本の経済・社会・国民の基礎的体力が苦しみながらも未だ底をついておらず、課題の先送りを続けている貧しい政治の現状にも関わらず、全面的な社会システム崩壊をかろうじて免れていることが希薄な危機意識に繋がっているのではと思います。このまま、既得権益との妥協と課題の先送りを続けていては、遅かれ早かれ蓄積した基礎体力を使い果たし、社会秩序と経済の崩壊を招来してしまうことは避けられません。大きな構想に沿って10年先、50年先の社会の姿を思い描きつつ、危機感を強く持ちながら明日の政策課題に取り組むことが、未来に対する責任を果たす道です。
多摩市も、日本の社会を覆う危機と無縁ではありません。むしろ、20世紀後半における日本の発展を支えた論理とシステムに沿って進められた大規模開発の結果であるニュータウンを抱えているからこそ、一段と大きな影響を受けざるを得ない状況にあるといえます。これまでの仕組みを抜本的に見直し、新たな10年、50年に向けた、まやかしではない市政の再構築に取り組むべき時は、正に今をおいて他にありません。改革の道筋は、決して縮小均衡であってはいけません。逆に、これまでの国や都に頼る依存体質から脱却し、多摩市民が自立に向かう好機であると捉え、未来を語り、夢を語る改革を進めていくときです。
2002年度(平成14年度)は、骨格予算でスタートし4月の市長選挙を経て、6月に「清潔な市政」を推進するとともに「歳入に見合った歳出構造への転換」、「経営感覚の鋭い市政運営」を展開し、「誰もが夢を持ち、互いに支えあうまち・多摩」の実現を目指し、24億9,200万円を補正し、年間予算としました。
その後、4度の補正予算を経た結果、決算額は、歳入で前年度比マイナス5.8%、455億360万円、歳出で前年度比マイナス5.4%、447億3,600万円となり差し引き額約7億6,700万円は次年度へ繰り越しとなりました。
平成14年度の財政は市税をはじめとする経常的な収入が大幅に減少する厳しい状況でした。歳入に見合った歳出構造への転換を掲げて、渡辺市政最初の1年間としての財政運営を行ってきたわけですが、歳出構造はどう変わったか、残念ながら抜本的な変化が見えるところまではきていません。一見黒字に見える決算ですが、実際は基金の取り崩しを行っており、実質的には赤字決算となっています。先般公表された再構築プランには、歳出削減に向けた多くの施策が盛り込まれていますが、基金に手をつけることなく歳出と歳入を均衡させる確かな道筋は見えてきません。再構築プランは、ゼロベースで見直すとのかけ声とは裏腹に、茂りすぎた樹木の枝をただやみくもに切っているような支出削減策、いわば対症療法に終始しており、これが大きな成果が上がらない原因だと考えます。今ある仕組みの末端を見直すのではなく、根本から再構築することが必要と考えます。
市長は、「誰もが夢を持ち、互いに支えあうまち・多摩」と市政運営に臨む理念を常々語っておられます。改革には夢が必要です。リストラは再構築であって、単なるコストカットではありません。縮小均衡を目指す施策では、市民が将来に夢を描けず、市職員の志気を萎えさせることにさえなりかねません。
日産のカルロス・ゴーン氏は、日産の再建に当たって、まず社員に改革成功後の蘇った日産の姿を明確に描きだし、それへ至る道筋を具体的かつ論理的に示すことで社員の力を引き出し、改革を成功させました。 困難に直面したなら、まず夢のある目標を掲げ、これを実現するための道筋を明確に示すことで、市民の力と市職員の力を束ねて行くことが必要となってくるのです。
ゼロベースの見直しとは、今ある事業をそれぞれ見直すことではないと考えます。市長が掲げる市政の目標である「子育て支援」「多摩センター地区の活性化」をまず中心に据え、これを実現するために市の保有する限られたリソースをどのように割り充てるのかという観点から、仕組みを再構築していくことこそ、ゼロベースの見直しといえるものではないでしょうか。
市民の知恵と力は、市の保有するリソースの中でも、今後益々活用していかなければならいものです。今後の財政状況を考える時、市民の活力を市政運営にどのように活かしていくかが重要なポイントです。
現在、まちづくりに対して、どのようなコンセプトでどのような戦略で臨むのかが見えないままに、多摩センター地区の活性化という言葉が一人歩きしているように感じます。少しずつ週末の賑わいがでてきたとの分析もありましたが、市が目指す賑わいとは何なのか?、具体的に示されてはいません。多摩市にとってどんな賑わいが相応しいのか、誰をターゲットとしているのか?、人がくるだけでお金が落ちていないのではないか?など、しっかりとコンセプトを固めて施策を打つことが大切です。かつて、地方自治体がこぞって工業団地を造成した時期がありました。また、テーマパークブームもありました。今や、無惨な屍の山です。賑わいや活性化といっても、他市の既存繁華街の模倣や後追いでは、限界があるばかりではなく、多摩市民がまず先に集うことのできる賑わいを実現することができないかと考えます。生活都市としての多摩市の特性を活かした大人の賑わいを創出する多摩市独自のコンセプト構築が望まれているのではないでしょうか。
「情報の共有」そして「市民との協働」は、市政運営における重要なキーワードです。
「市民との協働」を、市民の知恵を結集したより豊かなものとしていくには、行政と市民の「情報の共有」を欠かすことができません。和田久保ヶ下の土地区画整理事業の要綱改正についてや豊ヶ丘の橋梁にかかる契約など、議会との情報共有すら軽んじているような行政の姿勢では市民との情報共有などできません。今後の行政の姿勢が問われています。
一方、第一小学校の建替えについては、市民を含めたワークショップ方式で進め、全国的にも注目を集めました。子どもたちに夢を与え、また地域の人の知恵と力を引き出した取組は評価できます。ただこのような先進的な取組を、十分な説明責任を果たすことなく、店ざらしにするのであれば、今後の多摩市の市政を救う力となる市民の活力を、大きく削ぐことになってしまうのではないかと危惧します。
市民の夢と知恵を吸収する形で、市民と情報を共有しあいながら、行財政の再構築を進めることが、困難な状況を超えて多摩市の真の自立・自治を達成していく道と考えます。
以上申し上げまして、民主・生活者ネットの討論と致します。
2000年度に全国の家庭や事業者から出たごみの総量は、5、236万トン。東京ドーム141杯分に相当します。一人当たり一日に1.13キロ出している計算になります。
昨年、「容器包装リサイクル法の改正を求めるごみ研究会」の呼びかけで東京・生活者ネットワークは、廃棄物会計調査を行いました。
廃棄物会計とは、自治体のごみ処理の在り方、特にリサイクル事業について、経費の面からも捉えてみる、そして市民や議員、また清掃事業に携わる自治体職員自身も改めて様々な面から清掃事業を点検するための会計です。
調査の結果浮かび上がった課題は、費用の算出や品目別の費用按分に統一した基準がない、費用把握や情報公開への取組の自治体間格差が大きいなどです。
第2回目の調査となる今年度は、市民団体「びん再使用ネットワーク」が中心となり、生協をはじめとするごみに関する活動をしている団体の参加の下、各自治体での調査が進行中です。
1997年に本格施行された容器包装リサイクル法は、消費者に分別排出を、自治体に収集・分別・圧縮・保管を、事業者に再商品化を義務付けています。この法律では事業者は再商品化の費用を払うだけでよく、自治体の負担が大変大きいものとなっています。「自治体の資源化費用の負担は、どこまで重くなるのか」「自治体の財政負担の重さからリサイクルすら進まなくなるのではないか」等の課題を検討するには、具体的なコスト把握が必要となってきます。 施行されて7年が経過し、今負担費用を明らかにすることを通じて2007年度の見直しに向けて具体的な行動を起こしていく必要があります。
各自治体が、細かくリサイクルを行えば行う程費用がかかるのが今のシステムです。特に手軽なペットボトルなどの使い捨て容器は増える一方です。
ごみ処理にかかる費用は、もちろん私たちの税金です。何処の自治体も財政的に逼迫している中、少しでもごみ処理にかかる費用を抑えていく必要があります。
市民にごみ処理にかかる費用を公開し、なかでも資源化に税金がどれだけ使われているかを示すことにより、収集・選別の負担を住民から容器や中身の生産者・販売者へ移すような気運を盛り上げて行くべきです。
また現在ほとんど焼却しているというプラスチックの処理についても、きちんとした議論が必要です。プラスチック燃焼の際には実にさまざまな有害物質が生成され、有害ガスが発生する可能性があります。ダイオキシンのような毒性を有する未解明の化学物質が存在することが危惧されているのが現実です。現在、新エネルギーのひとつとしてサーマルリサイクルが推進されていますが、このままでは生産者責任が明確にならないまま大量に廃棄されるプラスチックを安易に焼却する構造に歯止めがかかりません。大切な環境・生命を守るため発生抑制と生産者責任を徹底させたシステムの確立が重要です。
市民と事業者・行政の連携でごみゼロ社会を目指すために以下質問します。
1.リサイクル費用と今後の対応について
a.容リ法施行後のリサイクル費用の推移と今後の対応
b.リサイクル費用のコストとは
c.コストを明らかにする意義
d.リユースへの流れをどう作るか
e.容リ法改正に向けて
2.プラスチックごみの処理について
a.現状と課題
b.市民へのリスク公開と今後の対応について
3.市民とともにごみ減量を考える
a.ごみの有料化について
b.ノーレジ袋デーの実施にむけて
c.市民説明会
今年の5月、東京都教育長の諮問機関「東京都心身障害教育改善検討委員会」は、障がい児教育の今後の在り方について「中間のまとめ」を公表しました。
国では、2001年に従来の「特殊教育」から「特別支援教育」への転換を提言しています。東京都は国の転換に伴い、都立の盲・ろう・養護学校の環境整備を行うとともに、LDやADHD、高機能自閉症などを持つ児童・生徒への「特別支援教育」対応と、地域別分割による学校と福祉医療の関係機関との「エリア・ネットワーク」構想、就学から卒業後の社会自立に到るまでのライフステージごとの課題を個別計画などで支援する「特別支援プロジェクト」等の考え方をまとめました。
「中間のまとめ」が出されてから、多摩地区の説明会として立川で行われたシンポジウムでは約500名の参加があり、20日間の間に寄せられたパブリックコメントは1200以上にも達しており、大きな波紋をよんでいます。
今回の改善の考え方として、都の教育庁では、障がいを持つ児童・生徒だけを集めた特殊教育から地域の学校などで、教育をともに受けることを可能とする教育の方向であるとしています。統合教育への一歩前進と受け取るものですが、本当に実施可能であるのか様々な角度から検証をしていく必要があります。
昨年訪れたニュージーランドでは、全ての子どもを総合的に包括する、つまりインクルージョンの理念がしっかりと出来ていて、誰でもがともに学ぶことを保障する取組が進んでいました。特別なニーズを必要とする子どもへの個別計画の作成や、NPOによる多様な権利擁護なども行われていました。
またアメリカでは、全障害児教育法に基づき障がいを持つ3歳以上の子どもを対象に個別教育計画(IEP)がつくられています。教育、医療福祉の専門家、保護者も参加し、食事の自立、教科教育など子どもの能力にあわせて必要な教育内容と目標が設定されています。IEPは、約3ヶ月実行され、検討し時には目標を修正することもあります。保護者は専門家と意見交換をしながら計画の最終決定権を持ち、専門家と責任の分担を明確にし子どもに関する多くの情報を得てIEPを実施していきます。
障がいを持つこどもの学ぶ権利と、一人ひとりを尊重する教育の実践を保障していくためには、人の手配なしに進まないのは明白です。現状での保護者の不安に応えるために、小中学校や特別支援学校への人的配置が必要となってきます。NPOや民間、市民の力で地域のサポート体制を作っていくことが必要でしょう。逼迫した財政の中で、どの様に人的配置をしていくのか、各自治体にとって重要かつ大切な課題です。あわせて、医療・福祉・教育等の連携も重要となってきます。一人の子どものライフステージに応じた支援をしていくために従来の縦割り行政を見直し、組織の垣根を超えた協同体制の構築が必要です。
今後の心身障がい教育の在り方をきちんと検証し、これからの多摩市としての方向性などについて以下質問致します。
1.心身障がい教育に対する基本的な考え方を伺います。
a.現状と課題について
b.多摩市教育推進プラン21に基づく実施状況について
c.福祉との連携について
・障がい者基本計画
・家庭支援センターとの連携
d.教育センターの役割について
e.医療との連携
2.通級学級について
a.現状と課題について
b.通級学級の増設について
3.学童の障がい児枠について
a.現状と課題について
b.障がい児枠を広げることについて
c.学童後の障がい児の居場所について
昨年夏、南アフリカのヨハネスブルグで開かれた「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」において、日本はようやく「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)を締結しました。この条約はPCB、ダイオキシンなど12物質の廃止を目的とするもので、既にアメリカ、EU、ドイツ等は3年前の5月に条約に署名しています。「特定有害化学物質と農薬の国際商取引における事前通知・承認の手続きに関するロッテルダム条約」とともに、有害化学物質削減は国際的な趨勢となっています。
現在日本では、13の化学物質についての室内濃度指針値を策定しており、ようやく、昨年、建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドを含む建材の使用制限と防蟻剤のクロルピリホスの使用を禁止しました。
学校施設については、学校環境衛生基準の改定により、4種類の化学物質について室内空気濃度の定期検査と新築・改築の際納入前の検査を規定したことは前進です。しかし、「予防原則」に基づく化学物質対策が進んでいる欧米に比べればまだ取組は始まったばかりです。
東京都は独自に有害化学物質対策を進めてきており、「化学物質子どもガイドライン〜室内空気編」が昨年発表され、このガイドラインの活用がまさにこれからと言うときに調布の調和小学校において、小学生の健康被害が起きてしまいました。
多摩市においては、第一小学校の建て替えが進んでおり現在の状況をきちんと把握し、今後の改修時、新築時のための対策をしっかりと作っておく必要があります。 学校だけでなく、子どもたちが使う施設である幼稚園、保育園、児童館などでの調査も当然のことです。
また、調和小学校において、被害が広がった原因の一つとして、トルエン等化学物質が室内空気濃度の基準値を超えて検出されたにもかかわらず、2学期から当該校舎で授業を開始した市教委並びに学校長の認識不足が原因であるとも言われています。
シックスクールから児童・生徒を守るために教職員に対しての健康教育を行っていくことも必要と考えます。
2002年生活者ネットワークでは、都民のアレルギーに関する状況とその解決策を探るためアンケート調査を行い、6400人の回答を得ました。80%を超える人が本人または家族に何らかのアレルギーがあると答え、半数以上の人が「原因物質を避けるよう心がけている」など私たちの身近で多くの人達がアレルギー症状に悩み、抜本的な解決策を求めていることがわかりました。
原因物質としては化学物質の存在がとても大きく、不安の対象となっています。現在、化学物質は医薬品・防虫剤・プラスチック製品など私たちの生活の到るところに使用されています。化学物質が人体に作用するメカニズムについては不明な点が多く、誰でも発症の可能性があると言われさらに環境ホルモンなど将来世代への影響も不安を増大させています。
対策としては、「空気をきれいにする」「食生活を見直す」「緑を増やす」等があげられ、症状を和らげると言った対処療法より、根本原因の解決が求められていることがわかります。今後ますます増えていくであろうアレルギーの対策として、まず症状が出てから対処するのではなく未然に防ぐ予防対策が重要となってきます。
アレルギーの原因を社会的に減らしていくため、未然防止の視点で食品や化学物質室内環境など、影響を受けやすい成長期の子どもを基準にして規制を強化しなくてはなりません。
既にアレルギーや化学物質過敏症に苦しんでいる人には、相談出来る場所と適切な治療方法を含むケアが必要です。地域の病院と二次医療機関との連携を確立し、迅速に対応出来るネットワークを作ることが必要です。東京都では都立府中病院にアレルギー専門外来の設置を決定し、2004年に基本設計と基本的な体制がきまり、2007年度開設の予定と聞いています。
次の世代を担う子どもたちの健康をまもるために以下質問致します。
1.シックスクールについて